27 / 36
2章
レニスとスビアの友情
しおりを挟むレニスの視点
マギのお母様の借りている家で、私はスビアの部屋のドアを叩いた。彼女がドアの隙間から顔を出した。
スビア、ご飯食べに行こう。
私は、彼女と仲良くなりたくて食事に誘った。
パーティ…いや…仲間になったからには、色々と、彼女の考え方や癖、魔法は何が得意か、共有したいと思った。
「はぁ? なんであんたと行かなきゃ、行けないの? ティミドゥスでも誘ったら?」
嫌そうにスビアが首を傾げて言う。自分じゃなくて男の子を誘えと言われた。
その反応は予想通りだった。顔見知りだから、ある程度彼女の事は知っている。
彼女は、口調は厳しいけど、根は優しい。スビアは、裏で私を助けてくれていた。男の子に私のことをバカにするなと言ってくれたから。
だからそのお礼も兼ねている。
私はなんでスビアを誘うかを事細かに伝えた。
「まずですね、マギ以外の男の子と2人きりでご飯食べに行きたくないのですよ。誤解されたら嫌じゃないですか?」
好きな人に誤解されたくない、当然の考えだと思った。彼女にも分かってもらえると、自信を持って、もう一度食事に誘った。
「ならマギ誘えば良いじゃない。私は、あなたと仲良くなるつもりはない。」
ちょっと冷たい彼女の反応に、私は落ち込んだ。
仲良くなるつもりがないのは、何故だろう?
前のやり取りで、嫌われたのだろうか?
私は、マギを誘わない理由を喋ることにした。
「マギは、お母様と魔法の練習中なのです。邪魔したら、悪いのでスビアを誘いました。」
私は言葉を選んで、彼女の返事を真剣な表情で待った。
「…まぁ良いわ。気に入った人としか食事しない大人には、なりたくないって思う。あんたが、誘ったのも、別に私が気に入ったからじゃないんでしょ?」
スビアが大人になりたくないって、もう大人の対応をしてると思ってクスッと、笑みが溢れた。
「フフ、スビアは素直じゃないですね~。分かってますよ。断ったら私が可哀想だから行くって決めたんですよね。」
「もー何よ! 違うから! そんなじゃないし…何笑ってんのよ。」
はいはい、プライドが高いんですね。
怒ったふりかな? むしろ戯れてきてますよね?
面倒くさい性格ですが…それが私には、可愛く思えた。誘ってよかったと、胸を撫で下ろし、街へと出掛ける準備を始めた。
オシャレをして、外で待っていると、帽子を被った愛くるしい女の子が出てきた。
なんという可愛さ! 私は好奇の目を宿して、食い入る様にスビアを見つめた。
「ちょっと、そんなに見ないでよ。」
頬が赤く染まって照れる姿と口調のギャップに私は感動すら覚えた。
「似合ってますね。凄く可憐な女の子が目の前に現れたので、私ドキドキしました。」
思った事を正直に言って、すぐに恥ずかしい気持ちが沸き起こって、手で顔を隠した。
「なっ…ふん、褒められても…嬉しくないからね?」
彼女はまるで、歯止めの効かないへそ曲がりだ。
きっとそれが個性なのだ。欠点なんかじゃなく、きちんと自分を持っていると言う事だろう。
素直が良いとは限らない。操り人形みたいになって利用されることもある。
そうならないと考えると、信用できる友達だ。
しばらく街を歩いていると、大きな声で男の人が叫んでいた。
「これから魔族の双子の子供を処刑する! 俺の親を殺した奴の子供だ! 見物料は要らん。魔族に殺された片方、無念を晴らそうではありませんか!」
その声に反応して、私とスビアは立ち止まった。一体、何が起こるのか思案した。
マギのお母様の借りている家で、私はスビアの部屋のドアを叩いた。彼女がドアの隙間から顔を出した。
スビア、ご飯食べに行こう。
私は、彼女と仲良くなりたくて食事に誘った。
パーティ…いや…仲間になったからには、色々と、彼女の考え方や癖、魔法は何が得意か、共有したいと思った。
「はぁ? なんであんたと行かなきゃ、行けないの? ティミドゥスでも誘ったら?」
嫌そうにスビアが首を傾げて言う。自分じゃなくて男の子を誘えと言われた。
その反応は予想通りだった。顔見知りだから、ある程度彼女の事は知っている。
彼女は、口調は厳しいけど、根は優しい。スビアは、裏で私を助けてくれていた。男の子に私のことをバカにするなと言ってくれたから。
だからそのお礼も兼ねている。
私はなんでスビアを誘うかを事細かに伝えた。
「まずですね、マギ以外の男の子と2人きりでご飯食べに行きたくないのですよ。誤解されたら嫌じゃないですか?」
好きな人に誤解されたくない、当然の考えだと思った。彼女にも分かってもらえると、自信を持って、もう一度食事に誘った。
「ならマギ誘えば良いじゃない。私は、あなたと仲良くなるつもりはない。」
ちょっと冷たい彼女の反応に、私は落ち込んだ。
仲良くなるつもりがないのは、何故だろう?
