エルフに転生した俺は、クズ野郎をぶっ飛ばす!

タカユキ

文字の大きさ
上 下
13 / 36

エルフ村でのパーティ

しおりを挟む
 
屋外パーティでみんな賑わっている。

小さなエルフの子供達が、飛び跳ねたり、バルーンをみて和かに微笑んでいた。

スビアの父親の跡を追いながら、壇上に上がって、我が娘を救った英雄と紹介された。

「おっ、主役のご登場だ。」

そう言ったのはレニスの師匠だ。目を輝かせて拍手をした。

それに続きみんながパチパチと一体になって拍手した。薄暗くなってきた村に鳴り響く。

照れ臭い。ヒーローと側からは見えるだろう。でも生まれつき、身につけた魔法だ。もちろん特訓はしたけど、その力を使って女の子を救った。それだけなんだ。

何も力がなかったら、こんなにちやほやされることもなかったろう。そう思うとある種の虚しさも感じた。

頬を膨らませて、何か気を紛らしたいと思い、当たりを見回す。


良い匂いが鼻にスッと入ってくる。見ると、ご馳走がテーブルにずらりと並んでいる。 

豚の丸焼きがこんがりと焼けて、テーブルに置いてある。肉汁が皿に溢れて、食欲をそそる。

美味しそう。ごくりとツバを呑む。

他には、白いご飯が煙を立てて、暖かさを感じさせ、山盛りのチョコレートとバニラアイスが、置いてある。君たちは食後な、と話しかけた。

「改めて娘を助けてくれてありがとう。ゴブリン5匹を一瞬で倒したそうじゃないか。将来大物になるな。どうかね? 是非うちの娘を貰ってやってくれないか? 

スビアの父親が丁寧にお礼を言った。それに反応したのだろう、スビアが父親に驚いた表情で見つめた。

「ちょっとパパー! まだ私たち子供なんですけど、前の婚約者も勝手に決めたよね?」

「良いじゃないか、どうせ今回は、本気な癖に。命を助けて貰ったらこれはもう、嫁に行くしかない。」

「ちょっと、もう…マギもパパ止めて! 恥ずかしいよ。」

2人で盛り上がってる。俺はお腹空いてそれどころじゃ…結婚も何も、もうすぐこの村母さんと出ていくしな。

エルフだから年齢気にしないのか? 

「ちょっと聞いてる? 何見てんの? ああ、お腹空いてるのね。」

エルフでも腹は減る。エルフで餓死した人いるのかなー。

「うん、お腹空いてる。話は置いといて、一緒に食べよう。」


「そうね、私も腹ペコ。」

スビアがお腹を指すって言う。

「それにしても…前の婚約者…ティミドゥスは、カスだな。親にも見放されたらしいぞ。」

スビアの父が突然、ティミを詰った。

「えっ? そこまでしなくても…一応救援は呼んでくれたので。」

見放されたって、ティミは子供だからな~まだ…そこまでする必要はないんじゃないか?

「…おお、あんなカスでも、擁護するなんて、君は聖人だ。ますます気に入った!」

酷い言い草だけど…確かに自分の娘を置いて逃げたら、俺が父親でも、同じ事思うだろう。

でもな…言っちゃ駄目だよな、カスはないだろう。

でも…こう言う強い事言う人に限って、いざことが起こると逃げ出すからな。ティミもそうだった様に。

ここは、はっきりと言うべきだよな? 前世の記憶があるんだ。ここは、黙ってないでいうぞ、よし。

「あのー、いくらなんでも…カスはないですよ。それは余りにも残酷というか…ティミが殺しでもしたなら分かりますけど。」

「じゃあ卑怯者に留めておくか。」

煙たそうにスビアの父が言う。

「確かに聖人ですけど、スペルビアには、ティミドゥスが相応しいですよ、ねぇ、マギ?」

レニスが焼き鳥を食べながら、俺に近づいて言う。

「相応しいかは、本人達が決めれば良いんじゃないかな。俺がそんなの分かるわけないよ。」

手を振って俺は、レニスの言葉をかわした。

「確かに…さすがマギ。見事に論破されちゃいました。マギって大人だよね。好き。」

ん? レニス…最後の好きは余計じゃないか?

「急に好きって、どうした?」

「ふふ、前からマギのこといいなって思ってました。今回の事で、確信に変わったんです。」

何が確信? 俺の強さ…? いや…いいなって事は、素敵な男だと確信したって意味だよな。

「そ…そうか。ねぇ母さん、まだ俺気になってた事があってさ。」

俺はご飯を食べてる母さんに話しかけた。

「なぁに? もう、さっきいっぱい喋ったじゃん。どんだけ私のこと好きなん? マザコン?」

「マギのマザコン! いい加減親離れしなさいよ。」

スビアが貶す。
確かに中身は転生してるけど、体の年齢は、8歳なんだが?

「いや、俺まだ若いんですが。まだ離れてなくていいよ…なぁレニス、2人でマザコン呼ばわりしていじめるんんだけど?」

「ヨシヨシ。可哀想。いっぱい慰めて、守ってあげます。」

女の子に頭を撫でられて喜ぶ、前世の記憶を持つ8歳…いや…今は8歳だから。

ってさっきから歳のことばかり気にしてるな。
それはそうだろうな…前世の記憶と、今の状態…いまだに慣れてない。俺は一体何者なのだろう…子供なんだろうか? それとも…


「レニスは優しいね。」

彼女にお礼を言う。

「ふふふ…ありがとうございます。マギも優しいですよ。」

レニスが微笑んで、優しい声で言う。

「こいつー! 調子乗って、マギから離れろ!」

「いやどす。」

2人がいがみ合う。えっと…どうしたら良いのかな…俺は呆然と立ち尽くす。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

処理中です...