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☆番外編 1☆

旅立ちは突然に⁈ 3

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「わぁっ!!」

避けることなどもちろんできず、思いっきり波をかぶる。見ると、ジーンズは腿のあたりまで色が変わっていた。無言で振り返ると、司の着ているものも膝上まで濡れている。

「どーすんだよ……これ」

不機嫌そうな顔を一層顰めた司に言われて、俺は乾いた笑いを漏らしながら答える。

「……どうしよっか?」

そう言いながら、また波をかぶったら堪らないと砂浜を上がる。

「そう言えば帽子は?」

さっきまで浮かんでいた麦わら帽子が見当たらない、と思っていたら、後ろから声がした。

「あ!帽子あったよ!」

そう言いながら、棒をくれた子が駆け寄った先には、砂浜にポツンと取り残された帽子があった。

「よかった!」

帽子の持ち主なのか、もう一人もそこに駆け寄っていた。

「……よかったね……」

少しばかり肩を落としながらそう言うと、さっき危ないと言ってくれた子が申し訳なさそうな顔をしてやってきた。

「……大丈夫?せっかく取ってくれようとしてたのに……」

大きな瞳をこちらに向けて、泣きそうになりながらその子は俺に言った。

「大丈夫だよ?帽子、流されなくてよかったね」

そう言って、俺は自分の胸辺りの高さにある頭を撫でる。その子は、恥ずかしそうにしながら、俺を精一杯見上げると、「ありがとう!お兄ちゃん!」と笑顔を見せた。

可愛いなぁ……

その顔を見て、そんな事を思いながら「どういたしまして」と笑って見せた。

「もう帰らなきゃ!」

向こう側にいる2人はそう言いながら、靴を持って走り出す。

「あっ!2人とも、ちゃんとお礼言いなさい!」

目の前の子が振り返って声を張ると、2人は振り返りながら「ありがとう!お兄ちゃんたち!」と手を振って砂浜を上がっていった。

「じゃあね?気をつけて」

俺が目の前の子にそう言うと、彼女はペコリとお辞儀をして駆け出して行った。

見ると、司は靴を置いている場所に歩き出している。俺も小走りでそれに続いた。

「とりあえず……おじさんって言われなくてよかったね」

司の背中にそう投げかけると、司は振り返る。

「はぁ?そこかよ!」
「えー。この歳でおじさんはショックじゃん!」

笑いながら元いた場所に辿り着き座り込む。

「いいなー!早く子ども欲しーい!」

波の音に負けないくらい声を張り上げてそう言うと、「お前のその思考回路、全く理解できねーわ」と呆れたように司はまた足を投げ出した体勢で言う。
俺は「だろうね」と笑って返し、また海を向いて叫んだ。

「早く結婚したーいっ!!」

と。

Fin
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