前のやり取りで、嫌われたのだろうか?
私は、マギを誘わない理由を喋ることにした。
「マギは、お母様と魔法の練習中なのです。邪魔したら、悪いのでスビアを誘いました。」
私は言葉を選んで、彼女の返事を真剣な表情で待った。
「…まぁ良いわ。気に入った人としか食事しない大人には、なりたくないって思う。あんたが、誘ったのも、別に私が気に入ったからじゃないんでしょ?」
スビアが大人になりたくないって、もう大人の対応をしてると思ってクスッと、笑みが溢れた。
「フフ、スビアは素直じゃないですね~。分かってますよ。断ったら私が可哀想だから行くって決めたんですよね。」
「もー何よ! 違うから! そんなじゃないし…何笑ってんのよ。」
はいはい、プライドが高いんですね。
怒ったふりかな? むしろ戯れてきてますよね?
面倒くさい性格ですが…それが私には、可愛く思えた。誘ってよかったと、胸を撫で下ろし、街へと出掛ける準備を始めた。
オシャレをして、外で待っていると、帽子を被った愛くるしい女の子が出てきた。
なんという可愛さ! 私は好奇の目を宿して、食い入る様にスビアを見つめた。
「ちょっと、そんなに見ないでよ。」
頬が赤く染まって照れる姿と口調のギャップに私は感動すら覚えた。
「似合ってますね。凄く可憐な女の子が目の前に現れたので、私ドキドキしました。」
思った事を正直に言って、すぐに恥ずかしい気持ちが沸き起こって、手で顔を隠した。
「なっ…ふん、褒められても…嬉しくないからね?」
彼女はまるで、歯止めの効かないへそ曲がりだ。
きっとそれが個性なのだ。欠点なんかじゃなく、きちんと自分を持っていると言う事だろう。
素直が良いとは限らない。操り人形みたいになって利用されることもある。
そうならないと考えると、信用できる友達だ。
しばらく街を歩いていると、大きな声で男の人が叫んでいた。
「これから魔族の双子の子供を処刑する! 俺の親を殺した奴の子供だ! 見物料は要らん。魔族に殺された片方、無念を晴らそうではありませんか!」
その声に反応して、私とスビアは立ち止まった。一体、何が起こるのか思案した。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
アルカディア・クロニクル ゲーム世界にようこそ!
織部
ファンタジー
記憶を失った少年アキラ、目覚めたのはゲームの世界だった!
ナビゲーターの案内で進む彼は、意思を持ったキャラクターたちや理性を持つ魔物と対峙しながら物語を進める。
新たなキャラクターは、ガチャによって、仲間になっていく。
しかし、そのガチャは、仕組まれたものだった。
ナビゲーターの女は、誰なのか? どこに存在しているのか。
一方、妹・山吹は兄の失踪の秘密に迫る。
異世界と現実が交錯し、運命が動き出す――群像劇が今、始まる!
小説家になろう様でも連載しております
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる