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タカユキ

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新たな敵

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「俺は反撃しない、どうぞお好きなように殴ってください。」
ゴブリンの左に周り、人質の見える範囲に移動した。
そして俺が言うとボスゴブリンが、左手で俺を殴りにくる。

それを俺は避け光速遊びを使い、背後に手をやり水鉄砲を握りしめ、人質を取っているゴブリンの眼に目掛けて噴射した。

ぎゃー! 悲鳴をあげて眼を押さえ、ゴブリンがナイフを宙に投げた。

作戦成功! ナイフ投げでも良かったが、人質に当たる可能性を考え水鉄砲にしたのだ。

右手を地面に置いて、一回転して着地。ゴブリンの投げたナイフをキャッチして、首を刎ねた。

「大丈夫ですか?」
俺は人質だった女性に声を掛けた。

「ええ、大丈夫。だって私がここの主人ですもの。」
人質だった女性が微笑みかけて手にナイフを突き出してきた。

俺は一瞬の油断からすぐに反応出来ず反射的にかわしたが、胸にナイフの刃先が掠った。

「あはは、猛毒が塗ってあるからすぐ死ぬよ。」

彼女の笑い声が洞窟に響き渡る。

へっ、残念でした。俺はレイナに言われて解毒剤をポケットに用意してある。

早速ポケットから、解毒剤を使って毒を取り除いた。


「くっ…準備の良い冒険者だね。やりおる。」

「どうも褒めていただき…礼は言わない。覚悟しろよ。」


「ふん、舐めるな。我が最強の魔法を喰らうがいい!
我らの混沌の神よ、我の声に耳を傾け賜え。冥界の門を開き絶望の息吹を吹かせ、汝の敵を無に帰せ。」

敵が詠唱を始めた。俺はやつの唱え終わるのを待ち構えた。

「隙ありですぅ~。」

ミウが高速で背後に周り、敵の首を分離させて倒した。

「なっ…汚いぞ…詠唱中に攻撃なぞ。」

首を尖れてなお言葉を発した。それを聞いてこいつは人間じゃないと自覚した。

「殺し合いに綺麗も汚いもないのですん。」
ミウが敵の顔を潰した。

「やったか。」

俺は笑顔で言った。

「やったかって、それやれてないやつですぅ~。アキラ棒立ち人間になってる場合じゃないですん。しっかり攻撃して下さい。」

ミウに説教されてしまうなんて、恥ずかしくて、顔が熱を帯びる。

あっ、寄生虫だ! アキラ、コイツですよ。寄生虫!

ミウが倒した頭から規制生物が現れた。

人質の女に寄生してたのか! 前言ってたやつってこれの事だったのか。

何か眩い光を発してる。まるでホタルのようだ。

ふん! ミウが踏んづけて…死亡したようだ。


「何故、寄生生物が?」

「きっと魔族に殺されるところで、味方になれと脅されたのかもですぅ。」

「ってことは本当に人質だったんじゃ?」

「細かいことは気にしないですぅ。」


「ヘルファイヤー!」
カレンが呪文を唱えた声が聞こえて、そちらに目をやる。

「ぐわぁー!」
ゴブリンの雄叫びが聞こえた。

彼女は、スキルで弱い魔法なら詠唱要らずのようだ。
ゴブリンボスはカノンが仕留めてくれた。

「やったわね。討伐完了。」
カレンが落ち着いた声で言う。
  
「みんなありがとう、お疲れ様。」

これで村民のみんなの仇を取れた。俺は目頭が熱くなるのを感じ、気を紛らわせようと、彼女に話しかけた。

「うん、なぁミウ気になってたんだけど。」

「なに?」

「ゴブリンにどこ触られたんだ?」

「ふふ、耳だよ。変な想像した?」

「なんだよ! 大袈裟なやつだ。」

あはは!
みんなで笑いながら、俺たちはゴブリン討伐を終えて、ダンジョンの外に出た。

外は闇に覆われた洞窟と違い陽の光が強く、それが目に痛みを覚えた。

周りを見るとピンクの花や、紫のチューリップに似た花が咲き乱れ、風が音を鳴らしながら、甘い香りを運んでいた。その漂ってくる匂いを味わいながら、身体がリラックスしていく。


