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☆番外編2☆ (27章〜28章辺り)

勝負の行方2

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「それくらいできるっつーの。俺は今、瑤子に絶賛調教されてんだ」

 岡田さんのほうを向いて顔を顰めながらプルタブを開ける司を「ちょっと! 変なこと言いださないでよ!」と私は嗜める。
 確かに、司は家にいると色々と手伝ってくれて、今までやったことのない家事を私の言うことを素直に聞きながらやってくれている。とっても助かってはいるが、調教はしていない……はずだ。

「へ~。ま、司はやらなかっただけで、ほんとは器用だからなんでもできそうだもんね」

 岡田さんは感心したようにそう言うと、同じようにプルタブを開けたビールをテーブルに置いた。

「だろ? いつかお前の家事能力を追い抜いてやるからな?」

 満更でもなさそうに笑いながら司はそう言う。なんで岡田さんといると、こうも精神年齢下がっちゃうんだろ?なんて、私はその顔を見て思う。

「じゃ、とりあえず。いただきまーす!」

 真っ先に岡田さんは手を合わせるとそう声を上げ、私達も同じように手を合わせてそれに倣った。

「それにしても……アジフライ! もしかして俺のために?」
「はい。魚が好きだと聞いたので」

 今日のメニューは、ぜんぜんおもてなしとは程遠い普通の家庭料理。
 岡田さんを呼んだのはいいけど何にしたらいいのか頭を悩ませていた私に、司は『アイツに気を使わなくてもいいっつーの。一人じゃ食べなさそうなもん食わせとけば? ちなみにアイツは肉より魚派だ』なんて言っていた。

「わ~! ありがと、瑤子ちゃん。一人分作るの面倒だしさ、嬉しいよ」
「だろうが。ありがたく食えよ?」

 満面の笑みでお箸を持つ岡田さんに、なぜか作ったわけじゃない司が得意げにそう答えた。

 それからしばらく、主に約2週間前にあったばかりの香緒さんの結婚式の話をしていた。岡田さんは残念ながら参加出来なくて、話を聞いては羨ましがっていた。

「武琉君に会いたいなぁ……。香緒んちに遊びに行こうかな」
「……ちょっと待て。なんでお前が武琉あいつのこと知ってんだ?」

 缶ビール片手に独り言のように呟く岡田さんに司が横から投げかける。そしてそれに岡田さんは、フフンと息を漏らしながら「ひ・み・つ!」と答えた。

「はぁ?」

 不機嫌そうに司は顔を顰めるが、岡田さんのほうはやっぱり気にすることなく笑っている。

「じゃあさ、司も瑤子ちゃんも一緒に遊びに行こうよ。その時に教えてあげる」
「えっ! 私も?」

 突然話題に入れられて驚いていると、岡田さんは当たり前のような顔をして言う。

「だって香緒、瑤子ちゃんに遊びにきてもらうんだって張り切ってたよ?」

なんてことを。

「とりあえず、日程決まったら連絡するね~」

 一緒に行くのは決定事項のように岡田さんは言うと、また料理を口に運ぶ。

「はぁ……」

 私はお箸を持ったまま間抜けな返事でそれに答えた。

「それよりさ、今日のメインイベントは写真勝負でしょ? 勝負ってことは何か賭けてるの?」

 何本目かのビールの缶を手にしながら、岡田さんはニコニコと尋ねる。司はそれにニヤリと笑ったかと思うと口を開こうとした。

 そう言えば……司からは賭けの賞品はすでに聞いている。それは……『一日中服着る暇ないくらい抱かせて?』だった。

「司? 変なこと、言わないでくれる?」

 そんな恥ずかしい内容を岡田さんに聞かせたくないと、私は釘を刺すように笑みを浮かべて先にそう言った。けれど司は楽しげに「睦月が聞きたいって言うから正直に答えるだけだろ?」と答えた。

「だからって言わなくていいでしょ!」

 顔を赤らめながらそう返す私を見て、岡田さんは笑いながら口を開いた。

「ま、司のは聞かなくてもだいたい想像できるかな。瑤子ちゃん頑張って!」

 何を頑張るのかはもう考えないようにして「まだ勝負はついてませんから!」と私は返した。

「じゃ、瑤子ちゃんは? 何にするの?」

 今度はそう振られて、私は少し考えてから口を開く。

「えーと……。司が作ったものが食べたなぁ……って。あ、簡単なものでいいの! なんなら目玉焼きとかで!」

 そう言うと、目の前には意表を突かれたような表情の2人がいた。

「そんなのでいいの? 司ならブランドバッグの一つや二つ買ってくれるよ?」

 岡田さんにはそう言われるが、ブランドバッグに正直興味はないし、どちらかと言えば、お金のかからないことがいい。

「瑤子がそんなものいるわけねーだろ。言っとくが、俺はしないだけでできる男だ。お前が驚くくらい凄いの作るからな?」

 司は笑いながら私にそう言う。確かに司は器用だし、やると言ったらやりそうだ。そんな司を横目に、岡田さんは呆れたように「自分でできる男とか言う?」と突っ込んでいる。

「まあいいや。じゃあ発表といきましょうか!」

 途端に岡田さんは得意げになり、ずっと傍らに置いていた A4ほどの茶封筒を手に取った。
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