エルフに転生した俺は、クズ野郎をぶっ飛ばす!

タカユキ

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2章

絶望的状況

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こうなったら…ティミの前に立って攻撃を受けるしかない。くっそ! 指が使えれば、バリアで防げたのに…これを受けたら無事にはすまないだろうな。

…あ…れ? 俺は目をつむっていた。なんともない…まさか外したか?

俺はそっと目を開けた。

するとそこには、バリアを張っている、魔族の女の子が立っていた。

…確か双子の女の子の方…ルナって言っていた。

「な…なんだテメェは? 魔族が何エルフの味方してやがる?」

やつが後退りし、動揺した様に言う。

「私は…友達の友達を救いに来たんだ! あなたが傷つけると言うのなら、私は…魔族相手でも戦う!」

ルナが勇ましく見えた。だけど…同族同士で戦わせて良いのか?

いや…今は…そうしてもらうしかない。

「ありがとう、ティミを回復させたい。少しだけ、時間を稼いで欲しい。」

俺が頼むと、彼女がにっこり微笑み頷いた。
ルナの黒い瞳が、俺のいた前世の人達を思い出させた。

珍しい…そう考えたがすぐに、回復魔法をティミにかけ始めた。


「ふざけるな! ガキが…いや…仲間をやられた俺には、分かるぜ…その感情が。くっくっく、魔族同士でやり合うなんてよ、人間みたいだぜ!」

「私、魔族と言うより、人間に近いかも。だからそれって間違ってないよ。」


「はん、魔族の皮被った臭え人間かよ。まぁいい。さっさと死ね!」

コンクルカが口から、凄まじい炎を吐き出した。

辺りの森に火が移る。ルナがバリアをずっと張って、そのブレスも、弾いてる。

「はん、いつまで持つかな?」

やつは、余裕そうに一旦ブレスを吐くのをやめ、また吹き出した。

確かにコンクルカの言う通り、長くは保たないかもしれない。だがティミが回復してくれたら、奴を倒してくれるはず。

頼むそれまで持ち堪えてくれ。

…しばらくルナとコンクルカの我慢比べが5分ぐらいだろうか、続いた。

良し、ティミの傷がだいぶ塞がった。あとは、意識を取り戻してくれれば。

ううっ…ルナが膝をついた。バリアが保てなくなったんだ。

「ふん、よく持ちやがったな、褒めてやるよ。炎をであぶって殺すのも良いが、やはり殴ってやらないと、俺の気が済まん。」

コンクルカが猛ダッシュでルナに近寄る!
「くたばりやがれ!」

危ない! 俺はルナの目の前に仁王立ちで庇った。

腹にもろにやつの拳を受けて、俺は吹っ飛ばされて、背後にいるルナもろとも、弾かれた。

激しい激痛が襲う。俺は意識が…遠のきそうになりながら、痛みで意識を取り戻すを繰り返していた。

「マギしっかり! どうして? 私を庇ったの…もう役に立てない私なんか…うぅ。」

彼女の手の感触を感じた。俺は、最後の力を振り絞って、声を出した。

「仲間…だから。それ…より…ティミを連れて、逃げるんだ! 早く!」


「無理だよ、置いてなんていけない。」
ルナが、俺の頼みを断った。今はそれが最善なんだ…このままじゃ、全員全滅する。
だけど、声に出なかった。痛みで最早自我が保てない。

「くっくっく、庇い合いか? やる順番が変わっちまったか。だが、良く耐えたな。次は本気で殴ってやるぜ? だがその前に絶望を与えてやる。」

絶望だと? どう言うことだ?

「俺は1人で来たが、魔族にはワープってもんがあんのよ。今俺の仲間を呼んだ。意味が分かるか? テメェらは終わりってことだ。気絶したガキが復活しても、複数相手は果たして出来るかな?」

そんな…嘘だろ? 俺は重症…頼みの綱のティミは、気絶している。ルナも魔力切れだ。

「ルナ…誰かここに増援は来てくれないのか?」

「うん…来ないと思う。この森の火の煙とかで、気付いてくれたとしても、すぐには…」

彼女の言葉が…虚しく響いた。
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