上 下
174 / 183
☆番外編3☆

honey moon 11*

しおりを挟む
何がだろう?と睦月さんを見上げていると、睦月さんは振り返り、瓶と皿を両手に持って立っていた長門さんに言う。

「司。俺、もう部屋に帰る。あとはよろしく」

そう言うと私の手を掴み、長門さんから瓶を2本受け取るとそのまま歩きだす。

「睦月さん?怒ってる?」

人の間を縫いながら、睦月さんの背中に呼びかける。睦月さんはこちらを見ることなく「怒ってないよ?」と返すが、その声は明るいものではない。

料理が並ぶキッチンを通り、その奥の居住スペースに繋がるドアの先を進む。睦月さんは無言のまま私の手を引いて、私達の使っている部屋に入った。

灯りを付けると、睦月さんは近くにあったテーブルに持っていた瓶を置く。

「睦月さん?どうしたの?」

何も言ってくれないから不安で仕方ない。いつものらしくない背中を見つめて思う。

私、何かした?

自分の心臓が、音が聞こえそうなほど早鐘を打っている。

「……ごめんね」

そう聞こえたかと思うと、黒いマントがバサっと翻り、私はその中に閉じ込められていた。

「んっ、……痛っ」

首筋にチクリと何か刺さった感じがして、反射的に私はそう声を漏らした。
私の首には睦月さんの顔があり、そこに熱い息がかかるのを感じる。そうか、睦月さんフェイクの牙を付けていたっけ。本当に刺さっているわけじゃないけど、それなりに歯を立てられている。まるで私の血を飲みたいと言っているようだ。そしてそのまま、ついっと首筋を舌で撫でらると、私は思わず体を反応させてしまう。

「あ、!」

よりギュッと抱きしめられたかと思うと、そのまま首筋を強く吸われる。さっきとは違う、チリチリした痛みのような感覚が私を襲い、私は睦月さんにしがみついた。

「自分がこんなに嫉妬深いなんて思ってなかった」

私の肌に唇をギリギリに当てて、睦月さんはそんなことを言う。

「……嫉妬?」

背中に手を回し、睦月さんの胸に顔を埋めるようにして私は尋ねた。

「そうだよ?周りのやつがさっちゃんのことをイヤラシイ目で見てるのに怒りが湧くし、さっちゃんは相変わらず自分の魅力に気がついてないし」

そう言って睦月さんは首から離れて、私の顔を覗き込む。

「あのね、さっちゃん」

睦月さんは冷たくも見える視線で私を見ている。こんな表情で見られているのは初めてかも知れない。

「俺、今全く余裕ないから。むちゃくちゃにしたらごめん」
「えっ?」

驚いている暇もなく、次の瞬間にはもう私の唇は塞がれていた。

「ん、ふっっ……」

あぁ。本当に嫉妬、してたんだ……

そう思わずにはいられないほど激しく、執拗に、喰らいつくようなキスをされている。息つく暇もなくて、苦しいのに、離したくないと言っているように睦月さんは私の口を塞いでいた。
舌を強く吸われたり、歯列をなぞるように撫でられたり。もう立っていられなくて、足の力が抜けそうになるの私を、睦月さんは腰から支えていた。

「あっ……も……だ、め……」

ようやく開いた隙間から息を漏らすように言うと、唇を付けたまま睦月さんは答える。

「まだ……始まったばっかり、だよ?」

意地悪くそう言いながら睦月さんは付けていたマントの留め具を外している。その場にバサリとそれが落ちると同時に、私は睦月さんに膝から抱えられていた。その首に縋りつきながら至近距離で見る睦月さんの瞳は、熱を帯び炎のように揺らめいていた。

睦月さんはベッドに私を下ろすと、見下ろしたままトップスの紐をゆっくりと解いている。

「やっぱり……こんな可愛い魔女は閉じ込めておいたほうがよかったかな?」

笑みを浮かべた睦月さんは、元から見えていた鎖骨あたりに唇を寄せると、そこに強く吸いついた。

「やっ、あっ!」

小さな痛みに混ざる快感に声が漏れる。睦月さんは場所を移動しながら、いくつも私にを付けていた。そして、緩んだトップスの首元に指を差し入れると、そのままずらしていった。

「下着、着けてなかったの?」

少し胸元が開いている服で、下着を着けると見えてしまうし、一応カップ付きだったから私はそのまま着ていたのだ。まさか、こんな脱がされ方をするなんて思っていなくて私の顔は恥ずかしさで熱くなった。

「なんか……すごく色っぽいんだけど」

今度は露わになった胸に口付けながら睦月さんは言う。

「だって……仕方なかったから……」

襲ってくるゾクゾクした感覚に身を捩りながら私は答える。睦月さんの手がゆっくりと私の膨らみを包み、やわやわと弄び始める。そして、そのまま楽しそうに息を漏らした。

「……いけない子だ」

片方は、指の間で胸の先をキュッとつままれ、もう片方は口に含まれる。

「ひゃっ、あ、あぁっ!!」

突然の強い刺激に体中に電流が駆け抜けていき、私は声を上げた。そんな私にお構いなしに、睦月さんはいっそう刺激を強める。

「あぁ!やっ、んんんっ!」

私はもう勝手に揺れる自分の体を抑えることはできず、夢中で睦月さんの頭を抱え声を上げるだけだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜

湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」 30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。 一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。 「ねぇ。酔っちゃったの……… ………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」 一夜のアバンチュールの筈だった。 運命とは時に残酷で甘い……… 羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。 覗いて行きませんか? ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ・R18の話には※をつけます。 ・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。 ・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。

腹黒御曹司との交際前交渉からはじまるエトセトラ

真波トウカ
恋愛
デパートで働く27歳の麻由は、美人で仕事もできる「同期の星」。けれど本当は恋愛経験もなく、自信を持っていた企画書はボツになったりと、うまくいかない事ばかり。 ある日素敵な相手を探そうと婚活パーティーに参加し、悪酔いしてお持ち帰りされそうになってしまう。それを助けてくれたのは、31歳の美貌の男・隼人だった。 紳士な隼人にコンプレックスが爆発し、麻由は「抱いてください」と迫ってしまう。二人は甘い一夜を過ごすが、実は隼人は麻由の天敵である空閑(くが)と同一人物で――? こじらせアラサー女子が恋も仕事も手に入れるお話です。 ※表紙画像は湯弐(pixiv ID:3989101)様の作品をお借りしています。

【R18】十六歳の誕生日、許嫁のハイスペお兄さんを私から解放します。

どん丸
恋愛
菖蒲(あやめ)にはイケメンで優しくて、将来を確約されている年上のかっこいい許嫁がいる。一方菖蒲は特別なことは何もないごく普通の高校生。許嫁に恋をしてしまった菖蒲は、許嫁の為に、十六歳の誕生日に彼を自分から解放することを決める。 婚約破棄ならぬ許嫁解消。 外面爽やか内面激重お兄さんのヤンデレっぷりを知らないヒロインが地雷原の上をタップダンスする話です。 ※成人男性が未成年女性を無理矢理手込めにします。 R18はマーク付きのみ。

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~

taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。 お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥ えっちめシーンの話には♥マークを付けています。 ミックスド★バスの第5弾です。

副社長氏の一途な恋~執心が結んだ授かり婚~

真木
恋愛
相原麻衣子は、冷たく見えて情に厚い。彼女がいつも衝突ばかりしている、同期の「副社長氏」反田晃を想っているのは秘密だ。麻衣子はある日、晃と一夜を過ごした後、姿をくらます。数年後、晃はミス・アイハラという女性が小さな男の子の手を引いて暮らしているのを知って……。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

処理中です...