手向け花を捧ぐーREー

井上凪沙

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第41話

「ご飯・・・久しぶりに食べた、な・・・」

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ロネ「わたしに・・・なに・・・したの・・・?
痛い・・・痛みが・・・」


ロネはお腹を押さえつつ目の前の神を見上げている。


デット「こりゃ僕一人じゃちとばかり重すぎる力でな、この力の半分をお前に捧げたんだよ」


そうするとデットは黒いナニカを出すし、そのナニカはデットの掌の上に移動する。


ロネ「なに・・・それ・・・」

デット「絶望でできた塊みてぇなもんだ。
お前が腹を空かすとこいつが食い物を調達してくるからお前はなにも食べなくてもお腹は常に満腹のはずだ。
僕がお腹空いたからさっきつい食べてしまったが、
お前にはまだ少しばかり早かったか」

ロネ「な・・・に・・・?」

デット「お前は僕と契約した。
だから繋がってるわけ。俺が腹減って食えばお前の腹も自然に膨れる。
そしてたまたま通行人を食っちまったがお前のことまで頭になかったわ」


・・・!?


ロネ「ひ・・と・・・?」


ロネはその場にうずくまり、咳き込む。


デット「お前にも、この力があるんだぜ。なんでもいいから、食おうとする生きもんがよ」

ロネ「わた、しは・・・っ・・・!こんな力、欲しく、ない・・・!」

ロネの瞳は涙が溢れ出る。

デット「あんまりこいつらを否定すると怖いぜ?
僕でも制御きかねぇでなんでもかんでも行動して食おうとするからな。


まぁ、でも・・・そこまで泣くほど嫌っつぅんなら・・・わかった」




・・・?


「こいつらは闇が好きだ。だから、あんまり暗いとこに出んな。暗いとこに出るとこいつらは行動おこす。
腹が減っていたらな。
明るいところにいればこいつらは出てくることはねぇ・・・。
僕もあんまり食わずにいてやるからよ・・・
普通の食事でもして腹を満たしといてやる。
まぁでも、それじゃ腹は膨れねぇんだがな・・・。


お前も明るいところでならお母さんの作った料理、食べれるんじゃねぇか」


ロネは言葉を失うしかなかった。


その時。ガチャリと音を立ててお母さんが家から出てきた。


「デット、ロネ・・・?ご飯したけど・・・。って、ロネ大丈夫!?」

母はロネに近寄る。

ロネ「大丈夫・・・だから・・・来たら、だめ・・・」

「え?」

デット「ロネ、少し体調悪いみたいなんだ」


ロネはデットを見れば本物のデットに戻ったのだと見てわかった。
デットはロネを支えながら家の中へと入る。




「大丈夫・・・?ご飯食べるの無理そうならとっておくけど・・・」

ロネ「・・食べれる」





3人は食卓につき、
今日の食事はハンバーグに味噌汁にご飯だった。


デット「美味しそう。でも、今はなんかお腹いっぱいなんだよね・・・」

「あら、そうなの??なにか食べてきたとか??」

デット「うーん。そうかも。わかんないけど」

「ふふ、なにそれ」

そんな会話をする二人をロネが見つめる。そして視線をご飯に移す。

ロネは箸を持って意を決してご飯を口の中に入れた。


ロネ「・・・!」

「ロネ、美味しい??」


ロネ「味・・・しない、、、」

「嘘!?」

ロネ「でも・・・お母さんが作るご飯・・・久しぶりに食べた、な・・・」




人身売買されてから母親のご飯を食べてこなかったロネは懐かしさのあまり涙がポロポロと頬を伝っていた。


それを見た母は優しく微笑んだあと、


「そっか・・・」




と言ってそれ以上の言葉はかけなかった。

否、かけれなかった。自分も泣いてしまいそうだったから。



涙を押さえ込んで、母もご飯を食べ始めるのだった。













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