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そして、いつまでも
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ガラガラと部屋の引き戸が開くと、私の顔を見て一斉に2人が飛び込んで来た。
「「ママっ!」」
「いらっしゃい。待ってたわよ?」
私はそう2人に笑いかけた。
ソファに座る私の両脇にいるのは、もうすぐ4才で、最近はすっかりお姉さんになってきた娘。そして、赤ちゃんから子どもに成長した2才を過ぎた息子。私の可愛い子ども達だ。
「2人とも早いよ!」
そう言いながら遅れて入って来たのは睦月さんだ。
「ママ。赤ちゃん?だれ?」
私の横に座り、娘が尋ねる。
「はーちゃんの弟よ?よろしくね?」
私は自分の腕に抱く、産まれたばかりの新しい家族の顔を見せる。
「可愛いね!」
その顔を覗き込み、娘はそう声を上げた。反対側では、睦月さんが息子を膝に乗せ同じように見ている。
「本当に可愛いよ。さっちゃん、ありがとう」
睦月さんは顔を上げると、私にそう言って微笑みかけてくれた。その顔を見て、私は娘が産まれたとき、泣きながらそう言ってくれた睦月さんを思い出していた。
結婚して、いや、する前から、子どもをどうするかっていう話はしていた。でも話というほどでもなく、お互いの思いは同じだった。
そして、自分でも驚くほど早く訪れてくれた娘。7月の終わりが予定日だったけど、産まれたのは8月。
慣れない育児を睦月さんや、周りの人達の手を借りて乗り越えた。と言っても、きっと育てやすい子だったと思う。でも不意に訪れた赤ちゃん返りに悩まされもした。
その娘が2才になる前の4月の終わりに産まれたのが息子。1人だとできたことも2人になると途端に大変になったり、保育園が見つからず、しばらく2つの園に送り迎えしたり、なんてこともあった。
でも、睦月さんはいつでも一緒にそれを乗り越えてくれたのだ。
「睦月さん。この子の名前、考えてくれた?」
「うん。顔みたら、やっぱりこれだなって」
そう言うと、睦月さんはポケットから小さな紙を取り出した。
「……素敵な名前」
そこに書いてある文字を見て、私は笑みを浮かべそう言った。
「また、増えたね。月の名前が。俺達の家族が」
睦月さんはそう言って、穏やかな優しい顔で子ども達を見る。
そこには、娘の葉月、息子の羽月、そしてまた一人、私達の元にやってきてくれた渚月の顔がある。
──月の名前。それは私達の、大事な家族……だ。
Fin
next 番外編
「「ママっ!」」
「いらっしゃい。待ってたわよ?」
私はそう2人に笑いかけた。
ソファに座る私の両脇にいるのは、もうすぐ4才で、最近はすっかりお姉さんになってきた娘。そして、赤ちゃんから子どもに成長した2才を過ぎた息子。私の可愛い子ども達だ。
「2人とも早いよ!」
そう言いながら遅れて入って来たのは睦月さんだ。
「ママ。赤ちゃん?だれ?」
私の横に座り、娘が尋ねる。
「はーちゃんの弟よ?よろしくね?」
私は自分の腕に抱く、産まれたばかりの新しい家族の顔を見せる。
「可愛いね!」
その顔を覗き込み、娘はそう声を上げた。反対側では、睦月さんが息子を膝に乗せ同じように見ている。
「本当に可愛いよ。さっちゃん、ありがとう」
睦月さんは顔を上げると、私にそう言って微笑みかけてくれた。その顔を見て、私は娘が産まれたとき、泣きながらそう言ってくれた睦月さんを思い出していた。
結婚して、いや、する前から、子どもをどうするかっていう話はしていた。でも話というほどでもなく、お互いの思いは同じだった。
そして、自分でも驚くほど早く訪れてくれた娘。7月の終わりが予定日だったけど、産まれたのは8月。
慣れない育児を睦月さんや、周りの人達の手を借りて乗り越えた。と言っても、きっと育てやすい子だったと思う。でも不意に訪れた赤ちゃん返りに悩まされもした。
その娘が2才になる前の4月の終わりに産まれたのが息子。1人だとできたことも2人になると途端に大変になったり、保育園が見つからず、しばらく2つの園に送り迎えしたり、なんてこともあった。
でも、睦月さんはいつでも一緒にそれを乗り越えてくれたのだ。
「睦月さん。この子の名前、考えてくれた?」
「うん。顔みたら、やっぱりこれだなって」
そう言うと、睦月さんはポケットから小さな紙を取り出した。
「……素敵な名前」
そこに書いてある文字を見て、私は笑みを浮かべそう言った。
「また、増えたね。月の名前が。俺達の家族が」
睦月さんはそう言って、穏やかな優しい顔で子ども達を見る。
そこには、娘の葉月、息子の羽月、そしてまた一人、私達の元にやってきてくれた渚月の顔がある。
──月の名前。それは私達の、大事な家族……だ。
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