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葛藤の中で、隠された心
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泉の視点
私は紬ちゃんとキスをした。
自分でも信じられないぐらいに素敵だった。
自分が世界一幸せなんじゃないかと思うほどに、頭の中が一瞬真っ白になった。
けどすぐに、虹が頭に浮かんで、それを階段の様に登って、そこから見える景色が絶景だった。
それは、水色に染まった湖が私の疲れた心を全て洗い流すかの様に、綺麗で心に染み込む。
キスってこんなにも幸せな気持ちにさせるのね。
私は感動で唇に手を当てた。
「じゃあ、用はすんだよね? またね。」
紬ちゃんが手を振りながら、私の前から去ろうとしていた。
「待って、紬ちゃん! 私もう一度キスしたい。それと腰が抜けちゃって動けない。」
私は、多分もうしてくれないだろうと、分かっていたけれど、ダメもとで頼んだ。
「何よ、大袈裟だなぁ。」
紬ちゃんが笑って手を出してた。
私は手を掴んだ。
彼女の肌の温もりが伝わってきた。
「紬ちゃんの大袈裟って台詞、耳に心地良いんだよね。ああ、紬ちゃんの口癖だなって。」
「だって本当に大袈裟なんだもん、あんたは。」
紬ちゃんが肩をすくめた。
半ば呆れているのだろう。けれど、満更ではないと私に思わせたのは、頬が少し赤くなったからだ。それを私が見過ごすはずはない。
「紬ちゃん、キス駄目なら、抱っこして?」
甘える様に言い、目で訴えた。
「そんな目しても無理。男の子に抱っこしてもらいな! 私はか弱い女の子だよ?」
やんわりと断られた。男の子にして欲しい訳じゃないのに。
「…じゃあ~腕組んで下さい。」
頭を下げて、お願いした。
「まぁそれなら。」
少し考え込んだ様子で、紬ちゃんが頷く。
「やった~。ひっつくね、紬ちゃん。体温感じてたい。」
彼女が心変わりしない様に、すぐさま腕を組んだ。
少し彼女が驚いた表情をした。
「腰が抜けてたんじゃないん? 疾風の如く動きやがったな。」
「うん、抜けてだけど、もう大丈夫。」
横にいる彼女に微笑んで言う。
「都合の良い腰だな~。」
彼女が手を顔に近づけ笑う。その仕草と表情に胸がキュンと締め付けてくる。
「えへへ、都合良いの、私の腰は。女の子同士で腕組むの、結構見るよね? 不自然じゃないよね。」
上目遣いで紬ちゃんに確認する様に聞いた。
「そーだね。」
紬ちゃんがぽつりと呟いた。
「このまま帰ろっ。」
明るく私は言った。
「荷物とか持ってきてないわ。」
彼女が首を振った。
「じゃあ、戻ろっか。」
「良いよ、私1人で帰る。先帰ってな。」
気遣って言ってくれたのだろうけど、私は一緒に帰りたい。
「紬ちゃん、私が分かったって言うと思う?」
「うん、思わない。」
さすが~私のこと分かってるぅ。頬が緩んで微かに笑みが溢れた。
「だね。」
「だね。じゃなーい。いい加減私離れしなさい。」
紬ちゃんが肩で小突く。ねぇ、これもう恋人じゃない? 心で呟いた。声に出して言いたかったけれど、否定されるので、喉元で押さえ込んだ。
「お姉様無理です。」
「誰がお姉様やねん。」
恋人みたいなやり取りをして、学校に戻ろうとしたら、明君が待ち伏せをしていた。
正面玄関にいる明君に、私達のやり取りを見られたかと一瞬考え、冷や汗が出た。
けど、彼の表情からは、それを感じさせなかった。
むしろ照れ臭そうにしている。
ほっと胸を撫で下ろした。
それは、明君に嫌われる恐れからではなかった。
紬ちゃんとの関係に亀裂が入るのが怖ったんだ。
すぐに紬ちゃんの表情を窺った。
顔がひきつっていた。
私は紬ちゃんに嫌われない為に、全力で頭をフル回転させ、彼を騙していく方法を考えた。
彼女を騙す事はしたくないから。
こんなに紬ちゃんを想っているのに、明君と付き合っているなんて…そろそろ限界かな?
