『封印の瞳』 眠る力を解放せよ──魔法、謎、そして禁断の契約。

東城

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封印の謎

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翌朝、アンドレは朝食を食べながらチラチラ僧侶を見ていた。隣には子供に変身した師匠。
師匠はフルーツを食べ終わると僧侶に頼んだ。

「ねえ、おじさん。お兄ちゃんの目の封印の解き方知ってる?」わざとらしいおねだり口調。精一杯可愛らしいつもりらしいが顔が生意気なガキなので怪しさ満点だった。
「基本的に封印は、かけた術師が解くか、その術師が死ぬときに解けるかのいづれだよ」
「でもおじさん、有名な僧侶なんでしょ?」
「なんで知ってるんだ?」
「見たことがある。勇者と一緒だった」
「そうかい。でもおかしいねえ。私が勇者と魔法討伐に出かけたのはかなり前だ。君はまだ生まれてない時代だよ」
「えーと、お母さんから聞いた」師匠があたふたしている。変な汗かいている。
「お母さんはどうしたんだい?」
「死んだ」
「下手な嘘ついてないで、そろそろ正体明かしたらどうだい? もうバレているよ」
師匠は、ぐぐぐっと両手を握りしめた。
「なんでわかったんだ?」
「君が魔道士だってことは最初からわかっていた。魔法の匂いがぷんぷんするからね」

「魔法って匂いがするの?」アンドレは目を丸くした。
「例えだよ。臭いなんてしない。こんな森に子供二人で住んでるなんておかしい。それに弟にしてはあまりにも大人びているし」
「どうせ俺の演技と魔法はちゃちいですよ!」師匠は腕を組んですねた。可愛かった。

アンドレは立ち上がり僧侶に頼む。
「目に入っているルーン文字消せますか? お願いします」
「どれ見てみよう」
僧侶はアンドレの頬を掴み、目を覗き込んだ。

僧侶の温かな手のひらを感じながら、じっとその目を見つめられていた。僧侶の表情は真剣そのもので、まるで自分の内面を探るような眼差しだ。

「うーん…これはただの封印ではないな。」
「どういうことですか?」アンドレは思わず声を上げた。

「君の目に刻まれているのは、封印術の一種だが、普通の封印とは違う。」僧侶はゆっくりと説明を続けた。「これ、ただの魔法の制約じゃなくて、ある種の“契約”だ。強力な魔術師が君に施したものだろう。この目の封印は、君の中に潜む力を抑え込んでいる。」

「契約…ですか?」アンドレはその言葉に少し戸惑った。

僧侶は頷いた。「この封印は、君がある力を手に入れないようにするためのものだ。君がどんな魔力を持っているのか、正確にはわからないけれど、かなり強力なものを抑えていると思う。もしこの封印が解けたら、君の中の力が暴走する可能性がある。だからこそ、封印を解くことは簡単ではない。」

アンドレは心の中で何かがざわめいた。自分の中に、他の人にはない何かが眠っているという感覚は、ずっと感じていた。しかし、それがどんなものなのかはわからなかった。師匠が言っていた「力不足」とは、このことだったのだろうか。

「でも、解けるんですよね?」アンドレは僧侶の目をじっと見つめながら尋ねた。

僧侶は一瞬黙って考え込んだ後、ゆっくりと答えた。「解くことはできる。でも…君にとってそれが本当にいいことなのか、私はわからない。力を持つことが必ずしも幸せに繋がるわけではないからね。」

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