41 / 100
少年との出会い
月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 41話
しおりを挟む
レクイエム「これねー…
パパが作った私のクローンナンダァ♪」
クローン…複製体だ。このレクイエムという少女のクローン…なのか?
ビオレ「待って、パパって…」
レクイエム「ここの研究所の科学者。カイムって名前の人」
ブローディア「カイム…!」
ブローディアとレオノティスはアイリスから聞いていた。
ジェイドとの戦闘時、化け物化したジェイドから聞こえてきた声。
それがカイムと名乗っていたと。
レクイエム「まー、私もクローンなんだけどぉ…。
元の人物のクローンが私。その私のクローンがこの子達。」
ゼニス「お前も…クローン!?」
一体誰のだろうか。
それにしても、先ほどからレクイエムのクローンと言われている三体は、
「うー」「あー」など言うだけで、会話が無い。
言語能力は無いようだ。
レクイエム「クローンはクローンでも失敗作だからね。
私が指示しないと何もしないし」
そう言うと、クローンの内の一体に近付いて…
レクイエム「ほら。お手」
クローンはそれに従う。
レクイエム「三回回ってワン♪」
それにも従う、が…
クローン「あう」
レクイエム「もう、あうじゃなよ。ワン!!」
クローン「あう」
やっぱり言語能力は無い。というか、何だろうか、これだけなのに妙な恐怖がある。
レクイエム「まだまだ調節いるかなぁ。と、まあ分かった?
この子達は私に忠実なの♪」
…………
レオノティス「一つ、答えろ。精霊を使って何をしようとしている?」
レクイエム「魔物と人間の融合は後々怖いし、
魔物と魔物の融合は弱い。じゃあ、精霊と魔物を融合したら、どうなるかなってね」
サルファー「人間を融合材料には、もうしていないのですか?」
レクイエム「してないけど、融合体の実験のために、人里に送り込んだりしてるからねー。
何人かは死んじゃった。きゃはっ」
フクシアとアスターと一緒に行った、あの海岸にいたのもそういう理由か。
海に入った人間を的にして攻撃系の実験を…。
パリス「罪悪感とか、無いんですか…!?」
レクイエム「なんで? ゴミはどれだけ居たってゴミでしょ? あはははっ!!」
ゼルシェード「ゼニス」
ゼニス「あ、どうした急に。」
ゼルシェード「無容赦だ。やってくれ…この組織を、終わらせてくれ!」
ゼルシェードが頭の中で急に訴えかけてきた。
ゼニス「ゼルシェード……? ……わかった!」
剣を構えてクローンの方を見据える。
ゼニス「情けの必要はない。そう言ってる。」
「そう言ってる」それだけでブローディアとレオノティスとレクイエム以外は
誰が言ったのか察しがついた。
ブローディア「ゼニス…?」
ソレイユ「ブローディアとレオノティスはカルビとテイルを助けることを最優先して!」
ビオレ「私もそっちに回るわ。救出したらゼニス達に混ざる!」
レクイエム「ふーん。…くすっ。私の「イモウト達」こいつら殺しちゃって♪」
レクイエムがそう指示すると、「あー」「うー」など発しながら、
こちらに向かって武器を構えてきた。
パリス「走ってください! ビオレさん、ブローディアさん、レオノティスさん!」
その声で三人が走り出す。
けど、クローンは動かない。
「こいつらを殺せ」と言われたので、眼前に立ったゼニス達しか見ていない。
レクイエム「ああもう! 役立たず!」
代わりにレクイエムが三人の方に行こうとする。
ゼニス「させるか!! 時双波!!」
急いで間に割って入ったゼニスが、レクイエムを壁際に弾き飛ばす。
レクイエム「っ! いったいなぁ…!」
ゼニス「ソレイユ、サルファー、パリス! クローン三体を頼む!
こっちは任せてくれ!」
正直心配だった。けど…今はそうするしかない。
ソレイユ「わかった!」
ゼニス側。
レクイエム「溶け壊れろ…アビスフレイム!」
ゼニス「っ! あつっ!?」
間一髪で避けたが、当たれば燃えるどころか言葉の通り溶け死にかねない。
レクイエム「私は高等魔法の使い手だよ? 暗黒魔法も究極魔法も。
なんせ…のクローンだからね…」
? 何か言ったが聞き取れなかった。かなりの小声で言ったから。
ゼニス「だからといって、負けられない! 五連刃!」
レクイエム「無限に沈め…インフィニロウ!!」
ゼニスの剣技とレクイエムの魔法が衝突する。
ゼルシェード「ぐっ…!?」
ゼニス「…!? ゼルシェード!?」
ゼルシェード「気にするな、魔法を防ぐのを辞めるなよ!?」
しばらく防いで、ようやく魔法が消える。
ゼニス「く…魔法の威力が…けど…」
レクイエム「っ…傷つけられるなんて、思わなかった…」
衝撃によるダメージを少しはレクイエムに与えていた。
レクイエム「いいよ…これでも耐えられる!?
深淵に還れ…メギド!!」
ゼニス「!! 無に帰せ…流れを変えろ…無白流変斬!」
ソレイユ、サルファー、パリス側。
ソレイユ「炎閃脚!!」
サルファー「水圧よ斬れ…アクアエッジ!」
パリス「彼の者に枷を…セイントクロス!」
みんな同じ見た目なので、もう誰が誰を担当するか、なんて考えていられない。
とにかく倒せば良し。けど…
ソレイユ「うっ…!」
相手の攻撃は、何の技でもない普通の攻撃なのに、威力がおかしい。
サルファー「クローン…しかも意志を持たぬ人形状態の奴らです。
力の加減、なんて物が無いのでしょう。そして、人の限界なんて物も持ち合わせていない!」
パリス「癒せ…エードヒール!」
攻撃をくらったソレイユを回復する。
ソレイユ「ありがと…」
向こうからまともな言葉は飛んでこない。でもその代わり。
パリス「今、そこの傷が回復しましたよ!?」
サルファー「自然回復!? しかも、かなり強力です!」
それを上回る攻撃が叩きこめないと勝てる見込みがない。
ソレイユ「急所狙う!? それしかないんじゃない!?」
パリス「き、急所ってどこですか!?」
急所…急所……
それを探しながらも、相手の攻撃は避けないといけない。
ソレイユ「やあっ!! 回火裂舞!!」
ソレイユが斬り込んだ際に、勢い余って一瞬背面に回った。
ソレイユ「!!」
(傷……)
サルファーとパリスの方へ戻りすぐにそれを伝えた。
パリス「背中に傷…ですか?」
サルファー「ありえますね…イチかバチか、背に攻撃が当てられれば…」
中々背に回れる話ではないのだが…
ビオレ、ブローディア、レオノティス側。
ビオレ「どうやってこのケース開けるの!?」
レオノティス「ここに装置がある! …ロック解除…待て、解析する」
ブローディア「これ、壊せないのかな!?」
そうは思うが、やろうとは思わない。中にいるカルビたちまで危険になったら笑えない。
カイ「精霊を使うなんて言語道断です! 何やってるんですか、ここは!!」
その時ブローディアの後ろから声が。
今クローンと戦っている三人だ。
パリス「背中に傷…ですか?」
サルファー「ありえますね…イチかバチか、背に攻撃が当てられれば…」
ブローディア(傷……?)
振り返る。クローンの背には確かに傷がある。三体とも。
その時…
レオノティス「よし、解除!」
その声と同時にカプセルのようなものが開く。
カルビ「ブローディア!」
テイル「レオ!!」
飛びついてくる。
ブローディア「よかった。無事で…!」
レオノティス「心配かけるな…!」
でも、そんな事を話している場合じゃない。
ビオレ「二人も聞いた? さっきパリスたちが話してたこと」
レオノティス「ああ。背の傷、だろう」
どうやらビオレも、レオノティスも聞いていたようだ。
ブローディア「私達なら、後ろから狙えるよ」
三対三。数も合う。
ブローディア「轟け神の怒り…ヴォルトレイ!」
レオノティス「狂弾蒼義!」
ビオレ「風殺剣!!」
それぞれその傷に背後から奇襲をしかける。
その部分に攻撃をくらったクローン三体は、見事に再起不能。
ソレイユ「三人とも!!」
サルファー「助かりました…ありがとうございます」
でも…安心したのもつかの間だった。
ゼニス「ぐあっ!?」
ゼニスがこっちに吹っ飛ばされてきた。
ソレイユ「ゼニス!?」
パリス「今、何が…!?」
レクイエム「やっぱり、私の究極魔法、メギドは防ぎきれなかったかぁ。
奥義まで使ったのにね?」
ゼニス「っ…ぐ…」
レオノティス「おい、動くな、傷が!」
それでもまだ立ち向かおうとしてしまうゼニスを必死に止める。
サルファー「無理はしない約束でした。ここは退きましょう!」
レクイエム「逃がすと思ってる? 馬鹿じゃ…」
その時…
???「下がって!!」
目の前に転移して来たのは、サラテリだった。
ゼニス「サラ…テリ……?」
サラテリ「大丈夫…じゃないね。ここはあたしに任せて」
パリス「どうして、あなたが…」
こっちを振り返って微笑む。
サラテリ「あたしはゼニス君が好きなの。ソレイユとは友達になりたいし♪」
ソレイユ「サラテリ……」
それだけ言うと、またレクイエムの方を向く。
サラテリ「久しぶり。いつぶりだっけ? あの時はフェズも一緒だったけど」
レクイエム「そうだね。…ずっと隠れてたの?」
サラテリ「この子達が戦ってくれた間に私の力は溜まった。
多分、今日逃げるのはあんたの方だよ。」
サラテリが剣を前に構えた。
サラテリ「勝利の光!」
レクイエム「!!!」
閃光の直後にはもうレクイエムはいなかった。
ビオレ「倒した?」
サラテリ「ううん、逃げたね。まあ賢いと思うよ。
今あたしが望んだ勝利は、相手の死だったから。
さてと……」
自分達の方に歩いて来るので警戒したが、サラテリはそのまま武器を収めた。
ブローディア「どういうつもり?」
サラテリ「今日は戦いに来たんじゃないよ。
あいつを止めに来ただけ。あわよくば倒したかったけど。」
ゼニス「どうして…助けてくれた…?」
サラテリ「さっき言った理由とー、あいつは、この研究所は…
あたし達にも敵なんだよ。この研究をそそのかした女神が許せない。」
まるで、その女神を倒す事が可能かのような言い分……
サラテリ「ゼニス君……この剣やっぱり…
…これ、剣にヒビが入ってる…直るかな…
あの方がいれば、直ると思うんだけどな……」
ソレイユ「誰の事?」
サラテリ「…指輪……そうだなぁ、剣を直したかったら、指輪をかざしてみて。
もし協力してくれたら、直るかも」
何のことを言っているのか分からなかったが、聞く間もなく、
サラテリ「町に転移させてあげる。できるだけここから遠くがいい。
またね、ゼニス君、ソレイユ♪」
ゼニス「待っ…!!」
呼び止める声むなしく、全員転移させられてしまった。
サラテリ「……あいつがいなければ…何も狂わずに済んだのに…
でも、こうじゃなきゃ、ゼニス君とソレイユには会えなかったんだよね…
あーあ…また探さなきゃ。あのお方はどこをほっつき歩いてるのかなー?」
そう呟いて、サラテリも自分達の本拠に帰って行った。
パパが作った私のクローンナンダァ♪」
クローン…複製体だ。このレクイエムという少女のクローン…なのか?
ビオレ「待って、パパって…」
レクイエム「ここの研究所の科学者。カイムって名前の人」
ブローディア「カイム…!」
ブローディアとレオノティスはアイリスから聞いていた。
ジェイドとの戦闘時、化け物化したジェイドから聞こえてきた声。
それがカイムと名乗っていたと。
レクイエム「まー、私もクローンなんだけどぉ…。
元の人物のクローンが私。その私のクローンがこの子達。」
ゼニス「お前も…クローン!?」
一体誰のだろうか。
それにしても、先ほどからレクイエムのクローンと言われている三体は、
「うー」「あー」など言うだけで、会話が無い。
言語能力は無いようだ。
レクイエム「クローンはクローンでも失敗作だからね。
私が指示しないと何もしないし」
そう言うと、クローンの内の一体に近付いて…
レクイエム「ほら。お手」
クローンはそれに従う。
レクイエム「三回回ってワン♪」
それにも従う、が…
クローン「あう」
レクイエム「もう、あうじゃなよ。ワン!!」
クローン「あう」
やっぱり言語能力は無い。というか、何だろうか、これだけなのに妙な恐怖がある。
レクイエム「まだまだ調節いるかなぁ。と、まあ分かった?
この子達は私に忠実なの♪」
…………
レオノティス「一つ、答えろ。精霊を使って何をしようとしている?」
レクイエム「魔物と人間の融合は後々怖いし、
魔物と魔物の融合は弱い。じゃあ、精霊と魔物を融合したら、どうなるかなってね」
サルファー「人間を融合材料には、もうしていないのですか?」
レクイエム「してないけど、融合体の実験のために、人里に送り込んだりしてるからねー。
何人かは死んじゃった。きゃはっ」
フクシアとアスターと一緒に行った、あの海岸にいたのもそういう理由か。
海に入った人間を的にして攻撃系の実験を…。
パリス「罪悪感とか、無いんですか…!?」
レクイエム「なんで? ゴミはどれだけ居たってゴミでしょ? あはははっ!!」
ゼルシェード「ゼニス」
ゼニス「あ、どうした急に。」
ゼルシェード「無容赦だ。やってくれ…この組織を、終わらせてくれ!」
ゼルシェードが頭の中で急に訴えかけてきた。
ゼニス「ゼルシェード……? ……わかった!」
剣を構えてクローンの方を見据える。
ゼニス「情けの必要はない。そう言ってる。」
「そう言ってる」それだけでブローディアとレオノティスとレクイエム以外は
誰が言ったのか察しがついた。
ブローディア「ゼニス…?」
ソレイユ「ブローディアとレオノティスはカルビとテイルを助けることを最優先して!」
ビオレ「私もそっちに回るわ。救出したらゼニス達に混ざる!」
レクイエム「ふーん。…くすっ。私の「イモウト達」こいつら殺しちゃって♪」
レクイエムがそう指示すると、「あー」「うー」など発しながら、
こちらに向かって武器を構えてきた。
パリス「走ってください! ビオレさん、ブローディアさん、レオノティスさん!」
その声で三人が走り出す。
けど、クローンは動かない。
「こいつらを殺せ」と言われたので、眼前に立ったゼニス達しか見ていない。
レクイエム「ああもう! 役立たず!」
代わりにレクイエムが三人の方に行こうとする。
ゼニス「させるか!! 時双波!!」
急いで間に割って入ったゼニスが、レクイエムを壁際に弾き飛ばす。
レクイエム「っ! いったいなぁ…!」
ゼニス「ソレイユ、サルファー、パリス! クローン三体を頼む!
こっちは任せてくれ!」
正直心配だった。けど…今はそうするしかない。
ソレイユ「わかった!」
ゼニス側。
レクイエム「溶け壊れろ…アビスフレイム!」
ゼニス「っ! あつっ!?」
間一髪で避けたが、当たれば燃えるどころか言葉の通り溶け死にかねない。
レクイエム「私は高等魔法の使い手だよ? 暗黒魔法も究極魔法も。
なんせ…のクローンだからね…」
? 何か言ったが聞き取れなかった。かなりの小声で言ったから。
ゼニス「だからといって、負けられない! 五連刃!」
レクイエム「無限に沈め…インフィニロウ!!」
ゼニスの剣技とレクイエムの魔法が衝突する。
ゼルシェード「ぐっ…!?」
ゼニス「…!? ゼルシェード!?」
ゼルシェード「気にするな、魔法を防ぐのを辞めるなよ!?」
しばらく防いで、ようやく魔法が消える。
ゼニス「く…魔法の威力が…けど…」
レクイエム「っ…傷つけられるなんて、思わなかった…」
衝撃によるダメージを少しはレクイエムに与えていた。
レクイエム「いいよ…これでも耐えられる!?
深淵に還れ…メギド!!」
ゼニス「!! 無に帰せ…流れを変えろ…無白流変斬!」
ソレイユ、サルファー、パリス側。
ソレイユ「炎閃脚!!」
サルファー「水圧よ斬れ…アクアエッジ!」
パリス「彼の者に枷を…セイントクロス!」
みんな同じ見た目なので、もう誰が誰を担当するか、なんて考えていられない。
とにかく倒せば良し。けど…
ソレイユ「うっ…!」
相手の攻撃は、何の技でもない普通の攻撃なのに、威力がおかしい。
サルファー「クローン…しかも意志を持たぬ人形状態の奴らです。
力の加減、なんて物が無いのでしょう。そして、人の限界なんて物も持ち合わせていない!」
パリス「癒せ…エードヒール!」
攻撃をくらったソレイユを回復する。
ソレイユ「ありがと…」
向こうからまともな言葉は飛んでこない。でもその代わり。
パリス「今、そこの傷が回復しましたよ!?」
サルファー「自然回復!? しかも、かなり強力です!」
それを上回る攻撃が叩きこめないと勝てる見込みがない。
ソレイユ「急所狙う!? それしかないんじゃない!?」
パリス「き、急所ってどこですか!?」
急所…急所……
それを探しながらも、相手の攻撃は避けないといけない。
ソレイユ「やあっ!! 回火裂舞!!」
ソレイユが斬り込んだ際に、勢い余って一瞬背面に回った。
ソレイユ「!!」
(傷……)
サルファーとパリスの方へ戻りすぐにそれを伝えた。
パリス「背中に傷…ですか?」
サルファー「ありえますね…イチかバチか、背に攻撃が当てられれば…」
中々背に回れる話ではないのだが…
ビオレ、ブローディア、レオノティス側。
ビオレ「どうやってこのケース開けるの!?」
レオノティス「ここに装置がある! …ロック解除…待て、解析する」
ブローディア「これ、壊せないのかな!?」
そうは思うが、やろうとは思わない。中にいるカルビたちまで危険になったら笑えない。
カイ「精霊を使うなんて言語道断です! 何やってるんですか、ここは!!」
その時ブローディアの後ろから声が。
今クローンと戦っている三人だ。
パリス「背中に傷…ですか?」
サルファー「ありえますね…イチかバチか、背に攻撃が当てられれば…」
ブローディア(傷……?)
振り返る。クローンの背には確かに傷がある。三体とも。
その時…
レオノティス「よし、解除!」
その声と同時にカプセルのようなものが開く。
カルビ「ブローディア!」
テイル「レオ!!」
飛びついてくる。
ブローディア「よかった。無事で…!」
レオノティス「心配かけるな…!」
でも、そんな事を話している場合じゃない。
ビオレ「二人も聞いた? さっきパリスたちが話してたこと」
レオノティス「ああ。背の傷、だろう」
どうやらビオレも、レオノティスも聞いていたようだ。
ブローディア「私達なら、後ろから狙えるよ」
三対三。数も合う。
ブローディア「轟け神の怒り…ヴォルトレイ!」
レオノティス「狂弾蒼義!」
ビオレ「風殺剣!!」
それぞれその傷に背後から奇襲をしかける。
その部分に攻撃をくらったクローン三体は、見事に再起不能。
ソレイユ「三人とも!!」
サルファー「助かりました…ありがとうございます」
でも…安心したのもつかの間だった。
ゼニス「ぐあっ!?」
ゼニスがこっちに吹っ飛ばされてきた。
ソレイユ「ゼニス!?」
パリス「今、何が…!?」
レクイエム「やっぱり、私の究極魔法、メギドは防ぎきれなかったかぁ。
奥義まで使ったのにね?」
ゼニス「っ…ぐ…」
レオノティス「おい、動くな、傷が!」
それでもまだ立ち向かおうとしてしまうゼニスを必死に止める。
サルファー「無理はしない約束でした。ここは退きましょう!」
レクイエム「逃がすと思ってる? 馬鹿じゃ…」
その時…
???「下がって!!」
目の前に転移して来たのは、サラテリだった。
ゼニス「サラ…テリ……?」
サラテリ「大丈夫…じゃないね。ここはあたしに任せて」
パリス「どうして、あなたが…」
こっちを振り返って微笑む。
サラテリ「あたしはゼニス君が好きなの。ソレイユとは友達になりたいし♪」
ソレイユ「サラテリ……」
それだけ言うと、またレクイエムの方を向く。
サラテリ「久しぶり。いつぶりだっけ? あの時はフェズも一緒だったけど」
レクイエム「そうだね。…ずっと隠れてたの?」
サラテリ「この子達が戦ってくれた間に私の力は溜まった。
多分、今日逃げるのはあんたの方だよ。」
サラテリが剣を前に構えた。
サラテリ「勝利の光!」
レクイエム「!!!」
閃光の直後にはもうレクイエムはいなかった。
ビオレ「倒した?」
サラテリ「ううん、逃げたね。まあ賢いと思うよ。
今あたしが望んだ勝利は、相手の死だったから。
さてと……」
自分達の方に歩いて来るので警戒したが、サラテリはそのまま武器を収めた。
ブローディア「どういうつもり?」
サラテリ「今日は戦いに来たんじゃないよ。
あいつを止めに来ただけ。あわよくば倒したかったけど。」
ゼニス「どうして…助けてくれた…?」
サラテリ「さっき言った理由とー、あいつは、この研究所は…
あたし達にも敵なんだよ。この研究をそそのかした女神が許せない。」
まるで、その女神を倒す事が可能かのような言い分……
サラテリ「ゼニス君……この剣やっぱり…
…これ、剣にヒビが入ってる…直るかな…
あの方がいれば、直ると思うんだけどな……」
ソレイユ「誰の事?」
サラテリ「…指輪……そうだなぁ、剣を直したかったら、指輪をかざしてみて。
もし協力してくれたら、直るかも」
何のことを言っているのか分からなかったが、聞く間もなく、
サラテリ「町に転移させてあげる。できるだけここから遠くがいい。
またね、ゼニス君、ソレイユ♪」
ゼニス「待っ…!!」
呼び止める声むなしく、全員転移させられてしまった。
サラテリ「……あいつがいなければ…何も狂わずに済んだのに…
でも、こうじゃなきゃ、ゼニス君とソレイユには会えなかったんだよね…
あーあ…また探さなきゃ。あのお方はどこをほっつき歩いてるのかなー?」
そう呟いて、サラテリも自分達の本拠に帰って行った。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する
大福金
ファンタジー
次世代ファンタジーカップ【ユニークキャラクター賞】受賞作
《あらすじ》
この世界では12歳になると、自分に合ったジョブが決まる。これは神からのギフトとされこの時に人生が決まる。
皆、華やかなジョブを希望するが何に成るかは神次第なのだ。
そんな中俺はジョブを決める12歳の洗礼式で【魔物使い】テイマーになった。
花形のジョブではないが動物は好きだし俺は魔物使いと言うジョブを気にいっていた。
ジョブが決まれば12歳から修行にでる。15歳になるとこのジョブでお金を稼ぐ事もできるし。冒険者登録をして世界を旅しながらお金を稼ぐ事もできる。
この時俺はまだ見ぬ未来に期待していた。
だが俺は……一年たっても二年たっても一匹もテイム出来なかった。
犬や猫、底辺魔物のスライムやゴブリンでさえテイム出来ない。
俺のジョブは本当に魔物使いなのか疑うほどに。
こんな俺でも同郷のデュークが冒険者パーティー【深緑の牙】に仲間に入れてくれた。
俺はメンバーの為に必死に頑張った。
なのに……あんな形で俺を追放なんて‼︎
そんな無能な俺が後に……
SSSランクのフェンリルをテイム(使役)し無双する
主人公ティーゴの活躍とは裏腹に
深緑の牙はどんどん転落して行く……
基本ほのぼのです。可愛いもふもふフェンリルを愛でます。
たまに人の為にもふもふ無双します。
ざまぁ後は可愛いもふもふ達とのんびり旅をして行きます。
もふもふ仲間はどんどん増えて行きます。可愛いもふもふ仲間達をティーゴはドンドン無自覚にタラシこんでいきます。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

【完結】裏切りの暗殺者(当て馬兼最難関隠しキャラ)は、死にたくないしヒロインに忠誠も誓いたくない
月白ヤトヒコ
ファンタジー
どうやらわたしは、聖女がヒロインの乙女ゲームに転生したようだ。
それも……ヒロインを執拗に付け狙うストーカー暗殺者として。
暗殺者は、ヒロインが攻略対象とくっ付くための当て馬。そして……隠しキャラの、最難関攻略対象でもあった。
暗殺者にあるのは、攻略対象シナリオ分の大量の死亡フラグ!
唯一、暗殺者が死なないでヒロインに攻略されるというルートがあるが……それは通称『百合エンド』と称される暗殺者がヒロインに忠誠を誓うエンドのみ。
しかし、そこに辿り着くまでは難易度が高い無理ゲーでもある。ヒロインがステータスほぼカンストというそこまでの努力をしてくれる可能性は限りなく低い。
おまけにわたしは、このヒロインが嫌いだ。
真顔で「は?」と言いたくなるような・・・全体的に、イラッとするタイプのヒロインだった。まぁ、わたしの主観なのだが。
生き残れるのが通称『百合ルート』のみとは言え、リアルで百合って、相当仲良くないと無理だろ。
というワケで、死にたくないしヒロインにも忠誠を誓いたくないので、シナリオをぶっ壊そうと思います。
わたしの死亡エンド回避のためにっ!?
※通称『百合ルート』を回避するために動くので、百合ではありません。
設定はふわっと。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界に来たからといってヒロインとは限らない
あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理!
ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※
ファンタジー小説大賞結果発表!!!
\9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/
(嬉しかったので自慢します)
書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン)
変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします!
(誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願
※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。
* * *
やってきました、異世界。
学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。
いえ、今でも懐かしく読んでます。
好きですよ?異世界転移&転生モノ。
だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね?
『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。
実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。
でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。
モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ?
帰る方法を探して四苦八苦?
はてさて帰る事ができるかな…
アラフォー女のドタバタ劇…?かな…?
***********************
基本、ノリと勢いで書いてます。
どこかで見たような展開かも知れません。
暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる