月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

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二魂の心は相違して

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 60話

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セリディアス大陸。

クレセディアがあった、大地。

今は人のいない、緑しかない大地。

エピナール「セピアさん」

エピナールとセピアがそこにいた。

セピア「どうしましたの? エピナール」

エピナール「いえ…少し気になりまして…エルブの事が」

セピア「…今、向こうについていますわね。

……そう言えば、貴方達はどうやって陛下と?」

エピナール「ああ、私とエルブが城に行った時に、初めてセピアさんと会ったんでしたよね。

何というか…私とエルブは腹違い、なのは知ってますよね。

エルブはイジメられていて、私はそれに憤り、親に反発。

それに怒った両親は弟共々私を追い出しました。

生きる術のない私達を拾ったのが陛下です。

あの方に助けられなければ、私達は死んでいましたよ」

セピアさんは? と、聞き返す。

セピア「ワタクシは…王城で会ったんですの。

伯爵令嬢でしたから…舞踏会に呼ばれて…ワタクシは嫌でしたので、バルコニーに出ていて…

近付く男は蹴り飛ばし、踏みつけ、罵声で追い払う。…んんっ、それは置いておいて。

そこに陛下がいらっしゃって…ただ、男嫌いでしたワタクシは、王子と知らず無礼を言いましたわ。

でも気にする事はなく、陛下はワタクシを連れて使用人とシェフの手伝いを。

嫌々でしたわ。でもあとから楽しくなりました。舞踏会よりはずっと。

それからですわね…仲良くなって、いつも一緒にいるようになったのは」

居場所がない二人は、ゼファに救われた。

だからこそ…ゼファの願いを…。

エピナール「…私達は勝てますよね?」

セピア「勝てますわ…勝たなければ…」


一方、ゼニス達は…

ビオレ「船でしか移動できないのも大変ね…急いでいるから余計に」

サルファー「もどかしいですね…ですが、陸路は不可能ですし、

天馬の転移が壊れている以上、仕方ありません。」

次に向かうのはクレイドル大陸。

壁画を見た場所があった大陸だ。

…そう言えば…

ゼニス「どうして、ビオレが万等属性を?」

ゼルシェード「正直、使えてもゼファであるゼニスだけだと思っていたが…

もしかしたら、ゼニスの中にあるゼファの力が共鳴したのかもしれないな」

ゼファが……というのは違和感だろう。

ソレイユ「ゼニスの気持ちが、ゼファの力を仲間に与えた…?」

パリス「律零王が与えたとは考えにくいですしね…」

エルブ「後は、ビオレさんの意志に反応したのもあるかもしれません。

万等属性は、普通習得不可能です。適性が必要ですから。

ですが、全ての武器に宿っていると聞きます。

万等属性は強い意志を持つ者に宿ると言われています。」

あの時……


ビオレ『……私は、リラ姉様に頼まれた…負けるなと…! だから…!』


ゼルシェード「あの時ビオレは「姉の期待に応えたい」と強い意志を持った。

それに応えたのかもしれないな。万等属性は」

ビオレ「……そう」

ふと外を見ると、もうクレイドル大陸は近そうだった。

ゼニス「グラファイトも強い。…それで…」

サルファー「ゼニス。グラファイトとの決着は私にやらせてもらえますか?」

…言うとは思った。

ジューンの事があるからだ。それを止める権利なんて無い。

ソレイユ「うん、いいよ。ね、ゼニス」

ゼニス「もちろん」

こちらはサルファーの都合を知っている。誰も止める人はいなかった。

パリス「サルファー…さん…」

サルファー「大丈夫ですよ、パリス。ジューン様のためにも、勝たなければなりませんね」


クレイドル大陸にある、ホラエの洞窟。

かつて、シオン達が聖武器を取りに来たといわれる洞窟。

そこには、グラファイトと、黒い龍が一体。

???「なーなー」

グラファイト「………」

???「おーーい」

グラファイト「うるさいな…少しは黙れない? アークアム」

アークアムと呼ばれた龍。

アークアム「へいへい、冷たいっすねー」

そこへ…

エピナール「どうですか、グラファイトさん。」

グラファイト「……エピナール…」

エピナールが偵察がてら来た。

アークアム「おお、何の用だー?」

軽い口調でエピナールに問う。

エピナール「ええ、少し様子見と…報告に。

……プリムローズとトニートゥラが倒されました」

二人が驚く。

アークアム「はあ!? え!? マジで!?」

グラファイト「っ……死んだ…?」

エピナール「トニートゥラは。プリムローズさんは救われたようです」

グラファイト「救われた…?」

疑問に思って問いかける。

エピナール「消えそうな所を救われ、そこで気絶。

ギルド天馬に転送されました」

グラファイト「…そっか…生きてるなら、いいや…」

エピナール「おそらくゼニスさん達でしょう。

彼らが次に来るとしたらここと思われますので、私も足止めに。

アークアム、牢の入り口は貴方が番を。私は牢を守ります。」

………

グラファイト「…どうせ来るでしょ。僕は最奥に行かせてもらうよ」

アークアム「おい、俺が負ける前提かよー!?」

それは無視してグラファイトは洞窟の奥へ行ってしまう。

エピナール「では、入り口をお願いしますね」

へいへいと、ノリの軽い返事で入口へ去っていく。

シスル「貴様…!」

リナリア「ゼニス達が、ここへ来ているのね!?」

エピナール「ええ。律零王ゼファが」

フクシア「違う! ゼニスは、ゼニスだよ!!」

その言葉も届いていない。あくまで余裕ぶった表情でいるのみ。

アスター「ゼニスじゃなく、ゼファとしてしか見れない。

過去から動けないお前達が、今も進んでいるゼニス達に勝てると思うか?」

エピナール「私に傷一つ負わせられなかった方々が言いますか」

エピナールに関しては、ゼニスがいなくては勝てない。

真っ向から挑んで当たらないから。

シスル「……あいつらをなめるなよ。」

エピナール「…ええ、そうですね」

フッと笑って、その場から消える。

が、きっとどこかに隠れているのだろう。
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