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少年との出会い
月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 33話
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グラファイトを退けた一行は、
先ほどサルファー達がいた側の村、ヴィデ村へ向かった。
こちらでもミステリオ村と同じように、村の人が迎えてくれた。
「ああ、皆さん! 良かった! …ゼニスさんとソレイユさんと合流、できたんですね」
どうやらサルファー達は自分達の名前と特徴を話してしまっていたらしい。
ゼニス「サルファー、パリス、ビオレ…
僕達は反対側のミステリオでシーサーペントの討伐を頼まれた。」
ビオレ「私達もここの人達に頼まれてるわ。」
…そういう事なら話は早い。
ゼニス「…これから、浜辺付近に人を近づけないでほしい。
浜辺に出るなんてもってのほかだ」
ソレイユ「私達はシーサーペントを倒しに行くよ。
みんなは村から絶対に出ないで」
「………わかりました。
ああ、まってください!」
引き留めると自分達に何か魔法をかけた。
サルファー「今のは?」
「体力回復、です。怪我はしていないようでしたが、疲労しているように、見えたので…」
確かにそうだった。傷の手当は回復魔法で済ませたが、
グラファイトと戦った疲れはあった。
ゼニス「ありがとう。じゃあ、行ってくる」
村を出て、浜辺に出る。
この異界の海が、外界から来れてしまうという事実が、まだ受け入れきれない。
いや、シーサーペントの力無ければ、来る事は敵わなかったのだが。
……来ない。いない。
こうなったなら、呼び寄せる?
ゼニス「海に誰かが入るのは危険でしかない。だったら…」
足元に落ちていた石を一つ掴んで海に放り投げる。
水切りのようにそれは五回、海をはねた。
波のある海でそんなにできるのだから、水切りの腕は相当いい気がする。
すると…
パリス「…あっ! 何か…!」
ソレイユ「下がってみんな、出てくる!」
石が落ちたのが人の侵入と思ったのか、シーサーペントが顔を出した。
ビオレ「改めて見ると大きいわね…属性は…水??」
………雷属性持ち…は??
いない。
ゼルシェード「ゼニス。お前は無属性だ。
他の奴より相性を気にしなくて済む分、属性変換ができるかもしれん」
それは…
ゼニス「それって、ゼルシェードの力なのか?」
ゼルシェード「この剣なら可能だ。その名の通り、属性変換。
魔法剣という形でしかできないが、十分だろう。
弱点が突きたい、が、その弱点属性を持ってる奴がいない、という時、
これだけでも戦力アップになる。」
自分が持っている技をデタラメに打つよりも、
その場しのぎでも、弱点を突いた魔法剣を放った方が効果はあるという事だ。
今必要なのは、雷属性。
ソレイユ「ゼニス、任せられる!?」
パリス「お願い、します…!」
説明を受けている間、サルファーとビオレが何とか場をつないでくれている。
……もうわけが分からないことだらけ、というか、
流変剣に応用が利きすぎてややこしいが、今は頼るしかない。
ゼニス「行くよ、ゼルシェード。属性変換!」
望んだ属性は、雷だ。
剣に雷が一瞬ほとばしる。
それと同時に、薙ぎ払われたビオレとサルファーが吹っ飛ばされてくる。
サルファー「ぐぁっ…!?」
ビオレ「い、った…!」
シーサーペントの方を見上げる。
ソレイユ「…やああっ! 連煌斬舞!!」
パリス「彼の者に枷を…セイントクロス!」
火属性と水属性は論外なので、この二人は必然的に光属性での攻撃となる。
ゼニス「裂雷・魔法剣!!」
ゼニスが放った魔法剣は、確実にシーサーペントにダメージを通している。
光属性でも通ってはいるが、雷の魔法剣ほどではない。
ゼニス「よし、これなら…!」
でも、大ダメージとはいえ、シーサーペントはまだ元気。
想いきり暴れたせいで、
近距離に近付いて斬りつけたゼニスとソレイユは地面に吹っ飛ばされた。
ソレイユ「!? もう、元気だなぁ…!」
ゼニス「くっ…」
パリスがこちらに駆け寄って、魔法を唱えようとする。
パリス「光の雨よ…」
ソレイユ「パリス! 避けて!!」
間に合わない。詠唱中は動けない。
でもそんなの相手からしたらどうでもいい。水のブレスがパリスに届く。
パリス「きゃあ…!?」
同じ水属性だから、多少は耐性があるだろうが、
受け身一つ取れない状態で喰らえば相当だろう。
回復の手数が圧倒的に足りない。
そう思っていた時…
「皆さん! 回復ならこちらで!」
後ろから声がしたかと思えば、一気に傷が完治した。
ゼニス「え…?」
後ろを振り返ると、この異界の住人たちが大勢集まっていた。
「回復魔法なら私達は大得意です!」
「皆さんは攻撃に集中を! サポートは任せてください!」
これなら回避行動や攻撃に集中できるし、
万一怪我をしても完治できるほどの回復魔法があるのなら…。
サルファー「行けますよ。ゼニス!」
ビオレ「やってやろうじゃない!」
パリス「ゼニスさん…!」
ソレイユ「ゼニス、やろう!」
………
ゼニス「ああ!」
もう一度立ち上がって、向き直る。
ゼルシェード「雷以外は大ダメージは出ないが耐性があるわけでもない。
火属性と水属性以外をひたすら打ち込め。ゼニスは雷一択だ!」
「「「「「了解!」」」」」
パリス「視界を閉ざせ…」
サルファー「シルフィアロー!」
パリスが詠唱開始したのと同時にサルファーが一発撃ちこむ。
それに反応してサルファーに狙いを定めたところで
パリス「フラッシュスクリーン!」
閃光が瞬く。これで相手の攻撃は命中しにくくなったはず。
それでも当たる時は当たるもので…
ソレイユ「くっ…!」
でも、問題なんて無い。後ろに味方がいる。
回復援護があるおかげで怪我をしても直ちに完治。
すぐに動けるようになる。
ソレイユ「すごい、助かっちゃう!」
「村の存続にも関わりますし、外界の方も、帰してあげたいですから!」
そうこうしているうちに、ビオレが動く。
ビオレ「巻き上がれ…トルネード!」
シーサーペントが見えにくくなって慌てているところに魔法。
ソレイユ「空天翔!」
バランスを崩し地に落ちたところへソレイユが斬りつける。
そのせいで相当頭に来たのか、ブレスをやみくもに撃ち込んでくる。
でも、それでもゼニス達にとってそれは一時の痛みにしかならない。
ゼルシェード「ゼニス、駆けろ!」
ゼニス「わかってるよ!」
ブレスで飛ばされ少し距離があったため、そこから駆ける。
途中でシーサーペントが首を振ってきそうだったが…
サルファー・パリス「貫け! セイクリッド・シルフィ!」
サルファーとパリスの連携が阻止する。
ゼニス「ありがとう、二人とも!」
そこに追撃。
ソレイユ「光臨舞!」
ビオレ「竜煉巻!」
ソレイユとビオレが一撃ずつ斬りつける。
ゼニス(いける!)
「はああああああ!!! 絶雷・魔法剣!!」
高レベルの魔法剣は相手にとどめを刺すだけのダメージを与え、
シーサーペントは沈黙した。
ゼニス「はぁ…はぁ…はぁ…」
ソレイユ「倒し、た……」
後ろから、わああああと歓声が上がる。
その彼らの後ろから、村の奥に避難していた外界の人達が出て来る。
「ありがとうございます。これでやっと、帰れます」
「ここでの生活も楽しかったし、少し寂しいけど…」
……
ビオレ「そうね。綺麗だし、村の人も優しいし、また来たい気もするわね」
「……あの」
ミステリオでゼニスとソレイユが最初に会った少年が声をかけてくる。
「これ、渡しておきます」
渡されたのは一つのオカリナ。
ゼニス「これは?」
「シーサーペントはいなくなりました。
もう変な境目はありません。これを浜辺で吹けば、ここまでの道ができるはずです」
サルファー「それは、海の上にですか? 船が無いと…」
それに対して首を横に振る。
「そのできる道は歩けるんです。海の上を歩いてくれば、きっとここに…」
どうやら歪な境界はシーサーペントの影響だったらしい。
異界に変わりは無いが、もともとは異界の者が外界に行くことは容易だったと。
ソレイユ「ありがとう。もらっておくね」
「皆さん、そのオカリナは貴方達がもらっておいてください。」
パリス「え…でも、皆さんは…」
ここに遊びに来たいのは彼らだって同じはずだ。
「あの実力を見る限り、世界のために戦っているとお見受けします。
この世界が必要になった時、戦えない私達が持っていたら大変です。」
「すべて片付いた時、年に一回。ここと外界をつなぐ架け橋になってくれれば。」
ゼニス達は全員顔を見合わせて頷く。
ゼニス「もちろんです」
サルファー「年に一度、それをいつにするかは、決めておいていただけると」
「ありがとうございます。事が済むまでに、決めておきますよ!」
この浜辺でオカリナを吹くと、光の道ができた。
それを渡ると、外へ。
よく見慣れた海の世界が見えた。外界に、自分達の世界にやっと戻って来た。
ソレイユ「すっごーい! わぁ!? 海の上歩いてる!!」
ゼルシェード「…海の上を歩くなど、神でもなければ無理だと思っていたんだがな」
ゼニス「あははっ、この感覚はゼルシェードは剣の中にいるから分からないもんなぁ」
カチンと流変剣が音を鳴らしたように聞こえた。
ゼルシェード「ここから海に突き落としてやろうか…」
ビオレ「剣の中にいるんだから無理でしょ」
サルファー「剣から出る事ができたら、突き落としてあげたらどうでしょう?」
何か集中砲火が始まってる!?
ゼニス「待って! サルファーまで僕の敵!?」
ソレイユ「私はゼニスの味方だし♪」
パリス「じ、じゃあ私は、サルファーさんの側に…」
どっちの味方か分かりにくいビオレを除いても味方が少ない!
これは、ゼルシェードが剣から出てきたら、気を付けないとな…。
一番近くの浜辺に降りて、異界から助け出した人達とも別れた。
地図を開いて一番近くの町か村に行こうかと見ていると…
ビオレ「あれ、当初の目的地の近くじゃない。」
自分達がいたのは、海でシーサーペントと出会う前。
施設から出て来て行こうと考えていた、ソリスの町の近くだった。
ソレイユ「丁度いいじゃん! 行こう行こう!」
サルファー「ビオレの故郷の里に行くのは明日にしましょう。
皆疲れているはずです。取りあえず、宿を取って休みましょう」
ゼルシェード「ゼニス」
ゼニス「わかってる。話がある、だろ」
こうなると、ゼルシェードは夢の中でしか話をしてくれない。
だから、宿を取った後、疲れていた事もあり、すぐに眠りについた。
先ほどサルファー達がいた側の村、ヴィデ村へ向かった。
こちらでもミステリオ村と同じように、村の人が迎えてくれた。
「ああ、皆さん! 良かった! …ゼニスさんとソレイユさんと合流、できたんですね」
どうやらサルファー達は自分達の名前と特徴を話してしまっていたらしい。
ゼニス「サルファー、パリス、ビオレ…
僕達は反対側のミステリオでシーサーペントの討伐を頼まれた。」
ビオレ「私達もここの人達に頼まれてるわ。」
…そういう事なら話は早い。
ゼニス「…これから、浜辺付近に人を近づけないでほしい。
浜辺に出るなんてもってのほかだ」
ソレイユ「私達はシーサーペントを倒しに行くよ。
みんなは村から絶対に出ないで」
「………わかりました。
ああ、まってください!」
引き留めると自分達に何か魔法をかけた。
サルファー「今のは?」
「体力回復、です。怪我はしていないようでしたが、疲労しているように、見えたので…」
確かにそうだった。傷の手当は回復魔法で済ませたが、
グラファイトと戦った疲れはあった。
ゼニス「ありがとう。じゃあ、行ってくる」
村を出て、浜辺に出る。
この異界の海が、外界から来れてしまうという事実が、まだ受け入れきれない。
いや、シーサーペントの力無ければ、来る事は敵わなかったのだが。
……来ない。いない。
こうなったなら、呼び寄せる?
ゼニス「海に誰かが入るのは危険でしかない。だったら…」
足元に落ちていた石を一つ掴んで海に放り投げる。
水切りのようにそれは五回、海をはねた。
波のある海でそんなにできるのだから、水切りの腕は相当いい気がする。
すると…
パリス「…あっ! 何か…!」
ソレイユ「下がってみんな、出てくる!」
石が落ちたのが人の侵入と思ったのか、シーサーペントが顔を出した。
ビオレ「改めて見ると大きいわね…属性は…水??」
………雷属性持ち…は??
いない。
ゼルシェード「ゼニス。お前は無属性だ。
他の奴より相性を気にしなくて済む分、属性変換ができるかもしれん」
それは…
ゼニス「それって、ゼルシェードの力なのか?」
ゼルシェード「この剣なら可能だ。その名の通り、属性変換。
魔法剣という形でしかできないが、十分だろう。
弱点が突きたい、が、その弱点属性を持ってる奴がいない、という時、
これだけでも戦力アップになる。」
自分が持っている技をデタラメに打つよりも、
その場しのぎでも、弱点を突いた魔法剣を放った方が効果はあるという事だ。
今必要なのは、雷属性。
ソレイユ「ゼニス、任せられる!?」
パリス「お願い、します…!」
説明を受けている間、サルファーとビオレが何とか場をつないでくれている。
……もうわけが分からないことだらけ、というか、
流変剣に応用が利きすぎてややこしいが、今は頼るしかない。
ゼニス「行くよ、ゼルシェード。属性変換!」
望んだ属性は、雷だ。
剣に雷が一瞬ほとばしる。
それと同時に、薙ぎ払われたビオレとサルファーが吹っ飛ばされてくる。
サルファー「ぐぁっ…!?」
ビオレ「い、った…!」
シーサーペントの方を見上げる。
ソレイユ「…やああっ! 連煌斬舞!!」
パリス「彼の者に枷を…セイントクロス!」
火属性と水属性は論外なので、この二人は必然的に光属性での攻撃となる。
ゼニス「裂雷・魔法剣!!」
ゼニスが放った魔法剣は、確実にシーサーペントにダメージを通している。
光属性でも通ってはいるが、雷の魔法剣ほどではない。
ゼニス「よし、これなら…!」
でも、大ダメージとはいえ、シーサーペントはまだ元気。
想いきり暴れたせいで、
近距離に近付いて斬りつけたゼニスとソレイユは地面に吹っ飛ばされた。
ソレイユ「!? もう、元気だなぁ…!」
ゼニス「くっ…」
パリスがこちらに駆け寄って、魔法を唱えようとする。
パリス「光の雨よ…」
ソレイユ「パリス! 避けて!!」
間に合わない。詠唱中は動けない。
でもそんなの相手からしたらどうでもいい。水のブレスがパリスに届く。
パリス「きゃあ…!?」
同じ水属性だから、多少は耐性があるだろうが、
受け身一つ取れない状態で喰らえば相当だろう。
回復の手数が圧倒的に足りない。
そう思っていた時…
「皆さん! 回復ならこちらで!」
後ろから声がしたかと思えば、一気に傷が完治した。
ゼニス「え…?」
後ろを振り返ると、この異界の住人たちが大勢集まっていた。
「回復魔法なら私達は大得意です!」
「皆さんは攻撃に集中を! サポートは任せてください!」
これなら回避行動や攻撃に集中できるし、
万一怪我をしても完治できるほどの回復魔法があるのなら…。
サルファー「行けますよ。ゼニス!」
ビオレ「やってやろうじゃない!」
パリス「ゼニスさん…!」
ソレイユ「ゼニス、やろう!」
………
ゼニス「ああ!」
もう一度立ち上がって、向き直る。
ゼルシェード「雷以外は大ダメージは出ないが耐性があるわけでもない。
火属性と水属性以外をひたすら打ち込め。ゼニスは雷一択だ!」
「「「「「了解!」」」」」
パリス「視界を閉ざせ…」
サルファー「シルフィアロー!」
パリスが詠唱開始したのと同時にサルファーが一発撃ちこむ。
それに反応してサルファーに狙いを定めたところで
パリス「フラッシュスクリーン!」
閃光が瞬く。これで相手の攻撃は命中しにくくなったはず。
それでも当たる時は当たるもので…
ソレイユ「くっ…!」
でも、問題なんて無い。後ろに味方がいる。
回復援護があるおかげで怪我をしても直ちに完治。
すぐに動けるようになる。
ソレイユ「すごい、助かっちゃう!」
「村の存続にも関わりますし、外界の方も、帰してあげたいですから!」
そうこうしているうちに、ビオレが動く。
ビオレ「巻き上がれ…トルネード!」
シーサーペントが見えにくくなって慌てているところに魔法。
ソレイユ「空天翔!」
バランスを崩し地に落ちたところへソレイユが斬りつける。
そのせいで相当頭に来たのか、ブレスをやみくもに撃ち込んでくる。
でも、それでもゼニス達にとってそれは一時の痛みにしかならない。
ゼルシェード「ゼニス、駆けろ!」
ゼニス「わかってるよ!」
ブレスで飛ばされ少し距離があったため、そこから駆ける。
途中でシーサーペントが首を振ってきそうだったが…
サルファー・パリス「貫け! セイクリッド・シルフィ!」
サルファーとパリスの連携が阻止する。
ゼニス「ありがとう、二人とも!」
そこに追撃。
ソレイユ「光臨舞!」
ビオレ「竜煉巻!」
ソレイユとビオレが一撃ずつ斬りつける。
ゼニス(いける!)
「はああああああ!!! 絶雷・魔法剣!!」
高レベルの魔法剣は相手にとどめを刺すだけのダメージを与え、
シーサーペントは沈黙した。
ゼニス「はぁ…はぁ…はぁ…」
ソレイユ「倒し、た……」
後ろから、わああああと歓声が上がる。
その彼らの後ろから、村の奥に避難していた外界の人達が出て来る。
「ありがとうございます。これでやっと、帰れます」
「ここでの生活も楽しかったし、少し寂しいけど…」
……
ビオレ「そうね。綺麗だし、村の人も優しいし、また来たい気もするわね」
「……あの」
ミステリオでゼニスとソレイユが最初に会った少年が声をかけてくる。
「これ、渡しておきます」
渡されたのは一つのオカリナ。
ゼニス「これは?」
「シーサーペントはいなくなりました。
もう変な境目はありません。これを浜辺で吹けば、ここまでの道ができるはずです」
サルファー「それは、海の上にですか? 船が無いと…」
それに対して首を横に振る。
「そのできる道は歩けるんです。海の上を歩いてくれば、きっとここに…」
どうやら歪な境界はシーサーペントの影響だったらしい。
異界に変わりは無いが、もともとは異界の者が外界に行くことは容易だったと。
ソレイユ「ありがとう。もらっておくね」
「皆さん、そのオカリナは貴方達がもらっておいてください。」
パリス「え…でも、皆さんは…」
ここに遊びに来たいのは彼らだって同じはずだ。
「あの実力を見る限り、世界のために戦っているとお見受けします。
この世界が必要になった時、戦えない私達が持っていたら大変です。」
「すべて片付いた時、年に一回。ここと外界をつなぐ架け橋になってくれれば。」
ゼニス達は全員顔を見合わせて頷く。
ゼニス「もちろんです」
サルファー「年に一度、それをいつにするかは、決めておいていただけると」
「ありがとうございます。事が済むまでに、決めておきますよ!」
この浜辺でオカリナを吹くと、光の道ができた。
それを渡ると、外へ。
よく見慣れた海の世界が見えた。外界に、自分達の世界にやっと戻って来た。
ソレイユ「すっごーい! わぁ!? 海の上歩いてる!!」
ゼルシェード「…海の上を歩くなど、神でもなければ無理だと思っていたんだがな」
ゼニス「あははっ、この感覚はゼルシェードは剣の中にいるから分からないもんなぁ」
カチンと流変剣が音を鳴らしたように聞こえた。
ゼルシェード「ここから海に突き落としてやろうか…」
ビオレ「剣の中にいるんだから無理でしょ」
サルファー「剣から出る事ができたら、突き落としてあげたらどうでしょう?」
何か集中砲火が始まってる!?
ゼニス「待って! サルファーまで僕の敵!?」
ソレイユ「私はゼニスの味方だし♪」
パリス「じ、じゃあ私は、サルファーさんの側に…」
どっちの味方か分かりにくいビオレを除いても味方が少ない!
これは、ゼルシェードが剣から出てきたら、気を付けないとな…。
一番近くの浜辺に降りて、異界から助け出した人達とも別れた。
地図を開いて一番近くの町か村に行こうかと見ていると…
ビオレ「あれ、当初の目的地の近くじゃない。」
自分達がいたのは、海でシーサーペントと出会う前。
施設から出て来て行こうと考えていた、ソリスの町の近くだった。
ソレイユ「丁度いいじゃん! 行こう行こう!」
サルファー「ビオレの故郷の里に行くのは明日にしましょう。
皆疲れているはずです。取りあえず、宿を取って休みましょう」
ゼルシェード「ゼニス」
ゼニス「わかってる。話がある、だろ」
こうなると、ゼルシェードは夢の中でしか話をしてくれない。
だから、宿を取った後、疲れていた事もあり、すぐに眠りについた。
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