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第72話
「・・・それが顔色ひとつ変えずに殺す人、でも?」
しおりを挟む時刻は4時。
2人は騎士学校に帰る途中、肩を並べ歩く。
リチア「今日は楽しかったです」
ケイリィ「そう?よかった。連れてきた甲斐があったよ」
リチア「また来ましょうね!今度はお兄様とも一緒に来たいです~。あ、でもお兄様は忙しいか・・・」
ケイリィ「・・・あの、さ、リチア。
リチアは、ラン先輩のことどう思ってるの?」
リチア「どう・・・?ラン先輩は私にとっては憧れの存在ですよ。あ、お兄様なわけだから本来の名前はコチョウになるんでしたっけ」
ケイリィ「・・・それが顔色ひとつ変えずに殺す人、でも?」
リチア「コチョウお兄様は訳もなく殺す方ではないです!それはきっと依頼されて」
ケイリィ「ラン先輩だけじゃない。騎士学校にいる先輩たちも、カトレアさまも、俺たちに言えないなにか・・・秘密を隠してるんじゃないかって・・・」
ケイリィは2階で見た写真を思い出す。
ケイリィ「2階に上がった生徒の突然の行方不明。これもきっと裏があると思うんだ」
リチア「それ、は・・・お兄様達の仕業だと、言うんですか?」
ケイリィ「・・・まだ確証はないけど・・・」
リチア「お兄様はっ・・・!」
その時今朝コチョウと話したことを思い返してしまったリチア。
お兄様は・・・。
知るのが・・・怖い・・・。
お兄様のことは、信じたい、信じていたい・・・。
たくさんコチョウに守ってもらった記憶を思い出し、気がつけばリチアの瞳からは涙が伝っていた。
ケイリィ「え・・・、リチア!?ご、ごめん。俺が悪かったよ・・・。そこまで、まさかリチアがラン先輩の事思っていたなんて・・・」
リチアは首を横に張る。
ちが、くて・・・。
お兄、様は・・・・。
ーーー
人形屋にて、
「ん・・・」
その頃、人形屋の店主は喉から血を流しながらもうっすら、目を開ける。
「いっっ!けほっごほ!」
致命傷にはいたらず、
店主の喉に刺さっていた葉をなんとか引きちぎると、葉を握りつぶすとぱらぱらと散っていく。
とがっている葉を握りつぶしたことで店主の手からは血が流れ出る。
「あの騎士め・・・。この私を殺そうとした・・・ぜったい、許さん・・・!」
店主はふと、床に落ちる携帯を見つける。
携帯のすぐ近くに黒焦げですでに事切れている女がいた。
店主は気にすることなく立ち上がると、歩き出す。
あの騎士の力とやらが厄介だ・・・
どうにか奴等の魔法の力をうばい取ることさえできれば、こちらにも勝機はあるというのに・・・・
・・・・やはり騎士学校は化け物揃いだった。初めて会った時もどことなくこの方には逆らわない方がいいと微かに感じてはいたから・・・。
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