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第28話
「シュヴァインいちぞくってごぞんじですか?」
しおりを挟むエルマはカトレア達と共に騎士学校へ入り騎士寮の居間へと通され、カトレアとエルマはそこのソファーにお互いが向かい合う感じで腰掛ける。
キキョウがエルマとカトレアの分の飲み物を用意して2人の目の前の机に置く。
カトレア「そなたはまだ子供だというのに親と一緒には来ないなんてすごい勇気ね?」
エルマ「イヤだなーコドモあつかいはやめてくださいよ!おやなんてひつようないし、こうみえてけっこーとしうえなんですよ?ボクたちはとくべつで、たしゃよりおさなくみえがちなんです。そーいうふうにうまれてしまったから・・・」
カトレア「特別??」
エルマ「シュヴァインいちぞくってごぞんじですか?
このナマエはしられがちで、ナマエをしればミンナおそれるんですけどー」
キキョウ「・・・聞いたことはある。たしか殺し屋の一味だったかと」
カトレア「それを知ったところで我々が恐れるとでも思ったのかしら?」
エルマ「まさか!きしサマですもんね!いちおうナマエなのってみたけどあんのじょーかおいろヒトツもかえないんですもん。だから・・・テレビでみてたときおもったんです。きしサマのかんじょーのなさそうなカオをさ、キョーフにそめあげたらおもしろいんじゃないかって・・・」
そう言った後、エルマはコートに隠し持っていた剣をスッとカトレアに突きつけた。
ボクらころしやのむねのおくには
ほかのヒトにはないものがそんざいしている。
ソレをホウギョク(宝玉)とよんだ。
うまれたトキからそのホウギョクがそんざいしていれば
ころしやとしてえらばれたという
いいつたえがむかしからある。
けど、ホウギョクにえらばれたヒトは
すてられるウンメイにあって・・・
そうしてホウギョクがホウギョクをもつものどうしを
ひきあわせてくれるっていう・・・。
カトレアは剣を突き立てられても余裕そうな顔だった。
カトレア「・・・わらわを殺すことが目的で来たのかしら?」
あと、こんないいつたえもきく・・・。
むねのおくにあるホウギョクにはダレもさからえず、
ホウギョクがはつどうすると
ひとみがかがやきをはなつんだってさ。
エルマの瞳は言い伝え通りに光り輝きはじめ、
宝玉が輝いてる間は素早さも殺しも一瞬だという。
一瞬で殺せるというのにエルマはそれをしないのは
まだ殺すのは惜しいと思ったからか自ら宝玉の力を押さえ込んだ。
エルマ「すごい・・・さすがきしサマだ。
まゆヒトツうごかさないなんて・・・ふつーのニンゲンならびっくりするとこだよね!」
カトレア「あいにく、人間は捨てた身なのでね?」
エルマ「なにわけのわからないことを・・・」
そんな時だった。
スッ・・・と、いつの間にかキキョウが大剣を出していてその大きな剣をエルマに突きつけていた。
キキョウ「ひとまず大人しく席に座ってもらおうか」
キキョウに言われ、エルマは身を引いてソファーに座ることにした。その時既にエルマの瞳の輝きは通常に戻っていた。
エルマが身を引いてくれたことでキキョウは剣を魔法のように手元から消した。
きしってだけあってやっぱりすごいいあつかんだな。
あのキキョウってヒト、おとなしくしたがわなければようしゃなくキルといわざるをえないヒトミしてた。
エルマ「・・・きしだんってワルイことをしてるヒトをさばくためにそんざいしてるんでしょ?ボクはコロシやだし
ヒトだってあやめてる・・・。
のばなしにしたらあぶないのでいまココで
ころしておくべきでは?」
カトレア「まぁ、確かにね・・・」
カトレアは目の前のコップを手に取る。
カトレア「でもそんな簡単に命をとったりしないわ。
それじゃただの人殺しと変わらないものね。わらわ達は会話をしてその人物のことを知ったうえで判決を下すのよ」
エルマ「しらなくったって、ボクはコロシやなんだよ!?」
カトレア「殺し屋でもよ。
口ではそう言っているが実際のところ殺してなかったら
それこそ何の罪もない人間を殺してるって世に知れたら
こちら側が悪になってしまうわ」
エルマは剣を握る手に力を込めた後、
その剣をコートの中へとしまう。
カトレアは喉を潤すためにコップに口をつけてコーヒーを口にするとコトリとコップを机に置く。
エルマ「・・・ごぞんじですか?あまりきしサマのことよくおもってないヒトもいるってこと。
じっさいボクもあまりスキじゃないです。あってみてそれをつーかんしました。
じぶんたちはただしいコトをしてるって
せいぎきどっちゃってさ」
カトレア「もちろん知ってるわ。でも必要としてくれてるものも世の中にはいる。わらわ達は人々の安全を守り、悪はこの世から決していくために存在するのよ。
そうしていけば民の安全は保証できるでしょ?」
エルマ「・・・そうでしょうか」
エルマも目の前にあるコップを手に持つ。
エルマ「あくをけしたからってもんだいゴトはかってにおこるものですよ」
カトレア「それを解決していくのが騎士学校よ」
しばしの沈黙の中、エルマがコップに口をつけてお茶を口の中に流し込んだ時その部屋の扉がガチャリと開いて中にキャリーケースをもったラン達が入ってきた。
ラン「・・・やっぱり中身空っぽじゃないですか」
ノウゼンカズラ「本当にゴミ押し付けやがってクソガキが」
エルマ「え?バレちゃいました?」
あははと笑うエルマ。
その後エルマは眠たそうに目を擦る。
カトレア「眠くなったのかしら?
いいわ、遠慮しないでそこのソファーで眠ってもらって構わないわ」
エルマ「・・・うーん。
でもボクなにしにここに、きたんだっけ・・・。まぁ、いーや。すこしねむろう・・・」
エルマはソファーに横になりすぐに眠りへとついた。それを
観 見てカトレアはニヤリと笑ったことを今はもう夢の世界に旅立ったエルマが知る由もない。
一生目覚めることのない永遠の眠りに行ってらっしゃい・・・。エルマさん・・・?
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