エルフに転生した俺は、クズ野郎をぶっ飛ばす!

タカユキ

文字の大きさ
上 下
34 / 36
2章

ティミの驕り

しおりを挟む
俺は、ティミを追いかけて、森の中に入った。

「ティミどこだ!」

俺は彼の名前を思いっきり叫んで呼ぶ。

「ここにいるよ…追いかけて来てくれたのは、嬉しいけど、魔族と一緒に生活は無理だよ。」

森の草をかき分けて、ティミが姿を現した。

「…だからってこんな別れ方しなくても。みんなでもっと話し合うべきじゃないのか? 結論を急ぎ過ぎだよ。」


「正論だ! だけど君の言うことが正しかろうとも、僕は、断る。ここでお別れだ…世話になったね。」


「落ち着けって。そうだ、ティミの兄さんが魔族に殺されたって、それは目の前でその…見たのかい?」

「いや…手紙で知ったんだ。」

「くっくっく、お子様達揃いで。」
森の木陰から、不気味な声が響いた。

「お前は、コンクルカ!」

「ほぉ、俺の名前を覚えていたか。ならアリエナのことも覚えてるな? 貴様達にやられた仲間の仇撃たせてもらう。」

やつが怒りの表情で、俺たちを睨みつける。

「…ラピディ、石化を使うやつも一緒か?」

俺は、他に敵がいないか、辺りを入念に調べる。

「くっくっく、お前らガキ2人俺1人充分だ。あいつは忙しい身なんでね。」

良し、しめた。あの石化使いがいないなら、俺たち2人で、充分勝機はある。

「まさか? あいつがいないから、俺に勝てるとでも? 舐められたもんだ。」

「…マギ下がっててくれ。ここは僕だけでやる。
そこの魔族! 僕は今、イラついてるんだ。
なぁ、虚栄のヴァニタをお前は知ってるか? どこにいるか言えば、見逃してるやる。」

「くっくっく、見逃してやるだと? 俺の聞き間違えか? 見逃して下さい。だろ?」

「そんなことはどうでもいい。ヴァニタはどこにいる?」

「ヴァニタ? あああの変わり者か…知らんな。それに知る必要はない。お前はここで俺に殺されるんだからな…ソニックインパクト!」

ティミが、コンクルカの攻撃をあっさりとかわしながら、近づいていく。

弓を手に持ち、コンクルカに狙いを定める。

「はっ。そんなもん当たるかよ。」

ん? コンクルカの体が何か…動いた様な? 気のせいか。

だがやつの言う通り、確かに普通に撃っても避けられるだろう。

「どうかな?」

ティミが、弓を引くと見せかけて、魔法を唱え左手でそれを飛ばした。

「テッラエ・フムス!」

凄い、大地から煙が吹き出て、視界が煙で見えない。
ティミは、魔法で見えるのか?

「ソリス・フラクトゥラ!」

どうなってるんだ? 戦況は? 
しばらく経って、土煙が消えていく。

俺の前には、ティミと、首の無いコンクルカが、仰向けに倒れていた。

ティミ…強い! 圧倒的じゃないか。
俺は、ほっと胸を撫で下ろした。

みんな、本当に頼りになるな。魔王の幹部が手も足も出ないじゃないか。
ニヤッとほくそ笑んだ…だが…それが愚かなことだった。
魔族に油断して自分もやられた。それを思い出させる光景が目の前で、起こった。

「はん、相手にもならない。魔族なんて、卑怯なだけで、たいしたことないな。こんな奴らに本当に兄さんは、やられたのか?」



ティミが、ため息を吐いてコンクルカを見下す様に言った。


その直後…やつが立ち上がり右手の爪でティミの体を貫いた。そして…血が真っ赤に染まっていく。

「ぐっは」
口から血を吐き出した。彼の表情が青白くなった。それを見て、俺は急いでティミを救出に向かう。


「くっくっくっ、卑怯な…か。真面目なボンクラ魔族なんざ、戦場では、役に立たん。しかし…残念だったな。俺は、身体が本体なんだよ。」

コンクルカの体に顔が浮かんでいた。まるで蛙の様な口がパクパクと気味悪く動いていた。

「そらよ!」
やつが手を振りまわし、ティミを俺に投げつけてきた。

ティミ! すぐに回復魔法をかけてやる。
俺は左手をかざし、回復魔法を唱えた。

「ほぅ、やはりアリエナにやられた指は、左手の指では、使えない様だな。俺がそのまま回復させるわけがないだろうが!」

くっ…罠か。どうする? 回復魔法をする暇がない…だがしなければティミが危ない。

やつはそれが狙いか? ティミを見捨てさせようとしているのか? 
とことん腐った野郎だ。誰がそんなことするか!

「オラァ! 死ね! グランドリフト!」

コンクルカのパワー攻撃だ。地面を削ってそれをぶつけてきた。

しまった! 避けきれない…俺だけならまだ…だが…それだとティミが死ぬ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

魔女は言う。「復讐したい? なら新兵器の実験台になってくれないかしら?」と…… 【鎧殻剣記】

熱燗徳利
ファンタジー
「新兵器の実験台になってくれないかしら?」 同学年の魔女は平気な顔でそんなことを言う。 神聖ヴァルスレン帝国内では、魔術師が原因と思われる不審な事件が多発する。 そんな中、セリオス大学に通う主人公アルベクの前に、自ら魔女を名乗る少女が現れた。彼女はアルベクに新兵器の実験台になってくれるよう頼みこんできて…… 新兵器の力により、特殊な鎧を纏った「鎧殻装兵」として、恐ろしい陰謀に立ち向かいつつ、自身の復讐の相手を探していくダークファンタジー

勇者召喚に巻き込まれたおっさんはウォッシュの魔法(必須:ウィッシュのポーズ)しか使えません。~大川大地と女子高校生と行く気ままな放浪生活~

北きつね
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれた”おっさん”は、すぐにステータスを偽装した。  ろくでもない目的で、勇者召喚をしたのだと考えたからだ。  一緒に召喚された、女子高校生と城を抜け出して、王都を脱出する方法を考える。  ダメだ大人と、理不尽ないじめを受けていた女子高校生は、巻き込まれた勇者召喚で知り合った。二人と名字と名前を持つ猫(聖獣)とのスローライフは、いろいろな人を巻き込んでにぎやかになっていく。  おっさんは、日本に居た時と同じ仕事を行い始める。  女子高校生は、隠したスキルを使って、おっさんの仕事を手伝う(手伝っているつもり)。 注)作者が楽しむ為に書いています。   誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめて行います。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件

桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。 神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。 しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。 ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。 ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...