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自由行動
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昼ごはんの後は、自由行動になった。三十七度もある炎天下で練習をして熱中症になったら困るからだろう。
一年の部屋に戻りたいけど、長山先輩が一年の部屋に行ってるから戻れなくなってしまった。部屋でゴロゴロして、スマホを見たりおしゃべりしたり。それにしても暑い。なんで九州で合宿なんだろう。去年は山梨で、涼しくて練習しやすかったと翼先輩が言っていた。
「なんで暑い九州でわざわざ合宿なんですか?」
「しらね。学校の事情なんじゃね? 修学旅行先、九州とか噂聞いたし。事前調査とかじゃね?」翼先輩は寝っ転がってスマホをいじっている。
中学の時の友達が長崎に転校したことを思い出した。高橋、どうしてるかな? ライン交換はしたから話したいけど、スマホがないから無理か。
「長崎ってここから近いのかな? 友達がいるから行ってみたいんだけど」
「新幹線で二時間以上かかるから無理じゃね?」
「そっか、結構遠いんだ」
「友達って女子?」
「そうだけど」
「やっぱ、共学は違うねえ。俺、中学から男子校だから異次元の話だ」
「彼女じゃないですよ。友達」
「女子の友達がいるってだけですごいよ。俺の友達、男オンリーだから」
「翼先輩は友達多いからいいじゃないですか。サッカー部員は翼先輩の友達だし。ところで総勢何名部員いるんですか?」
「三十五名」
「合宿来てるのって十六、十七人くらいじゃ?」
「塾の夏期講習やら用事で合宿に来てない連中や幽霊部員もいるから」
翼先輩って友達百人いそうだな。自分は十人。いや、もっと少ないかも。
しゅんとしていると翼先輩が立ち上がる。
「みんなー、外行こうぜ。観光、観光!」
「そうだなあ」パネエ先輩も立ち上がる。
「指宿の観光名所ってどこですか?」
「砂蒸し温泉」スマホで翼先輩が検索してくれた。
「この暑さで野外の温泉とか無理じゃん。あとは?」パネエ先輩が渋い顔をする。
「海岸とかサファリパーク」
他の先輩たちは、暑いし、だるいからホテルで涼んでいると言った。
朝日、翼先輩、パネエ先輩の三名だけで出かけることになった。
外に出るとやっぱり暑い。ホテルのローターリーにゆらゆらと蜃気楼が見える。
「ぱねぇ」パネエ先輩の口癖が出た。
文字どおり、ぱねぇ暑さだ。
パネエ先輩はタクシーに近づく。パッとタクシーの後部座席のドアが開いた。
「みんな、乗れ乗れ」
パネエ先輩、タクシー奢ってくれるんだって。さすが、パネエ先輩。細かいことにこだわらず、太っ腹なところがいい。
「ファミレスまで」助手席のパネエ先輩はタクシーの運転手に言った。
えー、ファミレス。なんかいつもと変わらないじゃん。
結局、ファミレスで涼むことにした。二人ともスマホばかりしている。
翼先輩が誰かとラインで話している。
「ファミレスだよ。長山も来る? 来いよー」
なんだ、長山先輩か。
スマホを持っていない朝日はドリンクバーのジュースを何杯もおかわりしてぼーっとする。
せっかく鹿児島まで来たんだもの、観光名所巡りとかしたいよ。
でもこの暑さじゃ無理だよなあ。
一年の部屋に戻りたいけど、長山先輩が一年の部屋に行ってるから戻れなくなってしまった。部屋でゴロゴロして、スマホを見たりおしゃべりしたり。それにしても暑い。なんで九州で合宿なんだろう。去年は山梨で、涼しくて練習しやすかったと翼先輩が言っていた。
「なんで暑い九州でわざわざ合宿なんですか?」
「しらね。学校の事情なんじゃね? 修学旅行先、九州とか噂聞いたし。事前調査とかじゃね?」翼先輩は寝っ転がってスマホをいじっている。
中学の時の友達が長崎に転校したことを思い出した。高橋、どうしてるかな? ライン交換はしたから話したいけど、スマホがないから無理か。
「長崎ってここから近いのかな? 友達がいるから行ってみたいんだけど」
「新幹線で二時間以上かかるから無理じゃね?」
「そっか、結構遠いんだ」
「友達って女子?」
「そうだけど」
「やっぱ、共学は違うねえ。俺、中学から男子校だから異次元の話だ」
「彼女じゃないですよ。友達」
「女子の友達がいるってだけですごいよ。俺の友達、男オンリーだから」
「翼先輩は友達多いからいいじゃないですか。サッカー部員は翼先輩の友達だし。ところで総勢何名部員いるんですか?」
「三十五名」
「合宿来てるのって十六、十七人くらいじゃ?」
「塾の夏期講習やら用事で合宿に来てない連中や幽霊部員もいるから」
翼先輩って友達百人いそうだな。自分は十人。いや、もっと少ないかも。
しゅんとしていると翼先輩が立ち上がる。
「みんなー、外行こうぜ。観光、観光!」
「そうだなあ」パネエ先輩も立ち上がる。
「指宿の観光名所ってどこですか?」
「砂蒸し温泉」スマホで翼先輩が検索してくれた。
「この暑さで野外の温泉とか無理じゃん。あとは?」パネエ先輩が渋い顔をする。
「海岸とかサファリパーク」
他の先輩たちは、暑いし、だるいからホテルで涼んでいると言った。
朝日、翼先輩、パネエ先輩の三名だけで出かけることになった。
外に出るとやっぱり暑い。ホテルのローターリーにゆらゆらと蜃気楼が見える。
「ぱねぇ」パネエ先輩の口癖が出た。
文字どおり、ぱねぇ暑さだ。
パネエ先輩はタクシーに近づく。パッとタクシーの後部座席のドアが開いた。
「みんな、乗れ乗れ」
パネエ先輩、タクシー奢ってくれるんだって。さすが、パネエ先輩。細かいことにこだわらず、太っ腹なところがいい。
「ファミレスまで」助手席のパネエ先輩はタクシーの運転手に言った。
えー、ファミレス。なんかいつもと変わらないじゃん。
結局、ファミレスで涼むことにした。二人ともスマホばかりしている。
翼先輩が誰かとラインで話している。
「ファミレスだよ。長山も来る? 来いよー」
なんだ、長山先輩か。
スマホを持っていない朝日はドリンクバーのジュースを何杯もおかわりしてぼーっとする。
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