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2章
ティミの驕り
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俺は、ティミを追いかけて、森の中に入った。
「ティミどこだ!」
俺は彼の名前を思いっきり叫んで呼ぶ。
「ここにいるよ…追いかけて来てくれたのは、嬉しいけど、魔族と一緒に生活は無理だよ。」
森の草をかき分けて、ティミが姿を現した。
「…だからってこんな別れ方しなくても。みんなでもっと話し合うべきじゃないのか? 結論を急ぎ過ぎだよ。」
「正論だ! だけど君の言うことが正しかろうとも、僕は、断る。ここでお別れだ…世話になったね。」
「落ち着けって。そうだ、ティミの兄さんが魔族に殺されたって、それは目の前でその…見たのかい?」
「いや…手紙で知ったんだ。」
「くっくっく、お子様達揃いで。」
森の木陰から、不気味な声が響いた。
「お前は、コンクルカ!」
「ほぉ、俺の名前を覚えていたか。ならアリエナのことも覚えてるな? 貴様達にやられた仲間の仇撃たせてもらう。」
やつが怒りの表情で、俺たちを睨みつける。
「…ラピディ、石化を使うやつも一緒か?」
俺は、他に敵がいないか、辺りを入念に調べる。
「くっくっく、お前らガキ2人俺1人充分だ。あいつは忙しい身なんでね。」
良し、しめた。あの石化使いがいないなら、俺たち2人で、充分勝機はある。
「まさか? あいつがいないから、俺に勝てるとでも? 舐められたもんだ。」
「…マギ下がっててくれ。ここは僕だけでやる。
そこの魔族! 僕は今、イラついてるんだ。
なぁ、虚栄のヴァニタをお前は知ってるか? どこにいるか言えば、見逃してるやる。」
「くっくっく、見逃してやるだと? 俺の聞き間違えか? 見逃して下さい。だろ?」
「そんなことはどうでもいい。ヴァニタはどこにいる?」
「ヴァニタ? あああの変わり者か…知らんな。それに知る必要はない。お前はここで俺に殺されるんだからな…ソニックインパクト!」
ティミが、コンクルカの攻撃をあっさりとかわしながら、近づいていく。
弓を手に持ち、コンクルカに狙いを定める。
「はっ。そんなもん当たるかよ。」
ん? コンクルカの体が何か…動いた様な? 気のせいか。
だがやつの言う通り、確かに普通に撃っても避けられるだろう。
「どうかな?」
ティミが、弓を引くと見せかけて、魔法を唱え左手でそれを飛ばした。
「テッラエ・フムス!」
凄い、大地から煙が吹き出て、視界が煙で見えない。
ティミは、魔法で見えるのか?
「ソリス・フラクトゥラ!」
どうなってるんだ? 戦況は?
しばらく経って、土煙が消えていく。
俺の前には、ティミと、首の無いコンクルカが、仰向けに倒れていた。
ティミ…強い! 圧倒的じゃないか。
俺は、ほっと胸を撫で下ろした。
みんな、本当に頼りになるな。魔王の幹部が手も足も出ないじゃないか。
ニヤッとほくそ笑んだ…だが…それが愚かなことだった。
魔族に油断して自分もやられた。それを思い出させる光景が目の前で、起こった。
「はん、相手にもならない。魔族なんて、卑怯なだけで、たいしたことないな。こんな奴らに本当に兄さんは、やられたのか?」
ティミが、ため息を吐いてコンクルカを見下す様に言った。
その直後…やつが立ち上がり右手の爪でティミの体を貫いた。そして…血が真っ赤に染まっていく。
「ぐっは」
口から血を吐き出した。彼の表情が青白くなった。それを見て、俺は急いでティミを救出に向かう。
「くっくっくっ、卑怯な…か。真面目なボンクラ魔族なんざ、戦場では、役に立たん。しかし…残念だったな。俺は、身体が本体なんだよ。」
コンクルカの体に顔が浮かんでいた。まるで蛙の様な口がパクパクと気味悪く動いていた。
「そらよ!」
やつが手を振りまわし、ティミを俺に投げつけてきた。
ティミ! すぐに回復魔法をかけてやる。
俺は左手をかざし、回復魔法を唱えた。
「ほぅ、やはりアリエナにやられた指は、左手の指では、使えない様だな。俺がそのまま回復させるわけがないだろうが!」
くっ…罠か。どうする? 回復魔法をする暇がない…だがしなければティミが危ない。
やつはそれが狙いか? ティミを見捨てさせようとしているのか?
とことん腐った野郎だ。誰がそんなことするか!
