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第83話
「なんか、先輩達の動きおかしくないか?」
しおりを挟むその頃の騎士寮。
キキョウは管理室という部屋に訪れていた。そこには監視カメラの映ったテレビやモニターやパソコンなどがある。
ふと監視カメラのテレビを見ると、騎士学校正門の前に人影を見つけた。
キキョウ「・・・なんだ?」
キキョウはテレビに近づく。明らかに怪しい動きをしてキョロキョロしている。フードを被っていて顔は見えない。
キキョウ「・・・」
キキョウは廊下に出てカトレアのいる部屋をそっと開けると、カトレアは机に突っ伏し眠っているようだった。
カトレアの安全を確かめた後、キキョウは静かに扉を閉めると廊下を歩き出す。向かうは正門。
ーーー
ノウゼンカズラ「くそ・・・どんだけ出てくるんだよ」
雷を放っても放ってもそこらから出てくる黒いナニカ達。
アザレアも氷で対処するが、ふとアザレアは気づく。
アザレア「・・・!魔法が」
ノウゼンカズラ「あ・・・?」
アザレア「・・・魔法がさっきより、弱くなってる・・?」
ノウゼンカズラ「そんなことあるわけ・・・」
黒いナニカがノウゼンカズラに寄ってくるのを雷で放つが、アザレアの言った通り、
魔法は使えたもののそれはほんの一瞬で、すぐに雷の魔法は消え去った。
ノウゼンカズラ「・・・な・・・・」
そしてコチョウも・・・
コチョウ「はぁ・・・はぁ・・・」
コチョウは風魔法で黒いナニカをやっつけているが、
徐々に魔法が弱くなっていくのが分かった。
風魔法をひたすらに使うも、一瞬でかき消されていく魔法。
コチョウは自らの手を見る。
何故・・・。なにかが、おかしい。
だんだん、
体の力が抜けていくような、この感覚は、一体何だ。
「なんか、先輩達の動きおかしくないか?」
「こんな乱戦なんだもん。疲れるよ!私だってもう剣が振れないくらい、キツかったし!」
「で、でも、応戦しに行った方がいいんじゃ・・・さすがに・・・」
「このバリアの中なら安全なんでしょ?リチアちゃんの言ってた通り大人しくこの中にいた方がいいよ」
「でも・・・だけど・・・」
男子生徒はバリアに手を伸ばすと、そのバリアに直に触れるかと思われたが触れることなく手はバリアの外へと出る。
手がバリアの外に出たのを、瞬時に黒いナニカが飛び出してその手にかぶりつくとその生徒の指が何本かちぎれて大量出血をする。
「あああああぁ!!!い、痛い!!痛いぃいいぃ!」
「ちょっと、大丈夫!?」
そんな悲鳴が聞こえ、路地にいたコチョウは剣で黒いナニカ達をねじ伏せ姿を現さない内に路地から飛び出して生徒達の元へと戻った。だが路地からコチョウの後を追いかけてくる黒いナニカ。
コチョウは振り返って魔法を放とうとしたが、かするだけで出てこない。
その後、コチョウは肩を食いちぎられた。
生徒の悲鳴に振り返ってしまったノウゼンカズラとアザレア。
そんな隙をついて前方から黒いナニカ達が襲いかかった。
ノウゼンカズラは横の腹を、アザレアは膝を食われる。
まだ向かってくる黒いナニカに一瞬だけでもいいから、雷を
放つ。
バチィと迫ってきていた黒いナニカに当たって溶けて消えていった。
「せ、先輩!」
ノウゼンカズラ「おい1年。余計なことせず大人しくバリアに護られてろ・・・
さすがの今の俺たちじゃ、生徒全員を守ることなんざ無理だろうからな。死にたくなければ、大人しくそこに居るこった」
コチョウ「・・・」
コチョウは自らの肩の治療をしてみるが、
弱々しくて痛みも少し引く程度であまり回復ができていなかった。血ですら綺麗に拭えなかった。
コチョウ「・・・!」
ーーーー
その後、
リチアとケイリィは女の子を探して走る。
リチア「はぁ、はぁ・・・っ」
早く、女の子を探して、皆の元へ、戻らなければ・・・
私の力もいつまで持ってくれるか、私でも分からない・・・
結構離れてきたけれど、大丈夫でしょうか・・・。
私が結構離れたりしたらバリアの効果が切れる、なんてことない・・・ですよね?
強い先輩達もついているから心配はないかと思うんですが・・・やっぱり、心配だ。
あんな無数の化け物を相手にしてるわけだし、たとえ強い先輩達でさえも無限に戦えるわけではない。
いつか疲労が来るに決まってますから・・・。
ケイリィ「あれ・・・。ねぇリチア!あそこに倒れてる人がいるよ!」
見てみると壁に寄りかかった女の人を目撃してリチアとケイリィはその人に走り寄る。
ケイリィ「あの。大丈夫ですか!?しっかりしてください!」
ケイリィが揺さぶると、その女の人はうっすら目を開ける。
「・・・ろ・・・ね・・・」
ケイリィ「え・・・?」
「!ロネ・・・!ロネは・・・!?あの子は無事なの!?」
リチア「あ、あの・・・ロネ・・さんて?」
「私の娘よ。あの子、なんだか可笑しいの。あの子の中に何かが住み着いてるみたいに・・・ロネの中から出てくるのよ・・・黒い・・・生き物が・・・」
ケイリィとリチアは驚いた様子で顔を見合わせていた。
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