月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

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二魂の心は相違して

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 61話

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クレイドル大陸に離陸後、壁画の時に寄らなかったところにも寄ってみた。

それが神社だ。

ソレイユ「こんな所に神社が…」

サルファー「現状、城のないこの大陸は、この神社が実権を握っているらしいですよ」

となると、この神社の人は確実に捕まっていると考えていいだろう。

ビオレ「神社とか見ると少し落ち着くわ。故郷だからかしら?」

パリス「そうかもしれませんね。またサクラ見たいです」

ゼルシェード「…少し中見ておくか?」

え…いいのか…勝手に入って…

とはいえ、残っている人がいたら話が聞けるかもしれないし、一応入ってみる。


………

エルブ「誰もいないですね」

ゼニス「やっぱり、みんな捕まってるか…いるとしたらどこだろう?」

ビオレ「ここの近くに洞窟があるわ。ホラエの洞窟って言うらしいけど。」

いるとしたらそこか……

ゼニス「よし、じゃあそっちに向かってみようか」


ゼルシェード(……おい、ゲンレイ。ビオレの…忍びの里にいなかっただろう。

どこかしらの神社にいるとは思ったが…なぜここに出かけてる)

ゲンレイ(……相変わらず説教か、ゼルシェード。

もう戻る。じゃあな)

ゼルシェード(おい…!! ……まったく…俺にさえ姿を見せないか…)


ゼニス「ド…ェード…ゼルシェード!!!」

ゼニスの声でハッとする。

ゼニス「もう行くけど、ゼルシェードもそれでいいよね?」

ゼルシェード「……俺は剣の中にいるんだ。

別に俺の許可取らなくても行け」

サルファー「いつになくツンケンしてますね」

パリス「何かありました?」

それにゼルシェードは答えない。

ゼルシェード「何でもない。今は急いでるんだ。早く行くぞ」

ゼニス「はいはい;;;」


ホラエの洞窟。

シオン達がかつて辿った道を歩く。

ソレイユ「何か不思議な感じ…シオン達なんて雲の上…みたいな感じだったのに」

パリス「本当ですね…今じゃ友達…みたいで」

英雄なんていうと、近寄れない存在、みたいな印象があった。

けど、思ったより気さくで、自分達は結構仲良くなれた。

だからこそ…今、巻き込まれていないか…

いや、ほぼ確実に巻き込まれているだろう。

ゼニス「……!! 円閃舞!!」

脇から出て来た魔物を倒す。

サルファー「こうも暗いと見つけにくいですね…これは参りました。」

ビオレ「私に任せて。ゼニスはゼルシェードの感知で探せる?」

ビオレはともかく、他はゼルシェードの魔力感知が一番頼りだ。

ゼルシェード「…仕方ないな……」

ソレイユ「ごめんねー」

エルブ「…ゼルシェード様にパシリのような扱いを…;;;;」

そんな話をしている間も魔物は飛び出してくる。

ビオレ「右と左! 竜煉巻!!」

ソレイユ「燃え盛れ…イフリティア!」

左右の敵をビオレとソレイユが討伐。

ゼルシェード「……前方! 来るぞ!」

エルブ「氷刃・一刀!!」

エルブが時間稼ぎしている間に詠唱を終え…

サルファー・パリス「貫け! セイクリッドシルフィ!」

サルファーとパリスの連携が目の前の敵を貫く。

やっと片付いた…。

ゼニス「本当に、多いな…!」

ソレイユ「それだけ敵も本気って事だよね…!」

パリス「行きましょう、先へ!」


しばらく洞窟の中を進んでいく。

その間も敵は結構出て来た。

ゼルシェード「……よし、この道を真っ直ぐ進めば、中間に牢がある。

そのさらに奥に、グラファイトだ」

という事は、グラファイトは牢の前にはいないわけか…

ビオレ「でも、またドラゴンでもいるかもしれないわね。

サルファー「ええ、気をつけましょう」

慎重に歩いていると、牢屋に辿り着くより先に、ドラゴンに出くわす。

いたのは黒い龍。

ソレイユ「やっぱり…いた」

ゼニス「…グラファイトの武器から生み出されたのか?」

ゼニスが問いかけると、すぐにその龍は答えた。

アークアム「おう、俺はアークアム。

グラファイトの鎌から生み出された龍だ。」

サルファー「一応聞きますが、目的は?」

どうせ答えは分かっているが、念のため聞いておく。

アークアム「ゼニスの確保と指輪の奪取。

後は、牢の人間の管理だなー」

なんだか、トニートゥラより軽そうというか、チャラそうというか…

アークアム「つーか、ほんとに王さんとエルブは何でそっちにいんだよ。」

エルブ「……僕のやる事をやるために」

ゼニス「僕は、この世界を…いや、この世界に生きる人達を守るためだよ」

………

アークアム「ならいいぜ! エルブは殺していいって許可があるからな!

ゼニス以外は全員死、あるのみ! わかったか!?」

パリス「……分かりません」

おおう、パリスも言うようになったなぁ……。

リナリアに背中を押されたせいか、我慢する事がなくなった気がする。

アークアム「いい度胸じゃねぇか!」

そういうと、いきなりこちらに突っ込んできた。

ビオレ「ちょっ、危なっ!?」

サルファー「こいつの弱点は!?」

ゼルシェード「グラファイトの武器からだから…恐らく水だ!」

水、なら…雷。またいない!!

ゼニス「属性変換・共鳴エレメント・クロス・リンク!」

ゼニスが能力で全員に雷属性を付与する。

アークアム「それだけでどうにかできると思うなよ!?

てめぇらにはトニートゥラが世話になったようだしなぁ!?」

ウォーターブレスを飛ばしてくる。

サルファー「ぐっ!?」

パリス「きゃあ!?」

狭い洞窟だけに、相手も派手に動けないが、

こちらもかわしにくい。

エルブ「絶雷・魔法剣!!」

ソレイユ「裂雷・魔法閃!!」

二人で弱点を突いて行く。

アークアム「ぐあっ!? へっ、やるじゃねーか! なら!! 水翼旋!!」

トニートゥラもやってきた奴だ。かわせない!

エルブ「うわっ!?」

ソレイユ「っ!? 何、これ!? 動きにくい…!」

貪足…!? 水で!?

ゼルシェード「……なるほど」

アークアム「俺の水は粘着性があってな。喰らうと動きにくくなるぜ」

さらにかわしにくく…!

駄目だ、短期決戦にしないと…。

サルファー「裂雷・魔法矢!!」

サルファーが距離を取って矢を放つ。

だがそれに向かってウォーターブレスが撃たれてしまい…

サルファー「くっ…掠りですが…駄目ですね、腕が思うように…っ」

…っ。

アークアム「ほぼまともに動けねぇか? じゃあこれで終わりだな!

アクアウィンディア!!!」

アークアムの技が飛んで来る。これは喰らったら…と思っていたら、

エルブがそっちに向かって駆けだした。

ソレイユ「エルブ!?」

パリス「やめて!?」

エルブ「絶雷・魔法剣!!」

雷を纏った状態で、相手の技を受け止める。

アークアム「おあ!? 今のを…受け止めたあ!?」

エルブ「グッ……」

さすがにそれでもきつかったのか、その場に膝をつく。

サルファー「エルブ……」

エルブ「ゼニス師匠! 今のうちに!!」

それに弾かれたように、放心のアークアムに突撃する。

アークアム「!!」

ゼニスに噛みつこうとするが、瞬間飛び上がってアークアムの背に乗る。

アークアム「はあ!?」

ゼニス「無に帰せ…流れを変えろ…無白流変斬!!!」

その背から奥義を叩きこむ。無故の全能、まさにその通り。

耐性などを無視する力。

アークアムを倒す、決め手となった。


アークアム「う…ぐえ…今のは効いたぜ…さすがはゼファなだけあるって事か?」

ゼニス「…そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

でも、僕はゼニスだ。ゼファじゃない」

何度これを言っただろう。

アークアム「てめぇら…プリムローズを助けたって聞いたぜ…

グラファイトはどうすんだ…」

サルファー「彼にも生きてもらうつもりです。

生きて、償わせます。」

アークアム「殺されねぇのな…そうか…。

……この先行くなら気を付けろよ。あぶねぇ奴がいるからな」

そう言って消えて行った。

ソレイユ「危ない奴?」

エルブ「……側近格の、どちらかかと…」

……できれば会いたくない二人のうちどちらかがいるのか…

あまり、グラファイトと戦う前に消耗したくないが…
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