「オラァ! 死ね! グランドリフト!」
コンクルカのパワー攻撃だ。地面を削ってそれをぶつけてきた。
しまった! 避けきれない…俺だけならまだ…だが…それだとティミが死ぬ。
「ティミどこだ!」
俺は彼の名前を思いっきり叫んで呼ぶ。
「ここにいるよ…追いかけて来てくれたのは、嬉しいけど、魔族と一緒に生活は無理だよ。」
森の草をかき分けて、ティミが姿を現した。
「…だからってこんな別れ方しなくても。みんなでもっと話し合うべきじゃないのか? 結論を急ぎ過ぎだよ。」
「正論だ! だけど君の言うことが正しかろうとも、僕は、断る。ここでお別れだ…世話になったね。」
「落ち着けって。そうだ、ティミの兄さんが魔族に殺されたって、それは目の前でその…見たのかい?」
「いや…手紙で知ったんだ。」
「くっくっく、お子様達揃いで。」
森の木陰から、不気味な声が響いた。
「お前は、コンクルカ!」
「ほぉ、俺の名前を覚えていたか。ならアリエナのことも覚えてるな? 貴様達にやられた仲間の仇撃たせてもらう。」
やつが怒りの表情で、俺たちを睨みつける。
「…ラピディ、石化を使うやつも一緒か?」
俺は、他に敵がいないか、辺りを入念に調べる。
「くっくっく、お前らガキ2人俺1人充分だ。あいつは忙しい身なんでね。」
良し、しめた。あの石化使いがいないなら、俺たち2人で、充分勝機はある。
「まさか? あいつがいないから、俺に勝てるとでも? 舐められたもんだ。」
「…マギ下がっててくれ。ここは僕だけでやる。
そこの魔族! 僕は今、イラついてるんだ。
なぁ、虚栄のヴァニタをお前は知ってるか? どこにいるか言えば、見逃してるやる。」
「くっくっく、見逃してやるだと? 俺の聞き間違えか? 見逃して下さい。だろ?」
「そんなことはどうでもいい。ヴァニタはどこにいる?」
「ヴァニタ? あああの変わり者か…知らんな。それに知る必要はない。お前はここで俺に殺されるんだからな…ソニックインパクト!」
ティミが、コンクルカの攻撃をあっさりとかわしながら、近づいていく。
弓を手に持ち、コンクルカに狙いを定める。
「はっ。そんなもん当たるかよ。」
ん? コンクルカの体が何か…動いた様な? 気のせいか。
だがやつの言う通り、確かに普通に撃っても避けられるだろう。
「どうかな?」
ティミが、弓を引くと見せかけて、魔法を唱え左手でそれを飛ばした。
「テッラエ・フムス!」
凄い、大地から煙が吹き出て、視界が煙で見えない。
ティミは、魔法で見えるのか?
「ソリス・フラクトゥラ!」
どうなってるんだ? 戦況は?
しばらく経って、土煙が消えていく。
俺の前には、ティミと、首の無いコンクルカが、仰向けに倒れていた。
ティミ…強い! 圧倒的じゃないか。
俺は、ほっと胸を撫で下ろした。
みんな、本当に頼りになるな。魔王の幹部が手も足も出ないじゃないか。
ニヤッとほくそ笑んだ…だが…それが愚かなことだった。
魔族に油断して自分もやられた。それを思い出させる光景が目の前で、起こった。
「はん、相手にもならない。魔族なんて、卑怯なだけで、たいしたことないな。こんな奴らに本当に兄さんは、やられたのか?」
ティミが、ため息を吐いてコンクルカを見下す様に言った。
その直後…やつが立ち上がり右手の爪でティミの体を貫いた。そして…血が真っ赤に染まっていく。
「ぐっは」
口から血を吐き出した。彼の表情が青白くなった。それを見て、俺は急いでティミを救出に向かう。
「くっくっくっ、卑怯な…か。真面目なボンクラ魔族なんざ、戦場では、役に立たん。しかし…残念だったな。俺は、身体が本体なんだよ。」
コンクルカの体に顔が浮かんでいた。まるで蛙の様な口がパクパクと気味悪く動いていた。
「そらよ!」
やつが手を振りまわし、ティミを俺に投げつけてきた。
ティミ! すぐに回復魔法をかけてやる。
俺は左手をかざし、回復魔法を唱えた。
「ほぅ、やはりアリエナにやられた指は、左手の指では、使えない様だな。俺がそのまま回復させるわけがないだろうが!」
くっ…罠か。どうする? 回復魔法をする暇がない…だがしなければティミが危ない。
やつはそれが狙いか? ティミを見捨てさせようとしているのか?
とことん腐った野郎だ。誰がそんなことするか!
「オラァ! 死ね! グランドリフト!」
コンクルカのパワー攻撃だ。地面を削ってそれをぶつけてきた。
しまった! 避けきれない…俺だけならまだ…だが…それだとティミが死ぬ。
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