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4.お見合い話は突然に(side倉木)
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いくら量を減らしてもらったとは言え、飲み慣れないワインはゆっくり飲んでもかなり回っている。だんだんと、理性が本能に傾いているような……そんな気がした。
出された料理の味なんてわからない。変なことを口走ってしまわないかそれが心配だった。ちーちゃんが表情で全部教えてくれて、喜んでくれていることに嬉しくなった。
早く次の約束をしたくて、けど言い出したいのになかなか言えないでいると、あまりにも挙動不審だったのかちーちゃんに尋ねられた。
だから僕は、小学生が学校帰りに、『ランドセル置いたら公園集合!』くらいの勢いで言った。
「僕はまた千春さんに会いたいと思ってます。明日……は駄目ですか?」
さすがにあっさり断られた。
一瞬落ち込んだけど、とにかく気を取り直してもう一度チャレンジする。
ふと、ちーちゃんに地元を見せたい、という気持ちが湧き、1週間後の約束を取り付けた。
そこからはもう自分がちゃんとしていたのかも定かじゃない。フワフワした頭と足のままちーちゃんをタクシーに乗せた。
「ご馳走様でした。じゃあ……また来週」
「はい。またご連絡します」
登録したメッセージアプリの『千春』の文字を思い出すだけで顔が緩んでしまう。一生懸命取り繕い挨拶すると、走り出すタクシーを見送った。
そのテールランプの赤が見えなくなると、僕は深い息を吐きその場に座り込んだ。
「お客様? どうかなさいましたか?」
ホテルのエントランスで急に座り込んだ成人男性を不審に思ったのか、ベルボーイに声を掛けられる。居た堪れなくなり「すみません……」と謝りながら、真っ赤な顔で立ち上がった。
そうだ、と思いつき、駅に向かって歩きながら電話を掛ける。呼び出し音はすぐに途切れ、『なぁに~?』と声がした。
「夏帆ちゃん。今大丈夫?」
『ん~。大丈夫だよ~。今お風呂入ってるだけだし』
「えっ? お風呂入ってるの?」
『そうだよ~。何? 夏帆様の裸を想像した?』
「し、しないって」
スピードを緩め雑踏を縫うように歩きながら慌てて返す。
正直、夏帆ちゃんのもちーちゃんのも、裸を見たことがないわけじゃない。全く異性と認識されていなかった小学生の頃に夏帆ちゃんの家でお泊まり会をして一緒にお風呂に入ったから。
二人の全裸を思い出しそうになり頭の中の映像を振り払いながら続ける。
「ちーちゃんと次の約束、できたよ!」
『おぉ。よかったじゃん。いつ?』
「一週間後。ドライブに誘ったらOKもらえた」
『へー。ドライブか。そういや千春の元カレに車持ちいなかったなぁ……』
元カレ、の言葉に動揺し思わず立ち止まる。突然立ち止まったからか後ろからぶつかられるが、自分より遥かに小さい男の人は僕を睨みつけて行ってしまった。
「……やっぱり……。彼氏くらいいたよね……」
『当たり前じゃない。なんでいないと思った。千春、合コンキラーって呼ばれてんのに』
あれだけ可愛いんだしスタイルもいいし性格もいいんだから当たり前と言えば当たり前だ。
僕だって合コンでちーちゃんに会ってたら絶対アタックしてた。でも、それはちーちゃんに似た誰かじゃなくて、ちーちゃん本人に限るけど。
出された料理の味なんてわからない。変なことを口走ってしまわないかそれが心配だった。ちーちゃんが表情で全部教えてくれて、喜んでくれていることに嬉しくなった。
早く次の約束をしたくて、けど言い出したいのになかなか言えないでいると、あまりにも挙動不審だったのかちーちゃんに尋ねられた。
だから僕は、小学生が学校帰りに、『ランドセル置いたら公園集合!』くらいの勢いで言った。
「僕はまた千春さんに会いたいと思ってます。明日……は駄目ですか?」
さすがにあっさり断られた。
一瞬落ち込んだけど、とにかく気を取り直してもう一度チャレンジする。
ふと、ちーちゃんに地元を見せたい、という気持ちが湧き、1週間後の約束を取り付けた。
そこからはもう自分がちゃんとしていたのかも定かじゃない。フワフワした頭と足のままちーちゃんをタクシーに乗せた。
「ご馳走様でした。じゃあ……また来週」
「はい。またご連絡します」
登録したメッセージアプリの『千春』の文字を思い出すだけで顔が緩んでしまう。一生懸命取り繕い挨拶すると、走り出すタクシーを見送った。
そのテールランプの赤が見えなくなると、僕は深い息を吐きその場に座り込んだ。
「お客様? どうかなさいましたか?」
ホテルのエントランスで急に座り込んだ成人男性を不審に思ったのか、ベルボーイに声を掛けられる。居た堪れなくなり「すみません……」と謝りながら、真っ赤な顔で立ち上がった。
そうだ、と思いつき、駅に向かって歩きながら電話を掛ける。呼び出し音はすぐに途切れ、『なぁに~?』と声がした。
「夏帆ちゃん。今大丈夫?」
『ん~。大丈夫だよ~。今お風呂入ってるだけだし』
「えっ? お風呂入ってるの?」
『そうだよ~。何? 夏帆様の裸を想像した?』
「し、しないって」
スピードを緩め雑踏を縫うように歩きながら慌てて返す。
正直、夏帆ちゃんのもちーちゃんのも、裸を見たことがないわけじゃない。全く異性と認識されていなかった小学生の頃に夏帆ちゃんの家でお泊まり会をして一緒にお風呂に入ったから。
二人の全裸を思い出しそうになり頭の中の映像を振り払いながら続ける。
「ちーちゃんと次の約束、できたよ!」
『おぉ。よかったじゃん。いつ?』
「一週間後。ドライブに誘ったらOKもらえた」
『へー。ドライブか。そういや千春の元カレに車持ちいなかったなぁ……』
元カレ、の言葉に動揺し思わず立ち止まる。突然立ち止まったからか後ろからぶつかられるが、自分より遥かに小さい男の人は僕を睨みつけて行ってしまった。
「……やっぱり……。彼氏くらいいたよね……」
『当たり前じゃない。なんでいないと思った。千春、合コンキラーって呼ばれてんのに』
あれだけ可愛いんだしスタイルもいいし性格もいいんだから当たり前と言えば当たり前だ。
僕だって合コンでちーちゃんに会ってたら絶対アタックしてた。でも、それはちーちゃんに似た誰かじゃなくて、ちーちゃん本人に限るけど。
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