149 / 183
37
5
しおりを挟む
式場が決まって式を挙げるまでの間、小さな式だと思っていても、やはり拘りだすと大変だった。
まず衣装。
ドレスは仕事で何度も見たことあるのに、いざ自分となるとどれが良いのか全くわからない。ネットで調べたり、雑誌を見たり、わけがわからなくなって、結局香緒ちゃんに相談した。で、そこから何故か瑤子さんも交えてうちで女子?会。3人寄れば、で一番理想的なドレスを選べたと思う。ちなみに睦月さんにはまだ見せていない。
メイクは2人の後押しもあり自分ですることにして、ヘアだけは自分でできないから担当の人と打ち合わせを重ねた。
式場との打ち合わせは、もちろん睦月さんと一緒に行ったのだけど、そこで一つ問題が浮上したのだ。でも、それを解決してくれたのは、やっぱり頼れる瑤子さんだった。
「瑤子さん、ご面倒をおかけします」
長門さんの家の玄関先で私はそう言って頭を下げる。
「全然!気にしないで。しばらくお預かりするわね?」
そう言って瑤子さんが笑顔で答えていると、睦月さんが長門さんにかんちゃんのリードを渡していた。
「かんちゃん、良い子にしててね。またあとで会えるから」
睦月さんがそう言うと、かんちゃんは振り返り「ワンッ!」と元気よく返事をした。
実は今日の式、外はペット連れOKだったのだけど、建物の中は基本ゲージに入れておかないといけなかったのだ。私達と一緒に会場へ行くと、狭いゲージに長時間閉じ込めることになってしまうから、それが気がかりだった。
でもそれを、今ではすっかりご近所さんとして行き来する仲になり、たまに散歩にも着いて来てくれていた瑤子さんが「良かったら私、会場まで連れて行くわよ?」と言ってくれたのだ。
「大丈夫だろ。コイツ、結構賢いからな」
長門さんは見上げていたかんちゃんに、「sit」と綺麗な発音で命令すると、かんちゃんはそれに従って座った。
「だからさ、うちの子アッサリ手懐けないでよ」
肩を落とす睦月さんに、長門さんは「ふ。悪いな」と得意げな顔をして見せていた。
そんな2人に少し呆れたような顔をしつつ、「咲月ちゃん、もうそろそろ時間でしょ?ゲージ預かるわね?」と私が持っていたゲージに手をかける。
「はい。じゃあ、お2人とも、よろしくお願いします」
「楽しみにしてるわ。またあとでね」
「お前の鼻の下伸びきった顔、写真に山と収めてやるからな」
「そこは一番格好良く撮ってくれるかな?」
そんなことを言い合って、私達はマンションをあとにした。
まず衣装。
ドレスは仕事で何度も見たことあるのに、いざ自分となるとどれが良いのか全くわからない。ネットで調べたり、雑誌を見たり、わけがわからなくなって、結局香緒ちゃんに相談した。で、そこから何故か瑤子さんも交えてうちで女子?会。3人寄れば、で一番理想的なドレスを選べたと思う。ちなみに睦月さんにはまだ見せていない。
メイクは2人の後押しもあり自分ですることにして、ヘアだけは自分でできないから担当の人と打ち合わせを重ねた。
式場との打ち合わせは、もちろん睦月さんと一緒に行ったのだけど、そこで一つ問題が浮上したのだ。でも、それを解決してくれたのは、やっぱり頼れる瑤子さんだった。
「瑤子さん、ご面倒をおかけします」
長門さんの家の玄関先で私はそう言って頭を下げる。
「全然!気にしないで。しばらくお預かりするわね?」
そう言って瑤子さんが笑顔で答えていると、睦月さんが長門さんにかんちゃんのリードを渡していた。
「かんちゃん、良い子にしててね。またあとで会えるから」
睦月さんがそう言うと、かんちゃんは振り返り「ワンッ!」と元気よく返事をした。
実は今日の式、外はペット連れOKだったのだけど、建物の中は基本ゲージに入れておかないといけなかったのだ。私達と一緒に会場へ行くと、狭いゲージに長時間閉じ込めることになってしまうから、それが気がかりだった。
でもそれを、今ではすっかりご近所さんとして行き来する仲になり、たまに散歩にも着いて来てくれていた瑤子さんが「良かったら私、会場まで連れて行くわよ?」と言ってくれたのだ。
「大丈夫だろ。コイツ、結構賢いからな」
長門さんは見上げていたかんちゃんに、「sit」と綺麗な発音で命令すると、かんちゃんはそれに従って座った。
「だからさ、うちの子アッサリ手懐けないでよ」
肩を落とす睦月さんに、長門さんは「ふ。悪いな」と得意げな顔をして見せていた。
そんな2人に少し呆れたような顔をしつつ、「咲月ちゃん、もうそろそろ時間でしょ?ゲージ預かるわね?」と私が持っていたゲージに手をかける。
「はい。じゃあ、お2人とも、よろしくお願いします」
「楽しみにしてるわ。またあとでね」
「お前の鼻の下伸びきった顔、写真に山と収めてやるからな」
「そこは一番格好良く撮ってくれるかな?」
そんなことを言い合って、私達はマンションをあとにした。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
クリスマスに咲くバラ
篠原怜
恋愛
亜美は29歳。クリスマスを目前にしてファッションモデルの仕事を引退した。亜美には貴大という婚約者がいるのだが今のところ結婚はの予定はない。彼は実業家の御曹司で、年下だけど頼りになる人。だけど亜美には結婚に踏み切れない複雑な事情があって……。■2012年に著者のサイトで公開したものの再掲です。
アダルト漫画家とランジェリー娘
茜色
恋愛
21歳の音原珠里(おとはら・じゅり)は14歳年上のいとこでアダルト漫画家の音原誠也(おとはら・せいや)と二人暮らし。誠也は10年以上前、まだ子供だった珠里を引き取り養い続けてくれた「保護者」だ。
今や社会人となった珠里は、誠也への秘めた想いを胸に、いつまでこの平和な暮らしが許されるのか少し心配な日々を送っていて……。
☆全22話です。職業等の設定・描写は非常に大雑把で緩いです。ご了承くださいませ。
☆エピソードによって、ヒロイン視点とヒーロー視点が不定期に入れ替わります。
☆「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しております。
出会ったのは間違いでした 〜御曹司と始める偽りのエンゲージメント〜
玖羽 望月
恋愛
親族に代々議員を輩出するような家に生まれ育った鷹柳実乃莉は、意に沿わぬお見合いをさせられる。
なんとか相手から断ってもらおうとイメージチェンジをし待ち合わせのレストランに向かった。
そこで案内された席にいたのは皆上龍だった。
が、それがすでに間違いの始まりだった。
鷹柳 実乃莉【たかやなぎ みのり】22才
何事も控えめにと育てられてきたお嬢様。
皆上 龍【みなかみ りょう】 33才
自分で一から始めた会社の社長。
作中に登場する職業や内容はまったくの想像です。実際とはかけ離れているかと思います。ご了承ください。
初出はエブリスタにて。
2023.4.24〜2023.8.9
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる