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番外編10.とある日常の風景Iplus(side希海)
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香緒と武琉がうちから独立して、響は目に見えて甘えてくるようになった。
元々が歳の離れた姉のいる弟だし、寂しがり屋なのは分かっていたが、家に帰っても静かなのが余程堪えているのか、俺の側から離れなくなってしまった。
だから、知人から猫の飼い主を探している、と言われて渡りに船とばかりにそれに乗ったのだが、そのせいでまさか今度は自分があんな気持ちになるなんて、思いもしなかったけれど。
─知人の家に響と訪れると、3匹の子猫を見せられた。
みんな同じロシアンブルーと言う品種で、まだ生後3か月程だと言う。
まだ、ニャーと言うよりミーと鳴き声を出している。
「うわっっ!すげ~、ちっさいっ」
流石にこんな子猫を間近で見たことはなかったらしく、響は恐る恐る近づいている。
部屋に放された子猫達は、皆好き好きに部屋を駆け回り始めた。
響は子猫達を驚かせないようにその場でじっと座っている。
すると、そのうちの1匹が、「遊ぼ?」と言いたげに寄って来て響の膝に登った。
それがハナだった。
それからはハナが中心の生活になった。
まだ子猫だから、家じゅう行き来したら行方不明になりそうで怖い、としばらくはほぼ物置のようになっていた響の部屋でハナを生活させる事になった。
響が仕事の時は俺が様子を見に行っていたが、オフの日、響は部屋からほとんど出てこずハナの相手をしていた。
もちろん、普段も帰ると真っ先に部屋に飛んでいって、寝る時もハナと一緒だ。
正直…この時点で俺はかなり嫉妬していた…と思う。
仕事で香緒に会った時、「何か…もの凄く不機嫌そうだけど、響とケンカでもした?」と尋ねられるくらいには。
まさか、『猫に嫉妬してる』なんて、香緒にも言えやしない。
相手が動物だからか余計に悶々とする日が続いて、俺は生まれて初めてのこの感情に戸惑っていた。
ハナが来てから一月程経ち、大分慣れて来ただろうからと、他の部屋にも行き来できるようにした。
元々、何処の部屋もそう物は置いていないが、悪戯されて困る様なものは、今は空いた香緒の部屋に入れて閉めている。
最初は恐る恐るだったハナも、すっかり慣れて我が物顔で家の中を走り回るようになった。
リビングのソファがお気に入りで、昼間はそこでよく寝ている。
が、爪も磨がれてだんだんと傷んできた。
まあ、猫を飼う時点で覚悟の上だったけれど。
ようやく響も、俺の部屋でまた過ごすようになり、久しぶりに明日響はオフ…という夜のこと。
「あっっ!」
響の胸の尖りを口に含むと、甘い声が漏れる。
その顔はさっきまでのキスで既に惚けていて、俺以外の誰にも見せられない表情を見せている。
俺は反対側の尖りを指で摘みながら、口に含んだ方をカリッと甘噛みする。
「んんっ!」
感じているのか腰を揺らし、「あっ…んんっ」と喘いでいる。
ずっと焦らされていた分、ふつふつと苛めたい気分になるが、多分あまり焦らすとこっちの方がもたない。
ローションを取り出し、響の体にトロトロとかけると、ゆっくりと指を中に差し入れる。
「あぁっ!」
その刺激に反応して、既に形を変えていた響自身の先端からは、露が漏れて溢れている。
俺はもう片方の手で、それを擦り付けるようにヌルヌルと撫でる。
「やっっ!あぁっ!」
見下ろしている響の白い顔はすっかり上気して、気持ち良さそうに喘いでいる。
中に入れた指はそのままに、ぐちゅぐちゅと動かしながら響の唇を貪る。
「はっ!…んっ…!」
耐え切れないとばかりに響は俺にしがみつき、唇を塞がれたままくぐもった声を出している。
すっかりトロトロになって、準備の出来たそこに俺が入ろうとした時、聞きたくない声が聞こえて来た。
ミャー。カリカリカリ…。
閉められたドアの向こうに彼女が爪を磨ぎながら鳴く声がする。
俺はそれを聞こえなかった振りして中に入ろうとしたが、彼女の声を聞き逃さなかった響が声を上げた。
「─待ってっ!ハナがっ」
「…ハナがどうかしたか?」
もの凄く不機嫌なのが顔に出ていたようで、響は恐る恐る俺に言った。
「ごめん…。行ってあげていい?」
俺は、深く深く溜め息を吐くと、「分かった」とそれを承諾して、仕方なくバスルームに向かった。
元々が歳の離れた姉のいる弟だし、寂しがり屋なのは分かっていたが、家に帰っても静かなのが余程堪えているのか、俺の側から離れなくなってしまった。
だから、知人から猫の飼い主を探している、と言われて渡りに船とばかりにそれに乗ったのだが、そのせいでまさか今度は自分があんな気持ちになるなんて、思いもしなかったけれど。
─知人の家に響と訪れると、3匹の子猫を見せられた。
みんな同じロシアンブルーと言う品種で、まだ生後3か月程だと言う。
まだ、ニャーと言うよりミーと鳴き声を出している。
「うわっっ!すげ~、ちっさいっ」
流石にこんな子猫を間近で見たことはなかったらしく、響は恐る恐る近づいている。
部屋に放された子猫達は、皆好き好きに部屋を駆け回り始めた。
響は子猫達を驚かせないようにその場でじっと座っている。
すると、そのうちの1匹が、「遊ぼ?」と言いたげに寄って来て響の膝に登った。
それがハナだった。
それからはハナが中心の生活になった。
まだ子猫だから、家じゅう行き来したら行方不明になりそうで怖い、としばらくはほぼ物置のようになっていた響の部屋でハナを生活させる事になった。
響が仕事の時は俺が様子を見に行っていたが、オフの日、響は部屋からほとんど出てこずハナの相手をしていた。
もちろん、普段も帰ると真っ先に部屋に飛んでいって、寝る時もハナと一緒だ。
正直…この時点で俺はかなり嫉妬していた…と思う。
仕事で香緒に会った時、「何か…もの凄く不機嫌そうだけど、響とケンカでもした?」と尋ねられるくらいには。
まさか、『猫に嫉妬してる』なんて、香緒にも言えやしない。
相手が動物だからか余計に悶々とする日が続いて、俺は生まれて初めてのこの感情に戸惑っていた。
ハナが来てから一月程経ち、大分慣れて来ただろうからと、他の部屋にも行き来できるようにした。
元々、何処の部屋もそう物は置いていないが、悪戯されて困る様なものは、今は空いた香緒の部屋に入れて閉めている。
最初は恐る恐るだったハナも、すっかり慣れて我が物顔で家の中を走り回るようになった。
リビングのソファがお気に入りで、昼間はそこでよく寝ている。
が、爪も磨がれてだんだんと傷んできた。
まあ、猫を飼う時点で覚悟の上だったけれど。
ようやく響も、俺の部屋でまた過ごすようになり、久しぶりに明日響はオフ…という夜のこと。
「あっっ!」
響の胸の尖りを口に含むと、甘い声が漏れる。
その顔はさっきまでのキスで既に惚けていて、俺以外の誰にも見せられない表情を見せている。
俺は反対側の尖りを指で摘みながら、口に含んだ方をカリッと甘噛みする。
「んんっ!」
感じているのか腰を揺らし、「あっ…んんっ」と喘いでいる。
ずっと焦らされていた分、ふつふつと苛めたい気分になるが、多分あまり焦らすとこっちの方がもたない。
ローションを取り出し、響の体にトロトロとかけると、ゆっくりと指を中に差し入れる。
「あぁっ!」
その刺激に反応して、既に形を変えていた響自身の先端からは、露が漏れて溢れている。
俺はもう片方の手で、それを擦り付けるようにヌルヌルと撫でる。
「やっっ!あぁっ!」
見下ろしている響の白い顔はすっかり上気して、気持ち良さそうに喘いでいる。
中に入れた指はそのままに、ぐちゅぐちゅと動かしながら響の唇を貪る。
「はっ!…んっ…!」
耐え切れないとばかりに響は俺にしがみつき、唇を塞がれたままくぐもった声を出している。
すっかりトロトロになって、準備の出来たそこに俺が入ろうとした時、聞きたくない声が聞こえて来た。
ミャー。カリカリカリ…。
閉められたドアの向こうに彼女が爪を磨ぎながら鳴く声がする。
俺はそれを聞こえなかった振りして中に入ろうとしたが、彼女の声を聞き逃さなかった響が声を上げた。
「─待ってっ!ハナがっ」
「…ハナがどうかしたか?」
もの凄く不機嫌なのが顔に出ていたようで、響は恐る恐る俺に言った。
「ごめん…。行ってあげていい?」
俺は、深く深く溜め息を吐くと、「分かった」とそれを承諾して、仕方なくバスルームに向かった。
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