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心理戦
しおりを挟む「アキラに聞きたい事ありますぅ~。言いたいこともありますん。」
今日もミウが俺の部屋に来る。俺に懐いたのか、それとも何か企んでるのか。
多分後者だろう。
それは何かを俺は聞く。
「どうして魔族と戦った時に、魔物のスキル使わなかったのかを聞かれた。」
俺は死者のスキルは使えないからだと、説明した。
俺が攻撃受けた魔物は全員倒した。故に使えないと言うと、ミウがふーんとなんとも微妙と言った表情であった。
「それとですね。アキラ、お小遣い増やして下さい。」
「この前あげたばっかりだろ?」
「もっとあげて下さい。ここはギャンブルでどうですか?」
どうですかって、何が?
「ふふ、用意しました。サイコロを二つ使って回して、足した数字が大きい方が勝ちです。」
「負けたら潔く諦めます。勝ったらあげて下さい。」
「なるほど、良いだろう。本当ギャンブル好きだな。」
「いえ、私の100%勝ちが決まったギャンブルなんですけどね!」
「そんなギャンブルあるかい!」
「始める前からもう決まっているのですぅ~。もうアキラは、私に良いと勝負を受けてしまったので、降りることは許されないのですん。」
俺の負けが決まったギャンブルだと? ミウのやつ…とりあえず俺は話を聞くことにした。
「フフ、ではこの中に4個サイコロ用意しました。この中から2個選んで下さい。」
「おしきた!」
俺はサイコロを入念に見渡して、イカサマがないか確認して、2個取った。
「良いよ、じゃあミウの番。」
「私だったらこの中から選びませんね。自分の持ってるやつ選びます。」
ミウがそう言って、ポッケから2個サイコロを取り出した。
「はぁ? インチキじゃねーか! しかもそれ全部6面一色じゃないか!」
「インチキではないですぅ。絶対この中から選べとは言ってません。」
ふざけてるわ~、なんだこいつ!
「分かった、負けを認めよう。」
俺はミウに完敗したと伝えた。
「フフ、素直ですね。それで良いのですぅ。」
彼女が勝ち誇った笑顔で言う。
「お小遣いな、1ゼノ増やしてやるよ。」
俺は悪戯ぽく微笑んだ。
「駄目ですぅ、そんなのあり得ないです。」
「なんで? お小遣いをいくらあげるか、約束してないよね? 1ゼノでもあげたら、あげることになる。卑怯者には、1ゼノあげるだけで充分だな。」
「く~アキラ一枚上手でした~爪が甘かったですぅ。」
ミウが悔しそうに手で顔を隠して言う。
どう?
「ワンモア!」
「ん?」
「もう一回ポーカーでやりましょう!」
「はぁ? やるメリットが俺にはないね。」
「もし私が負けたらお小遣い半減して良いですん。
もし私が勝ったらお小遣い倍にして欲しいですぅ。」
「なるほど、乗った! ただイカサマはすんなよ?」
「ふふ、イカサマは見抜かれなければイカサマじゃないんですぅ。つまり見抜けば良いのですん。」
「ふざけた理論だなぁ、イカサマはイカサマだろーが。」
「それより、早くぅ~始めましょう!」
ミウが急かす様に言うので、俺は少し待ったをかけた。
「カード配るのミウじゃ信用できないな。カノン呼んで配り役やってもらおう。」
「分かりました、呼んできますぅ!」
しばらく経ち、ミウがカノン…ではなくレイナを連れてきた。
「なんでレイナなんだよ?」
「あらあら? 私じゃ不満かしら?」
「いや、そうじゃないけど。」
「ふふ、カノンは忙しいみたいで断られました~。」
「そうか、悪いよろしくレイナ。」
俺たちは席についた。レイナが手捌き良くカードを配った。
ミウから、10枚チップをお互い持ち、それが先に無くなったら負けと説明された。
俺はミウを真剣に見る。
お互い一枚チップを賭ける。
俺はツーペアだ。1枚交換してスリーカード。
ミウが一枚だけ交換した。
満面の笑みでカードを見つめる。まるで見せびらかすように。
レイズだ。
俺は行けると判断して、一枚上乗せさせた。
ミウがなんと10枚全部賭けてきた。
はぁ? 早すぎるもう勝負?
「さぁ、コールして下さい。」
ミウが催促する。
なんだよそれは…スリーカードで勝負行けるか? 無理だろ? しかもこいつイカサマしてるかもしれんし。
「ここは降りる!」
「ふふふ、作戦勝ちですねぇ。はい!
ミウがカードを見せてきた。ブタだ! 何も揃ってねぇー!」
やられた!
「良くブタで全掛けしてきたな?」
「簡単ですぅ。最初から全部賭けて来たら、警戒して勝負出来ないですぅ。
その為敢えて一枚だけ交換しました。」
「良い役が揃ってると誤認させる為か?」
「そうですぅ。」
「でも俺がコールしてたら負けてたよね?」
「はい! 負けてますけどぉ、そんな度胸アキラにはないですぅ。」
うるせ!
「大体俺がフォーカードだったらどうしてたんだよ?」
「あり得ませんねー! フォーカードなら1枚賭けなんてしてきませんも~ん。3枚掛けくらいしてこないとおかしいですぅ。」
とは言えたったの2枚チップ取るぐらいでこんな勝負するなんて、肝が据わってやがるな。
「一応イカサマは、しないですぅ。きちんと正攻法でアキラ倒します!」
「良いのかよ? そんなこと言ったら、俺は安心してやれるぞ?」
「大丈夫ですぅ、こう言えばアキラもイカサマ絶対出来ないので、公平な勝負ができますぅ。」
「いや、俺そもそもイカサマなんてしないよ。
イカサマなんて墓穴掘るだろ?」
「それはする人によりけりだと思いますん。」
俺は続けて勝負に行った。するとミウが満面の笑みを浮かべて良い手が来ましたと…それは嬉しそうに言い放った。
俺は…うーん、交換した。またスリーカードだ。ついてるんだか、ついてないんだか。
ミウが一枚交換した。ウフフ、良いカードですん。さっきの勝った分除いた全賭けしますぅ。
何? ここは…俺は彼女のあからさまな態度に違和感を感じて、勝負に行こうとした。
だが…待てよ? ミウがこんな正直なのはおかしい。だから俺はそれが嘘だろと感じた。
だけど、それが罠かもしれない…俺は考えて頭が痛くなったので降りた。
俺はまさに蟻地獄に陥った、蟻の様に降ろされる。まさにミウが蟻地獄だ。
「フフフ、さすがに引っかかりませんでしか。
フォーカードですぅ! 勝負しなくて良かったですねぇ。」
確かにな。危ない所だった。
「…ところで教えてくれ、なんで金が欲しいんだ?」
「薬が必要で…友達のペットの薬が高くて、それに協力したくて。」
「回復魔法で助けれないの?」
「うん、レイナに回復魔法かけて貰ったけど、効かなくて。
エリクサーなら、効くみたい。」
「はぁ、なら俺に言えば金なんてあげるのに。」
「ううん、自分のお金から払いたかった。」
ミウが首を振りながら言う。
「意外に真面目だな。でも金は渡すから、この勝負ここで終わりにしよう。」
「やりましたぁ! 私の狙い通りですん。」
「狙い通り?」
「はいですぅ。この話したらアキラは降りると思ってましたん。」
「なにぃ! 俺の優しさを利用したのか。」
「違いますん。アキラの優しさを信じたのですぅ。この勝負ポーカーではなく、言ったじゃないですか? 100%私の勝ちだと。」
「ふざけてるだろ?」
「いえいえ、例えばサイコロとかは、アキラじゃなければ、負けを認めないと思いますぅ。」
それなら、初めから俺にその理由言えばギャンブルする必要がそもそもないのではと俺は伝えた。
それともその理由は嘘なのかとも聞いた。
するとミウは、四つ理由があるとして、後者は嘘はついてないと言った。
その理由を教えて欲しいと言ったら、ミウが頷いて答えた。
「まずギャンブルで必ず勝つのに、辞める理由はないですぅ。そして二つ目は、自分から恵んでって言うより、相手にお金出すよと言わせる方が有利な条件を出すのですん。」
つまりポーカーで1発目で見破られて負けていたら、自分から話していたので、どちらでも損はしないということらしい。
「3つ目が現金貰って尚且つ、お小遣いも増やす作戦だったのですぅ。4つ目がアキラにある大会に出て欲しいので、この話を打ち明けていますん。それにアキラが優勝すればお小遣いだけあげれば良くなりますん。」
どうやら薬…つまりエリクサーが優勝景品なので、大会に俺かミウが優勝すれば、お小遣いだけあげれば気が済む…ということか。
「5つ目パパ活しないのでアキラにお金出させますぅ~。」
「理由5あるじゃん! 何が4つだよ。」
レイナがお腹を抑えて笑っていた。
彼女の笑い声を聞くまで、存在を忘れていたのは内緒。でも真剣勝負だから仕方ないね。
「お小遣い倍プッシュですぅ!」
ミウが目を輝かせながら言った。
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