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佐藤はボッチな大学生だ
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僕は、ぼっちの佐藤。恋人は当然いない。
SNSのフォロワーだけが友達、でも一度もフォロワーとリアルで会話したこともオフ会で会ったこともない。大学に入ってから一人暮らし、バイトは在宅で動画編集。
彼氏が欲しい僕は、最近マッチング・アプリにハマっている。スマホ片手に選び放題とは便利な時代になったものだ。ずらりと並んだプロフから好みの男性を瞬時に選べるのだ。
マッシュルーム茶髪君とカカオを交換して、三時に新宿東口の改札で会う約束をした。
巨大ダンジョン新宿駅に着くと、人の流れに乗って中央東口の改札に向かう。
改札を出たところでメッセージを送る。
「到着しました。グレーのニット帽と青いマフラーが目印です」
慌ただしく行き交う人達を目で追いながら、待てど暮らせどマッシュルーム茶髪君は現れない。もしかして別の改札口で待っているのかもと心配になり、再度メッセージ送った。
いつまでたっても既読にならず、通話も繋がらず、スマホの画面には四時半と表示されている。もうすぐ夕方のラッシュの時間だ。
「はあ、またすっぽかされた」
ぼっちがアプリで彼氏探し、痛すぎるよね。ドタキャンされたりスルーされるたびに自尊心がすり減っていく。
ぱっとしない外見の僕を見てチェンジしたくなったのか、アプリで他にイイ男を見つけたのか知らんけどな。陰キャでフツメンなのにアプリで盛りすぎたのが原因かもね。
無言ドタキャンは、初めてではないけどやっぱりこたえる。
せめて顔合わせて、お茶ぐらい飲んで、じゃあね、バイバイぐらいして欲しかったよ。
がっかり気落ちし、階段をのろのろ上って地上に出るとアルタビルと巨大スクリーンが視界に飛び込んできた。アルタヴィジョンからは、女の子五人組アイドルグループのJ-POPビデオが流れている。
ピロン ──、メールの着信音。
『熊さんからメッセージが届いてます』
アプリからの通知だった。
熊さんの自撮り画像は、ド・ストライクな前髪系の可愛い男の子。また、スルーされたらどうしようかと思ったが、せっかく巡ってきたチャンスだ。秒で返信し、夜八時に新宿の公園で会う約束をした。
七時半になるまで、ネカフェで漫画を読んだり軽食を取って時間を潰す。
熊さんは、メッセージも丁寧で真面目な感じの人だから、お茶ぐらいしてくれるかもしれない。
居ても立ってもいられなくなって早めにネカフェを出た。
SNSのフォロワーだけが友達、でも一度もフォロワーとリアルで会話したこともオフ会で会ったこともない。大学に入ってから一人暮らし、バイトは在宅で動画編集。
彼氏が欲しい僕は、最近マッチング・アプリにハマっている。スマホ片手に選び放題とは便利な時代になったものだ。ずらりと並んだプロフから好みの男性を瞬時に選べるのだ。
マッシュルーム茶髪君とカカオを交換して、三時に新宿東口の改札で会う約束をした。
巨大ダンジョン新宿駅に着くと、人の流れに乗って中央東口の改札に向かう。
改札を出たところでメッセージを送る。
「到着しました。グレーのニット帽と青いマフラーが目印です」
慌ただしく行き交う人達を目で追いながら、待てど暮らせどマッシュルーム茶髪君は現れない。もしかして別の改札口で待っているのかもと心配になり、再度メッセージ送った。
いつまでたっても既読にならず、通話も繋がらず、スマホの画面には四時半と表示されている。もうすぐ夕方のラッシュの時間だ。
「はあ、またすっぽかされた」
ぼっちがアプリで彼氏探し、痛すぎるよね。ドタキャンされたりスルーされるたびに自尊心がすり減っていく。
ぱっとしない外見の僕を見てチェンジしたくなったのか、アプリで他にイイ男を見つけたのか知らんけどな。陰キャでフツメンなのにアプリで盛りすぎたのが原因かもね。
無言ドタキャンは、初めてではないけどやっぱりこたえる。
せめて顔合わせて、お茶ぐらい飲んで、じゃあね、バイバイぐらいして欲しかったよ。
がっかり気落ちし、階段をのろのろ上って地上に出るとアルタビルと巨大スクリーンが視界に飛び込んできた。アルタヴィジョンからは、女の子五人組アイドルグループのJ-POPビデオが流れている。
ピロン ──、メールの着信音。
『熊さんからメッセージが届いてます』
アプリからの通知だった。
熊さんの自撮り画像は、ド・ストライクな前髪系の可愛い男の子。また、スルーされたらどうしようかと思ったが、せっかく巡ってきたチャンスだ。秒で返信し、夜八時に新宿の公園で会う約束をした。
七時半になるまで、ネカフェで漫画を読んだり軽食を取って時間を潰す。
熊さんは、メッセージも丁寧で真面目な感じの人だから、お茶ぐらいしてくれるかもしれない。
居ても立ってもいられなくなって早めにネカフェを出た。
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