エルフに転生した俺は、クズ野郎をぶっ飛ばす!

タカユキ

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魔王軍襲来

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それからひとしきりパーティを楽しんで、夜を過ごした俺は、自宅に戻り、一眠りつこうとした。

その時ドアからノックする音がした。

やれやれ、また訪問者が…誰だよ、こんな夜更けに? まさか…魔王軍か?

俺は警戒しつつドアを開いた。

「なんだよ、ティミか…脅すなよ。どうし…た。」

ティミの顔を見ると、腫れていた。

「悪い、実は親にさ、勘当されちまって、行くとこないんだ。頼れるのお前しかいなくて。今日だけでも泊めてくれないか?」

ティミが切実な、今にも泣き崩れそうな表情で言う。

「ああ、実は俺と、母親明日からこの村から出て行くんだ。今日だけなら大丈夫。ね? 母さん。」

俺は眠そうにしている母に、許可を求めた。

「あらあら、子供に暴力振るう様な所には行かせられないわ。泊まって行きなさい。」

ありがとう、さすが話の分かる優しい母さんだ。

「すみません、マギのお母さん。助かります。」

ティミが頭を下げて、胸を撫で下ろした。

「その前に…回復してやろう。」

ふふ、この台詞言いたかったんだよね。俺はティミの顔に小指を指した。癒しの薬指癒翼。

あっという間に、ティミの腫れた顔が、イケメンの顔になった。


「すまない…なんて言えば良いのか…うぅ…マギにノロマとか言っておいて、自分がビビって逃げ出した。情け無いよな。」

ティミが目を擦りながら、反省する様に謝ってきた。

「いや、ティミはそもそも途中で帰ろうって、提案したんだ。言うこと聞かなかった、スビアにも責任あるよ。もう終わった事さ。いつまでもクヨクヨしてちゃ駄目だ。」


「あらあら、本当にうちの息子は口が達者というか、私の夫みたいね、ウフフ。」

「あっ武器も持って来てるんだけど、入れて良い? 僕弓包あると落ち着くから。」

ティミが武器を部屋に入れる許可を求めた。

あっ…この展開ってまさか俺を殺しにきた刺客? な訳ないか…すまん疑った、武器を持ってくるなんて紛らわしい。

「どうぞ、とりあえず今日は遅いし、布団用意するわね。」

母さんがティミに言って、ティミも感謝の言葉を返した。

それから深夜になり、2人ともご就寝だ。
俺はと言うと、寝れなかった。

やっぱり明日からこの村を出ると考えると、不安で寝付けなかった。

…外が何やら騒がしい。俺はドアを開き、外の様子を伺った。レニスが深刻な表情をして遠くを見ていた。

「レニス何かあったの?」

「魔王軍が、この村に攻めて来たんです。」

…早い。もう来たのか。しかもこんな深夜を狙って。狡猾だな、魔族は。


「おーい、女子供は避難させろ! 戦える男どもは、残って魔王軍と戦うぞ!」

レニスの師匠が大きな声で指示を出していた。

「魔王軍大体ですけど、総勢100隊はいます。結構面倒ですね。」

俺は魔王軍を見つめた後、右手の人差し指を見た。
いけるか? この前のゴブリンみたいに…やってみよう。

「俺に任せてくれないか? 魔王軍を倒してみる。」

レニスにそう伝えた。200メートルは離れているか。なら100メートルまできたら、ぶっ放そう。

「ええっ? マギ1人で…ですか? 任せますけど、危なくなったら助けますからね?」

レニスが驚きながらも、頷いた。

…しばらく待ち、魔王軍の魔物と言っていいのか、空を飛ぶ石で出来たガーゴイルと、一つ目の巨人大きな棍棒を持った、サイクロプスやらがいる。100メートルまできた。俺は狙いを定め、閃光神指雷鳴を使った。

頭部を狙い連写させまくった。わずか1分ほどだろうか? 俺は、全員をやっつけた。

「し…しゅごい…魔王軍100隊が、あっという間に全滅させちゃいましたね…さすがマギです!
やったー。」

レニスが目をパチクリさせた後、抱きついてきた。

いや…俺ってこんなに強かったんだ。頭をかきながら、終わったとレニスに言おうとした。

「ふん、所詮バリアも貼れねぇ雑魚が、役にも立たたんな。」

「…想定内です。ただ人質の1人も取れないのは、情けないですね。」

「誰だ!」 俺は叫んだ。
急にワープして来たのだろうか?
3人の男達が現れた。

「誰か…ですか? 私はメシア13教徒の1人ラピディフィカ・ティオです、お見知り置きを。」

丁寧に男が挨拶して来た。片方の左半身が石で出来ている。

「ふん、ラピなんとか知らんが、俺が相手になってやる! それとも3人まとめて相手してやろうか?」

レニスの師匠がメシア13教徒に、戦いを挑む様に言う。

「ふっ…良いでしょう、相手になりましょう。後ろの2人は、戦力温存させないとなので、あなた如き、私1人で充分です。」

こいつらが魔族の…確かに名前が長い…ラピディとでも呼ぶか。レニスの師匠の戦いぶりも見ておくか。

はぁー! 大きな斧を持ったレニスの師匠が、ブンブンと斧を振り回す。

ラピディが左手から、武器を作った。石の剣だ。

カチッカチッと音が深夜の村に響く。
お互いの互角だ。レニスの師匠が斧で宙を斬る様にラピディに攻撃を仕掛ける。

ラピディもそれを上手く捌いていく。
5分程膠着状態が続いた。

「ふっ…やりますね、こんなに手こずったのは、久しぶりです。ですが…これならどうです。」

剣をラピディが左手から右手に持ち替え、左手から何やら白い煙を出し始め、それをレニスの師匠に噴射した。

「ちぃ、目眩しか! だが俺は…なんだこれは!」

レニスの師匠が…みるみるうちに、石の様になっていく。
…完全に石化した。俺は、それに恐怖心を抱いた。今までの相手とは、レベルが違う…とんでもない魔法を使ってくるぞ。

「師匠ー! こいつっ! よくも師匠を…私が相手だ!」

レニスが、ラピディに突撃していった。
ジャンプして、剣で攻めていく。

「子娘が! 子供もはママのミルクでも飲んでろ!」

「そんな歳じゃないやい!」

レニスの猛撃、凄まじいスピードで剣で斬りかかる。ラピディは、それを捌ききれずに、徐々に体が切り裂かれていく。


「くっ…なんだこいつは…強い…さっきのやつより桁違いだ。コンクルカ! 手を貸せ! 俺1人ではやられる。」

「情けない! どいつもこいつも、ガキ相手に何やってやがる。」
コンクルカと言われた男が、ラピディに加勢をした。

さすがにレニス1人では危険だ。俺もレニスに加勢をしようと近寄った。
それにしても、他のエルフの大人達は何してるんだ? みんな寝てるのか?

そう俺は心で愚痴った。

「おっと~お前の相手はこの俺アリエナが相手してやるよ。」

アリエナが立ち塞がり、俺と相対した。
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