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番外編10.とある日常の風景Iplus(side希海)
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毎日響にはメッセージアプリでハナの写真を送った。
最初は自分のスマホで撮ったが、あまりした事のないスマホでの撮影はイマイチ勝手が分からず、あっという間に逃げられて惨敗だった。
正直、これが仮にもプロの写真なんだろうかと溜め息と共に写真を眺めた。
次の日から、俺は持ってはいたが使うことは稀だった望遠レンズを使う事にした。
気分はもう動物写真家だ。
まあ、そのおかげでハナの写真を撮る事が出来、響に送る事が出来た。
送るにしても、データを小さくする必要があり、仕事用のパソコンに取り込んで手を加えてから自分のスマホに転送して送った。
俺は一体何やってるんだ…とふと我に帰ることもあったが、それなりに気分転換にはなった。
ハナと2人で過ごす時間が増えてくると、何となく俺に対する態度も変わって来たような気がする。
今まで響の領分だった、ハナを可愛がる役がいなくなり、寂しくなって来たのか、俺にそれを求めるようになって来た。
最初はただ付いて歩くだけだったが、そのうち真っ直ぐ歩けなくなるくらいに纏わり付かれ、俺がソファーで読書をしていると、そっと横で眠っている。
毎回送る写真も、望遠など使わなくても済むようになり、ちゃんとこちらを向くようになった写真は響を喜ばせた。
ようやく、響から『時間は分からないけど帰るから』と連絡があったのは昨日のこと。
あぁ…ようやくか…
と俺は安堵する。
『お前ら、ずっと一緒にいて飽きねーの?』
と、前に司から聞かれた事がある。
その時は響が「飽きねーしー!」と答えていたが、離れて駄目になるのは俺の方だったとつくづく思い知った。
声を聞いたら会いたくなるだろうから電話もしなかった。
たった1か月。
それなのにとてつもなく長い間、顔を見ていない気持ちになる。
帰るなら夕方だろうと、朝のうちに用事を済ませて、午後からは家で待った。
ハナも俺がソワソワしているのを察したのか、ソファーに座る俺の横で訴えかけるように鳴いていた。
「そうか、お前も寂しかったよな。俺もだよ」
「にゃあー」
「もうすぐ帰って来るよ」
「にゃあっ」
とハナを撫でていると、その耳がピクリと動き、一目散にドアに向かって駆け出した。
俺も後に続くと、ハナは扉の隙間を通り抜けて向こう側に行ってしまう。
その扉の向こうで響の声がしていた。
「お帰り」
しゃがんでハナを撫でる響にそう声をかける。
響はハナを抱き上げその場に立ち上がる。
やっぱりハナが一番なんだな、なんて少し感傷的になりながら「良かったな。ハナ。響が帰って来て嬉しいんだな」とハナを撫でる。
俺が複雑そうな顔をしたのを察したのか、響は少し心配そうに俺を見上げている。
あぁ。やっぱりこれ以上我慢は出来ない。
「悪いがハナはここまでだ」
ハナを響の腕から取り上げて床に下ろすと、響の腕を取り自分の部屋に引っ張り込む。
もちろんハナに邪魔されないように扉は閉めて。
我ながら猫相手に大人げない…と思いながらも、寝室のベッドに響を押し倒して、そのままの勢いで唇に深く口づけをする。
「あっっ!んんっ!」
思いの丈をぶつけるように口の中を犯し、深く舌を絡ませ合う。
それに応えてくれるように響は俺の首にしがみつき、お互いを貪り合った。
酸欠になるんじゃないかと思うくらいに何度もキスを繰り返して、ようやく俺は唇を離した。
この世で一番愛しい人を目の前にして、もう余裕などない。
それからお互いに、思っていた事を伝えあった。
言葉にしないと分からないこともある。それを今回痛い程思い知った。
響から『俺の一番はいつだって希海だ』となによりも嬉しい言葉を貰う。
「俺も、そうだよ」と、今度は甘いキスを落とした。
「はぁっぁっ…」
響から甘く痺れるような声が漏れ出し俺を熱くさせる。
そのままシャツをめくり上げて膨れた先端を摘むと、塞がれたままの唇から「んんっ!」と喘ぎが漏れた。
唇を離して耳元に唇を寄せて、「気持ちいいか?」と尋ねながらその耳をなぞる様に舌を這わせた。
「やっあっ…っ!」
くすぐったいのか、それとも感じているのか、響は首を竦めて声を出す。
「言わなきゃ分からないぞ」
と、耳の奥にまで舌をねじ込むと、「あっんっっ!…き…もち…いいよっ」と半分涙目でこちらを見る。
ああ、本当に俺の恋人は…俺を煽るのが上手い。
最初は自分のスマホで撮ったが、あまりした事のないスマホでの撮影はイマイチ勝手が分からず、あっという間に逃げられて惨敗だった。
正直、これが仮にもプロの写真なんだろうかと溜め息と共に写真を眺めた。
次の日から、俺は持ってはいたが使うことは稀だった望遠レンズを使う事にした。
気分はもう動物写真家だ。
まあ、そのおかげでハナの写真を撮る事が出来、響に送る事が出来た。
送るにしても、データを小さくする必要があり、仕事用のパソコンに取り込んで手を加えてから自分のスマホに転送して送った。
俺は一体何やってるんだ…とふと我に帰ることもあったが、それなりに気分転換にはなった。
ハナと2人で過ごす時間が増えてくると、何となく俺に対する態度も変わって来たような気がする。
今まで響の領分だった、ハナを可愛がる役がいなくなり、寂しくなって来たのか、俺にそれを求めるようになって来た。
最初はただ付いて歩くだけだったが、そのうち真っ直ぐ歩けなくなるくらいに纏わり付かれ、俺がソファーで読書をしていると、そっと横で眠っている。
毎回送る写真も、望遠など使わなくても済むようになり、ちゃんとこちらを向くようになった写真は響を喜ばせた。
ようやく、響から『時間は分からないけど帰るから』と連絡があったのは昨日のこと。
あぁ…ようやくか…
と俺は安堵する。
『お前ら、ずっと一緒にいて飽きねーの?』
と、前に司から聞かれた事がある。
その時は響が「飽きねーしー!」と答えていたが、離れて駄目になるのは俺の方だったとつくづく思い知った。
声を聞いたら会いたくなるだろうから電話もしなかった。
たった1か月。
それなのにとてつもなく長い間、顔を見ていない気持ちになる。
帰るなら夕方だろうと、朝のうちに用事を済ませて、午後からは家で待った。
ハナも俺がソワソワしているのを察したのか、ソファーに座る俺の横で訴えかけるように鳴いていた。
「そうか、お前も寂しかったよな。俺もだよ」
「にゃあー」
「もうすぐ帰って来るよ」
「にゃあっ」
とハナを撫でていると、その耳がピクリと動き、一目散にドアに向かって駆け出した。
俺も後に続くと、ハナは扉の隙間を通り抜けて向こう側に行ってしまう。
その扉の向こうで響の声がしていた。
「お帰り」
しゃがんでハナを撫でる響にそう声をかける。
響はハナを抱き上げその場に立ち上がる。
やっぱりハナが一番なんだな、なんて少し感傷的になりながら「良かったな。ハナ。響が帰って来て嬉しいんだな」とハナを撫でる。
俺が複雑そうな顔をしたのを察したのか、響は少し心配そうに俺を見上げている。
あぁ。やっぱりこれ以上我慢は出来ない。
「悪いがハナはここまでだ」
ハナを響の腕から取り上げて床に下ろすと、響の腕を取り自分の部屋に引っ張り込む。
もちろんハナに邪魔されないように扉は閉めて。
我ながら猫相手に大人げない…と思いながらも、寝室のベッドに響を押し倒して、そのままの勢いで唇に深く口づけをする。
「あっっ!んんっ!」
思いの丈をぶつけるように口の中を犯し、深く舌を絡ませ合う。
それに応えてくれるように響は俺の首にしがみつき、お互いを貪り合った。
酸欠になるんじゃないかと思うくらいに何度もキスを繰り返して、ようやく俺は唇を離した。
この世で一番愛しい人を目の前にして、もう余裕などない。
それからお互いに、思っていた事を伝えあった。
言葉にしないと分からないこともある。それを今回痛い程思い知った。
響から『俺の一番はいつだって希海だ』となによりも嬉しい言葉を貰う。
「俺も、そうだよ」と、今度は甘いキスを落とした。
「はぁっぁっ…」
響から甘く痺れるような声が漏れ出し俺を熱くさせる。
そのままシャツをめくり上げて膨れた先端を摘むと、塞がれたままの唇から「んんっ!」と喘ぎが漏れた。
唇を離して耳元に唇を寄せて、「気持ちいいか?」と尋ねながらその耳をなぞる様に舌を這わせた。
「やっあっ…っ!」
くすぐったいのか、それとも感じているのか、響は首を竦めて声を出す。
「言わなきゃ分からないぞ」
と、耳の奥にまで舌をねじ込むと、「あっんっっ!…き…もち…いいよっ」と半分涙目でこちらを見る。
ああ、本当に俺の恋人は…俺を煽るのが上手い。
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