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再び迫る影
月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 16話
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クラック海岸まで歩いてきた一行。
ソレイユ「わー、船に乗って来た時も思ったけど、潮の香りがするー!」
サルファー「パリス、どうかしましたか?」
サルファーがしゃがみ込んでいるパリスに声をかける。
パリス「貝殻、綺麗だから…」
サルファー「事が済んだら、少し貝殻探してみますか?」
サルファーがそう言うと、すごくうれしそうな顔をした。
ゼニス「……みんな」
ゼニスの声にハッとして、視線の方を向く。
アスター「洞窟から漏れた奴らだな」
フクシア「融合魔物だけだね。人型の魔物はいないみたい」
確か森でも戦ったけど、こいつらはそこまで強くなかった。
ゼニス「早く倒して、洞窟内に入ろう!」
こいつらならば技の一つでも当てられれば勝てる。
ゼニス「連絶剣!」
ソレイユ「炎閃脚!」
サルファー「シルフィアロー!」
パリス「彼の者に枷を…セイントクロス!」
アスター「アビスナイト!」
フクシア「ライトフェザー!」
六人それぞれの攻撃は魔物をあっさり蹴散らした。
ゼニス「やっぱり、そこまででもないみたいだな」
アスター「失敗作に分類されるんだろうな。」
フクシア「弱点属性と耐性属性を合成させたせいで、打ち消し合ってしまってるの。
だから、とりわけ弱点も耐性もない」
何をしても攻撃は通るという事か…
ソレイユ「この調子なら、何とかなりそうだね」
アスター「いや、人型の魔物がいないとも限らない。気を付けろ。
簡単には勝たせてくれないぞ」
……気を引き締めないといけないな。
洞窟内部。
ゼニス「…暗いな」
ソレイユ「…どさくさに紛れて好きな人に抱き着けちゃうね!」
……??
ゼニス(あれ、僕に話しかけてるのか???)
パリス「あ、杖に光属性を纏わせて照らしますね…」
パリスがそう言うと、杖がたいまつ代わりの役割を果たした。
サルファー「ありがとうございます。ですが、戦闘はこれだとパリスは…」
フクシア「任せて。敵が出てきたら、私の魔法で一気に照らす。
それまではお願いして良いかな?」
パリス「は、はい!」
強力な魔法を戦闘で使うとなると、今からフクシアは魔力消費できないらしい。
二年前の英雄は、こんなに強者なのか…自分達じゃ…
サルファー「水月矢!!」
ゼニス「五連刃!」
ゼニスの五連刃は、五回連続で斬りつけるので防御が高めの敵にも有効だった。
ソレイユ「岩みたいな魔物との融合魔物も出てきたから、
ゼニスの技、すっごい助かるね!」
アスター「ソレイユのは防御が高い魔物には不利そうだからな。
……葬刃!!」
アスターの斬撃も防御が高くても平気みたいだ。
フクシア「サルファーのは、飛行系には大助かりだね。」
蝙蝠主体の融合魔物もいたので、遠距離役はありがたい。
しばらく魔物を倒しながら歩いていると、急にアスターが足を止める。
アスター「…何かいる……はあっ!!」
横に剣を振るうと、何かの断末魔が響いた。
ゼニス「えっ、いたのか!?」
アスター「フクシア!」
フクシア「了解! 辺りを照らせ…セイクリッドフィールド!!」
そうフクシアが唱えると、
たいまつなんていらないほどに洞窟内が明るくなる。
するとさっきまで身を潜めていたであろう魔物が現れる。
出て来たのは…融合魔物だけか…
アスター「ゼニス達は周りの奴らを先に蹴散らしてくれ。
俺とフクシアは…」
アスターの視線の先には、巨大な魔物。
ソレイユ「なにこれ!?」
五体ほどの魔物が融合されているような見た目をした巨大な魔物。
サルファー「大丈夫なんですか!?」
フクシア「周りがいるとやりにくいから、周りを取りあえずお願い!」
パリス「は、はい! 分かりました…!」
ソレイユ「空天翔!! サルファー、空中のお願い!」
サルファー「ええ、風裂弓!!」
サルファーが攻撃した辺りで、パリスの詠唱が終わる。
パリス「弾けよ…バブルスプラッシュ!」
硬い魔物の硬質を水の魔法で弱める。
ゼニス「十字閃!!」
とどめでゼニスが斬りかかる。けれど、まだ魔物は沸いてくる。
ゼニス「くっ、数が多すぎる…!」
サルファー「何か打開策を考えなければ…っ!? ソレイユさん!」
ソレイユの方を見ると、魔物がソレイユの方に向かっている。
パリス「ソレイユさん…!!」
ソレイユ「っ!? どうしよう…っ」
向かっているのは数が多い。一体ずつやっていたら間に合わない。
ゼニス(どうする…! 単体技じゃ終わらない、自分が間に…)
サルファー『…ゼニスにとって一番大切なものは何ですか?
その大切なものは、あなたが犠牲になって助かった場合、悲しまないのですか?』
ゼニス(違う! そんな事したって意味はない! 倒せ!)
時間にしたら一瞬、それがすごく長く感じた。
ゼニス「ソレイユ!!」
気が付いたら飛び出していた。
ゼニス「…円閃舞!!」
円を描くように、舞うように敵全体を切り倒す。
サルファー「ゼニス…!」
ソレイユ「ゼニス…今…」
ゼニス「…思い付いたんだ、今。ソレイユを助けたい一心で…」
そういうとソレイユが抱きついてきた。
ソレイユ「ありがとう…ゼニス…!」
ゼニス「う、うん…」
柄にもなく照れている自分に気付く。
サルファー(…自分を犠牲にしない方を選んだのですね。あの一瞬で。
私の話は、少しは役に立ったようです…)
パリスがソレイユに駆け寄る。
パリス「怪我、してませんか…!?」
ソレイユ「うん、大丈夫っ」
安心するのをよそに、魔物はまだ残っている。
サルファー「…さあ、残りも全部片づけてしまいましょうか…!」
ゼニス「ああ!」
アスター「ぐっ! さすがに硬いな…フクシア、平気か!?」
フクシア「うん、やっぱり手強いね…けど、魔王ほどじゃないよ!」
自分達は魔王と戦った事がある。だからこそ分かる。
アスター「違いないな…どうせ魔物だ…」
後ろのゼニス達の方を少し見る。
アスター(向こうは片付きそうか…その前に終わらせる…!)
「行くぞ! コラプスソウル!!」
フクシア「うん! セイントジャッジメント!」
二人の放った技が同時に魔物に衝突し、魔物を消滅させる。
フクシア「やった!!」
終わったところでゼニス達もこちらに来る。
ゼニス「二人とも!!」
アスター「そっちも終わったか、こっちも完了だ」
今ので最後だと聞き、もと来た道を引き返そうとしていた。
すると…
ゼニス「…何か歩いて来るぞ…」
ソレイユ「ゼニス…」
入口の方の道から見えたのは、二足歩行で歩く人型の魔物。
サルファー「あれは!?」
ゼニス「さすがにまずい!!」
ブライト『こいつの事は俺も探っている。
人型の魔物とも遭遇経験があるが、俺の師と協力しても怪我を負った。
いいか、積極的に関わろうとするな。見つけたら逃げろ。
俺の方で何とかする』
一体ならまだ良かった…けれど、今目の前にいるのは三体だ。
パリス「ど、どうするんですか…!?」
フクシア「退路が塞がれてる…けど、倒さないと近隣の村に被害が行くかもしれない…!」
アスター「せめて、動きを誰か封じてくれれば…」
けれど、ゼニス達だと荷が重い。どうするか…
そう思っていると、その魔物達のさらに奥から猛スピードで走ってくる足音が。
ビオレ「はああっ!! 闇毒牙!!」
魔物の中をかいくぐりながら、技を一体ずつに打っていく。
ゼニス「ビオレ!?」
ソレイユ「今、何をしたの!?」
ゼニス達の姿を確認すると、答えて
ビオレ「こいつら元は人間よ? 融合されてるとはいえ、失敗作。
麻痺・毒は効くから、麻痺させたの!」
今の一瞬で……でも確かに効いているようだ。
動きが鈍くなっている。
ビオレ「誰か! 大きい技が撃てる人いない!?」
名乗り出たのはアスターとフクシアだった。
アスター「動きを止めてくれれば十分だ」
フクシア「後は任せて!」
そう言うと二人は武器を構えた。
アスター「悪魔奥義・サファリングソロウ!」
フクシア「天使奥義・オーバーリーンカネーション!」
動けない魔物に奥義が撃ち込まれる。
一介の兵士では太刀打ちできない奴を三体倒した…
ビオレ「…今回は運が良かったと思って。毒使わなかったら、やられてたのはこっちだからね」
パリス「…ビオレ…さん…」
パリスとサルファーの事と、先ほど技を撃ったフクシアとアスターの方を確認する。
ビオレ「そう言えば色々増えてるけど、どうしたの?」
ソレイユ「えっとね…」
ビオレ「なるほど。じゃあ依頼でも何でもないけど、
放っておけないし、この人数ならって思って協力したわけ」
ゼニス「ああ…」
結果はこの通り、ビオレが来てくれなかったらやばかったわけだが…
アスター「お前は、一人でこの事件の首謀者を追ってるって聞いた」
ビオレ「そう。あまりにも外道が過ぎる。私は絶対に許さない」
勝ち目は無いんじゃないのか…一人でなんて…
ゼニス「ビオレ。そんなのを造る首謀者に一人でなんて無理がある。
今の僕達じゃ頼りないかもしれないけど、一人よりはマシになるはずだ」
ビオレ「?? …一緒に来たら? ってこと?」
まあ、そういう事なんだけど…
ビオレ「相手は科学者。問題ない」
ソレイユ「でも、道中絶対こういう魔物いるよ?」
ビオレ「……私は平気。見つからないから…っくっ…!」
ビオレがその場に膝をついた。
サルファー「ビオレさん!? ……これは…腕を怪我しています。
まさか、碌な手当てもせずにいたのですか…!?」
ビオレ「あいつらに、気付かれて…」
さっきの人型の魔物…ん? 気付かれた?
それって見つかるって事だろう…
パリス「エードヒール!」
パリスが回復魔法をかける。
パリス「ごめん、なさい…応急処置です…早く宿屋でちゃんとした手当を…!」
ゼニス「ああ…!」
いつの間にか意識を飛ばしていたビオレを背負って洞窟を出る。
宿屋にて…
アスター「…人一人で太刀打ちできる相手ではなさそうだな」
フクシア「うん…でも毒が効くなら…アスターの技にあったよね?」
アスターは毒の技が使えるらしい。効くと分かればこっちのものだと。
ビオレはまだベッドで寝ている。
ソレイユ「ビオレ……」
サルファー「やはり、彼女一人では無理があります。
何とか、私達と共に行動してくれればいいのですが…」
ゼニス「……起きてから、だな。起きたら説得してみよう。
…アスターとフクシアはこれからどうするんだ?」
部屋の隅で話をしていた二人に話しかける。
アスター「俺達はまだ探す事にする。
もし、そっちが本拠地でも見つけたら、知らせてほしい」
フクシア「私達の連絡番号教えておくから、お願いね?」
アスターとフクシアと番号を交換してから分かれた。
あとは、ビオレが起きるのを待ってから、次の事を考えよう。
ソレイユ「わー、船に乗って来た時も思ったけど、潮の香りがするー!」
サルファー「パリス、どうかしましたか?」
サルファーがしゃがみ込んでいるパリスに声をかける。
パリス「貝殻、綺麗だから…」
サルファー「事が済んだら、少し貝殻探してみますか?」
サルファーがそう言うと、すごくうれしそうな顔をした。
ゼニス「……みんな」
ゼニスの声にハッとして、視線の方を向く。
アスター「洞窟から漏れた奴らだな」
フクシア「融合魔物だけだね。人型の魔物はいないみたい」
確か森でも戦ったけど、こいつらはそこまで強くなかった。
ゼニス「早く倒して、洞窟内に入ろう!」
こいつらならば技の一つでも当てられれば勝てる。
ゼニス「連絶剣!」
ソレイユ「炎閃脚!」
サルファー「シルフィアロー!」
パリス「彼の者に枷を…セイントクロス!」
アスター「アビスナイト!」
フクシア「ライトフェザー!」
六人それぞれの攻撃は魔物をあっさり蹴散らした。
ゼニス「やっぱり、そこまででもないみたいだな」
アスター「失敗作に分類されるんだろうな。」
フクシア「弱点属性と耐性属性を合成させたせいで、打ち消し合ってしまってるの。
だから、とりわけ弱点も耐性もない」
何をしても攻撃は通るという事か…
ソレイユ「この調子なら、何とかなりそうだね」
アスター「いや、人型の魔物がいないとも限らない。気を付けろ。
簡単には勝たせてくれないぞ」
……気を引き締めないといけないな。
洞窟内部。
ゼニス「…暗いな」
ソレイユ「…どさくさに紛れて好きな人に抱き着けちゃうね!」
……??
ゼニス(あれ、僕に話しかけてるのか???)
