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在学編
第五話 レッドアイ襲来
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グラウンドと体育館のあるところから少し歩き、教室のある棟まで来て、着替えていたら10分ある休み時間もあと3分ほどになってしまった。
さっきのこともあって綾香のことが心配になった。
……が、杞憂だったみたいだ。
綾香が座っている入り口のすぐ隣の一番前の席を見ると、女子3人と楽しそうに話している。
後ろの席の蓮は女子複数に囲まれて、嫌そうな顔を押し殺して苦笑いしているみたいに見えた。
綾香はうまくやったみたいだな。
そんなことを思っていると、綾香が何かを思い出したかのようにこっちの方に顔を向けた。
俺は少しビクッとしたが、すぐにその行為の意味がわかった。
満面の笑みでピースサイン。
綾香も満足したみたいだ。
俺も自然とピースサインをしていた。
キーンコーンカーンコーン
休み時間の終わり。
授業の開始のチャイムが鳴った。
チャイムと同時に数学の先生が入ってきた。
「はい、きりーつ。礼」
「お願いしまーす」
「着席」
号令が終わり、いつものように授業が始まった。
―――「はい、この問題は――」
コンコン
10分ほどたっただろうか。
急に教室の扉をたたく音が聞こえた。
扉の方に顔を向けると、そこには人影が見えた。
影の大きさから見て、男の人だろう。
たまに先生がこんな風に教室に訪ねてくることがある。
「はいはい、今行きまーす」
そう言って、扉の方に先生が向かっていった。
俺はこの隙に次の数学の問題を解こうと教科書に目を向けた。
その数秒後だった。
「うぁああっ!!」
先生の叫び声が聞こえ、すぐに止んだ。
すぐさま扉の方に顔を向けた。
先生は黒の装いに身を包んだ男にもたれかかって、何の反応もなかった。
何が起こっているのかわけがわからなかった。
たぶんそれは他のやつらも同じだろう。
教室の中は静寂に包まれていた。
ズドン!!
静寂を破ったのは黒の装いをした男だった。
もたれかかっていた先生を教室の隅から隅まで投げ飛ばしたのだ。
先生が投げ飛ばされる姿を俺たちはただ茫然と眺めていた。
その後、黒の装いをした男がゆっくりとこちらに体を向けた。
その直後だ。
糸が切れたかのように、教室に悲鳴の波が押し寄せた。
それもそのはずだ。
この男の特徴はある凶悪犯にあまりにも類似していた。
黒の装い、手にはナイフ、顔には仮面、そして赤い目。
レッドアイ本人だった。
それが分かった瞬間、頭には一つのことしか浮かばなかった。
逃げることだ。
それしか考えることができなかった。
もうみんな立ち上がって、後ろの扉から逃げようとしていた。
俺もすぐに後ろの扉から逃げようと席を立とうとした瞬間、綾香のことが目に入った。
綾香はレッドアイが目の前にいるというのに席から立って逃げようとしていなかった。
全身が震えている。
恐怖のあまり立ち上がることもできないんだ。
そして……泣いていた。
その時、ある記憶が脳内に流れてきた。
「約束だよ、焔。もし私が―――」
さっきのこともあって綾香のことが心配になった。
……が、杞憂だったみたいだ。
綾香が座っている入り口のすぐ隣の一番前の席を見ると、女子3人と楽しそうに話している。
後ろの席の蓮は女子複数に囲まれて、嫌そうな顔を押し殺して苦笑いしているみたいに見えた。
綾香はうまくやったみたいだな。
そんなことを思っていると、綾香が何かを思い出したかのようにこっちの方に顔を向けた。
俺は少しビクッとしたが、すぐにその行為の意味がわかった。
満面の笑みでピースサイン。
綾香も満足したみたいだ。
俺も自然とピースサインをしていた。
キーンコーンカーンコーン
休み時間の終わり。
授業の開始のチャイムが鳴った。
チャイムと同時に数学の先生が入ってきた。
「はい、きりーつ。礼」
「お願いしまーす」
「着席」
号令が終わり、いつものように授業が始まった。
―――「はい、この問題は――」
コンコン
10分ほどたっただろうか。
急に教室の扉をたたく音が聞こえた。
扉の方に顔を向けると、そこには人影が見えた。
影の大きさから見て、男の人だろう。
たまに先生がこんな風に教室に訪ねてくることがある。
「はいはい、今行きまーす」
そう言って、扉の方に先生が向かっていった。
俺はこの隙に次の数学の問題を解こうと教科書に目を向けた。
その数秒後だった。
「うぁああっ!!」
先生の叫び声が聞こえ、すぐに止んだ。
すぐさま扉の方に顔を向けた。
先生は黒の装いに身を包んだ男にもたれかかって、何の反応もなかった。
何が起こっているのかわけがわからなかった。
たぶんそれは他のやつらも同じだろう。
教室の中は静寂に包まれていた。
ズドン!!
静寂を破ったのは黒の装いをした男だった。
もたれかかっていた先生を教室の隅から隅まで投げ飛ばしたのだ。
先生が投げ飛ばされる姿を俺たちはただ茫然と眺めていた。
その後、黒の装いをした男がゆっくりとこちらに体を向けた。
その直後だ。
糸が切れたかのように、教室に悲鳴の波が押し寄せた。
それもそのはずだ。
この男の特徴はある凶悪犯にあまりにも類似していた。
黒の装い、手にはナイフ、顔には仮面、そして赤い目。
レッドアイ本人だった。
それが分かった瞬間、頭には一つのことしか浮かばなかった。
逃げることだ。
それしか考えることができなかった。
もうみんな立ち上がって、後ろの扉から逃げようとしていた。
俺もすぐに後ろの扉から逃げようと席を立とうとした瞬間、綾香のことが目に入った。
綾香はレッドアイが目の前にいるというのに席から立って逃げようとしていなかった。
全身が震えている。
恐怖のあまり立ち上がることもできないんだ。
そして……泣いていた。
その時、ある記憶が脳内に流れてきた。
「約束だよ、焔。もし私が―――」
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