手向け花を捧ぐーREー

井上凪沙

文字の大きさ
上 下
82 / 102
第82話

それでも、やらなくちゃならないことがあるから・・・

しおりを挟む

その黒いナニカはその場から溶けて闇に消えて行った。



コチョウ「リチアさん。油断をしてはいけませんよ」

リチア「せん、ぱい・・・でも・・・さっき、子供が・・・」

コチョウ「化け物の戯言に、耳を貸す必要などありません。どのみち、助からない子だったのですから」

リチア「どう、して・・・?」

コチョウ「リチアさんからは見えていなかったのかもしれませんが、さっきの子は両足が既に食べられていました。逃げられないように、
なんとか化け物に殺されないで済んでたようですがこうして誘き出す作戦だったのかもしれませんね。子供を餌としてやって来た人間を」

リチア「エサ・・・そん、な・・・」


その時黒いナニカ達があらゆる壁の中から姿を現し、ランの頭上から襲いかかった。



リチア「!先輩!」

コチョウは風魔法で黒いナニカを一掃する。


コチョウ「ここは僕にお任せを。とにかく、リチアさんは今自分にできることをしなさい。貴方には、その力があるでしょう?」

私に、できる、こと・・・・。



リチアは剣を握る。


リチア「・・・っ、はい」


今度はリチアの方の壁の中から黒いナニカが姿を現し、リチアを襲おうとする。

コチョウはリチアの元に向かったその黒いナニカも剣で真っ二つに斬った。


リチア「先輩、ありがとうございます・・・っ」


リチアはコチョウにお辞儀をすると生徒達の援護へと向かった。


コチョウは路地からリチアが出ていったのを見送った後前を向く。
そこには無数の黒いナニカがコチョウを取り囲んでいた。







ーリチアは路地を出て生徒達の元へと向かう。


そこにもあの黒いナニカの数が多かった。


「ひ・・・く、来るな、化け物・・・!!」


斬っても斬っても湧き出てくる数に、一人の生徒は錯乱していた。
終わりない戦いにだいぶ皆が弱っていることに気がつく。
見てみれば怪我をしている生徒も何人かいた。



リチア「(この数を相手に、どれくらい持ってくれるだろうか・・・それでも、やらなくちゃならないことがあるから・・・)」




一人の生徒が黒いナニカを斬ると上空からその生徒を狙おうと大きな口を開けて黒いナニカが向かっていく。
咄嗟のことで対処できないでいた生徒は剣を身構えるも目を瞑る。


そんな時。


がきぃぃんという音に目を開ける生徒。
バリアが貼られたことで黒いナニカは中には入ってこれないようだった。


「リチアちゃん・・・!」

リチア「大丈夫、先輩達が皆さんを守るため戦ってくれています。皆さんはこのバリアから一歩も出ないでください。ケイ!私と一緒に来てくれますか!」

ケイリィ「え?どこに・・・」

リチア「あの子を探すんですよ!」

ケイリィ「え、ちょ!?」


リチアはケイリィの腕を引いてバリアから出る。



アザレアとノウゼンカズラは魔法を使いまくり黒いナニカの排除をしているその横をケイリィとリチアは走り抜ける。



ケイリィ「どこにいるのか知ってるの!?」

リチア「わからない、わからないけど・・・!あの子が原因なのかもわからないですけど、なにもしないでひたすら無限に湧き出てくる化け物を相手にしているのも時間の無駄だと思ったからっ」









リチア・・・。

















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者の浮気相手が子を授かったので

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。 ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。 アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。 ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。 自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。 しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。 彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。 ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。 まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。 ※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。 ※完結しました

夫の不貞現場を目撃してしまいました

秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。 何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。 そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。 なろう様でも掲載しております。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

(完結)お姉様を選んだことを今更後悔しても遅いです!

青空一夏
恋愛
私はブロッサム・ビアス。ビアス候爵家の次女で、私の婚約者はフロイド・ターナー伯爵令息だった。結婚式を一ヶ月後に控え、私は仕上がってきたドレスをお父様達に見せていた。 すると、お母様達は思いがけない言葉を口にする。 「まぁ、素敵! そのドレスはお腹周りをカバーできて良いわね。コーデリアにぴったりよ」 「まだ、コーデリアのお腹は目立たないが、それなら大丈夫だろう」 なぜ、お姉様の名前がでてくるの? なんと、お姉様は私の婚約者の子供を妊娠していると言い出して、フロイドは私に婚約破棄をつきつけたのだった。 ※タグの追加や変更あるかもしれません。 ※因果応報的ざまぁのはず。 ※作者独自の世界のゆるふわ設定。 ※過去作のリメイク版です。過去作品は非公開にしました。 ※表紙は作者作成AIイラスト。ブロッサムのイメージイラストです。

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

夫から国外追放を言い渡されました

杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。 どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。 抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。 そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

処理中です...