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第75話
「人形屋って言うけどあまり人形置いてなくね?」
しおりを挟む人形屋は10時から開店となっている。時刻は9時45分。
店主は今は地下にて人形の切断に躊躇していた。
「はぁ・・・はあ・・・はあ・・・」
手が震える。
やれ・・・やるんだ・・・このまま何もできなければ・・・私は、きっと殺される・・・?
奴らに・・・化け物、に・・・。
やるんだ・・・やるんだ・・・やれ・・・・!!!
店主は思い切ってカトレア達から提供された人形を切断した...。
吐きそうになるのを抑えながら、血を拭き取る店主。
そして目をくり抜く作業にうつる。
焦りながらやっていた為か新しい目玉を用意されていたがソレを床に落としてしまい、血だまりに落ちた目を拾い上げた店主。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・は・・!!」
息するのも苦しくて仕方がなかった。
ー
店主は出来上がった人形を2つ持ち、地下から上に上がり奥の部屋から表へと出ると、扉の窓から蠢く影が見えた。
「なん、だ・・・?」
店主は人形を棚に置くと扉のほうへ向かう。
時計を見ればもう10時を回っていた。
それを見て急ぎ鍵を開けると3人の客が押し寄せてきた。
「ここ人形屋なんですか!」
「え、あの、、、」
「人形屋って言うけどあまり人形置いてなくね?」
「あ、は、はい、まだ、開店したばかり、ですんで。
早い者勝ちでよければ、なんですが・・・丁度、3つあります・・・」
「わぁすごいリアルー!これ、おいくらですか?」
「へ?」
「値段ですよ!値段書いてないけど、まさかタダでもらえるわけないですよね?」
「あ、あぁ・・・!値段、値段、ね。
じゃあ・・・3ユーロ、で」
「はい!」
お金を貰い、買っていった客は店を出ていく。
客が・・・来てくれた・・・。
これも全部、あのカトレアさんのお陰、なのか・・・?
静まり返った店内で、店主は外へと出ると
表の看板など目立つように飾られていることに驚いている店主。
そして看板も店の前に立てられていて、
読んでみると、
営業時間10時~21時まで!
喋る人形、普通の人形などなどさまざま売っています!
開店したばかりの人形屋ですが、これからもっとたくさんの人形を入荷していきます!ぜひぜひお越しください!
こ、これは・・!!あの人たちの仕業、か・・・!?
カトレア「職人様?」
「!か、カトレア、さん・・・」
カトレア「見ていたわ。人形売れたのね。いくらで売ったのかしら?」
「さ、3ユーロ・・・」
カトレア「もっと高くてもいいんじゃないかしら?商売なのよ?商売は客からどんどん金を巻き上げて行かなきゃ」
「す、すみません。商売下手でして・・・」
カトレア「まぁでも、ちゃんと一人で切断できたのね。せいぜいその調子で精進して頂戴?」
「は、はい・・・!がんばり、ます・・・!
カトレア様のお陰です・・・
人生初めて、客が来てくれたのは・・・・
一生、一生着いていきます・・・!!」
そう言う店主に、
カトレアは目を細め、笑った。
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