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初詣は無事終わり、神社をあとにする頃にはもう日付は変わっていて、お互い「あけましておめでとうございます」と言いあった。
それから近くのファミレスで一休みして、家に着いたのは深夜と言うか、朝方と言うべきなのか3時過ぎ。
運転してくれている睦月さんに悪いなって思いながらも、睦月さんの運転の心地よさと眠気には勝てず、私はいつの間にか眠ってしまっていた。
「……ゃん。さっちゃん?」
一瞬ここが何処なのか分からなかった。目の前に睦月さんの顔があって、ハッとして私は目を覚ました。
「すいませんっ!私寝ちゃって!」
そう言ってドアに凭れ掛かっていた体を起こすと、睦月さんは私を見てふふっと笑う。
「謝る事ないよ?どちらかと言えば俺にとってご褒美だったかなぁ?」
「ご褒美?」
一体何がなのか検討もつかず、私が不思議に思いながら尋ねると、睦月さんは満面の笑みを見せた。
「ん?可愛い寝顔がずっと見れたからね?」
上機嫌で睦月さんにそう言われて、私は顔から火が出そうだ。
「……見てたんですか?」
少し恨めしげに見上げると、睦月さんは意に介さず笑って口を開いた。
「だって、可愛いから仕方ないでしょ」
猫可愛がりする様にそんな事を言われて、私の顔はきっと真っ赤だろうな、って自覚してしまう。
私が黙ったままでいると、睦月さんは私の方に体を寄せて温かなその手で私の頰にそっと触れた。
「さっちゃんと初めて過ごす夜なんだなぁって……嬉しかった」
ゆっくりとした口調でそう言いながら、睦月さんは私の頰に手を滑らせる。
その瞳が熱を帯びて揺れているのが分かるくらいの距離。
初めてのそれは最近だったのに、今ではもう期待してしまう。もっと触れて欲しいって。
「……んっ……」
唇が合わさると体にムズムズとした感覚が走り、喉の奥から勝手に声が漏れる。それに誘われているように、睦月さんの唇は深くなり、舌先で私の唇はなぞられる。
「ぁ……ん、んっ」
唇の隙間からそんな吐息が漏れて、我慢出来ずに睦月さんのコートの襟にしがみつくと、その上から包み込むように手が重なった。
街頭の灯りに照らされた薄暗い車内に唇が触れ合う音が響く。ただただ気持ち良くて頭はぼんやりしてるのに、もっとと言わんばかりの睦月さんからのキスに、私も夢中で応えていた。
名残り惜しそうに唇が離れると、肩で大きく息を吐き出してから、睦月さんは私の額に唇で触れた。
「キスだけでこんなに気持ちいいなんて俺、知らなかった」
そう言って睦月さんは柔らかな笑顔を私に見せた。
◆◆
「いらっしゃい!さ、上がって上がって!」
1月2日の午前10時。
香緒ちゃんと希海さんの2人に出迎えられ、広い玄関で香緒ちゃんにそう促される。
今日はずっと前から約束していた香緒ちゃんの着物の着付けをする日だ。どんな柄なのか事前に写真を送って貰って、それを見ながらどんなメイクをしようかワクワクしていたのだ。
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
ありきたりだけど、そう言って2人に向かってペコリとお辞儀をすると、2人からも同じように新年の挨拶が返って来た。
「と言う事で、睦月君もよろしくお願いします」
香緒ちゃんはそう言って私の後ろに佇む睦月さんにそう声を掛けた。
「こちらこそ!あ、これお年玉代わりにどうぞ」
睦月さんは持っていたお酒を差し出していて、香緒ちゃんはそれを受け取っていた。なんでも長門さんからの貰い物で、2本あるからそのうち1本をお裾分けに、と言う事だった。
「気を使わなくってよかったのに。あ、武琉がたくさんおせち作ってくれたから2人とも食べて帰ってね」
そんな事を言われながら、皆リビングに移動する。
そこには武琉君がいて、私達の姿を見て表情を緩めてから先に挨拶してくれ、私達も笑顔でそれに返した。
「さっちゃんは先に着付けして貰っていい?睦月君は食べて待ってる?結構時間かかると思うけど」
「食べずに待つよ。元々さっちゃんの運転手のつもりで来たし、俺の事は気にしないで」
睦月さんがそう答えると、私は背中を押されながら「じゃ、あんまり待たせるのもアレだし急ごう!」と香緒ちゃんの部屋に向かった。
そう言えば部屋に入るのは初めてだ。この家に来てもいつもはリビングで事足りるから、入った事はなかった。
「どうぞ?入って」
扉を開けて中に入って行く香緒ちゃんに続いて部屋に入ると、凄く香緒ちゃんらしいシンプルだけど暖かみのある部屋がそこにあった。
今日着る着物は、一番奥のクローゼットの扉に掛けてあって、写真だけでも良いものだと思ったけど、実物はより質の良さが見てとれた。小物類は側のベッドの上に並べてあって、私は先に身に付けるものを伝えてから、着替えている香緒ちゃんを背にメイク道具の用意を始めた。
「さっちゃんは初詣行かないの?」
後ろから衣擦れの音と共に香緒ちゃんの声がしてくる。
「実はもう昨日行ってきたの。睦月さんのご実家の近くの神社に……」
「え!もう実家に挨拶行ったとか?」
