偽物のご令嬢は本物の御曹司に懐かれています

玖羽 望月

文字の大きさ
上 下
58 / 60
番外編 酸いも甘いも

side健二4*

しおりを挟む
 その後俺たちは、どちらともなくお互いを求めた。
 寝室に連れ込みベッドに久美を沈めると「その……。久しぶりで……」なんて恥ずかしそうにしている。

「久しぶりって……いったいどれくらいだよ……」

 白い首筋に音を立ててキスの雨を降らせながら尋ねてみる。さすがについ最近まで結婚していたくらいだ。さすがにそれなりには、と軽く嫉妬する。

「えーと……。冬弥を妊娠してから一度も……してなくて……」
「マジ?」

 冬弥は今年9歳。ということは10年以上の計算だ。俺なんて、その間何人と付き合ったか覚えていない。そんなことさすがに言えねぇが。
 驚きながらその顔を覗き込むと、恥ずかしそうに頷く。それに思わず口角が上がった。

「ってことは、俺が顏も知らねぇクソ野郎のことは、もう忘れてるってことだよな?」

 俺は結婚式には行っていない。仕事があると言い訳していかなかった。久美の隣に並ぶ幸せそうな男の顔なんて死んでも見たくなかったから。

「う、ん……。まぁ。けど、私。いうほど経験してないし、その、期待外れかも知れないから……」

 不安そうに俺を見上げる久美の唇に、軽く唇を落としてから俺は笑う。

「なわけないだろ。こうしてるだけで気持ち良すぎて死にそう」

 Tシャツの中に手を滑り込ませて、そのしっとりした肌に指を滑らせる。

「それは早すぎでしょ? でも、私もフワフワする。健二に触れられるだけで」

 おずおずと肩に手を回して久美は言う。それに俺の体の熱は一気に高まった。

「無意識に煽るなって」
「別に煽ってないわよ」

 強気な口調で言いながら久美は笑う。そんなところを含めて全てが愛おしい。
 唇を塞ぎながら性急な手つきで下着を緩める。その隙間に指を差し入れるとやわやわとその感触を味わった。

「うっ、ンっっ」

 閉じ込められた吐息が唇に伝わる。俺の舌の動きに必死に応えているのを感じると、慣れてないってのも大袈裟じゃないのがわかる。
 子どもがいるとは思えない弾力のある胸をゆっくり揉みしだきながら着ているものを取り払う。隠そうとした両腕を掴みベッドに押し付け、露わになったその先は上を向いている。その美味そうな実を口に含み、舌で転がし始めた。

「やっ、んっっ!」

 身動ぎしながら口を閉じて吐息を噛み締める。片手を解くと手に余るほどの膨らみを手のひらに閉じ込めた。

「声。我慢すんな。もっと聞かせてくれ」

 刺激を加えながら久美に向く。

「あっ。やぁっ。恥ずか、しい……」

 まるで処女のような反応が可愛い。だが、もっと淫らな姿を見てみたい。

「そんなこと言えるってことは、まだまだ余裕ってことだな」

 不敵な笑みを浮かべ、またその胸に齧り付く。

「あ、ああんっ! んんんっ!」

 強い刺激に堪えきれないのか声を漏らす久美に散々煽られる。
 しばらく双房を堪能したあと、着ていたものの残りを脱がす。自分も脱ぎながら久美を見下ろすと、心許な気な視線が返ってきた。

「綺麗だ。久美」
「でも……お腹に傷が、あるでしょ?」

 言われて見れば、白く綺麗な肌に筋が走っている。俺はそれを指でなぞった。

「お前が命懸けで出産した証だ。頑張ったな」

 その傷も愛おしくなり、そこにキスをして顔を上げると、久美はまたぼろぼろと涙を溢していた。

「泣かないでくれ。お前に泣かれると心臓が抉られそうだ」

 涙を掬うように唇を押し当てると、久美は俺の首に縋りついた。

「泣かせにきたのは健二じゃない」

 そう言って久美は腕に力を込めた。

「ありがとう。やっと救われた気分。これからは……傷を見ても頑張ったんだって思える」
「お前はずっと頑張ってきたんだよ。けどこれからは一人で頑張らなくていいからな? ちゃんと俺に言え」
「うん。健二もね?」
  
 この温もりがこの上ないほど愛おしい。泣きたくなるような感情。この、ふつふつと湧き出すものが愛なのかと、思い知る。
 啄むようなキスをし合い、肌に手を滑らせる。上から下へ、傷跡を越え足の内側に向かう。
 しっとりした茂みを掻き分け、閉じたあわいに指を差し入れる。グチュリとした感覚が指に伝わり、濡れているのがわかった。

「あぅっっ」

 閉じ込められていた花芯をコリコリて指で弾くと久美の体が小さく跳ねる。
 ゆるゆると潤いを増していくあわいを指を擦ると、顔を歪ませていた。

「気持ちいいか?」
「あっ、はぁっっん! いい……っ、気持ち、いい、よ……」

 もどかしそうに体を揺らし答える久美に一つキスを落とす。

「もっと、善くしてやる」

 体を起こした俺は、そのままあわいに顔を埋める。指でなぞった部分を今度は舌でなぞり、花芯を吸い上げる。

「ひっ、ああんっ! そんな、ところ……やだっぁっ! んんっっ」

 もしかしたら、こんなことをされたことがないのかも知れない。舌を上下させたり、弾いたり。愛撫するたび激しく反応して首を左右に振り嬌声を上げている。

「だ、めっ! もうっ、おかしくなり、そうっ! んんーっっ!」

 体をガクガク震わせたかと思うと、久美はひときわ高い叫び声を上げた。

「ああーッ! イクっ、あ、あああん~~っ‼︎」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

クリスマスに咲くバラ

篠原怜
恋愛
亜美は29歳。クリスマスを目前にしてファッションモデルの仕事を引退した。亜美には貴大という婚約者がいるのだが今のところ結婚はの予定はない。彼は実業家の御曹司で、年下だけど頼りになる人。だけど亜美には結婚に踏み切れない複雑な事情があって……。■2012年に著者のサイトで公開したものの再掲です。

あまやかしても、いいですか?

藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。 「俺ね、ダメなんだ」 「あーもう、キスしたい」 「それこそだめです」  甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の 契約結婚生活とはこれいかに。

【完結】東京・金沢 恋慕情 ~サレ妻は御曹司に愛されて~

安里海
恋愛
佐藤沙羅(35歳)は結婚して13年になる専業主婦。 愛する夫の政志(38歳)と、12歳になる可愛い娘の美幸、家族3人で、小さな幸せを積み上げていく暮らしを専業主婦である紗羅は大切にしていた。 その幸せが来訪者に寄って壊される。 夫の政志が不倫をしていたのだ。 不安を持ちながら、自分の道を沙羅は歩み出す。 里帰りの最中、高校時代に付き合って居た高良慶太(35歳)と偶然再会する。再燃する恋心を止められず、沙羅は慶太と結ばれる。 バツイチになった沙羅とTAKARAグループの後継ぎの慶太の恋の行方は? 表紙は、自作です。

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました

加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

処理中です...