85 / 102
第85話
「・・・お前が騎士学校を恨む理由があんのか?」
しおりを挟む
その頃のコチョウ達。
だんだんと黒いナニカの数は減ってきていてコチョウ達は魔法を使わず剣で対応することに。
そして全部切り倒したところで、ノウゼンカズラ達はその場に膝をつく。
生徒達に張られていたバリアもタイミングよく切れた。
「バリアが・・・」
コチョウ「・・・」
あれだけ襲ってきた数が、急に減った・・・?
リチアさんがやってくれたのでしょうか。
コチョウは息を整えると、剣を手から消して生徒達の方へと歩き出す。
「ら、ラン先輩。け、怪我人の手当てお願いします・・・っ」
コチョウ「・・・」
コチョウは指が食われた生徒へ近づきそっと優しく手を添える。だけど、
かすかな治癒の光はでているが、それは一瞬で消え去りほとんどの治療はできず出血も止めることは敵わなかった。
コチョウ「痛みは引いてますか?」
「え、あ・・・少し、和らいだ、気がします」
コチョウ「すみません。あとの治療は学校に戻ってから致しますね。今は、これで我慢してください」
コチョウは他の生徒の治療を多少だが施してあげる。
と、そんな時だった。
「騎士学校の皆さん。任務お疲れ様です」
と、そこに新しい声が響いて聞こえる。
皆の視線はそちらに向く。
そこに立っていたのはいつかの任務先で暴動を起こしたジュリエッタだった...。
ー
ガチャンと、鍵のかかった正門の扉を開けて
キキョウは外へと出る。
するとそこで待ち構えていたフードの男。
キキョウ「騎士学校に何の用だ。
こんな夜からの訪問・・・
騎士学校に依頼という感じではないな」
「さすがは、騎士学校のキキョウさんでいらっしゃりますな。
いや・・・・シンア、と呼んだ方がいいですかな?」
キキョウ「!なぜ、私の名前を知っている」
「知ってますよ。貴方のことは。昔から。いや、貴方が産まれる前から、ですかな。」
そう言って被っていたフードをとれば、
あの人形屋の店主がそこにいた...。
ー
ノウゼンカズラ「・・・お前は・・・」
ノウゼンカズラはジュリエッタを見る。
ジュリエッタの顔が一瞬だけ、ディアナと重なった。
ジュリエッタ「今の貴方達なら、間違いなく仕留められそうです。魔法が使えないんでしょ?」
コチョウ「・・・なにをしたのですか」
ジュリエッタ「ジュリエッタの力です。
この力で試しに貴方達の魔法を吸い取れるかを物陰に隠れてやってみました」
と、ジュリエッタの側に姿を現した手鏡。
その手鏡を手にするジュリエッタ。
ジュリエッタ「この鏡は、あたしの思った通りに動いてくれます。だから、念じたんです。貴方達3人の魔法は厄介だから、奪ってくださいって。
それで、この鏡の中に貴方達が放った分の魔法を吸収してます。これを今、ここで放って騎士学校の皆様を一掃することだってできちゃうわけですよ」
ノウゼンカズラ「・・・お前が騎士学校を恨む理由があんのか?」
ジュリエッタ「・・・ないですよ。ないけど、あたしはこの世界が嫌だから、なにもかもめちゃくちゃになればいいって思うんです。
貴方達には分かりませんよ。あたしがこの世を旅立つ時、どれだけ寂しかったか。誰も、あたしの側に居てもくれなかった、薄情な両親だったんだから・・・・・」
ノウゼンカズラ「・・・ディアナも薄情だった、とでも言うのかよ」
ジュリエッタ「薄情ですよ。あたしが死ぬ間際も、側にいてくれない。あたしが入院してた時も来たのなんて1回程度。
毎日と言っていいほど見舞いになど来てくれなかった・・・!
あたしが死ぬ時になって、見舞いに来たってもう遅いんだってのに・・・」
アザレア「・・・ディアナはアンタのこと、気にかけていた」
ジュリエッタ「え・・・?」
ノウゼンカズラ「・・・・アイツはな、病院で寝たっきりになってるお前の為に、自ら悪い連中と手を組んで金を稼ごうとしていた。
自分には金が必要だったから。
ディアナは必死に・・・お前の病院を治す為ならば手段を選ばない。
だから・・・手を出してしまったんだ。人身売買されている子供の心臓をお前に移植しようという考えに。
心臓を取り替えれば、お前の病気は治るんだって、信じて。
だがな、それは法として禁止されている行為だ。間違った道を行こうとしてたディアナを俺たちが止めるしかなかった。
その代わりにお前の手術代に当ててやれと、俺たちがディアナに金を渡した。
今持ってんだろ?」
ジュリエッタ「!」
ジュリエッタはそっと、自らのポケットに触れる。
ノウゼンカズラ「それ、大事にしろよ」
ジュリエッタ「・・・・っ」
"お金も、ないから、大きい病院に移ることも・・・敵わなくて・・つい、臓器移植しかないって・・・。
でも・・私達が間違ってた、のよね・・・貴方の言う、とおり、親なら、側にいてあげなくちゃ・・・"
"これ・・・優しい騎士様が・・・ジュリエッタの病気が治るように・・・"
ジュリエッタ「・・・そう言えば、ママも同じようなこと言ってた・・・・。
ムカつく、なにもかも。パパも、ママも、みーんな。
死ぬ時になってあんな言葉を残して逝くとか、それじゃあ・・・残されたあたしは・・・・あたしは・・・っ」
ジュリエッタは顔を俯かせる。
手鏡のガラス部分がわずかながら光っていた。
だんだんと黒いナニカの数は減ってきていてコチョウ達は魔法を使わず剣で対応することに。
そして全部切り倒したところで、ノウゼンカズラ達はその場に膝をつく。
生徒達に張られていたバリアもタイミングよく切れた。
「バリアが・・・」
コチョウ「・・・」
あれだけ襲ってきた数が、急に減った・・・?
リチアさんがやってくれたのでしょうか。
コチョウは息を整えると、剣を手から消して生徒達の方へと歩き出す。
「ら、ラン先輩。け、怪我人の手当てお願いします・・・っ」
コチョウ「・・・」
コチョウは指が食われた生徒へ近づきそっと優しく手を添える。だけど、
かすかな治癒の光はでているが、それは一瞬で消え去りほとんどの治療はできず出血も止めることは敵わなかった。
コチョウ「痛みは引いてますか?」
「え、あ・・・少し、和らいだ、気がします」
コチョウ「すみません。あとの治療は学校に戻ってから致しますね。今は、これで我慢してください」
コチョウは他の生徒の治療を多少だが施してあげる。
と、そんな時だった。
「騎士学校の皆さん。任務お疲れ様です」
と、そこに新しい声が響いて聞こえる。
皆の視線はそちらに向く。
そこに立っていたのはいつかの任務先で暴動を起こしたジュリエッタだった...。
ー
ガチャンと、鍵のかかった正門の扉を開けて
キキョウは外へと出る。
するとそこで待ち構えていたフードの男。
キキョウ「騎士学校に何の用だ。
こんな夜からの訪問・・・
騎士学校に依頼という感じではないな」
「さすがは、騎士学校のキキョウさんでいらっしゃりますな。
いや・・・・シンア、と呼んだ方がいいですかな?」
キキョウ「!なぜ、私の名前を知っている」
「知ってますよ。貴方のことは。昔から。いや、貴方が産まれる前から、ですかな。」
そう言って被っていたフードをとれば、
あの人形屋の店主がそこにいた...。
ー
ノウゼンカズラ「・・・お前は・・・」
ノウゼンカズラはジュリエッタを見る。
ジュリエッタの顔が一瞬だけ、ディアナと重なった。
ジュリエッタ「今の貴方達なら、間違いなく仕留められそうです。魔法が使えないんでしょ?」
コチョウ「・・・なにをしたのですか」
ジュリエッタ「ジュリエッタの力です。
この力で試しに貴方達の魔法を吸い取れるかを物陰に隠れてやってみました」
と、ジュリエッタの側に姿を現した手鏡。
その手鏡を手にするジュリエッタ。
ジュリエッタ「この鏡は、あたしの思った通りに動いてくれます。だから、念じたんです。貴方達3人の魔法は厄介だから、奪ってくださいって。
それで、この鏡の中に貴方達が放った分の魔法を吸収してます。これを今、ここで放って騎士学校の皆様を一掃することだってできちゃうわけですよ」
ノウゼンカズラ「・・・お前が騎士学校を恨む理由があんのか?」
ジュリエッタ「・・・ないですよ。ないけど、あたしはこの世界が嫌だから、なにもかもめちゃくちゃになればいいって思うんです。
貴方達には分かりませんよ。あたしがこの世を旅立つ時、どれだけ寂しかったか。誰も、あたしの側に居てもくれなかった、薄情な両親だったんだから・・・・・」
ノウゼンカズラ「・・・ディアナも薄情だった、とでも言うのかよ」
ジュリエッタ「薄情ですよ。あたしが死ぬ間際も、側にいてくれない。あたしが入院してた時も来たのなんて1回程度。
毎日と言っていいほど見舞いになど来てくれなかった・・・!
