ゾンビになって復讐しようとしたら、普通に生き返った件

タカユキ

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秘密のうちあけ

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俺たちは、神楽さんの赤い車目指して進んだ。

途中ゾンビに会うかなと思っていたが、杞憂だった。
神楽さんがもちろん運転。
ふぅと皆が一息ついた。
望ちゃんが助手席に乗り、俺と朱莉ちゃんは、後部座席に乗った。

エンジン音が鳴る。すると、遠くの数名のゾンビが、やはりこちらを振り向いた。

だがあいつらは問題じゃない。問題はマンション出口だ。たむろしているはず。

ここで車で強行突破するのは…あまりに無謀過ぎる。ゾンビの群れに閉じ込められたり、そうでなくても血痕が付着し過ぎると、感染する恐れもある。

まぁそれは、空気感染しないことから見ても、少し経てば大丈夫だろうが。

「ねぇ、どうする? 都丸さん。ごめんね頼りにしてばかりで。」

神楽さんが後ろを振り返り、俺を見つめ質問した。救いを求めるその熱い眼差しに、俺は頷いて、返答した。

もちろん、そこもしっかりと考えている。と…言うより答えは簡単だ。
俺のスキル、アイテムBOXを使えば簡単に出口をどんな場所でも作れるからだ。

コンクリートの壁であろうと、アイテムBOXに入れてしまえば、BOXの中に消えるからだ。 

そうすると新しい問題が出てくる。神楽さんと、望ちゃんが俺が消す場面を見る。そうしたら、スキルの事もバレるだろう。

やはりここは、2人に内緒のままは無理だろう。それにスキルを俺だけが使える訳じゃないことが分かった。
なら伝えておいたほうが後々2人の安全の為には、有利になるはず。

ただセーブ&ロードのことは、まだ伝えない。あまり過度に頼られても、困る。

2人にスキルの事を説明をした。その力を使えば、楽にここを脱出が出来ると、真夏の車の中で汗を拭いながら伝えた。

蒸し風呂みたいだ。一応神楽さんがエアコンを入れてくれたが、それでもすぐには、涼しくならない。

「神楽さん、望ちゃん…これから話す事は、全て真実なんだ。俺の言う事を疑問に思わず、信じてくれる?」

そう俺が伝えると、2人は、首を傾げた。朱莉ちゃんは、目をつむっている。

「それは、もちろん。」 
神楽さんが親指を立てて、返事をした。

「そーだよ。都丸さん。私たち大事な仲間だよ?
疑う訳ないじゃん。ちゃんと信じるから、安心して。」
望ちゃんがウインクして言う。

「ありがとう、2人とも…俺には、特別な力があるんだ。今まで黙っててごめん。」

驚きの表情を浮かべて、2人が真剣な表情で、俺の話しに聞き入ってる。

「ゾンビを倒していくと使えるスキルが増える。
けど、俺は今時点では、一個しか使えない。そのスキルで、安全に脱出出来るんだ。」

俺が説明すると、神楽さんが質問をしてきた。

「どうして今になって? 望も知らなかったのよね?」

「うん、初めて聞くよ。」

「それは、スキルが使える人が他にもいることが分かったからなんだ。他にも理由はあるんだけどね…とにかく…その能力アイテムBOXで、コンクリートの壁をBOXに入れることが可能なんだ。だから、車で安全なところで停めて貰えれば、簡単に脱出出来る」

俺は朱莉ちゃんを一瞬見た。何か文句を言われるかもと案じたからだ。でも彼女は、ずっと目をつぶっている。そんなことは気にしないふうに見えた。

「もう、隠し事はなしだからね?」
望ちゃんが釘をさす。

それを聞いて気まずさを感じた。頷いたけれど実はまだ、隠してます。ごめんなさいと心で、何度も謝った。

「そう…分かったわ。その能力ってやつ、見せてもらおうじゃない。」
神楽さんが前を見据え、車を発進させた。
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