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8 side T
1.
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何時だ……?
ふっと目が覚めて窓の外を見ると、空は黒々としていて、色とりどりのネオンが窓に映っていた。
少し体を持ち上げて時計の表示を見るとまだ、4時過ぎだ。
目の前には、俺が洗ってやった背中まで伸びる黒い髪。そこにそっと顔を埋めると、シャンプーの香りが漂った。
こんな香りだったのか。
そんな事をぼんやり思いながら、恐る恐る瑤子の腰に手を回す。
払い退けらるんじゃないかと思ったが、熟睡しているのか微動だにせず肩だけが揺れていた。調子に乗って、俺はむき出しになっている二の腕の後ろ側に唇をつける。
反応がないのを良い事に、少し強めに吸ってから唇を離すと、紅い跡が残った。
見えるところだったら物凄く怒り出しそうだしな。
なんて軽く笑う。
こんな事すら楽しいと思う自分がいるなんて思ってもいなかった。
今は何をやっても瑤子の反応がいちいち面白くて飽きさせない。
まさか、セフレになることにOKするなんて思っていなかったが、手に入れてしまえばこっちのものだ。
けれど、こいつは一筋縄ではいかない女。俺の想像なんて軽く超えてくる。
さっきだってそうだ。
急に自分の方から迫って来たかと思ったら、一段と乱れ艶やかな顔を俺に見せた。
なのに……終わった途端、
「じゃあ、私帰るから」
と、ベッドから下りようとするのを慌てて捕まえた。
何でそうなるんだよ。
俺はそんな台詞、言った事はあるけど言われた事はねーから!
俺にしては珍しく余裕のない顔していたと思う。
結局もう一回、体力を残してやらないくらい無茶苦茶に抱いてそのまま眠った。
正直、まだちゃんといた事にホッとしたのかも知れない。
今日は絶対逃さない。
そう思いながら、腰に回した腕により力を入れた。
しばらく寝付けなくて……と言うか、今ここで寝たらまたいなくなってそうで眠れない。
こっち向かねーかな
ずっと向こうを向いたままで眠る瑤子の顔が見たい。でも、変に触れたら起こしてしまいそうで、仕方なく上下する白い肩を眺めていた。
どの位待ったか分からないが、ようやく瑤子はモソモソ動き出して、こちらにゴロンと寝返りを打った。
漆黒の長い睫毛、紅く熟れた唇。
こいつは、平均よりもかなり綺麗な顔してると思う。なのに、仕事中はそれを見せないよう武装する。理由は未だに分からない。
まあ、それもいいか。これからは俺の前だけその素顔を見せて貰うから。
そんな事を思いながら、目蓋にそっと唇で触れて、頬に触れて、唇に少しだけ触れる。
これ以上やったら、それだけじゃ済まなくなりそうだし
まるで、覚えたてのガキかってくらいに求めてしまう。
いや、覚えてたての頃だって相手をこんなに求めたりしなかった。
こいつの身体は……いや、こいつ自身がまるで麻薬のように俺を溺れさせる。
また触れたくて、そっと唇を押し付けると、ふぅっと瑤子が目を開けた。
「……どう…したの?」
寝ぼけているのか、半分目は開いていない。
「いや?……今度は消えるなよ?」
そう言って、また閉じかかった瞳の横にキスをすると、「う……ん……」と呟きながら俺の胸の中に収まった。
俺はそのままその背中を抱きしめると、意識を手放していた。
「……!!」
次に意識を取り戻した時、隣にいたはずの瑤子の姿がなかった。
は?
と思いながら飛び起きると、部屋の中にコーヒーの香りが漂っているのに気付いた。
「あ、起きた。コーヒー貰ったよ。司もいる?」
カウンターに置かれているポットの前で、バスローブを羽織った瑤子が立っていた。
「あー……今何時だ?」
「もう8時」
笑いながら、そこに備えてあるカップにドリップパックをセットして瑤子は答えた。
今度は消えてなかった……
安心したなんて、瑤子には言えねーな、なんて事を俺は思いながら、機嫌良くコーヒーを入れるその姿を眺めた。
ふっと目が覚めて窓の外を見ると、空は黒々としていて、色とりどりのネオンが窓に映っていた。
少し体を持ち上げて時計の表示を見るとまだ、4時過ぎだ。
目の前には、俺が洗ってやった背中まで伸びる黒い髪。そこにそっと顔を埋めると、シャンプーの香りが漂った。
こんな香りだったのか。
そんな事をぼんやり思いながら、恐る恐る瑤子の腰に手を回す。
払い退けらるんじゃないかと思ったが、熟睡しているのか微動だにせず肩だけが揺れていた。調子に乗って、俺はむき出しになっている二の腕の後ろ側に唇をつける。
反応がないのを良い事に、少し強めに吸ってから唇を離すと、紅い跡が残った。
見えるところだったら物凄く怒り出しそうだしな。
なんて軽く笑う。
こんな事すら楽しいと思う自分がいるなんて思ってもいなかった。
今は何をやっても瑤子の反応がいちいち面白くて飽きさせない。
まさか、セフレになることにOKするなんて思っていなかったが、手に入れてしまえばこっちのものだ。
けれど、こいつは一筋縄ではいかない女。俺の想像なんて軽く超えてくる。
さっきだってそうだ。
急に自分の方から迫って来たかと思ったら、一段と乱れ艶やかな顔を俺に見せた。
なのに……終わった途端、
「じゃあ、私帰るから」
と、ベッドから下りようとするのを慌てて捕まえた。
何でそうなるんだよ。
俺はそんな台詞、言った事はあるけど言われた事はねーから!
俺にしては珍しく余裕のない顔していたと思う。
結局もう一回、体力を残してやらないくらい無茶苦茶に抱いてそのまま眠った。
正直、まだちゃんといた事にホッとしたのかも知れない。
今日は絶対逃さない。
そう思いながら、腰に回した腕により力を入れた。
しばらく寝付けなくて……と言うか、今ここで寝たらまたいなくなってそうで眠れない。
こっち向かねーかな
ずっと向こうを向いたままで眠る瑤子の顔が見たい。でも、変に触れたら起こしてしまいそうで、仕方なく上下する白い肩を眺めていた。
どの位待ったか分からないが、ようやく瑤子はモソモソ動き出して、こちらにゴロンと寝返りを打った。
漆黒の長い睫毛、紅く熟れた唇。
こいつは、平均よりもかなり綺麗な顔してると思う。なのに、仕事中はそれを見せないよう武装する。理由は未だに分からない。
まあ、それもいいか。これからは俺の前だけその素顔を見せて貰うから。
そんな事を思いながら、目蓋にそっと唇で触れて、頬に触れて、唇に少しだけ触れる。
これ以上やったら、それだけじゃ済まなくなりそうだし
まるで、覚えたてのガキかってくらいに求めてしまう。
いや、覚えてたての頃だって相手をこんなに求めたりしなかった。
こいつの身体は……いや、こいつ自身がまるで麻薬のように俺を溺れさせる。
また触れたくて、そっと唇を押し付けると、ふぅっと瑤子が目を開けた。
「……どう…したの?」
寝ぼけているのか、半分目は開いていない。
「いや?……今度は消えるなよ?」
そう言って、また閉じかかった瞳の横にキスをすると、「う……ん……」と呟きながら俺の胸の中に収まった。
俺はそのままその背中を抱きしめると、意識を手放していた。
「……!!」
次に意識を取り戻した時、隣にいたはずの瑤子の姿がなかった。
は?
と思いながら飛び起きると、部屋の中にコーヒーの香りが漂っているのに気付いた。
「あ、起きた。コーヒー貰ったよ。司もいる?」
カウンターに置かれているポットの前で、バスローブを羽織った瑤子が立っていた。
「あー……今何時だ?」
「もう8時」
笑いながら、そこに備えてあるカップにドリップパックをセットして瑤子は答えた。
今度は消えてなかった……
安心したなんて、瑤子には言えねーな、なんて事を俺は思いながら、機嫌良くコーヒーを入れるその姿を眺めた。
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