あたしが死ぬ時になって、見舞いに来たってもう遅いんだってのに・・・」
アザレア「・・・ディアナはアンタのこと、気にかけていた」
ジュリエッタ「え・・・?」
ノウゼンカズラ「・・・・アイツはな、病院で寝たっきりになってるお前の為に、自ら悪い連中と手を組んで金を稼ごうとしていた。
自分には金が必要だったから。
ディアナは必死に・・・お前の病院を治す為ならば手段を選ばない。
だから・・・手を出してしまったんだ。人身売買されている子供の心臓をお前に移植しようという考えに。
心臓を取り替えれば、お前の病気は治るんだって、信じて。
だがな、それは法として禁止されている行為だ。間違った道を行こうとしてたディアナを俺たちが止めるしかなかった。
その代わりにお前の手術代に当ててやれと、俺たちがディアナに金を渡した。
今持ってんだろ?」
ジュリエッタ「!」
ジュリエッタはそっと、自らのポケットに触れる。
ノウゼンカズラ「それ、大事にしろよ」
ジュリエッタ「・・・・っ」
"お金も、ないから、大きい病院に移ることも・・・敵わなくて・・つい、臓器移植しかないって・・・。
でも・・私達が間違ってた、のよね・・・貴方の言う、とおり、親なら、側にいてあげなくちゃ・・・"
"これ・・・優しい騎士様が・・・ジュリエッタの病気が治るように・・・"
ジュリエッタ「・・・そう言えば、ママも同じようなこと言ってた・・・・。
ムカつく、なにもかも。パパも、ママも、みーんな。
死ぬ時になってあんな言葉を残して逝くとか、それじゃあ・・・残されたあたしは・・・・あたしは・・・っ」
ジュリエッタは顔を俯かせる。
手鏡のガラス部分がわずかながら光っていた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
夫の不貞現場を目撃してしまいました
秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。
何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。
そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。
なろう様でも掲載しております。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
(完結)お姉様を選んだことを今更後悔しても遅いです!
青空一夏
恋愛
私はブロッサム・ビアス。ビアス候爵家の次女で、私の婚約者はフロイド・ターナー伯爵令息だった。結婚式を一ヶ月後に控え、私は仕上がってきたドレスをお父様達に見せていた。
すると、お母様達は思いがけない言葉を口にする。
「まぁ、素敵! そのドレスはお腹周りをカバーできて良いわね。コーデリアにぴったりよ」
「まだ、コーデリアのお腹は目立たないが、それなら大丈夫だろう」
なぜ、お姉様の名前がでてくるの?
なんと、お姉様は私の婚約者の子供を妊娠していると言い出して、フロイドは私に婚約破棄をつきつけたのだった。
※タグの追加や変更あるかもしれません。
※因果応報的ざまぁのはず。
※作者独自の世界のゆるふわ設定。
※過去作のリメイク版です。過去作品は非公開にしました。
※表紙は作者作成AIイラスト。ブロッサムのイメージイラストです。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる