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第46話
「素直ないい子だったわ」
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リチア「お、お母様・・・!?どうしてここに・・・?」
「リチア元気かなぁて思って、顔見たくなっちゃって。
朝早くじゃないと会えないじゃない?ほら、リチア朝に任務に出て行っちゃうんでしょ?騎士様が門を開けてくれて、リチアを呼んでくれるとのことで待ってたの」
リチア「顔みたいがためにわざわざここまで・・・?」
「ええ。騎士学校は寮に泊まるそうだけど、家に帰っちゃいけないわけじゃないんでしょ?
任務が休みの日とかあったら1日だけでいいから家に帰っておいでよ。リチアがいなくて家は寂しいわ」
リチア「・・・!はい・・・」
そう言って笑った母にリチアは意を決して、口を開く。
リチア「今、何時ですか?」
「丁度7時を回ったところだけど」
リチア「1時間だけなら・・・お話ししましょう!」
「なにを聞かせてくれるの?騎士学校での出来事とか?」
リチア「そうじゃなくて・・・お兄様のこと、です」
とりあえず二人は騎士学校の門の前にてある噴水の前に腰掛けることに。
「兄のことが知りたいの??そうねぇ・・・
まぁ、素直ないい子だったわ」
リチア「・・・・・それだけ??」
「いやぁ、まぁいろいろとあった子だったから。
兄のコチョウはね、まだあの頃はほんの赤ん坊で・・
産まれて2ヶ月くらいで本当は亡くなってるはずなの」
リチア「・・・はず・・・?」
「どうして亡くなったのかは今はもう分からないけれど・・・。
本当は・・・リチアもコチョウも亡くなってるはず、だったのに・・・貴方たちは奇跡的に一命を取り留めたの・・・。
病院で、コチョウは目覚めて。リチアもコチョウとまったく同じ状況だった。
本来亡くなっていれば墓が出現してたけど・・・
コチョウの墓はどこにもなくて・・・じゃあ生きているんだって・・・確信を持てた。リチアの墓も、コチョウと同じ現象みたい。その日の夜、墓は確かに建ったけれど翌日には消えていたもの」
お兄様も・・・死ん、でた・・・?私と同じ・・・。
「でも、一命を取り留めたと言ってもやっぱりコチョウの身体が心配なわけよ。まだ赤ん坊だったから・・・。
医者に見せたら、どこも悪いところはないって。
でも、ただ少しおかしなことを言っていて・・・
心肺は停止してたんだって・・・。
リチアの時はそんなことは言われなかったのに・・・。
私・・・それを聞いたらコチョウのコトが怖くなって・・・きっとコチョウもそれを感じ取ったのかな。
だから・・・コチョウは家を出て行ったのかなって・・・思って・・・。
コチョウが生きてくれて、本当は嬉しかった・・・。コチョウにずっと愛情を注いでいたかった・・・っだけど、
私があの日コチョウを拒んでしまった・・・っ」
母は思い返す。
ある日、
コチョウが私にオモチャを見せに近づいたとき、思わず私はコチョウの事をひっぱたいてしまったの・・・。
そのオモチャは父が買ってくれたもので、私にそっくりな人形だったからコチョウは私にプレゼントしようとしてくれたのに・・・。
それを、私は・・・。
母はハッとして、自分がしてしまったことを後になって後悔した。
すぐに床に転がったコチョウを起こすと、コチョウは何も言わずに床に落としたオモチャを拾い上げると母に差し出してくる。
母はそんなコチョウをそっと抱きしめた。
そしてひたすらにただ「ごめんね」と謝る。
コチョウは、普通の子供じゃないんだって・・・
コチョウを抱きしめた時、微かに身体の冷たさが伝わってきて・・・。
今こうしてちゃんと、生きているのに、死んでるみたいで・・・。
「コチョウが今どこでどうしてるのかは知らないわ・・・
生きているかどうかさえも・・・でも・・・リチアさえ良かったら騎士団の方でコチョウを探して?
そういう場合って依頼書を書いて出せばいいんだっけ?
私は・・・コチョウに会って謝りたい。
今度はちゃんと、愛情を注いであげたい・・・。
もう、手遅れなのかもしれないけど・・・」
リチア「・・・お母様・・・」
ということは私のお兄様も・・・神様がいる・・ということ・・・?
なら、お兄様はどこかで生きている・・・。
でも死んだ人間を甦らす神様がいるなんて話、誰が信じるのだろう・・・?
死んで体験した者でしか、きっと知らない。いくらこの世界を神様が作り変えた世界といっても。
リチア「・・・わかりました。お母様が言うなら・・
お母様の依頼として、私が兄を探して欲しいって頼んでみます」
「本当?・・・ありがとう」
「リチア元気かなぁて思って、顔見たくなっちゃって。
朝早くじゃないと会えないじゃない?ほら、リチア朝に任務に出て行っちゃうんでしょ?騎士様が門を開けてくれて、リチアを呼んでくれるとのことで待ってたの」
リチア「顔みたいがためにわざわざここまで・・・?」
「ええ。騎士学校は寮に泊まるそうだけど、家に帰っちゃいけないわけじゃないんでしょ?
任務が休みの日とかあったら1日だけでいいから家に帰っておいでよ。リチアがいなくて家は寂しいわ」
リチア「・・・!はい・・・」
そう言って笑った母にリチアは意を決して、口を開く。
リチア「今、何時ですか?」
「丁度7時を回ったところだけど」
リチア「1時間だけなら・・・お話ししましょう!」
「なにを聞かせてくれるの?騎士学校での出来事とか?」
リチア「そうじゃなくて・・・お兄様のこと、です」
とりあえず二人は騎士学校の門の前にてある噴水の前に腰掛けることに。
「兄のことが知りたいの??そうねぇ・・・
まぁ、素直ないい子だったわ」
リチア「・・・・・それだけ??」
「いやぁ、まぁいろいろとあった子だったから。
兄のコチョウはね、まだあの頃はほんの赤ん坊で・・
産まれて2ヶ月くらいで本当は亡くなってるはずなの」
リチア「・・・はず・・・?」
「どうして亡くなったのかは今はもう分からないけれど・・・。
本当は・・・リチアもコチョウも亡くなってるはず、だったのに・・・貴方たちは奇跡的に一命を取り留めたの・・・。
病院で、コチョウは目覚めて。リチアもコチョウとまったく同じ状況だった。
本来亡くなっていれば墓が出現してたけど・・・
コチョウの墓はどこにもなくて・・・じゃあ生きているんだって・・・確信を持てた。リチアの墓も、コチョウと同じ現象みたい。その日の夜、墓は確かに建ったけれど翌日には消えていたもの」
お兄様も・・・死ん、でた・・・?私と同じ・・・。
「でも、一命を取り留めたと言ってもやっぱりコチョウの身体が心配なわけよ。まだ赤ん坊だったから・・・。
医者に見せたら、どこも悪いところはないって。
でも、ただ少しおかしなことを言っていて・・・
心肺は停止してたんだって・・・。
リチアの時はそんなことは言われなかったのに・・・。
私・・・それを聞いたらコチョウのコトが怖くなって・・・きっとコチョウもそれを感じ取ったのかな。
だから・・・コチョウは家を出て行ったのかなって・・・思って・・・。
コチョウが生きてくれて、本当は嬉しかった・・・。コチョウにずっと愛情を注いでいたかった・・・っだけど、
私があの日コチョウを拒んでしまった・・・っ」
母は思い返す。
ある日、
コチョウが私にオモチャを見せに近づいたとき、思わず私はコチョウの事をひっぱたいてしまったの・・・。
そのオモチャは父が買ってくれたもので、私にそっくりな人形だったからコチョウは私にプレゼントしようとしてくれたのに・・・。
それを、私は・・・。
母はハッとして、自分がしてしまったことを後になって後悔した。
すぐに床に転がったコチョウを起こすと、コチョウは何も言わずに床に落としたオモチャを拾い上げると母に差し出してくる。
母はそんなコチョウをそっと抱きしめた。
そしてひたすらにただ「ごめんね」と謝る。
コチョウは、普通の子供じゃないんだって・・・
コチョウを抱きしめた時、微かに身体の冷たさが伝わってきて・・・。
今こうしてちゃんと、生きているのに、死んでるみたいで・・・。
「コチョウが今どこでどうしてるのかは知らないわ・・・
生きているかどうかさえも・・・でも・・・リチアさえ良かったら騎士団の方でコチョウを探して?
そういう場合って依頼書を書いて出せばいいんだっけ?
私は・・・コチョウに会って謝りたい。
今度はちゃんと、愛情を注いであげたい・・・。
もう、手遅れなのかもしれないけど・・・」
リチア「・・・お母様・・・」
ということは私のお兄様も・・・神様がいる・・ということ・・・?
なら、お兄様はどこかで生きている・・・。
でも死んだ人間を甦らす神様がいるなんて話、誰が信じるのだろう・・・?
死んで体験した者でしか、きっと知らない。いくらこの世界を神様が作り変えた世界といっても。
リチア「・・・わかりました。お母様が言うなら・・
お母様の依頼として、私が兄を探して欲しいって頼んでみます」
「本当?・・・ありがとう」
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