月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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再び迫る影

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 17話

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ビオレを連れて町へ戻って来ていた頃、

ある研究所では……

サラテリ「はぁーあ、何であんたと仕事なんてー」

フェズ「しかたないだろ、あいつを怒らせるよりはマシだ」

サラテリ「確かにセピアは怒らせるとおっかないけどさ、

怒られてたのはいつも陛下だけじゃん」

雑談しながら、研究所内を歩いている。

目的は大元の始末、または雑兵の排除。

1つ部屋を過ぎたあたりで、魔物が出て来る。

出てきた魔物は先ほどゼニス達が戦っていたのと同じ、人型の魔物。

サラテリ「あ、見つかったね」

フェズ「俺とお前の能力なら問題ないだろ。

能力使うほどでもねぇと思うがな」

サラテリ「そーだね。もう少し増えたら使おっか」

出てきた魔物はほんの数体。ゼニス達にとっては三体でも厳しいものも、

この二人にとっては能力スキルを使うまでもなかった。

サラテリ「光閃華!!」

フェズ「死黒乱!!」

物理は単体技しかないサラテリよりは範囲技もあるフェズの方が得意。

サラテリ「お、さっすが。いつも通り薙ぎ倒してるね」

フェズ「手ごたえ無くねーか? 一撃って弱すぎだろ」

弱すぎと言い放ってしまうほど、この程度造作もない。

サラテリ「お、新手発見! シャイニングスコール!!」

サラテリの光魔法が敵複数に降り注ぐ。

フェズ「お前は魔法の方が向いてるな」

サラテリ「魔法ならあんたの物理技にも引けは取らないよー♪」


そうして敵を倒しながら、奥に進んでいく。

しばらく進むと、大きな扉があった。

サラテリ「この奥なんだと思うけど、いかにもパスワード必要そうだよね」

フェズ「めんどくせぇ、壊すか?」

そう思い始めた時、背後から人型の魔物の群れ。

サラテリ「フェズ!!」

フェズ「多いな…使うか?」

サラテリ「言ってる場合? ってか、使うつもりだったでしょ!」

二人が剣を手前に構える。

フェズ「らあっ! 喰らえ! 飢えの痛みドロア・フェイムス!」

フェズの飢餓の能力が魔物達の生命力を奪い、動けなくする。

サラテリ「勝利の光ルクス・ヴィクトーリア!」

サラテリの勝率の能力がそこにとどめを刺す。

フェズ「今回の望んだ勝利は???」

サラテリ「確実に仕留めること♪」

能力スキルで大軍を仕留めた後すぐに、一人歩いてきた。

???「やれやれ…ここまでやられるとはな…

失敗作とはいえ、かなりの強さはあったんだが…」

白衣を着てやつれている科学者。



サラテリ「あんたがこの研究所の主ね。

あたし達の目的のためには人の命は必要不可欠なの。だからあんたが迷惑」

フェズ「見てたんなら分かんだろ? 

お前が仮に挑んできても、能力スキルで瞬殺だ」

そこまで言っても逃げようとも戦おうとする気配さえない。

疲れているのか、あまり喋ろうとしない。

隈もひどいし、寝てるのかさえ微妙だ。

フェズ「動かねぇなら仕掛けてもいいんだよなぁ!?」

???「ああ……やめておいた方がいい…」

その言葉に疑問を持っていたが、すぐにその答えは分かる事になった。

???「パパは傷つけさせないよ?」

転移でその場に現れたのは銀髪の少女。



サラテリ「だ、誰??」

レクイエム「私は…レクイエムって名乗ってるよ。パパがそう呼ぶの」

傷つけさせない…とは、どうする気なのだろうか。

到底強そうには…

???「この子は…高等魔法を全部習得している…

暗黒魔法から究極魔法までだ…」

フェズ「なっ!?」

そうなると話は別だ。

サラテリ「ちょっとちょっと!

指輪手に入れるまではあたしたち死なないけどさ! 動けなくなるのは勘弁!」

レクイエム「パパを傷つけるつもりなら容赦しない。

深淵に還れ! メギド!」

発動された瞬間転移で立ち去る。

レクイエム「あ、逃がしちゃった」

???「放っておけ…」


王都カイルスの宿。

ソレイユ「ゼニス! ビオレが目を覚ました!!」

ゼニス「!!」

ビオレが目覚めたのは一日後の事だった。

深かった傷の手当はパリスが頑張ってくれた。

パリス「あ、ゼニスさん…」

ゼニス「ありがとう、パリス。後は休んでいてくれ。

サルファーがさっき、紅茶とお菓子用意してたよ。

僕らも後でもらいに行くから、先に行ってて」

パリスには無理をさせた。少し休んでもらわないと…

ゼニス「ビオレ、入るよ」

そう言って部屋の扉を開ける。

ビオレ「ゼニス、ソレイユ…あの、ありがとう。

放っといても良かったのに」

ソレイユ「駄目だよ、もう…」

ビオレが気を失った後の事を取りあえず伝える。

魔物を倒した後、町に戻って来て休ませていた事。

これからどうするかという事…

ソレイユ「ってわけで、私達と行動しない? って思ってるんだけど…」

ビオレ「別に、私一人でも問題は…」

ゼニス「気絶するほどの大怪我を放っておいていたのは誰だ?」

ここまでなって、一人で平気なんて信用できない。

ビオレ「…別に私は………いや、無理がある…か?

……じゃあ、みんなが私の目的。

あの魔物を造っている元凶を始末するっていうのを手伝ってくれるなら」

ゼニス「…いいよ。僕達もあんなのは放っておけないってなってたところだし。」

ソレイユ「危険な奴らだけど、人数が増えれば何とかなりそうだしね」

何とためらいもなく許可した二人に呆然。

ビオレ「…お人好し。特にゼニス。」

当の本人は自覚無し。

ビオレ「で、これからどうするの? 私もみんなの手伝うから」

今まで自分達が何をしていたのかを説明し、

これから宝玉を探してこないといけないが、

遺跡の場所が分からないからセイクレイ城に聞き込みに行くつもりと話した。

ビオレ「了解。じゃあ次はそこね」

部屋の扉が開く。

サルファー「皆さん、お菓子ありますよ。食べますか?」

パリス「サルファーさんのお菓子、美味しいんですよ。食べましょう…?」

ソレイユ「今行く!」

ソレイユが二人の所へ走っていく。

ゼニス「ビオレは? 食べれる?」

ビオレ「私はお菓子なんて…!」

断ろうとするとお腹が鳴る。

ゼニス「お腹空いてるなら、食べよう。食べないと体力戻らないよ?」

ビオレ「……わかった」


ソレイユ「何これ美味しい!」

サルファー「ジューン様とパリスのためにいつもお菓子は作っていましたから。」

ゼニス「プロみたいだ! 店開けそうだよ!」

パリス「そうですよね…!」

パリスが自分の事のように喜んでいる。

ビオレ「美味しい…甘い物、久しぶりに食べた…」

…正直に言おう。

今この中で一番食べているのはビオレだ。

ソレイユ(相当お腹空いてたのかな…)

ゼニス(うーん…サンドイッチはそこまでがっついてなかったし、これは多分甘党だ)

本人の名誉のために、今この場では口にしない。

サルファー「では、食べ終わったら城へ行きましょうか」

パリス「遺跡の場所聞きに行くんですよね…?」

ゼニス「ああ。ビオレにはもう説明してあるから」


食べ終わってから外に出て城を目指す。

すると遠目でも分かるぐらい、門前が騒がしい。

ゼニス「門番さん。どうしたんですか?」

「あ、ゼニス様。実は、これを渡されまして…」

門番から一枚の紙を渡される。

「ゼニス様に渡すようにと、シルクハットをかぶった燕尾服の男性が…」

ゼニス(エルブか……!?)

受け取った紙を見てみると

『ヘリオスの森に入って南。そこに遺跡があります。

あるのは消去の宝玉。お待ちしています。』

ソレイユ「ヘリオスの森ってどうやって行くの!?」

「ヘリオスの森への船なら我が城で手配すると、ガイラルディア様がおっしゃっていました。」

「行くのでしたら、それをお使いください。」

迷っている時間はない。これを書いたという事は、書いた本人もそこに向かう。

サルファー「急ぎましょう。

辿り着くのが遅かったら、しびれを切らして持ち去るかもしれません!」

ビオレ「大した自信じゃない。わざわざ教えるなんて」

パリス(……エルブさん、そんな性格だったかな……?)

すぐに船を手配してもらい、乗り込んだ。

目的地は、ヘリオスの森。

兵士から聞いた話では、エルフの森だそうだ。
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