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2章

レニスとスビアの友情

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レニスの視点 

マギのお母様の借りている家で、私はスビアの部屋のドアを叩いた。彼女がドアの隙間から顔を出した。

スビア、ご飯食べに行こう。
私は、彼女と仲良くなりたくて食事に誘った。
パーティ…いや…仲間になったからには、色々と、彼女の考え方や癖、魔法は何が得意か、共有したいと思った。

「はぁ? なんであんたと行かなきゃ、行けないの? ティミドゥスでも誘ったら?」

嫌そうにスビアが首を傾げて言う。自分じゃなくて男の子を誘えと言われた。
その反応は予想通りだった。顔見知りだから、ある程度彼女の事は知っている。

彼女は、口調は厳しいけど、根は優しい。スビアは、裏で私を助けてくれていた。男の子に私のことをバカにするなと言ってくれたから。

だからそのお礼も兼ねている。

私はなんでスビアを誘うかを事細かに伝えた。

「まずですね、マギ以外の男の子と2人きりでご飯食べに行きたくないのですよ。誤解されたら嫌じゃないですか?」

好きな人に誤解されたくない、当然の考えだと思った。彼女にも分かってもらえると、自信を持って、もう一度食事に誘った。

「ならマギ誘えば良いじゃない。私は、あなたと仲良くなるつもりはない。」

ちょっと冷たい彼女の反応に、私は落ち込んだ。
仲良くなるつもりがないのは、何故だろう?
前のやり取りで、嫌われたのだろうか?

私は、マギを誘わない理由を喋ることにした。

「マギは、お母様と魔法の練習中なのです。邪魔したら、悪いのでスビアを誘いました。」

私は言葉を選んで、彼女の返事を真剣な表情で待った。

「…まぁ良いわ。気に入った人としか食事しない大人には、なりたくないって思う。あんたが、誘ったのも、別に私が気に入ったからじゃないんでしょ?」

スビアが大人になりたくないって、もう大人の対応をしてると思ってクスッと、笑みが溢れた。

「フフ、スビアは素直じゃないですね~。分かってますよ。断ったら私が可哀想だから行くって決めたんですよね。」

「もー何よ! 違うから! そんなじゃないし…何笑ってんのよ。」

はいはい、プライドが高いんですね。
怒ったふりかな? むしろ戯れてきてますよね?

面倒くさい性格ですが…それが私には、可愛く思えた。誘ってよかったと、胸を撫で下ろし、街へと出掛ける準備を始めた。

オシャレをして、外で待っていると、帽子を被った愛くるしい女の子が出てきた。

なんという可愛さ! 私は好奇の目を宿して、食い入る様にスビアを見つめた。

「ちょっと、そんなに見ないでよ。」

頬が赤く染まって照れる姿と口調のギャップに私は感動すら覚えた。

「似合ってますね。凄く可憐な女の子が目の前に現れたので、私ドキドキしました。」

思った事を正直に言って、すぐに恥ずかしい気持ちが沸き起こって、手で顔を隠した。

「なっ…ふん、褒められても…嬉しくないからね?」

彼女はまるで、歯止めの効かないへそ曲がりだ。
きっとそれが個性なのだ。欠点なんかじゃなく、きちんと自分を持っていると言う事だろう。
素直が良いとは限らない。操り人形みたいになって利用されることもある。
そうならないと考えると、信用できる友達だ。

しばらく街を歩いていると、大きな声で男の人が叫んでいた。

「これから魔族の双子の子供を処刑する! 俺の親を殺した奴の子供だ! 見物料は要らん。魔族に殺された片方、無念を晴らそうではありませんか!」

その声に反応して、私とスビアは立ち止まった。一体、何が起こるのか思案した。
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