手向け花を捧ぐーREー

井上凪沙

文字の大きさ
上 下
83 / 102
第83話

「なんか、先輩達の動きおかしくないか?」

しおりを挟む


その頃の騎士寮。



キキョウは管理室という部屋に訪れていた。そこには監視カメラの映ったテレビやモニターやパソコンなどがある。

ふと監視カメラのテレビを見ると、騎士学校正門の前に人影を見つけた。



キキョウ「・・・なんだ?」


キキョウはテレビに近づく。明らかに怪しい動きをしてキョロキョロしている。フードを被っていて顔は見えない。

キキョウ「・・・」


キキョウは廊下に出てカトレアのいる部屋をそっと開けると、カトレアは机に突っ伏し眠っているようだった。

カトレアの安全を確かめた後、キキョウは静かに扉を閉めると廊下を歩き出す。向かうは正門。











ーーー







ノウゼンカズラ「くそ・・・どんだけ出てくるんだよ」

雷を放っても放ってもそこらから出てくる黒いナニカ達。

アザレアも氷で対処するが、ふとアザレアは気づく。


アザレア「・・・!魔法が」

ノウゼンカズラ「あ・・・?」

アザレア「・・・魔法がさっきより、弱くなってる・・?」

ノウゼンカズラ「そんなことあるわけ・・・」

黒いナニカがノウゼンカズラに寄ってくるのを雷で放つが、アザレアの言った通り、
魔法は使えたもののそれはほんの一瞬で、すぐに雷の魔法は消え去った。


ノウゼンカズラ「・・・な・・・・」









そしてコチョウも・・・


コチョウ「はぁ・・・はぁ・・・」


コチョウは風魔法で黒いナニカをやっつけているが、
徐々に魔法が弱くなっていくのが分かった。
風魔法をひたすらに使うも、一瞬でかき消されていく魔法。



コチョウは自らの手を見る。


何故・・・。なにかが、おかしい。




だんだん、
体の力が抜けていくような、この感覚は、一体何だ。






「なんか、先輩達の動きおかしくないか?」

「こんな乱戦なんだもん。疲れるよ!私だってもう剣が振れないくらい、キツかったし!」

「で、でも、応戦しに行った方がいいんじゃ・・・さすがに・・・」

「このバリアの中なら安全なんでしょ?リチアちゃんの言ってた通り大人しくこの中にいた方がいいよ」

「でも・・・だけど・・・」


男子生徒はバリアに手を伸ばすと、そのバリアに直に触れるかと思われたが触れることなく手はバリアの外へと出る。


手がバリアの外に出たのを、瞬時に黒いナニカが飛び出してその手にかぶりつくとその生徒の指が何本かちぎれて大量出血をする。



「あああああぁ!!!い、痛い!!痛いぃいいぃ!」

「ちょっと、大丈夫!?」


そんな悲鳴が聞こえ、路地にいたコチョウは剣で黒いナニカ達をねじ伏せ姿を現さない内に路地から飛び出して生徒達の元へと戻った。だが路地からコチョウの後を追いかけてくる黒いナニカ。

コチョウは振り返って魔法を放とうとしたが、かするだけで出てこない。
その後、コチョウは肩を食いちぎられた。



生徒の悲鳴に振り返ってしまったノウゼンカズラとアザレア。
そんな隙をついて前方から黒いナニカ達が襲いかかった。
ノウゼンカズラは横の腹を、アザレアは膝を食われる。
まだ向かってくる黒いナニカに一瞬だけでもいいから、雷を
放つ。

バチィと迫ってきていた黒いナニカに当たって溶けて消えていった。




「せ、先輩!」


ノウゼンカズラ「おい1年。余計なことせず大人しくバリアに護られてろ・・・
さすがの今の俺たちじゃ、生徒全員を守ることなんざ無理だろうからな。死にたくなければ、大人しくそこに居るこった」

コチョウ「・・・」


コチョウは自らの肩の治療をしてみるが、
弱々しくて痛みも少し引く程度であまり回復ができていなかった。血ですら綺麗に拭えなかった。




コチョウ「・・・!」



ーーーー





その後、
リチアとケイリィは女の子を探して走る。


リチア「はぁ、はぁ・・・っ」


早く、女の子を探して、皆の元へ、戻らなければ・・・
私の力もいつまで持ってくれるか、私でも分からない・・・
結構離れてきたけれど、大丈夫でしょうか・・・。
私が結構離れたりしたらバリアの効果が切れる、なんてことない・・・ですよね?




強い先輩達もついているから心配はないかと思うんですが・・・やっぱり、心配だ。

あんな無数の化け物を相手にしてるわけだし、たとえ強い先輩達でさえも無限に戦えるわけではない。
いつか疲労が来るに決まってますから・・・。






ケイリィ「あれ・・・。ねぇリチア!あそこに倒れてる人がいるよ!」

見てみると壁に寄りかかった女の人を目撃してリチアとケイリィはその人に走り寄る。

ケイリィ「あの。大丈夫ですか!?しっかりしてください!」

ケイリィが揺さぶると、その女の人はうっすら目を開ける。


「・・・ろ・・・ね・・・」

ケイリィ「え・・・?」

「!ロネ・・・!ロネは・・・!?あの子は無事なの!?」

リチア「あ、あの・・・ロネ・・さんて?」

「私の娘よ。あの子、なんだか可笑しいの。あの子の中に何かが住み着いてるみたいに・・・ロネの中から出てくるのよ・・・黒い・・・生き物が・・・」



ケイリィとリチアは驚いた様子で顔を見合わせていた。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

処理中です...