上 下
25 / 37

この世界の事柄

しおりを挟む
レイナが、リビングルームで俺に話しかけた。


「私宗教嫌いって言ったでしょ?」

「ああ。」

「何故だか聞いてくれる?」

「もちろん、興味あるな。」

深い話がこれから始まるのか、たまにはレイナとそういう話も悪くないなと思った。

「優し~い! じゃあ話すけど、私の親が宗教にハマっててね。私姉がいたんだけど、姉さんが親と揉めてね…見てて辛かった。」


「そうか…別に嫌いでも良いさ。宗教は偏見もあるだろうけど、救いもある。まさに諸刃の剣みたいなもんだろう。」


「善と悪…表裏一体の物だと思うから、関わりたくないなら、無視すれば良い。」

俺はそう言って、結構知的なことも言えるなと、心で自分を褒めて、クスッとした。

レイナがそれには気が付かなかったのか、無視したのだろうか? 目には悲しみを宿していた。

「親がハマってるとそうは言ってられないのよ。
私精神的にノイローゼになって鬱になったり。」

彼女が時折り目を閉じて、軽く胸を叩いた。

「そうか…苦しかったんだな。」

頷きながら、ミウと一緒で親の問題に苦労したのだろうと、胸が切なくなった。

「はぁ~でね! そんな時ラノベにハマって現実逃避よ! 宗教が本でハマるなら、私は別の本に救いを求めたって話し。」

「重い話でもあるけど、救いのある話だな。」

「でしょ? そしたら今は異世界にきてしまいましとさ。」


「はは、でも気になるのが親と姉はどうなったの? その後は?」


「それ聞きますか? 結構アキラって、内面にぐさりと入り込むよねー?」

「そうだな、やっぱり心配だから。」


「あらあら、優しいこと言うじゃない…泣いちゃうぞ? 」

「いや、当たり前だろ?」


「その当たり前がね~、出来ない人ばかりなのよ。ちなみに解決する前に、ここに飛ばされたから、結局はなんともならなかったの。」

レイナが肩を落として、口を閉じた。
なんともならなかった…すぐに解決するもんじゃないんだな。

言葉巧みにレイナの親を洗脳したのか、それとも心の拠り所を求めて自分から入信したのだろつか?

前者か、後者どちらがマシなのだろうか?


「そうか…残してきてやっぱり気がかり?」



「そうね…うん。」

レイナが頷きながら、目に涙を溜めていた。

「ちょっと、宗教のことなら私も喋らせて!」

近くのテーブルに置いた玉にいる、セレーネが口を挟む。

玉を持ち上げて、ことの成り行きをレイナが教えた。

「ふむふむ、宗教と言えば魔王教みたいなものだから、魔族にとっては。だから、信仰の自由もないから、その辺は羨ましいかもしれない。」

セレーネが眉を寄せて言う。

魔法も宗教から作られたのかなと、疑問に思いセレーネに聞いた。

「この世界の魔法は、ゼノという大賢者が創り出したと言われているわ。」

ゼノ…通貨の名称そこからきていたのか。
それって人間? 魔族?

「未来人と言われているのよね。正体は誰にも分からない。」

「初めに接触したのが魔族と伝説では伝えられてる。」

「その魔族がエルフに伝え、エルフが人間に教えた。って言われてて、実際そのエルフが今も生きてるから、嘘ではないようよ。」

エルフか、まだこの世界に来て会ったことはない。

人里離れた所に住んでいるからだ。

それにしても、小さな玉から普通に声が聞こえて、この玉も不思議なものだと感じた。

ゼノ…それが本名なのかすら俺は疑いを持った。そしてもう一つの疑問を彼女に聞いた。

「そのゼノって言うのが、何故未来人だと?」

「未来を予言したからね。」

「なるほど、分かりやすいな。」

どんな未来を教えてくれたのだろうか? そしてその人は何故来たのだろうか?

しかし、セレーネとこうして普通に話が出来るようになるなんてな。

彼女が人の血を引いているからかな。

「まさか魔族が教えるなんてな。その魔族も生きてるの?」

セレーネの様に会話が出来る魔族なのだろうな。

「生きてない。その魔族私と血が繋がってる。だから時を操れる。」

「じゃあ魔王も?」

「魔王は時を操れないけど、乗り移ることは出来る。」

乗り移り? とんでもない情報じゃないか?

さりげなく言ったが、俺が倒したら乗り移られそうだな。

「だから詳しいんだ? セレーネって歳いくつなの?」


「それ聞いては駄目でしょう。そこは褒めるべき。空気呼んで下さいね。」

セレーネが俺に注意する様に言う。プライドの高さからだろうか? それとも歳を聞くのは御法度か。

「つまり闇堕ちして、魔王が妻を復活させようとしてってこと?」

実は奥さん思いの優しい魔王か? そうだすると珍しい魔王だな。

「そうなんだけど、順序が逆かな。
すぐ諦めたのよ、と言っても50年経ってだけど。」

「つまり、セレーネは50年以上。」


「それ以上言ったら、口聞かない。」

「はい、辞めます。」

臍を曲げられないよう俺は謝った。

レイナがセレーネに色々尋ねていた。

この世界の事と、魔族の幹部たちのことを。

セレーネが私を殺さなくて良かったわねと言った。

その理由はお兄様に恨みを買って殺されずに済んだからだと言う。

そのお兄様も時を止める魔法を使えるのか聞いた。

未来を予知出来るらしいが、それを知ったらつまらないから、封印しているらしい。

戦闘狂のエリオット男

時の魔術師セレーネ女

死の案内人クルーシン男

無比のミリアルド男

氷の貴公子アルバート男

神速のハリュード男

襲来のガビーネ男

万能のルーネス男

残虐無慈悲のダークネス女

不死鳥のシャルロッテ女

勝負師ヴィクター男

吸血姫アイラ女

人形使いのソーニャ女

魔王の幹部達の名前を紙に書いておいた。

襲来のガビーネは俺が倒したので死亡付けておくか?

戦闘狂のエリオットがセレーネの兄らしい。
クルーシンがデスロードの本名か。

俺たちをセレーネが襲った理由を聞いた。
やはり1番気になる。3人の魔族の大幹部連中が、急に襲いに来た理由。

それは信じられない話だった。

魔王が忽然と姿を消して、俺たちの死体が側にあった。そして、時が戻された…そんな訳の分からない話だった。

彼女だけは時が戻ろうと、記憶を維持出来るのだと。

レイナも信じられないと言い、俺も同意した。

俺は情報を整理したいから、暫くこの話はしまってくれとセレーネに頼んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

猫の姿で勇者召喚⁉︎ なぜか魔王に溺愛されています。

猫野美羽
ファンタジー
羽柴美夜、二十歳の大学生。 ある夜、バイト帰りに体調の悪そうな子猫を見付けて抱き上げた瞬間、『勇者召喚』に巻き込まれてしまう。 異世界で美夜が目覚めると、なぜか子猫の姿になっていた。 どうやら、人族の国の召喚儀式に干渉してきた魔王の城に拐われており── 『魔王に殺されちゃう⁉︎』とパニックに陥っていた美夜だったが、何やら魔王の様子がおかしい。 ふわふわの可愛らしい子猫姿になった美夜に、冷酷無慈悲なはずの魔王サマがどうやらメロメロになっているようで……? ※子猫姿で異世界に転移(転生?)してしまった主人公と魔王の、猫可愛がりなお話です。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...