でも…別れて、2人が付き合ったら…その恐れが私の思考回路に何度も入って来る。
私は紬ちゃんとキスをした。
自分でも信じられないぐらいに素敵だった。
自分が世界一幸せなんじゃないかと思うほどに、頭の中が一瞬真っ白になった。
けどすぐに、虹が頭に浮かんで、それを階段の様に登って、そこから見える景色が絶景だった。
それは、水色に染まった湖が私の疲れた心を全て洗い流すかの様に、綺麗で心に染み込む。
キスってこんなにも幸せな気持ちにさせるのね。
私は感動で唇に手を当てた。
「じゃあ、用はすんだよね? またね。」
紬ちゃんが手を振りながら、私の前から去ろうとしていた。
「待って、紬ちゃん! 私もう一度キスしたい。それと腰が抜けちゃって動けない。」
私は、多分もうしてくれないだろうと、分かっていたけれど、ダメもとで頼んだ。
「何よ、大袈裟だなぁ。」
紬ちゃんが笑って手を出してた。
私は手を掴んだ。
彼女の肌の温もりが伝わってきた。
「紬ちゃんの大袈裟って台詞、耳に心地良いんだよね。ああ、紬ちゃんの口癖だなって。」
「だって本当に大袈裟なんだもん、あんたは。」
紬ちゃんが肩をすくめた。
半ば呆れているのだろう。けれど、満更ではないと私に思わせたのは、頬が少し赤くなったからだ。それを私が見過ごすはずはない。
「紬ちゃん、キス駄目なら、抱っこして?」
甘える様に言い、目で訴えた。
「そんな目しても無理。男の子に抱っこしてもらいな! 私はか弱い女の子だよ?」
やんわりと断られた。男の子にして欲しい訳じゃないのに。
「…じゃあ~腕組んで下さい。」
頭を下げて、お願いした。
「まぁそれなら。」
少し考え込んだ様子で、紬ちゃんが頷く。
「やった~。ひっつくね、紬ちゃん。体温感じてたい。」
彼女が心変わりしない様に、すぐさま腕を組んだ。
少し彼女が驚いた表情をした。
「腰が抜けてたんじゃないん? 疾風の如く動きやがったな。」
「うん、抜けてだけど、もう大丈夫。」
横にいる彼女に微笑んで言う。
「都合の良い腰だな~。」
彼女が手を顔に近づけ笑う。その仕草と表情に胸がキュンと締め付けてくる。
「えへへ、都合良いの、私の腰は。女の子同士で腕組むの、結構見るよね? 不自然じゃないよね。」
上目遣いで紬ちゃんに確認する様に聞いた。
「そーだね。」
紬ちゃんがぽつりと呟いた。
「このまま帰ろっ。」
明るく私は言った。
「荷物とか持ってきてないわ。」
彼女が首を振った。
「じゃあ、戻ろっか。」
「良いよ、私1人で帰る。先帰ってな。」
気遣って言ってくれたのだろうけど、私は一緒に帰りたい。
「紬ちゃん、私が分かったって言うと思う?」
「うん、思わない。」
さすが~私のこと分かってるぅ。頬が緩んで微かに笑みが溢れた。
「だね。」
「だね。じゃなーい。いい加減私離れしなさい。」
紬ちゃんが肩で小突く。ねぇ、これもう恋人じゃない? 心で呟いた。声に出して言いたかったけれど、否定されるので、喉元で押さえ込んだ。
「お姉様無理です。」
「誰がお姉様やねん。」
恋人みたいなやり取りをして、学校に戻ろうとしたら、明君が待ち伏せをしていた。
正面玄関にいる明君に、私達のやり取りを見られたかと一瞬考え、冷や汗が出た。
けど、彼の表情からは、それを感じさせなかった。
むしろ照れ臭そうにしている。
ほっと胸を撫で下ろした。
それは、明君に嫌われる恐れからではなかった。
紬ちゃんとの関係に亀裂が入るのが怖ったんだ。
すぐに紬ちゃんの表情を窺った。
顔がひきつっていた。
私は紬ちゃんに嫌われない為に、全力で頭をフル回転させ、彼を騙していく方法を考えた。
彼女を騙す事はしたくないから。
こんなに紬ちゃんを想っているのに、明君と付き合っているなんて…そろそろ限界かな?
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