手向け花を捧ぐーREー

井上凪沙

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第65話

「もうお人形は作れないかしら」

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ジュリエッタ「ぐ、う、うぅ・・・!」


ジュリエッタはカトレアの手から出てきた鎖により胸を貫かれてジュリエッタの体は宙へと浮かぶ。


カトレア「わらわは神ぞ。神に不可能なことなどあるわけがないわ」

カトレアの目が赤く光るとジュリエッタの胸を貫いている鎖も光り出す。


ジュリエッタ「いや、いやぁぁぁぁぁあ!!!」


その時だった。窓ガラスを割って斧が飛び込んできた。何事かとカトレアが振り返った瞬間、斧はカトレアの胸に直撃した。

カトレア「な、に・・・っ」


そこで鎖は消え、ジュリエッタは床に落とされる。
窓の方を見てみればそこのベランダにはハノカが立っていた。


カトレアは胸に刺さった斧を引き抜いて床に落とす。胸からはぼたぼたと血が溢れ出る。


カトレア「お、まえ、は・・・」

ハノカ「ハノカのナカマのかたきうちにきました」

カトレア「なかま・・・?」

ハノカ「そう。このコ、みおぼえありませんか?」


そう言ってカトレアの前に人形と化っしたエルマがいた。顔だけはエルマのもので、胴体や手足などは何かを組み合わせて作ったような体だった。服などは可愛らしく着飾られていた。


ハノカ「・・・このコ、ハノカのナカマであり・・・ゆいいつのかぞくでした」

カトレアはその人形を見て「あぁ・・・」と呟く。

カトレア「なるほど・・・。それで?わらわを殺すか?」

ハノカ「うん。あなたをころせばあなたにくっついてるキンギョのフンにいちゃんたちのしょうたいもわかるんじゃないかとおもって。ずっと・・・みてきて、そうおもったの。コロシやは、これでもきてんがきくから」

カトレア「・・・だがわらわを襲ったのはちと失敗だったわね?わらわはそう簡単には死なないし、わらわを襲ったことでその金魚のフンとやらももうじきここに来るわ」

ハノカ「くるはずない。きっと、ちめいしょうのハズ・・・」

そんな時だった。

開け放たれた窓から雷と氷がハノカめがけ飛んできて、ハノカは間一髪でそれを避ける。
だがハノカが避けたことで雷と氷はカトレアに向かっていきカトレアは飛んできた魔法に手を伸ばせばその手のひらで簡単にかき消した。



ノウゼンカズラとアザレアは窓から中に飛び込んでカトレアを守るため前に立つ。




ハノカ「な・・・むキズ・・・?」

カトレア「そりゃあね。わらわの可愛いキンギョのフン達の一人が治癒魔法を備わっているからね。血も、傷も、証拠すらも綺麗に消してくれるのよ」


キンギョのフン??
アザレアとノウゼンカズラはその言葉に疑問を抱いていたがハノカが斧を手に取りその斧を投げようと構える。



ノウゼンカズラ「やらせねぇよ」

だがそこで素早くノウゼンカズラが雷を放ち、
雷が落ちるよりも早く瞬時にジュリエッタの手錠目掛け斧を投げた。

その後ハノカの手にバチバチと雷が落ちる。


ジュリエッタの手錠は斧が投げられたことにより見事に手錠に当たったことで割られて手首が自由になったジュリエッタは手首を押さえたハノカがこちらを見て頷いていた。


手首が解放されたことでジュリエッタは魔法を使い、カトレア達を取り囲むようにその部屋の天井には光の針が出現する。

その光の針はカトレア、ノウゼンカズラ、アザレアに向かって行きドドドドドと無数の光の針が落ちる。

その場は煙で辺りが見えなくなるまで光の針が降り注ぎ、
カトレアの力でアザレアとノウゼンカズラは無事だったが煙が晴れた頃にはすでにジュリエッタとハノカの姿はなかった。




カトレア「・・・・逃げられたわね」

ノウゼンカズラ「・・・すいません。カトレア様。
今回の別件任務、どうやら最初っから我々は騙されてたみたいです」

カトレア「まぁ、そうだろうとは思ったけれどあの子の力を奪うことだけに意識が向いていて、少し油断したわ」

アザレア「力、奪えたんですか」

カトレア「いや。その前に邪魔されたわ」

アザレア「・・・そうですか」


と、そこへ部屋の扉が開かれてキキョウとランも駆けつけてくる。

キキョウ「カトレア様!」

カトレア「わらわなら大丈夫よ。傷口など自然と完治するみたいだからね」

見てみるとカトレアの胸の傷が徐々に塞がっていくのがわかる。


ラン「カトレア様。血の処理を致します」

カトレア「ええ。お願いするわ」

ランはその床についた血糊や、カトレアから出ていた血も魔法の力で綺麗にしていった。




キキョウ「・・・申し訳ありません。カトレア様のお側にいるべきでした。」

カトレア「・・・わらわにはこの任務、なにか裏があるんじゃないかと思ってたけどね。それで、職人様は?」

ラン「殺しました」

カトレア「・・・・そう。仕方ないわ。それじゃ、もうお人形は作れないかしら」



そう呟いたカトレアの言葉はどこか切なそうだった。










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