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第23話
「先輩・・・泣かせました?」
しおりを挟むランとキキョウはリチアが言葉を紡ぐまで黙って待っていれば、リチアは顔を俯かせたまま口を開く。
リチア「あの・・・昨日のこと・・・私・・・怖くて、何も出来ませんでした・・・先輩に組で動くようにって、言われたことを忘れただ勝手な行動をとって・・・ごめんなさい」
"リチア・・・何としてでも根城突き止めてラン先輩に褒めてもらうんだって、張り切ってて・・・"
確かそんな事を言ってたケイリィの言葉を思い出したラン。
ラン「・・・リチアさんはよくやってくれたと思いますよ」
ランのその優しげな口調に顔を下げていたリチアは頭を上げた。かすかにリチアの瞳には涙が溜まっていた。
ラン「そのお陰と言ってはなんですがアジトも分かったわけですし。」
リチア「私のお陰・・・?そう言えばどうして私の居場所がわかったんですか・・・?」
ラン「魔法、ですかね。」
リチア「ま、ほう・・・?」
ラン「リチアさんにもその力があるのではないですか??」
リチア「え・・・?」
無自覚、ですか。
けどあの時たしかに彼女の心臓は撃ち抜かれていた・・・
それでも生きていると言うことは・・・。
ケイリィ「あれ?リチア先に行っちゃったのかな?剣も持たずに・・・」
その時ゾロゾロと教室から出てくる生徒達。
「ケイリィ君、あそこ」
1人の女子生徒が指を差している方向に目を向けるケイリィ。
階段の前でリチアとラン達が話しているのが見えケイリィはすぐリチアに駆け寄った。
ケイリィ「リチア!剣も持たないでもう先に行ったのかと思ったよ」
リチア「ケイ・・・」
リチアはケイに振り返った時母には涙が伝っていた。それを見た生徒達は固まる。
ケイリィ「エッ・・・・先輩・・・泣かせました?」
ケイリィは後ろにいるランとキキョウにそう言えば2人は視線を逸らしながら、
キキョウ「・・・いや」
ラン「いえ」
と一言言う。
ケイリィ「それなら目を合わしてくださいよ!」
ラン「そんなことより、準備ができたのなら早速出発しますよ」
階段を降りようとするラン達に今度は他の女子生徒が呼び止め「この上の階はどうして閉鎖されてるんですか?」
と立ち入り禁止のテープが張り巡らされている上の階を指差す。
それに対してキキョウは言った。
キキョウ「上は特に使われていないからだ」
その言葉だけ残して先に階段を降りていってしまう。
キキョウに続いてランも階段を降りようとしたが、降りる手前で止まり、
ラン「・・・いろいろ危険なので上がってはいけませんよ。貴方達は大切な生徒ですから、失いたくないんです」
という訳のわからない言葉を残してランも階段を降りて行った。
ランの言葉に首を傾げる生徒たち。
「危険って何だろう??」
「さぁ??」
リチア「・・・?」
先、輩・・・?
"大切な生徒なのですから"
そう言った時、一瞬ラン先輩と目が合ったような気がしました・・・。
一体、どういうことなんでしょうか・・・?
その言葉の意味を知ることになるのはもっと先の話。
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