パリス「あ、杖に光属性を纏わせて照らしますね…」
パリスがそう言うと、杖がたいまつ代わりの役割を果たした。
サルファー「ありがとうございます。ですが、戦闘はこれだとパリスは…」
フクシア「任せて。敵が出てきたら、私の魔法で一気に照らす。
それまではお願いして良いかな?」
パリス「は、はい!」
強力な魔法を戦闘で使うとなると、今からフクシアは魔力消費できないらしい。
二年前の英雄は、こんなに強者なのか…自分達じゃ…
サルファー「水月矢!!」
ゼニス「五連刃!」
ゼニスの五連刃は、五回連続で斬りつけるので防御が高めの敵にも有効だった。
ソレイユ「岩みたいな魔物との融合魔物も出てきたから、
ゼニスの技、すっごい助かるね!」
アスター「ソレイユのは防御が高い魔物には不利そうだからな。
……葬刃!!」
アスターの斬撃も防御が高くても平気みたいだ。
フクシア「サルファーのは、飛行系には大助かりだね。」
蝙蝠主体の融合魔物もいたので、遠距離役はありがたい。
しばらく魔物を倒しながら歩いていると、急にアスターが足を止める。
アスター「…何かいる……はあっ!!」
横に剣を振るうと、何かの断末魔が響いた。
ゼニス「えっ、いたのか!?」
アスター「フクシア!」
フクシア「了解! 辺りを照らせ…セイクリッドフィールド!!」
そうフクシアが唱えると、
たいまつなんていらないほどに洞窟内が明るくなる。
するとさっきまで身を潜めていたであろう魔物が現れる。
出て来たのは…融合魔物だけか…
アスター「ゼニス達は周りの奴らを先に蹴散らしてくれ。
俺とフクシアは…」
アスターの視線の先には、巨大な魔物。
ソレイユ「なにこれ!?」
五体ほどの魔物が融合されているような見た目をした巨大な魔物。
サルファー「大丈夫なんですか!?」
フクシア「周りがいるとやりにくいから、周りを取りあえずお願い!」
パリス「は、はい! 分かりました…!」
ソレイユ「空天翔!! サルファー、空中のお願い!」
サルファー「ええ、風裂弓!!」
サルファーが攻撃した辺りで、パリスの詠唱が終わる。
パリス「弾けよ…バブルスプラッシュ!」
硬い魔物の硬質を水の魔法で弱める。
ゼニス「十字閃!!」
とどめでゼニスが斬りかかる。けれど、まだ魔物は沸いてくる。
ゼニス「くっ、数が多すぎる…!」
サルファー「何か打開策を考えなければ…っ!? ソレイユさん!」
ソレイユの方を見ると、魔物がソレイユの方に向かっている。
パリス「ソレイユさん…!!」
ソレイユ「っ!? どうしよう…っ」
向かっているのは数が多い。一体ずつやっていたら間に合わない。
ゼニス(どうする…! 単体技じゃ終わらない、自分が間に…)
サルファー『…ゼニスにとって一番大切なものは何ですか?
その大切なものは、あなたが犠牲になって助かった場合、悲しまないのですか?』
ゼニス(違う! そんな事したって意味はない! 倒せ!)
時間にしたら一瞬、それがすごく長く感じた。
ゼニス「ソレイユ!!」
気が付いたら飛び出していた。
ゼニス「…円閃舞!!」
円を描くように、舞うように敵全体を切り倒す。
サルファー「ゼニス…!」
ソレイユ「ゼニス…今…」
ゼニス「…思い付いたんだ、今。ソレイユを助けたい一心で…」
そういうとソレイユが抱きついてきた。
ソレイユ「ありがとう…ゼニス…!」
ゼニス「う、うん…」
柄にもなく照れている自分に気付く。
サルファー(…自分を犠牲にしない方を選んだのですね。あの一瞬で。
私の話は、少しは役に立ったようです…)
パリスがソレイユに駆け寄る。
パリス「怪我、してませんか…!?」
ソレイユ「うん、大丈夫っ」
安心するのをよそに、魔物はまだ残っている。
サルファー「…さあ、残りも全部片づけてしまいましょうか…!」
ゼニス「ああ!」
アスター「ぐっ! さすがに硬いな…フクシア、平気か!?」
フクシア「うん、やっぱり手強いね…けど、魔王ほどじゃないよ!」
自分達は魔王と戦った事がある。だからこそ分かる。
アスター「違いないな…どうせ魔物だ…」
後ろのゼニス達の方を少し見る。
アスター(向こうは片付きそうか…その前に終わらせる…!)
「行くぞ! コラプスソウル!!」
フクシア「うん! セイントジャッジメント!」
二人の放った技が同時に魔物に衝突し、魔物を消滅させる。
フクシア「やった!!」
終わったところでゼニス達もこちらに来る。
ゼニス「二人とも!!」
アスター「そっちも終わったか、こっちも完了だ」
今ので最後だと聞き、もと来た道を引き返そうとしていた。
すると…
ゼニス「…何か歩いて来るぞ…」
ソレイユ「ゼニス…」
入口の方の道から見えたのは、二足歩行で歩く人型の魔物。
サルファー「あれは!?」
ゼニス「さすがにまずい!!」
ブライト『こいつの事は俺も探っている。
人型の魔物とも遭遇経験があるが、俺の師と協力しても怪我を負った。
いいか、積極的に関わろうとするな。見つけたら逃げろ。
俺の方で何とかする』
一体ならまだ良かった…けれど、今目の前にいるのは三体だ。
パリス「ど、どうするんですか…!?」
フクシア「退路が塞がれてる…けど、倒さないと近隣の村に被害が行くかもしれない…!」
アスター「せめて、動きを誰か封じてくれれば…」
けれど、ゼニス達だと荷が重い。どうするか…
そう思っていると、その魔物達のさらに奥から猛スピードで走ってくる足音が。
ビオレ「はああっ!! 闇毒牙!!」
魔物の中をかいくぐりながら、技を一体ずつに打っていく。
ゼニス「ビオレ!?」
ソレイユ「今、何をしたの!?」
ゼニス達の姿を確認すると、答えて
ビオレ「こいつら元は人間よ? 融合されてるとはいえ、失敗作。
麻痺・毒は効くから、麻痺させたの!」
今の一瞬で……でも確かに効いているようだ。
動きが鈍くなっている。
ビオレ「誰か! 大きい技が撃てる人いない!?」
名乗り出たのはアスターとフクシアだった。
アスター「動きを止めてくれれば十分だ」
フクシア「後は任せて!」
そう言うと二人は武器を構えた。
アスター「悪魔奥義・サファリングソロウ!」
フクシア「天使奥義・オーバーリーンカネーション!」
動けない魔物に奥義が撃ち込まれる。
一介の兵士では太刀打ちできない奴を三体倒した…
ビオレ「…今回は運が良かったと思って。毒使わなかったら、やられてたのはこっちだからね」
パリス「…ビオレ…さん…」
パリスとサルファーの事と、先ほど技を撃ったフクシアとアスターの方を確認する。
ビオレ「そう言えば色々増えてるけど、どうしたの?」
ソレイユ「えっとね…」
ビオレ「なるほど。じゃあ依頼でも何でもないけど、
放っておけないし、この人数ならって思って協力したわけ」
ゼニス「ああ…」
結果はこの通り、ビオレが来てくれなかったらやばかったわけだが…
アスター「お前は、一人でこの事件の首謀者を追ってるって聞いた」
ビオレ「そう。あまりにも外道が過ぎる。私は絶対に許さない」
勝ち目は無いんじゃないのか…一人でなんて…
ゼニス「ビオレ。そんなのを造る首謀者に一人でなんて無理がある。
今の僕達じゃ頼りないかもしれないけど、一人よりはマシになるはずだ」
ビオレ「?? …一緒に来たら? ってこと?」
まあ、そういう事なんだけど…
ビオレ「相手は科学者。問題ない」
ソレイユ「でも、道中絶対こういう魔物いるよ?」
ビオレ「……私は平気。見つからないから…っくっ…!」
ビオレがその場に膝をついた。
サルファー「ビオレさん!? ……これは…腕を怪我しています。
まさか、碌な手当てもせずにいたのですか…!?」
ビオレ「あいつらに、気付かれて…」
さっきの人型の魔物…ん? 気付かれた?
それって見つかるって事だろう…
パリス「エードヒール!」
パリスが回復魔法をかける。
パリス「ごめん、なさい…応急処置です…早く宿屋でちゃんとした手当を…!」
ゼニス「ああ…!」
いつの間にか意識を飛ばしていたビオレを背負って洞窟を出る。
宿屋にて…
アスター「…人一人で太刀打ちできる相手ではなさそうだな」
フクシア「うん…でも毒が効くなら…アスターの技にあったよね?」
アスターは毒の技が使えるらしい。効くと分かればこっちのものだと。
ビオレはまだベッドで寝ている。
ソレイユ「ビオレ……」
サルファー「やはり、彼女一人では無理があります。
何とか、私達と共に行動してくれればいいのですが…」
ゼニス「……起きてから、だな。起きたら説得してみよう。
…アスターとフクシアはこれからどうするんだ?」
部屋の隅で話をしていた二人に話しかける。
アスター「俺達はまだ探す事にする。
もし、そっちが本拠地でも見つけたら、知らせてほしい」
フクシア「私達の連絡番号教えておくから、お願いね?」
アスターとフクシアと番号を交換してから分かれた。
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