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悪戯魔ミウVS常識人カノン
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「なんでそんなにミウは悪戯するの!」
借家に声が響いて、俺はすぐに声の主人の元に向かった。
カノンがまたミウに怒っていた。ジト目になり呆れ顔をしているのは明らかだった。
「そうですね、きっと寂しいからじゃないですかねぇ。多分推測ですけどぉ、構って欲しいとかそう言う、裏返しかなと思ったりもしないではないです。」ミウが眉間に皺を寄せて、真面目な顔で言った。
「他人事のように言ってるよね?」カノンが語気を強めて言う。両手を腰に当てて、諭すように言う。
「はい、他人事のように言いました。」ミウは肩をすくめて、全く悪びれる様子もなく言った。
厚顔無恥ってこのことだ、俺は鼻で笑いながら、黙って2人のやり取りを見ていた。
「こるぁ!」
カノンは手を振り上げ、今にもミウを叩きそうな勢いだった。
「まぁまぁ落ち着いてカノン。
ミウもちゃんと真面目に答えてね。」
レイナが仲介に入った。
「悪戯を辞めようとは思わないのか?」
俺は腕を組みながら聞いた。
「悪戯は私にとって飲み物を飲むようなものです。辞めようとしたらお花みたいに枯れてしまいます。」
ミウが頬を赤らめて、不満そうに口を閉じる。
まるで俺が悪いかのように感じさせ、彼女の愛くるしい表情が正論の様に聞こえさせた。
いや違うよと、ミウに惑わされるなと心で言った。
「おい、なんか哲学的に言ってるけど、違うよね? ただの言い訳だよねそれ!」
俺が言うとレイナがクスクス笑い出した。
「ほら、ミウ悪戯辞めないなら、パーティから追放も考えないといけなくなるよ?」
カノンの怒りが頂点なのだろう。
追放という言葉まで出るのは、深刻さを表していた。
「異世界で追放された私、戻って来いと泣き付かれる。今更謝っても遅い!」
ミウが同情を誘うように言う。
「何を言ってんだ、こいつは?」
ミウを指して俺は呆れて言う。
カノンもレイナも首を振る。
「私を追放したら、このパーティボロボロになって解散しちゃいます! 悪手ですよ。」
ミウが説明するように言う。
「うーん妙に説得力がある。」
俺は思わず自分が間違ったことを言ってるのかと考えた。
「アキラ何振り回されてるのよ?
良い? それは追放された子が何も悪くないのに追い出すから、後悔して戻って来いって言うの。」
「お言葉ですが、何も悪くないのに追放される訳ないじゃないですか? その前提間違ってます!」
「あのね、戦闘で役に立たないから追放されたけど、実は有能だったってことなの。つまり、ミウと逆の理由。戦闘で役に立つけど、性格が悪くて追放。」
「有能なら良いじゃないですか? 性格が悪いってそんなの測れるメーターとかないですよ、性格にいいも悪いもないのです。」
「つまり追放される理由は皆無なのですぅ。」
「それは違うわ、性格が悪いってのは他人に迷惑をかけること。例えば、仲間のお金を盗んだりとかね。」カノンが冷静に指摘する。
「いえいえ、お金を盗んだら性格悪いなんて、じゃあ過去にお金を盗んだ人は性格全員悪い事になりますね?」
「そんな事なーいですよぉ? フフフ」
俺たちを翻弄するように喋りながら、ミウが不敵な笑みを浮かべる。
「言い訳の天才ね! いいわ、最後まで付き合ってあげる。」
ミウが星人から天才に格上げされた!
「言い訳の天才って捻りがないですね。」
ミウが話題を変えた。
「そう? じゃあ言い訳袋ねあんた。
倒すと言い訳が出て来るの。」
「それで仲間になったら賢さ足りないから、お金盗むの。」
カノンがミウをモンスターに例えた。
「アキラ! カノンに座布団一枚上げて!」
ミウが俺に向かって叫んだ。
「分かった!」
思わず応じてしまった。
だけど…座布団あげたくなるよな。
「なら私も例えてあげます。
ピノキオです。鼻じゃなくて、イラつくと腹が出て来ます。」
ミウがニッコリ頬を緩ませて言った。
俺は鼻で笑ってしまった。
「そうね、その原因あんたのせいだけどね。イライラしてお菓子を食べるからってことならね!」
ミウのストレスでカノンがお菓子を食べる。
結果お腹が出る。それを知ってて例えるミウの太々しさに俺は腹がはち切れそうだった。
「いい? 人に迷惑かけて喜ぶ人間性格良いって言える?」
カノンが真剣な表情でミウを見据え、冷静に話題を元に戻す。
「思います、目をつぶって想像して下さい。子供が遊んで悪戯をして、相手が困ってるのに笑っている表情を。」
「愛らしくて、性格悪いなって叱ったら、その子はもっと拗ねてしまいます。
カノンのしてることの方が性格悪く見えませんか?」
「こいつは、アホなのか天才なのか分からないな…」
俺は唸った。
「はぁこいつ、ああいえばこう言う。もう、勝手にしなさい。」
カノンが呆れて部屋を出ていった。
ミウが彼女を追うように見て、俺に視線を移した。
「アキラは、追放賛成反対?」
ミウが上目遣いで聞いた。
そんなこと聞いてくるなんて、本当は気にしてるんだな。
平気そうな顔をしてるけど。
「追放反対だよ、ミウがいないと寂しくなるもんな。」
「…ありがと。」
ミウが目に涙を浮かべていた。
「レイナは?」
彼女が声を震わせて聞いた。
「ふぅ、勘違いしてますよ?
私もカノンも賛成な訳ないじゃないですか。」
「お灸を据えるためにカノンは言っただけ。
でも少しは悪戯控えて下さいね?」
レイナが優しく諭すように言った。
「私カノンに謝って来る!」
彼女の言葉に触発されたのだろう。
そして振り返り俺に言葉を発した。
「でも、アキラへの悪戯辞めないから安心して!」
「どういうこと?」
俺は首を傾げてレイナに聞いた。
「好かれてますね、良かったじゃないですか。
私も悪戯しようかしら?」
小悪魔が2体に分裂しそうだ。
ミウがカノンの部屋から戻ってきた。手には水鉄砲を持っている。
「えい!」
「ぶわっ! 顔はやめろおぉー目が痛ぇぇ~!」俺は叫んだ。
「えい!」
「わき腹も駄目だぁ~冷たぁぁい!」
俺はさらに叫んだ。
「やれやれ~」
レイナまで楽しそうに拍手してる。
小悪魔が1人から2人に感染した。
「えい!」
「きゃ」
彼女は、レイナに冷や水を浴びせ悲鳴を上げさてた。
ミウが楽しそうに笑っていた。
俺もレイナがやられて、釣られ笑いをしてしまった。
借家に声が響いて、俺はすぐに声の主人の元に向かった。
カノンがまたミウに怒っていた。ジト目になり呆れ顔をしているのは明らかだった。
「そうですね、きっと寂しいからじゃないですかねぇ。多分推測ですけどぉ、構って欲しいとかそう言う、裏返しかなと思ったりもしないではないです。」ミウが眉間に皺を寄せて、真面目な顔で言った。
「他人事のように言ってるよね?」カノンが語気を強めて言う。両手を腰に当てて、諭すように言う。
「はい、他人事のように言いました。」ミウは肩をすくめて、全く悪びれる様子もなく言った。
厚顔無恥ってこのことだ、俺は鼻で笑いながら、黙って2人のやり取りを見ていた。
「こるぁ!」
カノンは手を振り上げ、今にもミウを叩きそうな勢いだった。
「まぁまぁ落ち着いてカノン。
ミウもちゃんと真面目に答えてね。」
レイナが仲介に入った。
「悪戯を辞めようとは思わないのか?」
俺は腕を組みながら聞いた。
「悪戯は私にとって飲み物を飲むようなものです。辞めようとしたらお花みたいに枯れてしまいます。」
ミウが頬を赤らめて、不満そうに口を閉じる。
まるで俺が悪いかのように感じさせ、彼女の愛くるしい表情が正論の様に聞こえさせた。
いや違うよと、ミウに惑わされるなと心で言った。
「おい、なんか哲学的に言ってるけど、違うよね? ただの言い訳だよねそれ!」
俺が言うとレイナがクスクス笑い出した。
「ほら、ミウ悪戯辞めないなら、パーティから追放も考えないといけなくなるよ?」
カノンの怒りが頂点なのだろう。
追放という言葉まで出るのは、深刻さを表していた。
「異世界で追放された私、戻って来いと泣き付かれる。今更謝っても遅い!」
ミウが同情を誘うように言う。
「何を言ってんだ、こいつは?」
ミウを指して俺は呆れて言う。
カノンもレイナも首を振る。
「私を追放したら、このパーティボロボロになって解散しちゃいます! 悪手ですよ。」
ミウが説明するように言う。
「うーん妙に説得力がある。」
俺は思わず自分が間違ったことを言ってるのかと考えた。
「アキラ何振り回されてるのよ?
良い? それは追放された子が何も悪くないのに追い出すから、後悔して戻って来いって言うの。」
「お言葉ですが、何も悪くないのに追放される訳ないじゃないですか? その前提間違ってます!」
「あのね、戦闘で役に立たないから追放されたけど、実は有能だったってことなの。つまり、ミウと逆の理由。戦闘で役に立つけど、性格が悪くて追放。」
「有能なら良いじゃないですか? 性格が悪いってそんなの測れるメーターとかないですよ、性格にいいも悪いもないのです。」
「つまり追放される理由は皆無なのですぅ。」
「それは違うわ、性格が悪いってのは他人に迷惑をかけること。例えば、仲間のお金を盗んだりとかね。」カノンが冷静に指摘する。
「いえいえ、お金を盗んだら性格悪いなんて、じゃあ過去にお金を盗んだ人は性格全員悪い事になりますね?」
「そんな事なーいですよぉ? フフフ」
俺たちを翻弄するように喋りながら、ミウが不敵な笑みを浮かべる。
「言い訳の天才ね! いいわ、最後まで付き合ってあげる。」
ミウが星人から天才に格上げされた!
「言い訳の天才って捻りがないですね。」
ミウが話題を変えた。
「そう? じゃあ言い訳袋ねあんた。
倒すと言い訳が出て来るの。」
「それで仲間になったら賢さ足りないから、お金盗むの。」
カノンがミウをモンスターに例えた。
「アキラ! カノンに座布団一枚上げて!」
ミウが俺に向かって叫んだ。
「分かった!」
思わず応じてしまった。
だけど…座布団あげたくなるよな。
「なら私も例えてあげます。
ピノキオです。鼻じゃなくて、イラつくと腹が出て来ます。」
ミウがニッコリ頬を緩ませて言った。
俺は鼻で笑ってしまった。
「そうね、その原因あんたのせいだけどね。イライラしてお菓子を食べるからってことならね!」
ミウのストレスでカノンがお菓子を食べる。
結果お腹が出る。それを知ってて例えるミウの太々しさに俺は腹がはち切れそうだった。
「いい? 人に迷惑かけて喜ぶ人間性格良いって言える?」
カノンが真剣な表情でミウを見据え、冷静に話題を元に戻す。
「思います、目をつぶって想像して下さい。子供が遊んで悪戯をして、相手が困ってるのに笑っている表情を。」
「愛らしくて、性格悪いなって叱ったら、その子はもっと拗ねてしまいます。
カノンのしてることの方が性格悪く見えませんか?」
「こいつは、アホなのか天才なのか分からないな…」
俺は唸った。
「はぁこいつ、ああいえばこう言う。もう、勝手にしなさい。」
カノンが呆れて部屋を出ていった。
ミウが彼女を追うように見て、俺に視線を移した。
「アキラは、追放賛成反対?」
ミウが上目遣いで聞いた。
そんなこと聞いてくるなんて、本当は気にしてるんだな。
平気そうな顔をしてるけど。
「追放反対だよ、ミウがいないと寂しくなるもんな。」
「…ありがと。」
ミウが目に涙を浮かべていた。
「レイナは?」
彼女が声を震わせて聞いた。
「ふぅ、勘違いしてますよ?
私もカノンも賛成な訳ないじゃないですか。」
「お灸を据えるためにカノンは言っただけ。
でも少しは悪戯控えて下さいね?」
レイナが優しく諭すように言った。
「私カノンに謝って来る!」
彼女の言葉に触発されたのだろう。
そして振り返り俺に言葉を発した。
「でも、アキラへの悪戯辞めないから安心して!」
「どういうこと?」
俺は首を傾げてレイナに聞いた。
「好かれてますね、良かったじゃないですか。
私も悪戯しようかしら?」
小悪魔が2体に分裂しそうだ。
ミウがカノンの部屋から戻ってきた。手には水鉄砲を持っている。
「えい!」
「ぶわっ! 顔はやめろおぉー目が痛ぇぇ~!」俺は叫んだ。
「えい!」
「わき腹も駄目だぁ~冷たぁぁい!」
俺はさらに叫んだ。
「やれやれ~」
レイナまで楽しそうに拍手してる。
小悪魔が1人から2人に感染した。
「えい!」
「きゃ」
彼女は、レイナに冷や水を浴びせ悲鳴を上げさてた。
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俺もレイナがやられて、釣られ笑いをしてしまった。
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