「でも変だったな~人質の振りした女の人手応えなしで、人形みたいだったよ?」
ミウが顎に手を当てて言う。

人形? 人じゃないのならホッとするけど、俺は何故か嫌な予感がした。何か仕組まれてるのではないか? そんな感じを抱く。


すると道案内の人が、俺たちを待っていたようだった。

「すみません、待っていてくれたんですね。」
俺が言って近寄ろうとすると、レイナが俺の腕を掴み止めた。

「待って、彼から強力な魔力を感じる。」
うん? それがどうしたって? レイナに聞き返した。


「フフフ、さすがですね。私の隠していた魔力を感じ取るなんて。申し遅れました、私は魔王配下のマジョリードと申します。」

「なんの冗談ですか?」

俺は案内人に目を見開いて言う。

「ジョークではありませんよ? 貴方達を待っていましたが、それは死をプレゼントする為です。魔王に逆らう者には裁きを与えねばなりません。」

俺は口をあんぐり開けて、放心状態になった。

「貴方方もすぐに、屍人形にしてあげます。」

マジョリードが手を掲げると、地面から不気味な呻き声と共にスケルトンが100体以上出てきた。

「ふっ、これほどの数倒せます?」
邪悪な笑みを浮かべてやつが言う。
見た目は普通の村の人にしか見えない。変装の達人かこいつ?

…魔王に逆らったことないんだがね?

はは、俺はなんて呑気なんだろ? こんなにスケルトンに囲まれてるっていうのに。

きっと仲間がいるから、安心感が半端ないせいだろう。

「これは私の出番ね。」

邪の骸どもを、汝らの聖なる天空へと送りたまえ。光の輝きを持って永久の安らぎを与えん。ホーリージャッジメント!

地面が六芒星の眩い光と共に辺り一面を包む。
スケルトン達が消滅していく。

「凄いわね! さすがレイナ!」
カノンが嬉しそうに声を張り上げる。

「フッ、それがどうしました? 貴方方が死ぬのが伸びただけです。」
マジョリードが呆れるように続けて言う。

「ふっ、本気でやればいつでもあなた達を殺せたんですよ。でもそれじゃあ、つまらない。」


「でたぁー! 舐めプマンですぅ。無能が吐く台詞ナンバーワン!」

ミウがマジョリードに、人差し指を突き出して言う。

「私を舐めるのも大概にした方が良いですよ? 最も…この姿では、私の恐ろしさは分からないでしょう…ならば! 私の真の姿を見せてあげます!」

良く喋る魔族だな。俺は呆気に取られた。

すると、案内人の背後から美女が飛び出してきた。
20代ぐらいだろうか? 最も魔族の年齢は見た目では、分からない。

「フフフ、おどきましたか?」

ああ、驚いたよ。まるで寄生生物だ。

「あんな者と一緒にしないでいただきましょうか? この姿を見た人間は、全員死にました。これがどういう意味を持つか、分かりますか?」

周りくどい魔族だな。

「つまり、私達も死ぬことになるだろう。って言いたい訳ね?」

カノンが鼻で笑いながら言った。

「フフフ、そちらの方は物分かりが宜しい。その通りです。貴方は、私に殺され骸になり支配される運命なのです!」

そう言うとマジョリードの目に殺意が宿り、俺たちに恐怖を与えるほどの、不気味なオーラを放った。


俺はみんなに蜂矢陣形の指示を出した。本気でやらないとやられる。俺はマジョリードの殺意に危機を抱いた。

多人数なら鶴翼の陣が良いが…4人だと蜂矢の陣が1番だろう。

俺が先頭に右にミウ、左にカノンが、後方にレイナが待機した。


「蜂矢の陣形?」
マジョリードが意味が分からないと言う風に聞いた。

そうだろう、この異世界にそんな陣形などないのだろう…多分。

「フフフ、笑止! 陣形…そんなものは無意味! 私の恐ろしさを今教えてあげましょう!」


えっ? 俺はいつの間にか攻撃されていた。見えなかった…何故?
レイナの近くにまで身体が飛んだ。

「フフフ、どうですか? 私の攻撃は? 気がつく暇もなかったでしょう?」

口を抑え、マジョリードがケタケタと笑っていた。

血が出てる。ぐはっ…やばいこの攻撃は直撃…視界がぼやける。

「なっ…レイナ! アキラを回復!」
カレンが指示を飛ばす。

「任せて。光の息吹を汝らに与え、母なる自然の衣でその身を癒せ。ヒールライト!」

「フフフ、回復? 貴方の死を先延ばしにするだけですよ? さてお次は誰にしましょうか?」


マジョリードは、黒いマントに身を包み、優雅に振る舞う。気品を感じさせながらも、恐ろしさを感じるのは、余裕を浮かべているピンク色の唇にあった。


マジョリードがまるで獲物を捉えた蛇のように見える。俺たちは彼女にとって、簡単に飲み込まれるカエルのような存在かもしれない。




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