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第15話
「もしかして、ヒューくんとフォンくん?」
しおりを挟むその場が一瞬なにが起きたかというように静まりかえる。
だけどやがて遅れて状況を把握した。
ケイリィ「り・・・リチア!?」
リチアが身を挺して守りに入り、胸を銃弾が撃ち抜かれていた。
「リチアちゃん!?」
生徒らはリチアに近寄る。
リチア「だい、じょうぶです、私は・・・」
ケイリィ「大丈夫じゃないでしょ・・!ち、血が・・」
リチアが撃たれたことで、ランは黙っていられるはずがなかった。
リチア「はぁ・・・うぅ・・・」
シナ「ぁ・・・あぁ・・・大切な、綺麗な商品に傷を付けるなんて・・・」
「っ、あなた、よくもっ」
1人の女子生徒はシナに向けてそう言えば、
ランが生徒達よりも一歩前に出る。
子供たちも怖くてその場を動けないでいたが、生徒たちが背中に守っている。
そしてランはシナの前に来ると、突風が吹きあれる。生徒たちも目を瞑り、吹き飛ばされそうな子供達を腕の中で抱きしめていた。
リチア「せん、ぱ・・・」
リチアはランの背中に手を差し伸ばす。
その突風で銃を手にしていたシナの腕は切り落とされる。
皆からではシナがどうなってるかはランの背中で見えない。
シナ「が・・・っああああぁぁぁぁああ!!」
シナの悲鳴があがり、その悲鳴もだんだんと小さくなる。
シナ「ボクは・・・まだ・・・生き、た・・・死にたく・・な・・・
た、すけ・・・」
シナはランを見上げ、ランに手を伸ばす。
ラン「・・・
貴方は僕の大事な生徒を何度も傷物にした。許せませんよ。
一度はカトレア様が見逃してくれた命だというのに、勿体ない。
もう、本当にさようならですよ」
そう言ってランはシナの頭目掛け扇子を振りかざせば、シナの頭がパックリと割れそこから大量の血が噴き上がり出血多量で、シナは生き絶える。
ランは生徒たちに振り返ると、根城の扉を閉めた。
ラン「(あとで亡骸は処理しておかなければなりませんね・・・)」
リチアもさすがに血を流しすぎたせいか、胸から血がドクドクと出て止まらないそんな胸を押さえながらふらついてドサリとその場に膝をつく。
「リチアちゃん!?」
ケイリィ「リチア・・・なんで、どうして、あんな無茶を・・・」
リチア「こうしなければ・・・あの子は・・きっと撃たれてました・・・」
そう言って視線をデットに向ける。
ケイリィ「っだからって・・・」
ランはリチアの目の前まで来ると、リチアにそっと手を差し伸べる。
リチアはランを見上げれば、ランはリチアに優しく微笑んでいた。
リチアは血塗れの手のまま、差し出されたランの手を握ればふいにランの手から暖かな光が溢れその場は眩い光に包まれる。
驚きながらもリチアが自分の血塗れだった手を見てみれば、
血糊は消え、撃たれたはずの胸の傷も塞がりそこから大量に出ていた血もあっという間に消えていた。
それには生徒達も驚くしかなかった。
リチア「傷が・・・。痛く、ない・・・?」
どこも痛みなど感じなかった。
次にランは子供に噛みつかれてた女子生徒の手をそっととると、治癒をする。
その女子生徒はランに手をとられたことに驚くも、頬を赤くする。
リチアと同様に暖かな光が女子生徒の手を優しく包み込み、強く噛まれたところから出ていた血も痛みも傷も跡形もなく
消えていく。
まばゆい光が晴れればもう怪我や血糊などどこにもなかった。
ノウゼンカズラ「これにて任務は完了だ。生徒たちは学校に戻れ」
「で、でも、子供達は・・・?」
1人の女子生徒がそう問う。
ラン「・・・子供たちは一度施設へ預けることとします」
ランは撃たれたというシャムアに近づく。だけどもう手遅れなのか、出血した血を回復して、シャムアの両眼をそっと閉じてやる。
ラン「・・・子供達は一度施設へ預けることとします」
デット「ま、待ってください!あ、あの・・ろ、ロネはこのまま連れて帰っちゃだめですか?」
ラン「ご家族さんであれば、連れて帰って構いません」
デット「僕とロネは、家族、です。でもこの人、シャムアは、僕らの親戚なような存在で・・・」
ラン「・・・そちらの方は我々が責任を持ってご家族の元へお送りいたしますよ」
デット「そう、ですか・・・ありがとう、ございます。そうしてもらえると・・・シャムアもきっと喜びます」
デットは今はもう永眠しているシャムアの顔を一目見ると、
デット「ロネ、行こう?」
と言い、ロネとデットは歩いていく。それを見送るラン達。
ラン「それじゃ僕たちは子供達を施設までお送りします。生徒の皆さんは学校までどうにか帰れますね?」
はい。と返事をする生徒達。
そしてランとノウゼンカズラとアザレアは馬車を借りて施設まで子供達を送ることになった。
子供達とシャムアを荷台に乗せる。
ランが回復魔法でシャムアのおでこから出る傷口を塞ぎ血を消すもそれでもすでに亡くなったシャムアが戻ってくることはなく、
子供達の視線がシャムアに向けられつつも何分かして
子供養護施設というところに到着する。
ランは子供達を荷台からおろしてあげると子供養護施設からここの先生をしているディアナが姿を現した。
ラン「この子供達は引き取り手がいなくて、親代わりが見つかるまで置いてもらえませんか」
ディアナ「えぇ、それは勿論大歓迎ですよ!って、あら??」
ふと、ランの後ろを見る。
ランの後ろには馬車が止められ、その馬車の前にはノウゼンカズラとアザレアが立っていた。
その2人を見たとたん、ディアナは
ディアナ「もしかして、ヒューくんとフォンくん??」
まさか子供養護施設の先生と知り合いだったことを知らなかったランは後ろのノウゼンカズラとアザレアへと注がれていた。
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