手が止まった気配がして、驚いている香緒ちゃんの声が私の耳に届いた。
それから近くのファミレスで一休みして、家に着いたのは深夜と言うか、朝方と言うべきなのか3時過ぎ。
運転してくれている睦月さんに悪いなって思いながらも、睦月さんの運転の心地よさと眠気には勝てず、私はいつの間にか眠ってしまっていた。
「……ゃん。さっちゃん?」
一瞬ここが何処なのか分からなかった。目の前に睦月さんの顔があって、ハッとして私は目を覚ました。
「すいませんっ!私寝ちゃって!」
そう言ってドアに凭れ掛かっていた体を起こすと、睦月さんは私を見てふふっと笑う。
「謝る事ないよ?どちらかと言えば俺にとってご褒美だったかなぁ?」
「ご褒美?」
一体何がなのか検討もつかず、私が不思議に思いながら尋ねると、睦月さんは満面の笑みを見せた。
「ん?可愛い寝顔がずっと見れたからね?」
上機嫌で睦月さんにそう言われて、私は顔から火が出そうだ。
「……見てたんですか?」
少し恨めしげに見上げると、睦月さんは意に介さず笑って口を開いた。
「だって、可愛いから仕方ないでしょ」
猫可愛がりする様にそんな事を言われて、私の顔はきっと真っ赤だろうな、って自覚してしまう。
私が黙ったままでいると、睦月さんは私の方に体を寄せて温かなその手で私の頰にそっと触れた。
「さっちゃんと初めて過ごす夜なんだなぁって……嬉しかった」
ゆっくりとした口調でそう言いながら、睦月さんは私の頰に手を滑らせる。
その瞳が熱を帯びて揺れているのが分かるくらいの距離。
初めてのそれは最近だったのに、今ではもう期待してしまう。もっと触れて欲しいって。
「……んっ……」
唇が合わさると体にムズムズとした感覚が走り、喉の奥から勝手に声が漏れる。それに誘われているように、睦月さんの唇は深くなり、舌先で私の唇はなぞられる。
「ぁ……ん、んっ」
唇の隙間からそんな吐息が漏れて、我慢出来ずに睦月さんのコートの襟にしがみつくと、その上から包み込むように手が重なった。
街頭の灯りに照らされた薄暗い車内に唇が触れ合う音が響く。ただただ気持ち良くて頭はぼんやりしてるのに、もっとと言わんばかりの睦月さんからのキスに、私も夢中で応えていた。
名残り惜しそうに唇が離れると、肩で大きく息を吐き出してから、睦月さんは私の額に唇で触れた。
「キスだけでこんなに気持ちいいなんて俺、知らなかった」
そう言って睦月さんは柔らかな笑顔を私に見せた。
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「いらっしゃい!さ、上がって上がって!」
1月2日の午前10時。
香緒ちゃんと希海さんの2人に出迎えられ、広い玄関で香緒ちゃんにそう促される。
今日はずっと前から約束していた香緒ちゃんの着物の着付けをする日だ。どんな柄なのか事前に写真を送って貰って、それを見ながらどんなメイクをしようかワクワクしていたのだ。
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
ありきたりだけど、そう言って2人に向かってペコリとお辞儀をすると、2人からも同じように新年の挨拶が返って来た。
「と言う事で、睦月君もよろしくお願いします」
香緒ちゃんはそう言って私の後ろに佇む睦月さんにそう声を掛けた。
「こちらこそ!あ、これお年玉代わりにどうぞ」
睦月さんは持っていたお酒を差し出していて、香緒ちゃんはそれを受け取っていた。なんでも長門さんからの貰い物で、2本あるからそのうち1本をお裾分けに、と言う事だった。
「気を使わなくってよかったのに。あ、武琉がたくさんおせち作ってくれたから2人とも食べて帰ってね」
そんな事を言われながら、皆リビングに移動する。
そこには武琉君がいて、私達の姿を見て表情を緩めてから先に挨拶してくれ、私達も笑顔でそれに返した。
「さっちゃんは先に着付けして貰っていい?睦月君は食べて待ってる?結構時間かかると思うけど」
「食べずに待つよ。元々さっちゃんの運転手のつもりで来たし、俺の事は気にしないで」
睦月さんがそう答えると、私は背中を押されながら「じゃ、あんまり待たせるのもアレだし急ごう!」と香緒ちゃんの部屋に向かった。
そう言えば部屋に入るのは初めてだ。この家に来てもいつもはリビングで事足りるから、入った事はなかった。
「どうぞ?入って」
扉を開けて中に入って行く香緒ちゃんに続いて部屋に入ると、凄く香緒ちゃんらしいシンプルだけど暖かみのある部屋がそこにあった。
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「さっちゃんは初詣行かないの?」
後ろから衣擦れの音と共に香緒ちゃんの声がしてくる。
「実はもう昨日行ってきたの。睦月さんのご実家の近くの神社に……」
「え!もう実家に挨拶行ったとか?」
手が止まった気配がして、驚いている香緒ちゃんの声が私の耳に届いた。
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