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第77話
「っ!け、消さない、で!」
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ー翌朝、
9時。
1年生らは制服を着こなし、剣を持つと学校の前に集まって目の前に立つノウゼンカズラ、アザレア、コチョウからこれから向かう任務の内容を聞くことになるが、
ノウゼンカズラ「任務の詳細を伝える前に言っておくことがある。何人か居ないことにお前らも気付いてると思うが俺たちも何でかは聞かされてねぇ」
ノウゼンカズラの発言に生徒達はざわつく。そして小声でそれぞれ話し出した。
「やっぱり、2階にあがった人たち、だよね?居なくなってるのって」
「2階に上がってる人って言えばケイリィ君もじゃん」
「でもケイリィ君は居るけど・・・」
ノウゼンカズラ「理由は分からんが、いつまでも気にしたってしょうがねぇ。任務に支障をきたすわけにもいかない。あとはこっちで調べをつける。お前らは気にしないで任務に集中しろ」
リチアはコチョウを黙って見つめていたが、やがて視線を隣にいるケイリィに移して小声で話しかけた。
リチア「・・・ケイは、なにも知らないんです、か?2階に上がった人たちの事・・・」
ケイリィ「うん・・・。その子らとは部屋で分かれてそれっきり。朝になってみればこんな事になってるし・・・」
リチア「・・・先輩達の言う通り、この事は先輩達に任せた方がいいのでは・・・?」
ケイリィ「・・・でも・・・」
リチア「一晩寝て、思ったんです。
今まで守ってくれた、ラン先輩を・・・信じたいって。
なにか隠してる・・・とは私も微かに思ったんですけど・・・深入りするのは危険、だと思うから・・・。
怖いんです・・・私。
ケイだって、もしかしたら消されてたかもしれない・・・っ
ケイも、だって、上がってしまったん・・・ですよね?」
ケイリィ「うん・・・でも、それは上に上がった人たちを呼び戻すためで・・・」
リチア「一番怖いのはケイが居なくなることなんですっ」
ケイリィ「それは俺のセリフなんだけどな・・・」
リチア「え?」
ケイリィ「ううん。なんでもない」
ふとケイリィと話してると横目に見てくる2人の視線に気が付き、その瞳は睨んできていた。
直視できずにリチアは俯く。
ノウゼンカズラ「そういうわけだから、今日の任務について説明する。何者か分からんが、市民を殺している輩がいるそうだ。それも、夜に。
なにがあるかわからない以上そこら歩いている市民に夜は危険だからあまり出歩くなとだけこれから街に出て忠告しに向かう。
俺らが行動起こすのは夜だ。
クラスごとに分かれ、それぞれが街歩く市民全員に通達を頼む。Aクラスは4人しか居ねぇから、2人ずつB組かC組に別れて行動しろ」
ノウゼンカズラが説明してる中、コチョウがリチアを見つめる。リチアの顔は少し暗かった。
ーー
ロネ「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
ロネはフードを深く被り顔を隠して街を走っていた...。
ーこれは今朝に起こった出来事。
ピンポーン。
デット、ロネ、ロネの母はシャムア宅を訪れていた。インターホンを鳴らして暫くしてシャムアの両親と、祖父母が姿を現した。
「ロネ、ちゃん・・・?あぁ、無事だったのね・・・!!」
ロネを抱きしめるシャムアの母。
「ロネちゃんが人身売買にかけられたってデット君がウチまで来てシャムアに知らせてくれたのよね・・・」
デット「あの・・・シャムアのこと・・・」
「騎士学校の人たちから事情を聞いたわ・・・
任務に、巻き込まれたんですってね・・・シャムアは・・・」
「・・・シャムアは僕らにとって、家族同然の人、だったから。僕らの姉的存在として・・・・」
「そう、よね・・・・。
とても、残念としか言いようがないわ・・・・。
あ。立ち話もなんだし中に入って」
そしてデット達はシャムアの家へとお邪魔することになった。
「そういえば、今日なのよね。シャムアの誕生日。
シャムアのためにケーキ買ったけど勿体無いからロネちゃんとデット君食べちゃってちょうだいな」
デット「え、いいんですか?」
「もちろんよ。ケーキは早く食べないとすぐ腐っちゃうでしょ。だから、好きなだけ食べてほしいの。
それで、シャムアのこと、お祝いしてあげてな」
そう切なげに言う祖父母に、デット達は何も言えなかった。
シャムアの母はキッチンでケーキに蝋燭をさす。
そしてその蝋燭に火を灯すとデット達の机の目の前にケーキを置く。
そんな美味しそうなケーキにロネは目を輝かせた。
「ロネちゃんて今10歳だっけ?蝋燭もちょうど10本だからこれじゃロネちゃんの誕生日会みたいね」
「じゃ、ロネちゃん。火を吹き消しちゃって」
「雰囲気を出すためにも電気消そうかね?」
ロネ「っ!け、消さない、で!」
カチッ
と、家の明かりが消される。
「ロネ?」
ロネの母はロネを見ると、自分を抱きしめ、その床にうずくまっていた。
デット「ロネ?どうし・・・」
ふと、黒いナニカがロネの中から飛び出してきてシャムアの家族へと襲い掛かる。
黒いナニカはその家族の上半身をパクリと食べてその場は血の海と化す。
「ひ・・・!な、なに・・・なん、なの・・・・!?」
次に黒いナニカがロネの母に襲い掛かろうとしたのをロネは
即座に電気の灯りを付ける。
すると、黒い生物はそのままスゥと消えていった...。
デット「ろ、ロネ・・・?お、お前・・・」
ロネ「・・・ごめ、なさ・・・ごめ、なさ・・、
お母さ・・ごめ・・・・わたし・・・っ」
ロネはただ謝り続け、
母の見る目が怖くて・・・
そこに居たくなくて、家を飛び出した。
デット「ロネ!」
シャムアの家の前が光り、その場に4つの墓が建てられたのをロネは見ないふりしひたすらに走るのだった....。
9時。
1年生らは制服を着こなし、剣を持つと学校の前に集まって目の前に立つノウゼンカズラ、アザレア、コチョウからこれから向かう任務の内容を聞くことになるが、
ノウゼンカズラ「任務の詳細を伝える前に言っておくことがある。何人か居ないことにお前らも気付いてると思うが俺たちも何でかは聞かされてねぇ」
ノウゼンカズラの発言に生徒達はざわつく。そして小声でそれぞれ話し出した。
「やっぱり、2階にあがった人たち、だよね?居なくなってるのって」
「2階に上がってる人って言えばケイリィ君もじゃん」
「でもケイリィ君は居るけど・・・」
ノウゼンカズラ「理由は分からんが、いつまでも気にしたってしょうがねぇ。任務に支障をきたすわけにもいかない。あとはこっちで調べをつける。お前らは気にしないで任務に集中しろ」
リチアはコチョウを黙って見つめていたが、やがて視線を隣にいるケイリィに移して小声で話しかけた。
リチア「・・・ケイは、なにも知らないんです、か?2階に上がった人たちの事・・・」
ケイリィ「うん・・・。その子らとは部屋で分かれてそれっきり。朝になってみればこんな事になってるし・・・」
リチア「・・・先輩達の言う通り、この事は先輩達に任せた方がいいのでは・・・?」
ケイリィ「・・・でも・・・」
リチア「一晩寝て、思ったんです。
今まで守ってくれた、ラン先輩を・・・信じたいって。
なにか隠してる・・・とは私も微かに思ったんですけど・・・深入りするのは危険、だと思うから・・・。
怖いんです・・・私。
ケイだって、もしかしたら消されてたかもしれない・・・っ
ケイも、だって、上がってしまったん・・・ですよね?」
ケイリィ「うん・・・でも、それは上に上がった人たちを呼び戻すためで・・・」
リチア「一番怖いのはケイが居なくなることなんですっ」
ケイリィ「それは俺のセリフなんだけどな・・・」
リチア「え?」
ケイリィ「ううん。なんでもない」
ふとケイリィと話してると横目に見てくる2人の視線に気が付き、その瞳は睨んできていた。
直視できずにリチアは俯く。
ノウゼンカズラ「そういうわけだから、今日の任務について説明する。何者か分からんが、市民を殺している輩がいるそうだ。それも、夜に。
なにがあるかわからない以上そこら歩いている市民に夜は危険だからあまり出歩くなとだけこれから街に出て忠告しに向かう。
俺らが行動起こすのは夜だ。
クラスごとに分かれ、それぞれが街歩く市民全員に通達を頼む。Aクラスは4人しか居ねぇから、2人ずつB組かC組に別れて行動しろ」
ノウゼンカズラが説明してる中、コチョウがリチアを見つめる。リチアの顔は少し暗かった。
ーー
ロネ「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
ロネはフードを深く被り顔を隠して街を走っていた...。
ーこれは今朝に起こった出来事。
ピンポーン。
デット、ロネ、ロネの母はシャムア宅を訪れていた。インターホンを鳴らして暫くしてシャムアの両親と、祖父母が姿を現した。
「ロネ、ちゃん・・・?あぁ、無事だったのね・・・!!」
ロネを抱きしめるシャムアの母。
「ロネちゃんが人身売買にかけられたってデット君がウチまで来てシャムアに知らせてくれたのよね・・・」
デット「あの・・・シャムアのこと・・・」
「騎士学校の人たちから事情を聞いたわ・・・
任務に、巻き込まれたんですってね・・・シャムアは・・・」
「・・・シャムアは僕らにとって、家族同然の人、だったから。僕らの姉的存在として・・・・」
「そう、よね・・・・。
とても、残念としか言いようがないわ・・・・。
あ。立ち話もなんだし中に入って」
そしてデット達はシャムアの家へとお邪魔することになった。
「そういえば、今日なのよね。シャムアの誕生日。
シャムアのためにケーキ買ったけど勿体無いからロネちゃんとデット君食べちゃってちょうだいな」
デット「え、いいんですか?」
「もちろんよ。ケーキは早く食べないとすぐ腐っちゃうでしょ。だから、好きなだけ食べてほしいの。
それで、シャムアのこと、お祝いしてあげてな」
そう切なげに言う祖父母に、デット達は何も言えなかった。
シャムアの母はキッチンでケーキに蝋燭をさす。
そしてその蝋燭に火を灯すとデット達の机の目の前にケーキを置く。
そんな美味しそうなケーキにロネは目を輝かせた。
「ロネちゃんて今10歳だっけ?蝋燭もちょうど10本だからこれじゃロネちゃんの誕生日会みたいね」
「じゃ、ロネちゃん。火を吹き消しちゃって」
「雰囲気を出すためにも電気消そうかね?」
ロネ「っ!け、消さない、で!」
カチッ
と、家の明かりが消される。
「ロネ?」
ロネの母はロネを見ると、自分を抱きしめ、その床にうずくまっていた。
デット「ロネ?どうし・・・」
ふと、黒いナニカがロネの中から飛び出してきてシャムアの家族へと襲い掛かる。
黒いナニカはその家族の上半身をパクリと食べてその場は血の海と化す。
「ひ・・・!な、なに・・・なん、なの・・・・!?」
次に黒いナニカがロネの母に襲い掛かろうとしたのをロネは
即座に電気の灯りを付ける。
すると、黒い生物はそのままスゥと消えていった...。
デット「ろ、ロネ・・・?お、お前・・・」
ロネ「・・・ごめ、なさ・・・ごめ、なさ・・、
お母さ・・ごめ・・・・わたし・・・っ」
ロネはただ謝り続け、
母の見る目が怖くて・・・
そこに居たくなくて、家を飛び出した。
デット「ロネ!」
シャムアの家の前が光り、その場に4つの墓が建てられたのをロネは見ないふりしひたすらに走るのだった....。
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