月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

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少年との出会い

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 21話

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翌日になり、宿屋のロビーに集まる。

ゼニス「さてと、じゃあ出ようか。準備があったら船に乗る前に済ませて」

魔王城が無くなったとはいえ、現在ゼルク大陸は無人。

買い物はできないだろう。

ソレイユ「そう言えば、コバルトもういないかな?」

ビオレ「寝てるかもしれないわよ? 聞いてみたら?」

ビオレにそう言われたので受付に聞いてみる。

ゼニス「あの、緑の髪のキャスケットを被った人、もう出ました?」

「……? その特徴の方は泊まっていませんが…」

え??? 確かにここに泊まるって…

「あ、でも見かけはしましたよ。

夜に町を出ようとしていたので声をかけたら…」


コバルト『ちょっと用事があるので、

ありがとうございます。もうだいぶ戦えるので心配いりません』


「といって、出て行きました。」

サルファー「ゼニスが言うには、彼は魔法剣が扱えるようになったのでしょう?

なら、きっと大丈夫です。

行き先も分かりませんし、私達は私達のやるべき事をしましょう」

サルファーの言う通りだ。

ゼニス「そうだね、取りあえず

アイリスとの約束を終わらせてから、連絡とってみよう」

パリス「あ、あの、ここからゼルク大陸への船は出てるんですか?」

……確かに。定期的な船は出ていない。

魔王の封じてある場所だ。どうやって行けば…

「私の知り合いに船乗りがいます。

定期便ではないですが、ここからゼルク大陸まででも連れて行ってくれます」

ソレイユ「ほんとですか!?」

受付の人の親切でゼルク大陸に向かう事になった。


「いや…君達もゼルク大陸に用なんて、あんなところ何もないよ?」

ゼニス「少し、事情が…」

あまり深入りしないのか、理由は聞かれなかった。

パリス「そう言えば…アイリスさんはどうやって向かっているんでしょうか…?」

サルファー「おそらく、セイクレイ城から出してもらっているのでしょう。

あの城はシオンさんとも面識があるはず。

助けるためとあれば、手を貸してくれているはずです。」

なるほど…

ビオレ「気を緩めないでよ? 何があるか分からないんだから」

自分達はゼルク大陸に降りた事が無い。

下手に動いて、はぐれないようにしなければ…


ゼルク大陸に到着。近くにはセイクレイ城の物と思われる船が停泊していた。

帰りはアイリスが乗ってきた船を使う事にした。

「じゃあ、先に戻るよ。気を付けるように」

ゼニス「はい、ありがとうございます。

…じゃあ、行こうか。」

船着き場の傍の廃村。以前は誰か住んでいたのだろうか。

アイリス「あ! みんな!」

ソレイユ「アイリス! 久しぶり!」

アイリスがこちらを見渡す。

アイリス「色々増えたね? 私はアイリス。以前魔王退治をしていた者です」

サルファー「サルファーです。こちらはパリス。」

ビオレ「ビオレよ。話はゼニスから聞いてる。」

うん、そうかからずに打ち解けられそうだ。

ゼニス「で、どうやって解くんだ?」

アイリス「後で詳しい事は話すけど、

……前、ソレイユの指輪を狙われてるって話してくれたでしょ?

その指輪に宿る呪いの力。それは相手にも呪いを与える効果。

それは能力にも物質にも効果があるの」

それを結晶に当てる事で解除する、という事だろうか。


取りあえず今は詳しく聞かず、アイリスに案内してもらった。

大陸中央。

パリス「ここが…ですか?」

中央に巨大な囲いがある。

アイリス「魔王城のあった場所。今は石壁で封印を包んでいる感じだけど。」

とは言っても高いし大きい。どれだけ封印の結晶は大きいのだろうか。

ビオレ「で、どうするの?」

アイリス「古代文字を調べて分かったのは、相手への呪いの効果。

その指輪の力を少しで良いから引き出して、結晶に当てる。

脆くなったところに私が矢を射かける。」

サルファー「矢って…大丈夫ですか? いくらなんでも…」

大丈夫と言わんばかりに弓矢を取り出した。

アイリス「この日のために、封除できる技を習得したの。

色々調べた結果なんだけどね」

シオン一人のために、そこまで一人でずっと頑張っていたようだ。

ソレイユ「で、でも私、力の引き出し方分からないよ?」

ソレイユが疑問に思った時、ソレイユにのみに声が。


???「まあまあ、我に任せよ。」

ソレイユ「誰…?」

???「いいから、そなたは指輪をかざすだけで良い」


ソレイユ「……ごめん、大丈夫。

やってみるよ」

ゼニス「え、え? わかるのか?」

ソレイユ「……うん」

取りあえずやるだけやってみようか。

アイリスの後について、囲いの中へ入っていく。

入ってすぐに目に入ったのは、巨大な結晶。

そしてその中に入った巨大な化け物。

パリス「こ、これ…魔王ですか…!?」

アイリス「そう。最終的にこの姿になって襲い掛かってきた。

絶望的な力の差があった。でも、シオンは諦めなかった。

私達も、それに応えようと思った。」


あの日…

シオン「お前は…誰かの死を悲しんだ事があるか……?」

マーカサイト「そんなものはない」

シオン「お前は! 誰かが愛しいと思った事があるのか!?」

マーカサイト「あるわけがない」

シオン「そんな、人の想いの「お」の字も理解してない奴が!

俺達の未来や気持ちを否定するな! 命を奪うな!

利用するだけ利用して成り上がった奴が、人を馬鹿にするのなら!

俺は、絶対にお前の存在を、消してやる!!」

アイリス「私は、貴方に言ったわ! アメシスを最期まで大事にしろと!

そうでなければ許さないと! 貴方は最期までアメシスを利用した!

だから私は、貴方を許さない!」

マーカサイト「ほざくだけなら誰にでもできる。

掛かってくるなら、来るがいい。ゼロ・オリジンなら効くだろうが、

致命傷を与える前に、貴様らの魔力は尽きて滅ぶ!」

シオン「「効く」んだな? …なら、やってやる!

お前を倒すまで、倒れるもん、かぁぁぁ!!」


ブローディア「ゼロ・オリジン! ステラ・ガーディアン!」

ブローディアのゼロ・オリジンが後ろから放たれた。

ブローディア「私達が、時間を稼ぐ……今のうちに!!」

シュロ「ゼロ・オリジン! グリーフ・セーバー!」

レオノティス「ゼロ・オリジン! スピリットラッシュ!」

シュロ「一撃ずつしかもう出来ないが……!」

レオノティス「後は二人が頼りだ……!」


シオン「アイリス! 力を溜めて、あいつを弱らせる!

その後で、封じるぞ! 力を貸してくれ!」

アイリス「…うん! もちろん…!」


フクシア「ゼロ・オリジン! セラフィム・コネクト!」

アスター「ゼロ・オリジン! ディアブロ・レードゥ!」

フクシア「二人なら、大丈夫!」

アスター「シオン、アイリス、お前達になら、託せる!」

シスル「ゼロ・オリジン! アサルト・リッパー!」

リナリア「ゼロ・オリジン! トゥルー・アクロス!」

シスル「こいつを討て!!」

リナリア「この世界を、守って……!」


シオン「この、光は……」

アイリス「…きっと、彼らだよ……」

マーカサイト「悪あがきを……!」

シオン「みんなの想い、受け取った…!

魔王マーカサイト! お前を封じるための道は、みんなが作ってくれた!

今、その道を、お前に届かせてやる!!」


マーカサイト「私は魔王だ! 大人しく負けてやると、思うな!!」

シオン「くっ、近付けない!」

アイリス「ゼロ・オリジン! セイヴ・フォーチュン!!」

マーカサイト「ちぃっ…よくも…!!」

シオン「アイリス! 助かる!」

アイリス「シオン! お願い!」

マーカサイト「私を封印するならば、そいつが犠牲になる!

それでも、なぜ挑む!」

シオン「そうはさせない! そのための力を、エレジェフィアから授かった!」

マーカサイト「……ま、た…またあいつか! エレジェフィアァァァァアア!!」

シオン「お前は悲しみを振り撒きすぎなんだ! 

次の封印からは、二度と復活できないようにしてやる!

お前の暗黒世界なんかいらない!

俺達は忘れない! 人の涙を! お前も、忘れるな!

傷つけ、馬鹿にしてきた、大勢の人の涙を!

リメンバー……ティア!!」


………

アイリス「そして、その後、シオンは自らを犠牲に、私を庇って封印をした。

シオンは自分が封印する役目を降りるつもりはなさそうだったけど、

私も、他のみんなも、シオンにこの世界を生きてほしいと願っている。

……だから」

話を聞いただけでも壮大な戦いだったことが伺えた。

ゼニス「アイリス、協力するよ」

ソレイユ「私も、何とかしてみせる」

サルファー「魔王ですか。ここには魔王封印の経験者がいるのです」

パリス「シオンさんの事…助けましょう…!」

ビオレ「まあ、限界まで頑張るわよ」

………

アイリス「ありがとう。」

ソレイユ「…じゃあ、やってみるね」

ソレイユが指輪をはめた手を結晶に向けて掲げる。

すると指輪が光始め…

ゼニス「何か、歌が聞こえる…」

ビオレ「ソレイユは歌ってないわね。指輪から聞こえる。

これが呪いの歌…?」

対象が結晶だからか、ゼニス達には影響はない。

けれど、結晶の中心一転に指輪が発する光がと同じ光が付いた。

サルファー「あれは…」

アイリス「これでいい!」

アイリスが弓を引き絞る。

アイリス「封除の矢…レフテッド…アロー!!」

アイリスの矢がその中心に命中したと同時に、

結晶から物凄く眩しい光が発せられる。

ゼニス「うわっ!?」


光が落ち着いて、目を開ける。

ソレイユ「どうなったの…!?」

サルファー「シオンさんは!?」

シオンの事を確認しようとするが、その前に…

「がああああああああああ!!!!!」

この世の者とは思えない咆哮が轟いた。

封印されて二年。自我さえ失ったというのか。

ビオレ「魔王が動く!?」

パリス「ど、どうしましょう…!」

アイリス「倒す! 私が!!」

全員武器を構えた。が、倒せるか分からない、という不安は杞憂に終わる。

ゼニス「…え…」

化け物の体にひびが入る。

そのままどんどん崩れ去っていく。

ビオレ「どういう事よ…」


シオン『お前は悲しみを振り撒きすぎなんだ! 

次の封印からは、二度と復活できないようにしてやる!』


アイリス「…そっか…シオン…ずっと封印しながら、魔王の命を削り続けていたんだね…

たった一人で…ずっとこの結晶の中で…精神世界に魔王を引きずり込んで…」

そんな事が…どれだけ精神力のある人なんだ…。

魔王が崩れ去った跡に、片膝をつく人が。

アイリス「シオン!!」

アイリスがその人に駆け寄る。どうやらこの人がシオンらしい。

アイリス「シオン! シオン!」

死んではいない。シオンの腕が少し動いた。

そして顔を上げる…が…

アイリス「シオン…?」

ゼニス「シオンさん!?」

ゼニスも様子がおかしい事に気付いて近付く。

顔を上げたシオンの目は、虚ろ。



ソレイユ「どういう事…っていうか、話せるの!?」

シオン「………アイリス……」

アイリス「シオン!!」

話せるようだ。アイリスの事も分かっている。

シオン「アイリス…良かった…生きててくれた…」

とても元気とは言えない状態だ。話す言葉も少ない。

それでもアイリスが今生きている事が、余程嬉しかったのだろう。

サルファー「シオンさんのこの状況は、疲れにしてはおかしいですよ。まるで…」

???「すべての力が尽きたみたいだよね」

???「ある意味間違っていないわ、それは」

ゼニス「!?」


背後から聞こえた声。男女だ。

立っているのは黒いローブに身を包んだ二人。

ソレイユ「あの時、プリムローズと戦った時に出て来た黒いローブ!」


プリムローズ『……理解。そうね、サラテリやフェズと仲間割れは避けたい。

……ゼニス。ソレイユ。このギルドは、いつか墜とす。必ず。』


ゼニス「お前は誰だ!? 四零士の仲間か!?」

???「…伝記とか読む? だったら、一度は見覚えあると思うよ」

そう言ってローブを脱ぎ捨てる。

アイリス「……え……」

サルファー「なっ」

他の全員も固まる。

ゼニス「……かつての、英雄……? 

二人で命懸けで魔王封印した…プラタナスと、アリウム…!?」

そこに立っていたのはかつての英雄プラタナスとアリウム。





どうして…1000年前には死んでいるはずで…

アイリス「なぜ…貴方達が四零士に加担を…」

アリウム「利害の一致よ。アイリス」

利なんて…どこにあるんだ…あいつらの目的は何なんだ。

プラタナス「僕とアリウムはこの世界に復讐を誓ったんだ。

その復讐心を糧に、僕らは生き返らせてもらった」

復讐? 生き返る? そんな、何が…

プラタナス「それより、気になってるんだよね、彼の状況。」

プラタナスがシオンの方を見て言った。

プラタナス「彼は要するに、魔王と精神世界でずっと戦っていた。

それゆえに、魔力が完全に枯渇しているんだ。

衣服の傷付きようは、魔王と争った跡だろうね。二年もよくやったよ」

魔力の枯渇…目が虚ろなのはそのせいなのか。

サルファー「貴方達は…私達と戦いに来たのですか?

それとも、ソレイユさんの指輪が狙いですか?」

アリウム「ううん、今日は挨拶しに来ただけ」

戦う意志はないようだ。だけど…

ゼニス「あいつらが何を考えているのか知らないけど、どうせ良くない事だし、

あいつらに加担しているって言うんなら、たとえ英雄でも、僕は戦わないといけない!」

でも、ゼニスの方を向いたプラタナスは…

プラタナス「やめておいた方がいいよ。勝ち目ないだろうから」

かつての英雄。それだけの差があるのか? それでも逃げはできない。

ゼニス「やってみないと、分からない…!」

プラタナスに斬りかかる。けれど…

プラタナス「……はっ!」

突如、プラタナスの周りにオーラが纏う。いや、アリウムの周りにもだ。

その瞬間、ゼニスが地に伏す。

ゼニス「ぐっ、ゲホッ…」

ソレイユ「ゼニス!?」

パリス「ゼニスさん…!?」

ビオレ「何したの!?」

少し沈黙した後に、ゆっくり答えた。

プラタナス「今の僕らには能力があって…消滅の能力。

あらゆる対象を解体、分解する能力スキル。このオーラに触れただけでね。」

アリウム「消滅しきれば、そこには何も残らない。

血液さえも。生きていた証明は何も残らない」

……とんでもなく恐ろしい力の持ち主が現れてしまった。

サルファー「パリス、回復を!」

パリス「はい!!」

回復しながらでないとあっさり分解されてしまうだろう。

それを見てオーラを消し、立ち去ろうとする二人。

それと同時に、回復を終えたゼニスが立ち上がる。

ゼニス「なん、で、二人に何の得があるんだ…あいつらに協力して…! 」

セピア「それはワタクシが教えますわ」

セピア…なんでここに…

セピア「彼らの憎悪を増幅させていますの。 

微量ながら元から憎悪はありました。 

自分たちを犠牲に成り立った世界なのですから。 

けれど、以前ならこの平和な世界を見れば納得したはず。 

ですが、ワタクシが小細工をし、憎悪を増幅させたことで、 

彼らはこの平和な世界でも、壊し、新しく作りかえることを望む。

ワタクシ達との利害の一致になるのですわ!」

世界を壊して…作りかえる、って…!? 

プラタナス「世界は、一度零にして、律されるべきなんだ。」

アリウム「生き残りたいなら、みんなはこちら側につくしかないよ?」

ソレイユ「どういう事…」

アリウム「内緒。でも、いつか真実に辿り着くかもね?

それだけ告げると、三人は転移で消えてしまった。

アイリス「もう、わけが分からない……英雄が…」

シオン「…………」

バタン。シオンが倒れた。

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ソレイユ「ゼニス!!」

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