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2.吹き荒れるは、春疾風
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二人ともそれほど空腹でないこともあり、二十分後に始まる、お昼を跨ぐ回のチケットを買った。それから売店に並び目当てのものを買い終えると、ちょうど入場開始のアナウンスが流れ出した。
「映画、お好きですか?」
「ん? そうだな。昔はよく観てたけど、映画館で観るのは久しぶりだ。やっぱりポップコーンとコーラは欠かせないよな」
スクリーンに向かい歩きながら問いかけてみる。ポップコーンバケツにコーラと、絵に描いたような映画鑑賞セットを手に、依澄さんは笑顔で答えた。
結局、私たちの選んだ映画は同じで、相手が観たいと思ったものも同じ。つまり二人とも当たっていたのだ。
といっても、たくさんあるように見えて、観たいと思えるものが少なかったということもある。
子ども向けアニメはさすがにないし、恋愛物も今は観る気になれない。残りはしっとりしたヒューマンドラマ系の洋画と邦画、そしてアクション系のもの。
その中から、ニューヨークの街を舞台にしたSFアクションコメディを選んだ。笑っていれば、少しでもモヤモヤした気分を忘れられると思ったから。
でも答え合わせの前にそれは払拭され、今はなんとなく上昇した気分でスクリーンに向かっていた。
まだ予告が始まっていない明るい館内で席に着くと、彼は自分との間にポップコーンを置いた。
「恵舞も遠慮なく食べてくれ。さすがに一人じゃ食べきれない」
「ありがとうございます。では、遠慮なく」
「恵舞はどっちが好み? 塩味とキャラメル味」
「う~ん……。どっちも、ですね。甘いのもしょっぱいのも。交互に食べたくなります。依澄さんは? 甘いの、苦手じゃないですか?」
「そんなことない。甘いものも時々食べるよ」
そんな会話をしているうちに館内は少しずつ暗くなり、お互い前を向いた。
本編に入るとニューヨークの街並みが現れる。訪れたのは数えるほど。一番最後は、ルークと過ごしたあの日。何も知らない私に、ルークは街をガイドしてくれた。手を繋ぐこともなく、まるで保護者のように。
そんな懐かしい街が映し出されるスクリーンを眺めながら、ポップコーンに手を伸ばす。同じタイミングで伸ばした依澄さんの手がほんの少し触れ、それだけでドキリと心臓が脈打った。
映画に集中しようと前を見つめる。笑ったり驚いたりしながら、時々ポップコーンに手を伸ばすと、そのたびに依澄さんの手に触れた。
(もしかして……わざと?)
横目で見るが、彼はスクリーンを真っ直ぐ見つめているだけだった。
「映画、お好きですか?」
「ん? そうだな。昔はよく観てたけど、映画館で観るのは久しぶりだ。やっぱりポップコーンとコーラは欠かせないよな」
スクリーンに向かい歩きながら問いかけてみる。ポップコーンバケツにコーラと、絵に描いたような映画鑑賞セットを手に、依澄さんは笑顔で答えた。
結局、私たちの選んだ映画は同じで、相手が観たいと思ったものも同じ。つまり二人とも当たっていたのだ。
といっても、たくさんあるように見えて、観たいと思えるものが少なかったということもある。
子ども向けアニメはさすがにないし、恋愛物も今は観る気になれない。残りはしっとりしたヒューマンドラマ系の洋画と邦画、そしてアクション系のもの。
その中から、ニューヨークの街を舞台にしたSFアクションコメディを選んだ。笑っていれば、少しでもモヤモヤした気分を忘れられると思ったから。
でも答え合わせの前にそれは払拭され、今はなんとなく上昇した気分でスクリーンに向かっていた。
まだ予告が始まっていない明るい館内で席に着くと、彼は自分との間にポップコーンを置いた。
「恵舞も遠慮なく食べてくれ。さすがに一人じゃ食べきれない」
「ありがとうございます。では、遠慮なく」
「恵舞はどっちが好み? 塩味とキャラメル味」
「う~ん……。どっちも、ですね。甘いのもしょっぱいのも。交互に食べたくなります。依澄さんは? 甘いの、苦手じゃないですか?」
「そんなことない。甘いものも時々食べるよ」
そんな会話をしているうちに館内は少しずつ暗くなり、お互い前を向いた。
本編に入るとニューヨークの街並みが現れる。訪れたのは数えるほど。一番最後は、ルークと過ごしたあの日。何も知らない私に、ルークは街をガイドしてくれた。手を繋ぐこともなく、まるで保護者のように。
そんな懐かしい街が映し出されるスクリーンを眺めながら、ポップコーンに手を伸ばす。同じタイミングで伸ばした依澄さんの手がほんの少し触れ、それだけでドキリと心臓が脈打った。
映画に集中しようと前を見つめる。笑ったり驚いたりしながら、時々ポップコーンに手を伸ばすと、そのたびに依澄さんの手に触れた。
(もしかして……わざと?)
横目で見るが、彼はスクリーンを真っ直ぐ見つめているだけだった。
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