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少年との出会い
月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 29話
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エピナールとの戦闘後、ゼルシェードの声はみんなにも聞こえるようになった。
ゼルシェードの声はそれまで誰にも聞こえていなかったから、
ゼルシェードだと伝えたら驚かれてしまった。
ソレイユ「名前から、男の人なのかな…とは思ってたけど…」
パリス「思ったより声低めですね…もっと妖精みたいなかわいい声かと思ってました…」
ゼルシェード「妖精…」
ゼニス「っく…」
まずい、笑ったらいけない。後で怒られるのは僕だ。
ビオレ「ま、まあそれは良いけど…どうするの?
砕かれたわよ?」
そこらに散らばっているのは球体の破片。
ゼルシェード「こうなったら、ギルドで保管されている宝玉と、
ソレイユの指輪をなにがなんでも奪われないようにするしかない」
サルファー「さらに、お相手の攻撃は激しくなっていくと考えた方がいいですかね…」
そう言えば…
サラテリ『そーだ、良い事教えてあげる。
ギルド「天馬」にあたし達が乗り込めるようにする準備は着々と進んでる。
ギルドの人達を巻き込みたくなかったら、降りる事をお勧めするよ♪』
プリムローズ『……ゼニス。ソレイユ。このギルドは、いつか墜とす。必ず。』
そう言われてかなり経つ気がするが…
まだ乗り込んでいないのか? 自分達がギルドに戻るのを待っている?
それとももう…
ゼルシェード「ゼニス。お前が考えている事なら安心しろ。
まだギルドにあいつらは乗り込んでいない」
ゼルシェードに心の中を見透かされた。
ゼニス「何で言い切れるんだ?」
ゼルシェード「仮にあいつらの手にギルドにある宝玉が手に入っている場合、
躍起になってソレイユの指輪が狙われるはずだ。
だが、まだ見逃してくれることが多い。残っているのが指輪だけではないからだ」
けど、逆に言えば、いつギルドに乗り込まれてもおかしくはない、か…
でも、多分マスターに連絡したところで、
「君達こそ狙われているんだから無理しないで。
宝玉には手を出せないようになっているから」
と、言われるだけだろう。
ソレイユ「エーリカさんを信じよう? きっと大丈夫だよ」
ゼニス「そう、だね…」
パリス「あ…そう言えば…ゼルシェードさん…」
パリスがゼルシェードに質問する。
パリス「エルブ、は…どうしてあんなに敵である私達を…」
…それは、ゼニスも思っていた。見逃さなければいいものを。
行かせなければいいものを。能力を使えばいいものを。
彼は卑怯だからの一点張りだ。
ゼルシェード「エルブは昔からだ。
心優しい奴だった。…悪い事なんてできない。
人を疑うのは心苦しい、悪いのは自分。そんな奴だった」
……前も思ったけど、何でこんなにあいつらに詳しいのだろう。
けど、今聞いてもまた言ってなどくれない。
ゼルシェード「ところでどうする。
町に戻るも良いが、ここを調べるならそれでもいい」
……
サルファー「調べて行きませんか?
エピナールのおかげで、まともに見れませんでしたし」
ビオレ「そうね。ところでこの施設って結局…」
ゼルシェード「ビオレ。お前には必要な情報があると思うぞ」
ビオレに必要な情報…もしかして…
結局、出口に向かうついでに各部屋を見ていくことになった。
といっても、あまりに多すぎるので、何個か絞っていくことに。
そのほとんどが何もない部屋。でも、ある部屋がベッドと何か文字が書いてあった。
ソレイユ「あ、何か書いてあるけど…えーと、モルモット???」
ビオレ「モルモットって、それ、実験体の事じゃない!?」
そうだ、とゼルシェードが短く答える。
ゼルシェード「ここはビオレが追っている人体実験をしている科学者が、
もともと攫った人間を監禁しておく施設だった。
今は使われていない。が、ゼニス。そこの本棚に入ってる本を取れ」
本棚の中には一冊だけ本が入っていた。開いてみると…
ゼニス「……研究者…カイム。
…女神ベレイザの意志のもと。研究を…望みを…。
魔物と人間の融合…魔族の誕生を…。…女神…!?」
バジル『ああ、ローレル将軍…というか、魔族がいつか化け物になる、というもの。
あれは、一種の呪いだと発覚した。』
ソレイユ『呪い!? 実験の後遺症、とかじゃなくて?』
ガイラルディア『もちろんそれもあるのだが、
調べた結果、女神の力が加わっている事が分かった。
…もちろん、魔王討伐に協力してくれた女神とは別人だ。』
パリス「まさか…」
サルファー「なるほど、そう言う事でしたか。
魔族を造った科学者はカイムという者。
魔族がいずれ化け物になる呪いは、この女神ベレイザという者の力なのでしょう。」
ビオレ「カイム…そう、そいつが…」
ビオレの目付きが変わる。ずっと追っているんだもんな。
ゼニス「ビオレ、頼むから一人で行くことはしないで」
ソレイユ「拠点がもし見つかっても、私達に必ず話してね?」
ビオレ「…分かってるわよ。私一人じゃ厳しいって、分かってる」
でも、本当に、何でったって、女神がこんな…。
ゼルシェード「ベレイザ、か…」
ソレイユ「何か知ってるの?」
ゼルシェード「……いや、何でもないさ。
それよりそろそろここを出よう。他に手がかりはなさそうだ。
町か村に戻るぞ」
また、はぐらかされた。まあ、話せるようになるまで追及もやめておこう。
取りあえず施設の外に出て船に乗り込む。
サルファー「さて、どこに向かいましょうか…」
ビオレ「だったら、ソリスって町へ行ってくれないかしら?」
ゼニス「ソリス???」
ビオレがうなずく。
ビオレ「とりわけここから近いわけじゃないんだけど、
地図貸して。えーと、ディレオン大陸のここね。この近くに私の里があるのよ」
…なるほど。ビオレが言いたい事は分かった。
ソレイユ「…いいの?」
ビオレ「ええ。イテールナ城の王様が亡くなったら、国が混乱するわ」
確かに、それはそう、か…
サルファー「では、着くまで…」
そこまで言ったところで、急に雷が落ちた。
ゼニス「えっ!?」
次の瞬間には強風に大雨。嵐だ。
ソレイユ「うっそ、嵐!? まずいよ、この海域って嵐になると現れる魔物が!!」
みんなが納得するより先に、船が下から揺れた。
パリス「今、何か下からぶつかりました…よ!?」
ゼルシェード「不味い…穴開けられたかもしれないぞ…」
遠くに、船から遠ざかっていく影が見える。巨大な…蛇…海蛇??
ゼニス「戦わずに済んだけど、けど…船が…」
ガタン、と船が傾く。
ゼルシェード「飛び込め! 船の中に取り残されて沈めば死ぬぞ!!」
ゼルシェードの言葉に弾かれたように全員海に飛び込む。
ゼニス(あ…やばい…これ…死ぬか…?)
朦朧としてる。
ゼルシェード「ゼニス。ゼニス」
ゼニス(ゼルシェード……?)
ゼルシェードの声が聞こえる。でも応答できない。
まだ、僕は、海の中…なのか??
ゼルシェード「…起きろ。起きないか…!」
……!!!
ゼニス「はっ!?」
倒れていたのは砂浜だった。
ゼニス「あ、あれ…僕は…」
ゼルシェード「起きたか。流れ着いても目を覚まさないから、本気で心配したぞ。
胸が張り裂けるかと思った」
胡散臭い…。
ゼニス「み、みんなは!?」
慌てて周りを見渡す。……いた。
ゼニス「ソレイユ!!」
ソレイユだ。ソレイユだけはここに倒れていた。
ゼニス「ソレイユ、ソレイユ!!」
ソレイユ「……ゼ、ニス…?」
起きた…良かった。
ゼニス「大丈夫?」
ソレイユ「うん…みんなは?」
ゼルシェード「他の奴らは知らん。が、どこかに流れ着いているだろう。」
心配だな…
ゼニス「とにかく、ここがどこなのかだけ確認しないと。動ける?」
ソレイユ「うん、平気♪」
ソレイユの手を引いて立ち上がらせる。
ゼニス(…懐かしいな。ブライトさんに助けられた時も、浜辺で寝ていたんだっけ…)
あの日…
ゼニス『…はっ、え、ここは…僕は??』
ブライト『気が付いたか』
ゼニス『あなたは……』
ブライト『俺はブライト。お前は浜辺で倒れていたんだ。』
ブライトが浜辺に歩いてきた時…
ブライト『……人?
……おい、大丈夫か? 起きろ』
ゼニス『……ん…うば、…奪う、な…』
ブライト(奪う???)
ゼニス(じゃあ、助けてもらって…)
『あ、ありがとうございました…』
ブライト『お前、名前は?』
ゼニス『なま、え…分かりません…何をしていたのかさえ…』
ブライト『記憶喪失か。しかし、名前がないと不便だな…
……ゼニス。で、どうだ?』
ゼニス『ゼニス……』
ブライト『納得いかないなら自分で決めろ』
ゼニス『い、いえ、ゼニスで! お願いします!』
ブライト『わかった。ところで、その眼帯は…』
ゼニス『え…?』
確認すれば確かに眼帯がついている。
外そうとしたが外れない。
ゼニス『え!? な、何で外れない…』
ブライト『まあ、いい。記憶が戻り次第思い出すだろう。』
そんなに気にならないか? と思ったが、
過去を詮索しないタイプだったのは、当時の自分にとって安心だった。
ブライト『それで、お前はこれからどうする?
見た感じ、剣を使うようだが、振り方覚えているか?』
ゼニス『い、いえ…覚えてない、ですね…』
剣の振り方さえ忘れているとは重症だった。
ブライト『お前さえよければ俺が教えるが?』
ゼニス『……いいんですか!? こちらこそ、お願いします!』
ブライト『俺は元々騎士だった。かなり厳しいと思え』
ゼニス『はい!』
……ブライトさんとは、こんな出会いだった。
ソレイユ「ゼニスー! 行くよー!?」
ゼニス「あ、うん、今行くよ!」
ゼニスは急いでソレイユの後を追っていった。
ゼルシェードの声はそれまで誰にも聞こえていなかったから、
ゼルシェードだと伝えたら驚かれてしまった。
ソレイユ「名前から、男の人なのかな…とは思ってたけど…」
パリス「思ったより声低めですね…もっと妖精みたいなかわいい声かと思ってました…」
ゼルシェード「妖精…」
ゼニス「っく…」
まずい、笑ったらいけない。後で怒られるのは僕だ。
ビオレ「ま、まあそれは良いけど…どうするの?
砕かれたわよ?」
そこらに散らばっているのは球体の破片。
ゼルシェード「こうなったら、ギルドで保管されている宝玉と、
ソレイユの指輪をなにがなんでも奪われないようにするしかない」
サルファー「さらに、お相手の攻撃は激しくなっていくと考えた方がいいですかね…」
そう言えば…
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ギルド「天馬」にあたし達が乗り込めるようにする準備は着々と進んでる。
ギルドの人達を巻き込みたくなかったら、降りる事をお勧めするよ♪』
プリムローズ『……ゼニス。ソレイユ。このギルドは、いつか墜とす。必ず。』
そう言われてかなり経つ気がするが…
まだ乗り込んでいないのか? 自分達がギルドに戻るのを待っている?
それとももう…
ゼルシェード「ゼニス。お前が考えている事なら安心しろ。
まだギルドにあいつらは乗り込んでいない」
ゼルシェードに心の中を見透かされた。
ゼニス「何で言い切れるんだ?」
ゼルシェード「仮にあいつらの手にギルドにある宝玉が手に入っている場合、
躍起になってソレイユの指輪が狙われるはずだ。
だが、まだ見逃してくれることが多い。残っているのが指輪だけではないからだ」
けど、逆に言えば、いつギルドに乗り込まれてもおかしくはない、か…
でも、多分マスターに連絡したところで、
「君達こそ狙われているんだから無理しないで。
宝玉には手を出せないようになっているから」
と、言われるだけだろう。
ソレイユ「エーリカさんを信じよう? きっと大丈夫だよ」
ゼニス「そう、だね…」
パリス「あ…そう言えば…ゼルシェードさん…」
パリスがゼルシェードに質問する。
パリス「エルブ、は…どうしてあんなに敵である私達を…」
…それは、ゼニスも思っていた。見逃さなければいいものを。
行かせなければいいものを。能力を使えばいいものを。
彼は卑怯だからの一点張りだ。
ゼルシェード「エルブは昔からだ。
心優しい奴だった。…悪い事なんてできない。
人を疑うのは心苦しい、悪いのは自分。そんな奴だった」
……前も思ったけど、何でこんなにあいつらに詳しいのだろう。
けど、今聞いてもまた言ってなどくれない。
ゼルシェード「ところでどうする。
町に戻るも良いが、ここを調べるならそれでもいい」
……
サルファー「調べて行きませんか?
エピナールのおかげで、まともに見れませんでしたし」
ビオレ「そうね。ところでこの施設って結局…」
ゼルシェード「ビオレ。お前には必要な情報があると思うぞ」
ビオレに必要な情報…もしかして…
結局、出口に向かうついでに各部屋を見ていくことになった。
といっても、あまりに多すぎるので、何個か絞っていくことに。
そのほとんどが何もない部屋。でも、ある部屋がベッドと何か文字が書いてあった。
ソレイユ「あ、何か書いてあるけど…えーと、モルモット???」
ビオレ「モルモットって、それ、実験体の事じゃない!?」
そうだ、とゼルシェードが短く答える。
ゼルシェード「ここはビオレが追っている人体実験をしている科学者が、
もともと攫った人間を監禁しておく施設だった。
今は使われていない。が、ゼニス。そこの本棚に入ってる本を取れ」
本棚の中には一冊だけ本が入っていた。開いてみると…
ゼニス「……研究者…カイム。
…女神ベレイザの意志のもと。研究を…望みを…。
魔物と人間の融合…魔族の誕生を…。…女神…!?」
バジル『ああ、ローレル将軍…というか、魔族がいつか化け物になる、というもの。
あれは、一種の呪いだと発覚した。』
ソレイユ『呪い!? 実験の後遺症、とかじゃなくて?』
ガイラルディア『もちろんそれもあるのだが、
調べた結果、女神の力が加わっている事が分かった。
…もちろん、魔王討伐に協力してくれた女神とは別人だ。』
パリス「まさか…」
サルファー「なるほど、そう言う事でしたか。
魔族を造った科学者はカイムという者。
魔族がいずれ化け物になる呪いは、この女神ベレイザという者の力なのでしょう。」
ビオレ「カイム…そう、そいつが…」
ビオレの目付きが変わる。ずっと追っているんだもんな。
ゼニス「ビオレ、頼むから一人で行くことはしないで」
ソレイユ「拠点がもし見つかっても、私達に必ず話してね?」
ビオレ「…分かってるわよ。私一人じゃ厳しいって、分かってる」
でも、本当に、何でったって、女神がこんな…。
ゼルシェード「ベレイザ、か…」
ソレイユ「何か知ってるの?」
ゼルシェード「……いや、何でもないさ。
それよりそろそろここを出よう。他に手がかりはなさそうだ。
町か村に戻るぞ」
また、はぐらかされた。まあ、話せるようになるまで追及もやめておこう。
取りあえず施設の外に出て船に乗り込む。
サルファー「さて、どこに向かいましょうか…」
ビオレ「だったら、ソリスって町へ行ってくれないかしら?」
ゼニス「ソリス???」
ビオレがうなずく。
ビオレ「とりわけここから近いわけじゃないんだけど、
地図貸して。えーと、ディレオン大陸のここね。この近くに私の里があるのよ」
…なるほど。ビオレが言いたい事は分かった。
ソレイユ「…いいの?」
ビオレ「ええ。イテールナ城の王様が亡くなったら、国が混乱するわ」
確かに、それはそう、か…
サルファー「では、着くまで…」
そこまで言ったところで、急に雷が落ちた。
ゼニス「えっ!?」
次の瞬間には強風に大雨。嵐だ。
ソレイユ「うっそ、嵐!? まずいよ、この海域って嵐になると現れる魔物が!!」
みんなが納得するより先に、船が下から揺れた。
パリス「今、何か下からぶつかりました…よ!?」
ゼルシェード「不味い…穴開けられたかもしれないぞ…」
遠くに、船から遠ざかっていく影が見える。巨大な…蛇…海蛇??
ゼニス「戦わずに済んだけど、けど…船が…」
ガタン、と船が傾く。
ゼルシェード「飛び込め! 船の中に取り残されて沈めば死ぬぞ!!」
ゼルシェードの言葉に弾かれたように全員海に飛び込む。
ゼニス(あ…やばい…これ…死ぬか…?)
朦朧としてる。
ゼルシェード「ゼニス。ゼニス」
ゼニス(ゼルシェード……?)
ゼルシェードの声が聞こえる。でも応答できない。
まだ、僕は、海の中…なのか??
ゼルシェード「…起きろ。起きないか…!」
……!!!
ゼニス「はっ!?」
倒れていたのは砂浜だった。
ゼニス「あ、あれ…僕は…」
ゼルシェード「起きたか。流れ着いても目を覚まさないから、本気で心配したぞ。
胸が張り裂けるかと思った」
胡散臭い…。
ゼニス「み、みんなは!?」
慌てて周りを見渡す。……いた。
ゼニス「ソレイユ!!」
ソレイユだ。ソレイユだけはここに倒れていた。
ゼニス「ソレイユ、ソレイユ!!」
ソレイユ「……ゼ、ニス…?」
起きた…良かった。
ゼニス「大丈夫?」
ソレイユ「うん…みんなは?」
ゼルシェード「他の奴らは知らん。が、どこかに流れ着いているだろう。」
心配だな…
ゼニス「とにかく、ここがどこなのかだけ確認しないと。動ける?」
ソレイユ「うん、平気♪」
ソレイユの手を引いて立ち上がらせる。
ゼニス(…懐かしいな。ブライトさんに助けられた時も、浜辺で寝ていたんだっけ…)
あの日…
ゼニス『…はっ、え、ここは…僕は??』
ブライト『気が付いたか』
ゼニス『あなたは……』
ブライト『俺はブライト。お前は浜辺で倒れていたんだ。』
ブライトが浜辺に歩いてきた時…
ブライト『……人?
……おい、大丈夫か? 起きろ』
ゼニス『……ん…うば、…奪う、な…』
ブライト(奪う???)
ゼニス(じゃあ、助けてもらって…)
『あ、ありがとうございました…』
ブライト『お前、名前は?』
ゼニス『なま、え…分かりません…何をしていたのかさえ…』
ブライト『記憶喪失か。しかし、名前がないと不便だな…
……ゼニス。で、どうだ?』
ゼニス『ゼニス……』
ブライト『納得いかないなら自分で決めろ』
ゼニス『い、いえ、ゼニスで! お願いします!』
ブライト『わかった。ところで、その眼帯は…』
ゼニス『え…?』
確認すれば確かに眼帯がついている。
外そうとしたが外れない。
ゼニス『え!? な、何で外れない…』
ブライト『まあ、いい。記憶が戻り次第思い出すだろう。』
そんなに気にならないか? と思ったが、
過去を詮索しないタイプだったのは、当時の自分にとって安心だった。
ブライト『それで、お前はこれからどうする?
見た感じ、剣を使うようだが、振り方覚えているか?』
ゼニス『い、いえ…覚えてない、ですね…』
剣の振り方さえ忘れているとは重症だった。
ブライト『お前さえよければ俺が教えるが?』
ゼニス『……いいんですか!? こちらこそ、お願いします!』
ブライト『俺は元々騎士だった。かなり厳しいと思え』
ゼニス『はい!』
……ブライトさんとは、こんな出会いだった。
ソレイユ「ゼニスー! 行くよー!?」
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