手向け花を捧ぐーREー

井上凪沙

文字の大きさ
上 下
64 / 102
第64話

「たった一人の妹なのですから」

しおりを挟む



血を流し胸を押さえて膝をついているそんなランへとリチアが駆け寄った。


リチア「せ、先輩・・・どう、したんですか!?大丈夫、ですか・・・!?」

ラン「は、はい・・・これは・・・」

キキョウ「・・・まずい、か・・・」



カトレア様・・・!



「お・・・・・ほ、本当、だった・・・・」
そんな騎士を見て、店主は口を開いた。

ノウゼンカズラ「あ・・・?」

4人の視線は店主に向いた。

「これが、騎士学校の秘密、ですかぁ・・・」

ノウゼンカズラ「なに、言ってやがる。もともと護衛などとうまく言って、初めから騙してたのかよ・・・」

ラン「・・・」

ランはその場に風を巻き起こし、その風は4人の体を優しく包み込み怪我の治療を施してあげて胸から出た血も全てなかったことになり4人は立ち上がる。


キキョウ「・・・ノウゼンカズラ、アザレアはカトレア様の元へ急げ」

ノウゼンカズラ「あぁ。おいラン。ユニコーン呼べ!」

ラン「念のためにもう外に呼んでありますよ」

と言えばアザレアとノウゼンカズラは店主の横を走り抜けその地下を出て行った。

キキョウ「職人殿。なにか言い残すことはあるか」

店主に武器を向けるランとキキョウ。

「ま、待って待ってくれ!!
わ、私は、脅されておったんですよ!ある日の夜、店じまいの時間になってある一人の女の子が、店に来たんです・・・確か・・・シュヴァインなんとかと、名乗っておった・・・」

その名を聞いて目を見開いたキキョウとラン。











ーある日の夜の出来事ー


ガチャ。



「あ、すまんもう閉店の時間だが、看板立てかけるの忘れてましたかな」

少女は無言で店内を見渡す。そしてひとつの人形を見つけると、その人形を手に取る。


「あ、あの・・・?その人形、お買い上げになりますか?」

ハノカ「・・・ハノカ=ユシアール=シュヴァインていいます」

「え・・・?」

ハノカ「ハノカしってますよ。おじさんのしてること。ぜんぶ、みてたから」

「え」

「あの、きしだんてひとたちとおじさんはなかよしですか??
ハノカは、きしだんがにくいんです。
ハノカのナカマ、きしがっこうにいったまま、かえってこなくて・・・ナカマがきしがっこうにはいっていったのをかくにんしたけど、なんじかんかたってでてきたのはきしのヒトだけ。
ナカマのすがたはなくて、きになってついていった。そしたら、ここ・・・にんぎょうやさんだったっていうことをしった・・・

やっぱり・・・ここにいたんだ」

「な、なんの・・・話し・・・?」

ハノカ「この子、ハノカのナカマ」

「な・・・」



ハノカは手に持った人形を見つめる。

「すがたカタチはちがえど、ハノカにはわかる。ずっと、かんさつしてた・・・きしだんにはなにかヒミツがあるんじゃないか・・・。
ハノカのナカマに、ぜんしん刃物でつきつけられても、かれらがしなないりゆう。なんで、かれらにしかないバケモノみたいなちからをつかえるのか。

それをいうならハノカたちもバケモノですね。コロシやは、フジミだから」

「こ、殺し屋・・・!?ハッ・・・シュヴァイン・・・シュヴァイン、一族の・・あの・・・」

「ハノカ。きしだんのひみつをさぐってるんです。それがかんさつしてて、わかったかもしれないから、おじさん。ハノカにきょうりょくして」

「きょ、協力、というのは・・・」

「あの4人のきしだんのひとたちをおびきよせて」

「お、おびきよせる・・・!?そ、それは、あまりにも・・・ぜったい、そんなことしたらこ、殺される」

ハノカ「いま、ころされるか、あとでころされるかのちがいですよ」

そう言うとハノカは隠し持っていた斧を取り出して見せる。

「ひぃ・・・!!」

ハノカ「おじさんはきょーりょくせざるをえない。このコトをばらされたくなければ」







ーーー





キキョウ「・・・殺し屋の生き残りか・・・くそ・・・。ラン。リチア=アズマ。いくぞ」

ラン「はい」

リチア「えっ、あ、は、はいっ」

3人は店主の横を通り抜ける。だが、

「え、ちょ、ま、待ってくれ!」
店主はリチアの腕を掴んだ。

リチア「きゃっ」

「い、行かないでくれ・・・キミは、一目見て、分かる。きっと美しい人形に・・・」
ラン「職人様」

ランはリチアの頭を自分の胸に引き寄せる。

ラン「その手を離してくれますか。貴方に構っている暇ではないのですよ」

「・・・手を汚すのはいつも私の仕事だ・・・だから今までみたいに、騎士様がその子を人形に・・・」
そう言い合える前に、ランは葉っぱを取り出して店主の喉元に投げつけ、店主は喉から血を吹き出して地に伏せる。

「ぁ・・・が・・・・」



ラン「バカと話すのは疲れますね。リチアさんは誰にも渡すわけないじゃないですか。僕の大切で大事な生徒であって、たった一人の妹なのですから」

そこで店主は意識を失った。












・・・・・え・・・・?


















 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

処理中です...