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第87話
「お手柄でしたね。二人とも」
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カトレアが眠っている部屋のベランダに立つハノカ。
手にはエルマ人形を抱えてながら。
窓ガラスは割られたまま閉じられていて。カーテンがされてはいるが、外からの風が吹きそれで机に突っ伏して眠っているカトレアの姿を確認した。
ハノカは斧を手にする。
今度こそ・・・・・やれる。
ーーーー
しばしの沈黙がその場を包み込み、
ノウゼンカズラはジュリエッタを解放すれば、ジュリエッタは放心状態のまま、固まっていた。
コチョウ「なに、されてるのですか」
ノウゼンカズラ「早ぇ話がこうしたらガキが黙るってこと知ってるからな」
コチョウ「だからといって、生徒達には少々刺激強すぎたそうですのでいきなりそういうことはやめてあげて下さい」
生徒らは顔を真っ赤にさせている。
アザレア「(・・・実年齢で言やあのガキと俺らもそう変わらんだろ)」
ノウゼンカズラ「とりあえずに任務は終いだ。帰るぜ」
ジュリエッタはへなへなとその場に腰を落とし、地面に目を回して倒れる。
アザレア「・・・始末しなくていいのか」
ノウゼンカズラ「あー・・・」
ノウゼンカズラはジュリエッタに振り返り、
ジュリエッタに剣の矛先を向ける。
魔法を出そうとしたがやはりもう魔法の力が残っていなかった。
魔法が出ねぇ・・・か。
ノウゼンカズラの頭の中にふとディアナの顔が思い浮かぶ。
ノウゼンカズラ「・・・チッ・・・」
ノウゼンカズラは剣を消すと、ジュリエッタに背を向けて歩き出す。
ノウゼンカズラ「・・・やめだ。今日はそいつの始末の依頼で来ちゃいねぇんだからな」
リチア「え、あ、あの、でも・・この方はこのままにしておくんですか・・・?」
コチョウ「放っておきなさい。どこも怪我はしていないし、気絶してるだけなので目を覚ませば勝手にどこか行くでしょう。それより今は早く学校に帰って怪我をしてる生徒の手当てをするのが最優先ですからね」
リチアとケイリィはジュリエッタの横を通り抜け、歩き出したコチョウの横に並ぶ。
リチア「先輩の治療じゃだめなんですか?」
コチョウ「・・・使えないみたいなのですよね。
でも、多少の痛みを和らげる程度の治療はできたので、あとは消毒や包帯などで対処するしかないですね」
リチア「使え、ない?」
コチョウ「それにしても、無事に今回の任務も誰一人失うこともなくやり遂げてくれました。怪我人は出ましたが、きっと二人のおかげなのでしょうね。あの黒い出元、最初から気付いていたのですか?」
リチア「あ、はい。朝、先輩達に黒いものに襲われたって話、しましたよね。
その時側に女の子が居たんですけど、その子の中から出てきたように思えて・・・それでその女の子を探したらやっぱり原因はその子だったみたいなんです」
ケイリィ「あ・・・どっかで見たことある顔だなって思ったら、思い出した。確か人身売買されてた子じゃない?」
リチア「・・・・・。あ!きっとそうですよ!」
コチョウは目を細めた。
コチョウ「・・・なるほど。お手柄でしたね。二人とも」
リチアは照れたように笑い、ケイリィもつられて笑うが、ふと横目でコチョウの横顔を見るとすぐに真面目な顔をして何かを考えているようだった。
それを見てケイリィはほんの少しだけ、コチョウに怖さを感じたとか。
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