27 / 102
第27話
「お嬢ちゃん、騎士学校に何か用事か?」
しおりを挟む・・・表向きは市民の平和を守るために動いているにすぎない、普通の騎士だ。
けどそんなことは僕らにとってはどうでもいいことだから・・・。
その時シナのセリフを思い返すラン。
"心なんてないんじゃないかってくらい、冷たい瞳をするね"
ええ、その通りですよ。僕は・・・僕らに心なんてものは存在していないのだから・・・。
ーーー1年前
殺し屋の1人であるエルマは大きなキャリーケースを引いて空港の飛行機乗り場へとやってくる。
飛行機に乗ろうとしたところ、仲間のハノカがエルマの見送りへと一緒に来ていた。
ハノカ「ほんとうに、いくんですか?」
エルマ「うん。行くよ。キシガッコウがどんなところかしりたいしこのめでまじかでみてみたいんだ。
そうふあんそうなカオしないでよ。
だいじょーぶ。ようがすんだらすぐかえってくるから」
その言葉を残し、エルマは飛行機の中へと消えた。それをハノカは飛行機が飛び立って見えなくなるまで見送っていた。
飛行機に乗ること役数時間経ち、エルマは飛行機から降りて地図を見ながら騎士学校がある場所までキャリーケースを引きながらも歩きまわることに。
さすがに地図見ても位置まではわからない為そこらを歩く近くの人に聞いてみることにしたエルマ。
エルマ「あの、すいませーん」
エルマが声をかけたのは老人とお姉さんの2人であった。
エルマ「えっと、キシガッコウってどこですか?」
エルマがそう尋ねればお姉さんは丁寧に教えてくれた。どうやらこの付近にあるのは確かのようだった。地図を見て歩いてきたはいいが騎士学校の場所までは分からなかったから。
「お嬢ちゃん。騎士学校に何か用事か??」
老人がエルマにそう問う。お嬢ちゃんと呼ばれたエルマは訂正させるのも面倒になったからか苦笑しつつも、
エルマ「あー、はい・・・キシガッコウってかってにはいったらダメなんですか?」
と頭を掻きながら言う。
「騎士学校は生徒かもしくは騎士様しか入れんよ」
そんなことを言う老人にエルマは項垂れる。
エルマ「えぇそんなぁ、きしサマにあいにわざわざとおいトコからきたのになぁ・・・」
「そうなのね・・・まぁ騎士団に憧れてる民は少なく無いから・・・。あ、でも確か今騎士様は朝の任務中だからここで待っていればもうじきお見えになる時間帯かもしれないわね」
エルマ「ほんと!?」
そんな話をお姉さんから聞くと、そこらを歩いてる市民がざわつきはじめ、エルマはなんだろうと視線をそちらに向けた。
「あら、噂をすればなんとやらね」
「あ!騎士団よ!」
「お疲れ様です!」
こちらに向かって歩いてくる騎士団の姿が見えるなり市民たちが群がっていた。
そしてそんなカトレア達へ1人の女性が駆け寄った。
「騎士様が任務お疲れ様です!
騎士様が解決して下さったお陰でうちの息子が麻薬の売人をやめてくれたんですよ。悪い大人に騙されてばかりな息子が騎士様の一言でこうも言うこと聞くなんて・・・。私の言うこと一切聞く耳も持たなかったのに・・・」
カトレア「奥さん。その息子に伝えてくれるかしら?次は目を瞑ってはやらんぞとね?」
「は、はい!」
そうして女性はカトレアに手を振りながらその場を立ち去っていく。カトレアも手を振りかえしていると、次にエルマがカトレア達に走り寄った。
エルマ「あ、あの!はじめまして!!あの、ボク、エルマ=フィルアム=シュヴァインといいます!きしだんにあうためにきました!きしサマのかつやくテレビでいつもみてます!ずっとおーえんしてました!」
エルマはカトレアの手を取り、元気すぎるエルマに少々引きぎみになるカトレア。
カトレア「おお・・・そ、そう。貴方一人で来たのかしら?」
エルマ「ハイ!キャリーケースのなかみ、みやげなんでもらってください!というかキャリーケースごともらってください!」
エルマはキャリーケースをカトレアに差し出す。
ラン「そんな大きなキャリーケース、持ち帰るのがめんどくさいだけでは」
エルマ「よくわかりましたね!」
ノウゼンカズラ「ゴミを押し付けんな」
エルマ「ゴミじゃないです!」
カトレアは困り顔になりながら、キキョウが「カトレア様如何なさいますか」と聞く。
カトレア「まぁ。せっかくここまで会いにきてくれわけだし、無下には扱えないわ。
それじゃそのキャリーケースはこちらで預かることにして、少しお話でもどうかしら?」
エルマ「え!ボクはキャリーケースをわたしたらかえるよていでいたんですけど~・・・」
カトレア「そんな時間はとらせないわ。一緒にティータイムでもしましょう?」
カトレアがそう言うものだから、エルマは少し話をするだけならということでお言葉に甘えてカトレア達と共に騎士学校に入ることとしたエルマだった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
未亡人となった側妃は、故郷に戻ることにした
星ふくろう
恋愛
カトリーナは帝国と王国の同盟により、先代国王の側室として王国にやって来た。
帝国皇女は正式な結婚式を挙げる前に夫を失ってしまう。
その後、義理の息子になる第二王子の正妃として命じられたが、王子は彼女を嫌い浮気相手を溺愛する。
数度の恥知らずな婚約破棄を言い渡された時、カトリーナは帝国に戻ろうと決めたのだった。
他の投稿サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる